弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     被告人を懲役参年に処する。
         理    由
 本件の控訴の趣意は弁護人梅山実明名義の控訴趣意書に記載されている通りであ
るからこれを引用する。
 控訴趣意第一点について
 <要旨>告訴権は刑事訴訟法上被害者に認められた権利であつて本件の如き所謂親
告罪にあつては告訴の存在は公訴提起の必要的条件をなし、その法律関係は
国家と被害者との間に存する公法上の関係であつて同法に告訴の取消に関する規定
があるに拘らず、これが抛棄について何等の規定を設けなかつた点より観察すれば
告訴前にその権利を抛棄することは法の認めない精神であると解するを相当とす
る、然らば即ち仮りに論旨主張の如く被害者より警察官に提出した上申書中告訴権
抛棄の意思を含むものであることを認め得るとしても、これに因り法律上何等告訴
権消滅の効果を生ずるに由なきものと謂はざるを得ない、論旨はその理由がない。
 同第二点について
 原判決の事実摘示を観るに被告人は暴行脅迫により既に抵抗不能に陥つている同
女を強いて姦淫しと判示していることは所論の通り相違ないところであるが右に所
謂抵抗不能とは即ち被害者が精神的に抵抗の気力を失つている状態を指摘している
に過ぎないものであること原判決挙示の各証拠を綜合して容易にこれを肯認し得る
ところであつて刑法第百七十八条に所謂抗拒不能とは身体上も全く反抗不能の状態
にあるを謂うものであるから未だこのような状態に至つていない精神的な気力喪失
の状態にあるに過ぎない婦女を強いて姦淫した場合は明らかに刑法第百七十七条前
段に該当するものと謂うべく原判決が原判示の事実に対し同法条を適用したのは相
当であつて所論の如き法令適用の過誤はない、論旨はその理由がない。
 同第三点について
 原判決挙示の各証拠の内容を検討し彼此綜合すれば優に原判示第一の(1)の強
姦の事実を認定するに足るべく、記録を精査するも右認定に重大なる過誤ありと認
むべき事情はないから論旨もその理由がない。
 第四点について
 原審において取調べた総ての証拠により認め得る被告人の前科、経歴、家庭の状
況、資産状態、本件犯行の動機、態様、共犯者との量刑上の均衡、被害者に対する
慰藉料の支払その他諸般の情状に照せば原判決が被告人に対し懲役三年六月の刑を
科したのはその量刑やや重きに過ぎるものと認むるを相当とすべく、原判決はこの
点において破棄を免れない。論旨は結局理由がある。
 よつて刑事訴訟法第三百九十七条に則り原判決を破棄し且つ原審竝に当審におい
て取調べた証拠により直ちに判決をなし得るものと認め同法第四百条但書により更
に本被告事件につき次の通り判決する。
 当裁判所において認定した罪となるべき事実、前科及その証拠は原判決に摘示す
るところと同一であるから茲にこれを引用する。
 法律に照すと被告人の所為中強姦の点は刑法第百七十七条前段第六十条に、窃盗
の点は各同法第二百三十五条第六十条に、外国入登録法違反の点は同法第十八条第
一項第七号第十三条第一項に各該当し外国人登録法違反の罪については所定刑中有
期懲役刑を選択するが、前科があるから各罪の刑に刑法第五十七条第五十六条第一
項を適用し強姦の罪については同法第十四条の制限内においてそれぞれ累犯の加重
をなし、以上は同法第四十五条前段の併合罪であるから同法第四十七条第十条第十
四条に従い最も重い強姦の刑に法定の加重をした刑期範囲内において被告人を懲役
三年に処すべきものとする。
 よつて主文の通り判決する。
 (裁判長判事 羽田秀雄 判事 鷲見勇平 判事 小林登一)

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