弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主文
1被告が平成13年12月20日付けで原告らの平成10年4月7日相続開始
に係る相続税についてした以下の各処分をいずれも取り消す。
()原告Aに対してした更正処分(ただし,平成15年6月6日付け審査裁決
により一部取り消された後のもの)のうち,納付すべき税額3億4477万440
0円を超える部分
()原告Aに対してした過少申告加算税賦課決定処分(ただし,平成15年6
月6日付け審査裁決により一部取り消された後のもの)のうち,納付すべき税額3
73万1000円を超える部分
()原告Bに対してした更正処分(ただし,平成14年5月13日付け異議決
),
定及び平成15年6月6日付け審査裁決により一部取り消された後のもののうち
納付すべき税額2737万5700円を超える部分
2原告らのその余の請求を棄却する。
3訴訟費用は,これを5分し,その3を原告らの負担とし,その余は被告の負
担とする。
事実及び理由
第1請求
1被告が平成13年12月20日付けで原告Aに対し,原告らの平成10年4
月7日相続開始に係る相続税についてした以下の各処分をいずれも取り消す。
()更正処分(ただし,平成15年6月6日付け審査裁決により一部取り消さ
れた後のもの)のうち,納付すべき税額3億0745万5100円を超える部分
()過少申告加算税賦課決定処分(ただし,平成15年6月6日付け審査裁決
により一部取り消された後のもの)のうち,納付すべき税額36万1000円を超
える部分
2主文1項()と同旨
第2事案の概要
本件は,平成▲年▲月▲日に死亡したCの相続人である原告らが,被告が原告ら
に対してした上記第1に記載の各処分につき,別紙物件目録記載1から3までの各
土地(併せて,以下「本件土地」という。なお,同目録記載2の土地は,同土地が
平成10年9月28日に分筆された後の××××番1,同2及び同3の各土地を併
せたものを含む)の価額の評価を誤った違法があるなどと主張して,上記各処分

の取消しを請求した抗告訴訟である。
1争いのない事実及び証拠によって容易に認定することのできる事実等
()平成10年4月7日相続開始までの本件土地の利用等に係る経緯
,,(,,
アCは平成5年10月26日当時本件土地を所有していた甲1415
16。Dは,同日当時,別紙物件目録記載4及び5の各土地(併せて,以下「D

所有地」という)を所有していた(弁論の全趣旨。
。)
イC及びDとE生活協同組合(以下「E生協」という)とは,同日,本件土

地,D所有地及び別紙物件目録記載6から9までの各土地(併せて,以下「本件敷
地」という)上に三者共同で商業施設関連建物(以下「本件建物」という)を建
。。
築してこれを三者で共有すること,C及びDは各人の所有地及び本件建物の使用権
を放棄し,E生協が本件敷地及び本件建物を専用使用して本件建物において店舗の
営業をすること,E生協は,C及びDに対し,上記使用権の放棄の代償として各人
の持分比率に応じた賃借料を支払うことなどをその目的として「建物賃貸借に関

する覚書」と題する書面(以下「本件覚書」という)を交わし,本件建物の竣工

までに本契約を締結することを合意した。本件覚書において,E生協は,本件覚書
の締結と同時に契約証拠金として,Cに対して1950万円を,Dに対して300
万円をそれぞれ支払うものとされ,また,E生協は,本契約締結時に本件建物の建
築協力金としてCに対して1億9500万円を,Dに対して3000万円をそれぞ
れ支払うものとされて,上記契約証拠金は本契約締結時に同建築協力金に充当する
旨合意された。
E生協は,そのころ,上記合意に基づき,C及びDに対し,上記契約証拠金を支
払った。
(甲2,弁論の全趣旨)
ウC及びDとE生協とは,平成7年9月7日,本件覚書に基づき「土地建物

