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平成21年11月26日判決言渡同日原本交付裁判所書記官
平成20年(ワ)第9732号特許侵害予防等請求事件
口頭弁論終結日平成21年9月29日
判決
京都市<以下略>
原告日本電産株式会社
訴訟代理人弁護士松本司
井上裕史
田上洋平
補佐人弁理士北村秀明
大韓民国<以下略>
被告三星電機株式会社
訴訟代理人弁護士城山康文
岩瀬吉和
諏訪公一
訴訟代理人弁理士龍華明裕
補佐人弁理士飯山和俊
森川剛一
主文
1本件訴えを却下する。
2訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第1当事者の求める裁判
1原告
1被告は,別紙物件目録記載のモータの譲渡の申出をしてはならない。()
2被告は,原告に対し,300万円及びこれに対する平成20年10月14()
日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3訴訟費用は被告の負担とする。()
4仮執行の宣言()
2被告
1本案前の答弁()
主文同旨
2本案の答弁()
ア原告の請求をいずれも棄却する。
イ訴訟費用は原告の負担とする。
第2請求原因
1原告の特許権
1特許権()
原告は,次の特許(以下「本件特許」という)に係る特許権(以下「本。
件特許権」という。また,下記「特許請求の範囲【請求項1】の発明を」
「本件特許発明」という)を有している。。
特許番号特許第3688015号
出願日平成7年5月19日
登録日平成17年6月17日
発明の名称モータ
特許請求の範囲
「請求項1】【
ベースプレートと,該ベースプレートに立設された支持部材と,該支持
部材に装着された軸受手段と,該軸受手段を介して回転支持された回転部
材と,該回転部材に設けられたロータマグネットと,該ロータマグネット
に対向して設けられたステータとを備え,
該支持部材は,該ベースプレートに設けられた孔部へ嵌合して挿入され,
該支持部材の挿入端が塑性加工されることにより,該支持部材が該ベース
プレートに固定されてなるモータにおいて,
該孔部の周縁部には,周方向に形成される欠損部と,該支持部材の挿入
端の塑性変形部を収容するテーパ部と,が設けられ,
該欠損部によって,該テーパ部の形成時に発生する加工歪みが吸収され
ることを特徴とするモータ」。
2構成要件の分説()
本件特許発明は次の構成要件に分説することができる。
Aベースプレートと,該ベースプレートに立設された支持部材と,該支持
部材に装着された軸受手段と,該軸受手段を介して回転支持された回転部
材と,該回転部材に設けられたロータマグネットと,該ロータマグネット
に対向して設けられたステータとを備え,
B該支持部材は,該ベースプレートに設けられた孔部へ嵌合して挿入され,
該支持部材の挿入端が塑性加工されることにより,該支持部材が該ベース
プレートに固定されてなる
Cモータにおいて,
D該孔部の周縁部には,周方向に形成される欠損部と,該支持部材の挿入
端の塑性変形部を収容するテーパ部と,が設けられ,
E該欠損部によって,該テーパ部の形成時に発生する加工歪みが吸収され
ることを特徴とする
Fモータ。
3作用効果()
本件特許発明は上記の構成により次の作用効果を奏する。
ア本件特許発明の構成のモータにあっては,その孔部には,周縁部に欠損
部が設けられ,且つ塑性加工により形成されるテーパ部が設けられている
ため,テーパ部が塑性加工される際に生じる他部位への出張り等がその欠
損部に吸収されベースプレートは平面な状態を維持したままテーパ部を形
成することができる。しかも,テーパ部には,支持部材の挿入端の塑性加
工により変形した変形部が収容されるため,その支持部材は,ベースプレ
ートを平面な状態を維持して固定される(本件特許に係る明細書の段落。
【0009)】
イベースプレートの孔部には,周縁部に欠損部が設けられているため,テ
ーパ部を塑性加工により形成する際,他部位への出張り等がその欠損部に
吸収されベースプレートは平面な状態を維持することができる。しかも,
テーパ部には,支持部材の挿入端の塑性加工により変形した変形部が収容
されるため,その支持部材は,ベースプレートを平面な状態を維持して固
定される(同【0031)。】
2被告の行為
1被告物件の販売()
被告は,日本国内において,業として別紙物件目録記載のモータ(以下
「被告物件」という)の譲渡の申出を行っている。。