賃貸借契約書」と題する書面を交わし,本件建物の建築並びにその後の本件敷地及
び本件建物の利用等につき,以下の内容の合意をした(以下「本件契約」という。
甲3。

(ア)本件敷地上に三者共同で本件建物を建築してこれを三者で共有する。
(イ)C及びDは各人の所有地及び本件建物の使用権を放棄してE生協が本件敷
地及び本件建物を専用使用し,E生協は上記使用権の放棄の代償として,賃借料総
額376万1000円を,各人の所有地の評価額の比率に応じて振り分け,Cに対
して274万5906円を,Dに対して101万5094円を,毎月末日限り,翌
月分としてそれぞれ支払う。
(ウ)本件建物等の許認可に係るすべての手続(開発行為,建築確認,近隣住民
との調整等)について,その責任は三者で共有するが,その実務はE生協が主とな
って行う。
(エ)本件建物の建築着工は,許認可手続,近隣住民との調整,商業調整等が解
決し,農地法第4条の許可がされた後とする。ただし,平成7年11月1日を経過
してもなお,建築着工の見通しが付かない場合は,三者協議の上,契約継続の可否
を決定する。
(オ)三者の本件建物の持分比率は,本件敷地の面積に占める各人の所有地の実
測面積の比率と同じものとし,Cが45.38パーセント,Dが13.44パーセ
ント,E生協が41.18パーセントとする。
,,。
本件建物完成後本件建物につき上記持分比率によって三者共有の登記をする
(カ)賃貸借期間は,E生協による店舗開店日より20年間とし,E生協は,C
及びDに対し,同日以後,上記賃借料を支払う。E生協,C及びDは,契約期間満
了の3か月前までに,それぞれ相手方に対し契約更新の意思表示をして双方の合意
が得られた場合,本件契約を更新することができる。
(キ)E生協が本件覚書による合意時にC及びDに対して支払った契約証拠金
は,本件契約における契約証拠金に充当した上,本件建物の建築費が決定したとき
は,後記の建築協力金に充当する。
(ク)aE生協は,本件建物の建築費が決定したときは,同建築費のうち,上記
(オ)の持分比率に応じてC及びDが負担すべき金額相当分を建築協力金として同人
らに支払う。
b建築協力金は,原則として,建築工事費の支払時期に合わせて支払う。
c上記建築協力金は,その30パーセントを敷金とし,70パーセントを保証
金とする。
dC及びDは,E生協に対し,賃借料発生日後11年目より年頭に毎年均等割
賦償還の方法により,保証金を返還する。ただし,利息は付さない。
eC及びDは,E生協に対し,本件契約終了後,E生協が一切の義務を履行し
た後に敷金を返還する。ただし,利息は付さない。
(ケ)a当事者の一方が本件契約に定めた事項を履行しないときは,相手方は催
告を要せず直ちに本件契約を解除することができる。
baの場合において,C及びDの不履行によるときは,E生協に対して契約証
拠金を返還し,違約金として契約証拠金と同額の金員を支払い,E生協の不履行に
よるときは,違約金として契約証拠金を放棄する。これらの場合において,各契約
当事者に上記違約金を超過する損害金が生じたときは,不履行をした者は,これを
別途賠償する。
c地元調整,商業調整,行政指導等,契約当事者の責に帰すべからざる事由に
よってE生協の出店が不可能となったときは,各契約当事者は,上記a,bの規定
にかかわらず,本件契約を解除することができ,C及びDは,E生協に対し,契約
証拠金を即時に無利息で返還する。
(コ)C及びDが本件契約を中途解約する場合,同人らは,E生協に対し,保証
金残額及び敷金を返還する。この場合において,E生協は,C及びDの本件建物共
有持分を買い取り,E生協とC及びDとは,本件土地及びD所有地につきそれぞれ
借地権を設定する。
(サ)E生協が本件契約を中途解約する場合,E生協は,保証金残額及び敷金を
。,,,
放棄するこの場合においてE生協はC及びDの承諾を得て本件建物を収去し
本件土地及びD所有地を同人らに明け渡さなければない。
エE生協は,平成9年3月26日,本件建物の建築着工が遅延したことによっ
てC及びDに迷惑を掛けたとして,同年4月からE生協による開店に至るまで,毎
月,Cに対して31万1431円を,Dに対して11万5129円をそれぞれ支払
うこととし,これに従い同人らに対し上記金員を支払った(甲1,4,乙10,弁
論の全趣旨。

オC及びDとE生協とは,平成9年4月7日,本件契約における建築協力金の
合計を2億2500万円,C分を1億6427万2500円,D分を6072万7
500円と決定した上「建築協力金・保証金・敷金の追加契約書」と題する書面

を作成することにより,以下の内容の合意をした(甲5。

(ア)上記C分の1億6427万2500円のうち,4928万1750円を敷
金とし,1億1499万0750円を保証金とする。
,,
(イ)E生協は上記建築協力金から上記ウ(キ)の契約証拠金を控除した金額を
本件建物の建築費の支払時期及び支払金額に応じて,C及びDに対して支払う。
(ウ)本件建物の建築費の総額から上記建築協力金合計2億2500万円を控除
した残額はすべてE生協が支払う。
(エ)E生協,C及びDの本件建物の持分比率は,上記ウ(オ)記載の本件契約に
おける合意にかかわらず,三者が支払う建築費の金額の比率によるものとし,不動
産登記における持分比率についても同様とする。
カCは,平成9年11月17日,E生協の店舗開店が遅延して賃借料収入がな
いため,経済的に逼迫しているとして,賃借料の一部前払を要請したのに対し,E
生協は,同月25日,これを承諾した。そして,同人らは,同日付け覚書を作成し
て以下の内容で賃借料前払の合意をし,E生協は,この合意に基づき,後記(イ)の
期間,Cに対し,賃借料の前払をしていた。
(ア)前払金額74万5906円
(イ)前払期間平成9年12月1日からE生協の店舗開店に至るまで
(ウ)E生協の店舗開店から上記(イ)の期間に相当する間の賃借料を月額200
万円とする。
(甲6,乙9,弁論の全趣旨)
キE生協は,平成9年12月26日,大阪府知事に対し,別紙物件目録記載1
から16までの各土地(実測面積の合計5320.87平方メートル。以下「本件
開発許可地」という)について,本件建物の建築に必要な都市計画法29条に基

づく開発行為の許可を申請し,大阪府知事は,平成10年1月21日付けで,E生
協に対し,同開発行為を許可した(乙5の1,2。

クC及びE生協は,平成10年1月23日付けで,箕面市農業委員会に対し,
本件土地につき,農地法5条1項3号に基づく農地転用の届出をし,同委員会は,
同日,これを受理した(甲7。

,,,(「」
ケE生協C及びDは平成10年3月2日株式会社F大阪支店以下F

),(「」。
),
というとの間で本件建物の建築等の工事以下本件工事というにつき
請負代金を4億2768万4744円(消費税及び地方消費税額を含む)とする

請負契約を締結し,Cは,同日,Fに対し,上記工事代金のうち,3290万95
00円を支払った(甲8,9。

()原告らによる相続
Cは,平成▲年▲月▲日,死亡し,Cの妻G,長女H,長男原告A及び次男原告
BがCを相続した(以下「本件相続」という。


原告Aは,本件相続によって,本件土地の所有権を単独で取得するとともに,本
件契約におけるCの地位を承継した。
(甲11,14,15,16,弁論の全趣旨)
()本件相続開始後の本件土地の利用等に係る経緯
ア本件相続開始当時における本件工事の出来高金額(消費税及び地方消費税額
を除く)は,契約時に合意した代金額(4億0731万8804円。消費税及び

地方消費税額を除く)の約2.9パーセントに相当する1180万円であり,そ

の内訳は,本件建物の建築費208万円,屋外施設費等569万1260円,総合
仮設費等402万8740円であった(甲10。

,,。,
イ本件建物は平成10年9月14日完成した完成した本件建物の構造は
鉄骨造亜鉛メッキ鋼板葺4階建てであり,その面積は,1階が506.90平方メ
ートル,2階が2175.58平方メートル,3階が2296.2平方メートル,
4階が589.8平方メートルである。E生協は,同月23日,本件建物において
店舗(I。以下「本件店舗」という)を開店した。

(甲1,11,13)
ウ原告A,有限会社J及びE生協は,平成10年10月1日,有限会社Jが原
告Aから本件契約におけるCの地位を同年9月23日にさかのぼって承継すること
を合意した。
有限会社Jは,同日,Fに対し,C分の工事残代金1億3136万3000円を
支払った。
(甲11,12)
エ有限会社J,D及びE生協は,平成10年10月19日,本件建物につき,
有限会社Jの持分を1000分の384,Dの持分を1000分の142,E生協
の持分を1000分の474として,所有権保存登記をした(甲13。