2被告物件の構成()
被告物件の構成は,別紙被告物件説明書に記載のとおりであり,これを本
件特許発明の構成要件に即して分説すると,以下のとおりとなる。
aベースプレート2と,該ベースプレート2に立設された軸受支持部材4
と,軸受支持部材4に装着された滑り軸受8と,該滑り軸受8を介して回
転支持されたロータ14と,ロータ14に設けられたロータマグネット2
2と,ロータマグネット22に対向して設けられたステータ6とを備え,
b軸受支持部材4は,ベースプレート2に設けられた孔部2bへ嵌合して
挿入され,軸受支持部材4の挿入端4fが加締められることにより,軸受
支持部材4がベースプレート2に固定されてなる
cモータにおいて,
d孔部2bの周縁部には,周方向に形成される欠損部5aと,軸受支持部
材4の挿入端4fの塑性変形部を収容するテーパ部5bと,が設けられ,
e該欠損部5aによって,該テーパ部5bの形成時に発生する加工歪みが
吸収されることを特徴とする
fモータ。
3構成要件充足性
1被告物件の構成aは本件特許発明の構成要件Aを充足する。()
ロータ14は,回転自在に支持されている回転軸12に固定され,回転軸
とともに自在に回転するから,本件特許発明の構成要件Aにおける「回転部
材」に該当する。
2被告物件の構成bないしfは,それぞれ本件特許発明の構成要件Bないし()
Fを充足する。
3被告物件の作用効果は本件特許発明と同一である。()
4よって,被告物件は本件特許発明の技術的範囲に属する。()
4原告の損害
原告は,本件訴訟の遂行のため弁護士費用の負担を余儀なくされたものであ
り,被告の本件特許権侵害と相当因果関係のある原告の弁護士費用相当額の損
害は,300万円が相当である。
5よって,原告は,被告に対し,特許法100条1項に基づき被告物件の譲渡
の申出の差止め並びに民法709条の不法行為に基づく損害賠償として300
万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成20年10月14日から
支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。
第3本案前の争点及び同争点に係る当事者の主張
1本案前の争点
本件訴えにつき,我が国に国際裁判管轄があるか。
2争点に係る当事者の主張
【原告の主張】
1民訴法に規定する裁判籍()
ア不法行為地(民訴法5条9号)
被告の特許権侵害の不法行為に基づく損害(弁護士費用)が発生したの
は,原告本店所在地である京都市であるから,民訴法5条9号及び6条1
項2号により,大阪地方裁判所に専属管轄が存在する。なお,被告は,日
本に主たる事務所ないし営業所を有しないし,日本における代表者やその
他の主たる業務担当者を有しないから,日本に普通裁判籍を有しないと主
張するが,原告は,民訴法4条4項,5項に基づく管轄原因を主張するも
のではないから,被告の上記主張は当を得ない。
イ譲渡の申出の事実
以下の事実からすれば,被告が日本国内で被告物件の販売の申出を行っ
ていることは明白である。
被告は,日本国内で閲覧可能なウェブサイトにおいて被告物件を紹介(ア)
するとともに,被告物件の販売の申出を行っている。すなわち,同ウェ
SlimODDブサイト(甲4−3,4−4)には,被告物件が含まれる「
」の「(販売問合せ)欄に「」と記載されてMotorSalesInquiryJapan」
OverseasNetworkSalesおり「(海外ネットワーク)の「,」
(販売本部)として「」が記載されている。HeadquarterJapan」
被告物件は,日本法人であるパイオニア株式会社や東芝サムスンスト(イ)
レージ・テクノロジー株式会社において評価の対象となっている。
被告の経営顧問であるXが,日本国内において被告の業務に従事して(ウ)
いる。
本件訴状は,東京都内の被告の主たる事務所又は営業所と考えられる(エ)
場所において,一旦被告に送達されたが,その後,被告は何らかの理由
により受領を拒否した上,訴状の謄写をした。仮に,被告に日本におけ
る主たる業務担当者も,主たる事務所ないし営業所も存在しないのであ
れば,被告宛の特別送達が受領されることは起こり得ないし,被告が原
告からの訴状が送達された事実を知ることもあり得ない。したがって,
被告には,日本国内において被告宛の送達を受領する者が存在する。
ウ譲渡の申出のおそれ
仮に,被告が日本国内において被告物件の譲渡の申出を行っていないと