オE生協は,有限会社J及びDに対し,本件店舗開店日である平成10年9月
23日以後の本件契約に基づく賃借料を支払っている。
()本件訴えの提起に至る経緯
ア原告らは,その法定申告期限内である平成11年2月5日,被告に対し,本
件相続に係る相続税につき,それぞれ申告をした。原告らは,各申告において,本
件土地を各筆ごとに各別に評価し,その利用区分をいずれも定期借地権付きの土地
とした。各申告の内容は,別表1「課税の経緯」中の「当初申告」欄に各記載のと
おりである。
イ被告は,原告らに対し,上記申告につき,本件土地の利用区分は定期借地権
付きの土地でなく自用地である旨指摘した。
ウ原告らは,同年12月2日,被告に対し,本件土地の実測面積が申告した面
積より大きく,別紙物件目録記載1の土地と別紙物件目録記載3の土地とは1画地
として評価すべきであり,本件土地の利用区分は定期借地権付きの土地でなく貸家
の目的に供されている宅地(以下「貸家建付地」という)であるとして,別表1

「課税の経緯」中の「修正申告」欄に各記載のとおり,それぞれ修正申告をした。
エ原告らは,同月10日,被告に対し,本件相続により取得した本件土地以外
の土地の評価額に誤りがあり,上記修正申告に係る納付すべき税額が過大であると
して,別表1「課税の経緯」中の「更正の請求」欄に各記載のとおり,それぞれ更
正の請求をした。
被告は同月15日原告らに対し上記原告らの更正の請求を認め別表1課
,,,,「
税の経緯」中の「減額更正処分」欄に各記載のとおり,各更正をした。
オ被告は,平成13年12月20日付けで,原告らに対し,本件土地は貸家建
付地でなく自用地として評価すべきであるとして,別表1「課税の経緯」中の「更
正処分」欄に各記載のとおり,それぞれ更正及び過少申告加算税賦課決定をした。
カ原告らは,平成14年2月13日,被告に対し,上記更正及び過少申告加算
税賦課決定につき,本件土地は自用地でなく貸家建付地として評価すべきであると
して,別表1「課税の経緯」中の「異議申立」欄に各記載のとおり,それぞれ異議
申立てをした。
被告は,同年5月13日付けで,原告らに対し,別表1「課税の経緯」中の「異
議決定」欄に各記載のとおり,原告Aの異議申立てをいずれも棄却し,原告Bに係
る上記更正及び過少申告加算税賦課決定につきその一部を取り消す旨の異議決定を
した。
キ原告らは,同年6月11日,国税不服審判所長に対し,上記被告の異議決定
につき,別表1「課税の経緯」中の「審査請求」欄に各記載のとおり,それぞれ審
査請求をした。
国税不服審判所長は,平成15年6月6日付けで,原告らに対し,別表1「課税
の経緯」中の「裁決」欄に各記載のとおり,原告Aに係る上記更正及び過少申告加
算税賦課決定の一部並びに原告Bに係る上記更正の一部及び上記過少申告加算税賦
課決定の全部を取り消す旨の裁決をした(同裁決によって一部取り消された後の原
告Aに係る上記更正及び過少申告加算税賦課決定を併せて,以下「原告Aに係る本
」,,
件各処分といい同裁決によって一部取り消された後の原告Bに係る上記更正を
以下「原告Bに係る本件処分」といい,これらを併せて,以下「本件各処分」とい
う。