しても,上記事実関係からすれば,少なくとも譲渡の申出のおそれが存在
する。
原告が本件特許権を有し,被告が本件特許権を侵害する行為をし又はそ
のおそれが存在するのであるから,被告の日本における行為により原告の
法益に損害(又はそのおそれ)が生じたことは明白である。
エよって,本件は民訴法に規定する裁判籍が日本国内にある場合に該当す
る。
2特段の事情について()
ア本件は,日本国特許権の侵害訴訟であるから,準拠法も日本法であり,
証拠方法も日本に存在する。したがって,日本の裁判所において判断する
ことが最も適切である。また,日本国内における被告による被告物件の譲
渡の申出ないし申出のおそれの存在に関する証拠方法は日本国内に存在す
る。
イ被告は,韓国最大かつ世界的に著名な企業グループであるサムスングル
ープに所属する法人であり,日本を含む多くの国に販売拠点を有している。
したがって,被告をして日本において応訴させることが被告に過大な負担
を課すことにはならない。
ウよって,本件について日本で裁判を行うことが当事者間の公平,裁判の
適正・迅速を期するという理念に反するという特段の事情は存在しない。
3以上のとおり,本件について,民訴法に規定する裁判籍が日本国内にあり,()
また,日本で裁判を行うことが当事者間の公平,裁判の適正・迅速を期する
という理念に反する特段の事情もないから,日本の国際裁判管轄が肯定され
ることは明らかである。
【被告の主張】
1不法行為地について()
原告は,弁護士費用相当の損害が発生したのが原告の本店所在地である京
都市であることから,民訴法6条1項2号により大阪地方裁判所に管轄があ
ると主張する。しかし,原告の主張によれば,日本全国各地でなされた特許
権侵害行為及び世界各国でなされた特許権侵害行為のいずれについても,原
告本店所在地が不法行為地とされてしまうのであり,明らかに不合理である。
原告が主張する訴訟遂行のための弁護士費用の支払は,特許侵害から直接
生じた損害ではなく,原告が弁護士を依頼することを選択したことによる二
次的,派生的に生じた結果である。したがって,弁護士費用の支払地にまで
不法行為地管轄を認めるべきではない。
よって,本件において,原告本店所在地を不法行為地とすることはできな
い。
2譲渡の申出又はそのおそれの証明がないこと()
ア被告のウェブサイトについて
被告のウェブサイトには,被告物件のうち「DMBSFC05B/M」
及び「DMBSFC07R」の記載はないから,少なくとも同物件につい
て,ウェブサイト上何らの譲渡の申出を行っていないことは明らかである。
また「DMBSFC06M」については,訴え提起時のウェブページに,
原告主張の記載があるものの,対象製品の購買を目的とするものではなく,
一般的な問合せを受ける場合に備えるためのものであり,被告物件の譲渡
の申出が行われる可能性を示唆するものではない。なお,被告は,現在,
上記品番の掲載や「」の「」の掲載をし,SlimODDMotorSalesInquiry
ていない(乙3。)
イ他社の評価の対象となっていること
他社が被告の製品をどのように評価しているかは,被告の関知するとこ
ろではないし,被告物件が評価の対象となっていることを聞いたこともな
い。
また,被告は,原告が挙げる日本法人に対して被告物件の譲渡の申出を
一切行っていない。
ウ経営顧問のXについて
Xは,被告物件の商談等はおろか,モータの営業活動に関与したことも
一切ない。経営顧問の職は,既存の技術,知識,人的ネットワークを土台
にして,経営諮問をする役割であり,経営に参加するものではなく,営業
活動を行うものでもない。
エ送達受領について
被告は日本に主たる事務所又は営業所を有しない。
原告は,本件訴状が日本国内で一旦被告に送達されたと主張するが,被
告は,国際送達を経て初めて本件訴状を受領した。
オ製造中止について
被告物件のうち「DMBSFC05M」及び「DMBSFC06M」,
については,既に生産が終了しており,譲渡の申出のおそれはない。また,
「DMBSFC05B」についても,近日中にその生産を終了する予定で
ある。
カ以上のとおり,原告は,被告が日本国内で被告物件の譲渡の申出を行っ
ていることを合理的に判断できる程度の証明をなし得ていない。また,譲
渡の申出のおそれについても,原告は,抽象的に指摘するばかりで,具体
的なおそれを一切明らかにしていない。
3特段の事情について()
ア原告は,被告に応訴能力があると主張するが,被告は日本において子会
社を有しておらず,サムスングループの一つが日本に販売拠点を有してい
るとしても,あくまで別法人である。
イ証拠収集の観点からも,被告は,独自で日本に経営基盤を有しているも
のではなく,被告の経済活動の本拠は韓国にあり,被告物件に係る証拠も
製造・供給されている韓国に集中している。
ウ被告にとって,日本で被告物件の譲渡の申出等を行っていないにもかか
わらず,日本で裁判を提起されるのは,全く予測可能性がないところであ
る。
エしたがって,仮に,本件について,日本に民訴法上の裁判籍があったと
しても,日本で裁判を行うことが当事者間の公平,裁判の適正・迅速を期
するという理念に反する特段の事情が存在するから,日本に国際裁判管轄
はない。
4日本に管轄があるとすれば,それは東京地方裁判所であること()
仮に日本に国際裁判管轄が認められたとしても,民訴法5条9号で不法行
為地管轄があるとするならば,ホームページ上の「」の記載,SalesInquiry
経営顧問の名刺,東芝サムスンストレージ・テクノロジー株式会社(本店所
在地:東京都港区<以下略>)やパイオニア株式会社(本店所在地:東京都
目黒区<以下略>)などに対する譲渡の申出又はそのおそれのいずれを根拠
としても,不法行為地は東京であり,管轄は東京地方裁判所にあるはずであ
って(民訴法6条1項1号,大阪地方裁判所に管轄はない。)
第4本案前の争点に関する当裁判所の判断
1国際裁判管轄の判断基準
我が国の裁判所に提起された訴訟の被告が,外国に本店を有する外国法人で
ある場合には,当該法人が進んで服する場合のほか日本の裁判権は及ばないの
が原則であるが,例外として,被告が我が国と法的関連を有する事件について,
我が国の国際裁判管轄を肯定すべき場合のあることは,否定し得ないところで
ある。ただし,どのような場合に我が国の国際裁判管轄を肯定すべきかについ
ては,国際的に承認された一般的な準則が存在せず,国際的慣習法の成熟も十
分でないため,当事者間の公平や裁判の適正・迅速の理念により条理に従って
決定するのが相当である(最高裁判所昭和55年(オ)第130号同56年10
月16日第二小法廷判決・民集35巻7号1224頁。)
そして,我が国の民訴法の規定する裁判籍のいずれかが我が国内にあるとき
には,原則として,我が国の裁判所に提起された訴訟事件につき,被告を我が
国の裁判籍に服させるのが相当であるが,我が国で裁判を行うことが当事者間
の公平,裁判の適正・迅速を期するという理念に反する特段の事情があると認
められる場合には,我が国の国際裁判管轄を否定すべきである(最高裁判所平
成5年(オ)第1660号同9年11月11日第三小法廷判決・民集51巻10
号4055頁。)
本件訴えは,特許権侵害の差止請求(特許法100条1項)と特許権侵害の
不法行為に基づく損害賠償請求(民法709条)が併合して提起されたもので
あるから,以下,それぞれの請求について,上記判断基準に従って我が国に国
際裁判管轄があるかどうかについて検討することとする。
2不法行為に基づく損害賠償請求について
1民訴法の規定する裁判籍の有無()
ア原告は,被告の特許権侵害行為(我が国における譲渡の申出)によって
本件訴訟の提訴を余儀なくされ,弁護士費用相当の損害を被ったと主張し,
同損害は,原告の本店所在地である京都市において発生したとして,民訴
法5条9号(不法行為地の裁判籍)により我が国に裁判籍があると主張す
る。
ところで,民訴法5条9号の不法行為地の裁判籍の規定に依拠して我が
国の国際裁判管轄を肯定するためには,原則として,被告が我が国におい
てした行為により原告の法益について損害が生じたことの客観的事実が証
明されることを要し,かつそれで足りると解される(最高裁判所平成12
年(オ)第929号同13年6月8日第二小法廷判決・民集55巻4号72
7頁。)
そうすると,我が国において損害が発生したことが証明されるのみでは
足りず,不法行為の基礎となる客観的事実として原告が主張する事実,す
なわち,本件においては日本国特許権である本件特許権の侵害事実として
の,我が国における被告物件の譲渡の申出の事実が証明される必要がある
というべきである。
そこで,以下,被告が我が国において被告物件の譲渡の申出をした事実
が認められるかどうかについて検討する。
イウェブサイトによる譲渡の申出
原告は,被告が被告のウェブサイトにおいて被告物件の譲渡の申出をし
ていると主張する。
たしかに,本件訴え提起時点で閲覧可能な被告のウェブサイト(英語表
記)において「(スリムオプティカルディスクドラSlimODDMotor」