ク原告らは,平成15年9月9日,本件訴えを提起した。
(甲1,弁論の全趣旨,当裁判所に顕著な事実)
2争点
本件における争点は,本件各処分における本件土地の評価額が適正であるか否か
であり,本件土地の評価額に係る具体的な争点及びそれに関する当事者の主張は,
以下のとおりである。
()本件土地の自用地としての価額(争点①)
(原告らの主張)
本件各処分の基礎とされた本件土地の評価においては,以下の各点が正当に考慮
されておらず,時価よりも高額になっている。
ア造成中の宅地であること
イ不整形地であること
ウ一部を児童公園に指定されていること
エ広大地であること
(被告の主張)
ア相続税法22条にいう時価とは,相続開始時(被相続人の死亡時)における
客観的な交換価値,すなわち,不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合
に通常成立すると認められる価額をいう。
もっとも,相続税の課税対象となる相続財産は多種多様であり,その時価は必ず
しも一義的に確定されるものでないことなどに照らし,課税の公平,納税者及び課
税庁の便宜,徴税費の節減等の観点から,相続財産の時価の評価は,課税実務上,
相続税財産評価に関する基本通達(昭和39年4月25日付け直資56ほか国税庁
長官通達。平成10年5月12日付け課評2−3による改正前のもの。以下「評価
通達」という)としてまとめられた基準により画一的に行うこととされており,

その合理性,妥当性は,多くの裁判例によって支持されている。
イそして,評価通達にのっとり,路線価方式によって本件土地の価額を算出す
ると,以下のとおり,5億1794万4802円となる(別表2「本件土地等の評
価明細」参照。

(ア)本件土地の価額の評価に当たっては,本件開発許可地のうち,国又は箕面
市から賃借していない里道敷(別紙物件目録記載15及び16の両土地)を除いた
土地(同目録記載1から14までの各土地。以下「本件単位土地」という)を1

画地として評価すべきである。
(評価通達10)
(イ)本件単位土地が接する路線は,国道α線(単に,以下「国道」という)

と市道β線(単に,以下「市道」という)とがあるが,間口距離が相当に長い市

道の方が国道よりも本件単位土地全体の価額に与える影響が大きいと判断されるか
ら,平成10年分の財産評価基準書による市道の路線価(26万6000円)が正
面路線価となる。そして,上記基準書によれば,本件単位土地の地区区分は,普通
商業・併用住宅地区であるから,正面路線からの奥行距離(54.66メートル)
に応じた奥行価格補正率は0.94である。
(評価通達15)
(ウ)本件単位土地は広大地に当たり,その広大地補正率は0.91であるとこ
ろ,上記本件単位土地の奥行価格補正率(0.94)より小さいから,広大地補正
率を奥行補正率に代えて画地計算することになる。
(評価通達24−4)
,.。
(エ)本件単位土地は不整形地に当たりその不整形地補正率は098である
(評価通達20)
(オ)上記(イ)のとおり,本件単位土地は国道と市道とに接しているが,国道に
ついては,間口が中央で大きく分離されていることから,通常の側方路線影響加算
だけでなく二方路線影響加算をも考慮する必要がある。
(評価通達16,17)
(カ)以上によれば,本件単位土地の1平方メートル当たりの価額は24万39
71円となる。
(キ)さらに,本件単位土地は,本件相続開始当時,造成中の宅地であったこと
から,その評価額は,その土地の造成工事着手直前の地目により評価した課税時期
における価額(造成中の土地を宅地であるとした場合の価額から,造成工事着手直
前の地目に従って,整地費,土盛費,土止費などの造成費を控除した価額)に,そ
の宅地の造成にかかる費用現価(課税時期までに投下した費用の額を課税時期の価
額に引きなおした額の合計額をいう。以下同じ)の100分の80に相当する金

額を加算した価額である。
これによれば,本件単位土地の評価額は,造成工事着手直前の地目により評価し
た本件相続時における価額(上記(カ)の金額から1平方メートル当たりの宅地造成
費用の額(別表3「本件単位土地に係る宅地造成費用の計算明細」参照)を控除し
た金額に本件単位土地の面積を乗じたもの)12億4917万8191円に本件

単位土地の造成にかかる費用現価597万5823円(甲10)の100分の80
に相当する金額(478万0658円)を加算した12億5395万8849円と
なる。
(評価通達24−3)
(ク)上記(キ)の価額に本件単位土地に占める本件土地の面積割合を乗じた5億
1794万4802円が本件土地の価額である。
ウ以上のとおり,被告は,本件各処分において,原告ら主張に係るア,イ及び
エの各点を考慮した上で,本件土地の価額を正当に評価しているから,上記各点に
係る原告らの主張は,その前提を欠く。
,,
また本件土地及び本件各処分において本件土地と一体として評価された土地に
箕面市が児童公園として指定して管理している公園等は存在せず,原告ら主張に係
。,,
るウの事実は認められないそもそも公園等の公共公益的施設用地があることは
,,
広大地の補正率の算出に当たりしんしゃくされるのであり広大地補正率に加えて
更に児童公園があるとして減額して評価する理由も必要性もない。
エ以上を前提にした本件各処分における課税価格及び相続税の総額の計算の明
細は,別表4「課税価格及び相続税の総額の計算明細表(被告主張」及び別表5