イブモータ)を紹介するウェブページ(甲4−1−1)が存在し,同ペ
ージの「」という項目を選択すると,別のページ(甲4PartNumberList
−1−2)が表示され,同ページには被告物件の一つである「DMBSF
C06M」の品番が掲載されていることが認められる(ただし,被告は,
PartNumber本件口頭弁論終結時〔平成21年9月29日〕までに「
」の項目を削除した〔乙3。List〕)
また,同サイトにおいて製品一覧を示したウェブページ(甲4−3)の
「」欄の「(販売問合せ)として,SlimODDMotorSalesInquiry」
「(日本)も掲げられており,海外ネットワークを示したページJapan」
(甲4−4)においては「」として,日本での拠点,SalesHeadquarter
(東京都港区<以下略>)が示されていることが認められる。
SlimODDさらに,被告の日本語表記のウェブサイトにおいても「,
」を紹介するウェブページ(甲7)が存在し,同ページの「購買にMotor
関するお問合せ」という項目を選択すると「」の販売,SlimODDMotor
に係る問合せフォーム(甲8:」欄に「」と表記)が表示「SectionSales
され,同ページの「製品に関するお問合せ」という項目を選択すると,
「」の製品に係る問合せフォーム(甲9:」欄SlimODDMotorSection「
に「」と表記)が表示されることが認められる。また,同サイトのTech
海外事業場を紹介するウェブページ(甲10)において,日本における販
売法人として東京と大阪の拠点が掲載されていることが認められる。
しかしながら,上記英語表記のウェブサイトは,被告の製造する製品の
,,一つとして「」を全世界に向けて紹介するものでありSlimODDMotor
日本語で表記された「」の販売・製造に関する問合せフSlimODDMotor
ォーム(甲7∼9)についても,プルダウンの選択次第で様々な製品に変
更ができるものであり(乙7の1,品番や具体的な仕様についても何ら)
示されていない。そうであるから,同フォームが表示されていることをも
って,被告物件につき譲渡の申出があったとは認められない。
また,被告のウェブサイトの中には,被告物件のうち一部の品番(DM
BSFC06M)が掲載されているページ(甲4−1−2)も過去には存
在したが,同ページが英語で表記されていることに加え,同ページには当
該品番のモータの定格電流,定格電圧,騒音及び振動が示されているにす
ぎず,同モータの他の具体的な仕様については何ら示されていないのであ
り,また問合せフォームにもリンクしていないのであるから,当該品番の
モータの一般的な紹介にとどまるというべきであり,同モータについて,
我が国において譲渡の申出があったとは認められない。
したがって,被告が,上記ウェブサイトにおいて被告物件の譲渡の申出
をしたとは認められない。
ウ原告営業部長の陳述
原告営業部長であるYは,その陳述書(甲5)において,被告物件がパ
イオニア株式会社や東芝サムスンストレージ・テクノロジー株式会社にお
いて,製品に搭載すべきか否かの評価の対象になっている旨陳述する。し
かし,この陳述書の陳述記載のほかに被告物件がこれら日本法人において
評価の対象となっていることを窺わせる証拠はないから,同陳述記載のみ
に基づいて,たやすくその内容を真実と認めることはできない。
また,同営業部長は,その陳述書(甲6)において,被告の従業員が日
本法人である「A社」や「B社」を訪問して営業活動を行ったとの情報を
入手した旨陳述する。しかし,同陳述記載は,伝聞に基づくものであり,
その情報の入手経路も明らかでない上「A社」や「B社」の具体的な会,
社名も明らかにしておらず,同事実を争う被告にとって十分な反証をなし
得ないものであるから,同陳述記載の内容をたやすく真実と認めることは
できない。
エ被告の経営顧問の名刺
原告は,被告の経営顧問であるXが日本国内で営業活動をしていると主
張する。
たしかに,日本語で標記された被告の「経営顧問」の肩書を付した同人
の名刺(甲3)からすると,同人が我が国において被告の何らかの業務に
携わっていることが推認できる。しかし,同証拠のみによっては,Xが我
が国において具体的な営業活動を行ったという事実を推認することはでき
ず,まして同人が我が国において被告物件の譲渡の申出をしたことを窺わ
せるものとはいえない。
オ送達の経緯
原告は,本件訴状が我が国において被告に一旦送達できたことを主張す
る。しかし,送達の経緯をもって,被告が我が国において被告物件の譲渡
の申出をしたことを推認することができないことは当然である。
カ小括
以上のとおり,本件全証拠をもってしても,被告が我が国において被告
物件の譲渡の申出を行った事実を認めるに足りない。
よって,特許権侵害の不法行為に基づく損害賠償請求については,被告
が我が国において特許権侵害行為をし,同行為により原告の法益について
損害が生じたとの客観的事実関係が証明されたものとはいえないから,民
訴法5条9号の不法行為地の裁判籍を認めることはできない。
2上記のように,不法行為に基づく損害賠償請求について,我が国に民訴法()
に規定する裁判籍が認められないのであるから,我が国で裁判を行うことが
当事者間の公平,裁判の適正・迅速を期するという理念に反する特段の事情
があるかどうかについて判断するまでもなく,同請求について我が国に国際
裁判管轄を肯定することはできない。
3特許権侵害差止請求について
1原告は,特許権侵害差止請求について管轄原因を主張していないが,他方()
で,本件は日本国特許権の侵害に係る訴訟であり,我が国の裁判所において
侵害の有無を判断することが最も適切であると主張し,譲渡の申出のおそれ
があるとも主張する。
たしかに,原告は,日本国特許権である本件特許権に基づいて,我が国に
おける被告物件の譲渡の申出の差止めを求めているのであり,準拠法も本件
特許権の登録国法である日本国特許法になると解される(最高裁判所平成1
2年(受)第580号同14年9月26日第一小法廷判決・民集56巻7号1
551頁。したがって,我が国における譲渡の申出の事実が証明されなか)
った場合であっても,そのおそれを具体的に基礎づける事実(そのおそれが
抽象的なおそれでは足りず,具体的なものであることを要するのは当然であ
る)が証明された場合には,条理により,我が国の国際裁判管轄を肯定す。
る余地もある。
しかしながら,前記2(1)で認定・説示したとおり,本件においては,我
が国において被告物件の譲渡の申出がなされたとは認められず,また,同認
定事実からは,被告が我が国において被告物件の譲渡の申出をする具体的な
おそれがあると推認することもできず,他にそのおそれがあることを具体的
に認定し得る証拠はない。
2よって,特許権侵害の差止請求についても,我が国の国際裁判管轄を肯定()
することはできない。
第5結論
以上のとおり,本件訴えは,特許権侵害の不法行為に基づく損害賠償請求に
係るもの及び特許権侵害の差止請求に係るもののいずれについても,我が国の
国際裁判管轄が認められないものであるから,訴訟要件を欠くものとして,こ
れを却下することとし,訴訟費用の負担につき民訴法61条を適用して主文の
とおり判決する。
大阪地方裁判所第21民事部
田中俊次裁判長裁判官
北岡裕章裁判官
山下隼人裁判官
別紙
物件目録
1品番DMBSFC05B/M
2品番DMBSFC06M
3品番DMBSFC07R
4上記品番のモータのほか,別紙被告物件説明書記載の構成を有するモータ。
以上
別紙
被告物件説明書
1構成
aベースプレート2と,該ベースプレート2に立設された軸受支持部材4と,
軸受支持部材4に装着された滑り軸受8と,該滑り軸受8を介して回転支持さ
れたロータ14と,ロータ14に設けられたロータマグネット22と,ロータ
マグネット22に対向して設けられたステータ6とを備え,
b軸受支持部材4は,ベースプレート2に設けられた孔部2bへ嵌合して挿入
され,軸受支持部材4の挿入端4fが加締められることにより,軸受支持部材
4がベースプレート2に固定されてなる
cモータにおいて,
d孔部2bの周縁部には,周方向に形成される欠損部5aと,軸受支持部材4
の挿入端4fの塑性変形部を収容するテーパ部5bと,が設けられ,
e該欠損部5aによって,該テーパ部5bの形成時に発生する加工歪みが吸収
されることを特徴とする
fモータ。
2図面
(1)被告物件の裏面写真
(2)被告物件の断面図((1)のA1−A2での断面図)
(3)ベースプレートの裏面図
(4)被告物件の挿入端4fの塑性変形部分の拡大図((2)の破線円部分)

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今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
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