「課税価格の明細表」に各記載のとおりであって,また,原告Aの納付すべき過少
申告加算税の金額は,別表6「過少申告加算税の計算明細表(被告主張」に記載

のとおりであるから,本件各処分には何ら違法はない。
()本件土地は,貸家建付地として,又はそれに準じ,自用地としての価額よ
り減額して評価すべきであるか否か(争点②)
(原告らの主張)
ア相続税法22条にいう時価とは,課税時期において,それぞれの財産の現況
に応じ,不特定多数の当事者間で自由な取引が行われた場合に通常成立する価格,
すなわち,当該財産の客観的な交換価値をいう。ここで,財産の現況とは,第三者
の何らかの権利を確定的に負担している場合はもとより,条件付き又は未確定の権
利,さらには,権利に化体していないものであっても,およそ不特定多数の当事者
間において通常成立する価格に変動を及ぼすと認められる要因をすべて含む。
さらに,国税庁長官が定める財産評価基本通達及びこれに基づき各国税局長が定
める財産評価基準は,法規としての性格を有するものではないから,納税者は,こ
れによらず,適正な時価を主張することができるのであって,減価要因は財産評価
基本通達が挙げるものに限定されない。
この点について,被告は,減額要因を確定的に借家権又は借地権を負担している
場合に限定し,その他の要因を排除しており,その主張は,妥当でない。
イそして,本件土地の利用に係る経緯等に照らせば,所有者であるCによる本
件土地の使用は,本件相続開始時において,本件契約及び本件工事に係る請負契約
に応じ,法律上及び事実上著しく制約されていた。すなわち,本件覚書によって,
本件建物の構造,建築時期,賃借料,建築協力金,敷金,保証金及び契約期間等が
確約され,多額の契約証拠金が授受された上,Fとの間で本件建物の建築に係る請
負契約が締結されて,本件工事が着工され,さらに,賃借料の前払がされていた。
このような経過を通観すれば,CとE生協との間には,本件覚書によって本件建物
につき停止条件付き賃貸借契約が成立し,これに付随して敷地利用権が設定され,
これが本件契約の締結によって裏付けられたというべきである。
そうすると,本件土地は,本件相続開始時において,建物が近く新築され,将来
において容易に更地とすることができる見込みがなく,しかも,地代の収入を伴わ
ない状況にあったのであって,本件土地につき不特定多数の当事者間で自由な取引
が行われた場合に通常成立する価格は,更地としての価格から著しく減額されたも
のになるというべきである。以上によれば,本件土地は貸家建付地として減額して
評価すべきであるか,仮にこれに該当しないとしても,本件土地の価額が貸家建付
地の価額を上回ることはない状況にあったというべきであるから,貸家建付地に準
,。
じ更地価格の50パーセントないし60パーセントに減額して評価すべきである
(被告の主張)
ア本件土地が貸家建付地に該当しないことについて
(ア)評価通達26が貸家建付地の評価額について一定の減額を認めた趣旨は,
土地上の建物が借家権の目的となっている場合,賃貸人は,自己使用の必要性など
の正当の事由がある場合を除き,賃貸借契約の更新を拒絶し,又は解約の申入れを
することができないため,借家権を消滅させるために立退料の支払を要することに
,,,
なりまた借家人が建物の引渡しを受けて借家権につき対抗要件を具備した後に
建物に借家権が付着したままでその敷地を譲り受けた者は,その敷地の利用につい
て制約を受けるなどの理由により,上記敷地の経済的価値が借家権の目的となって
いない建物や土地に比べて低くなるからであると解される。
そして,上記()アのとおり,相続税法22条にいう時価とは,相続開始時にお
ける客観的交換価値をいうのであるから,評価通達26にいう貸家建付地とは,相
続開始時において,当該土地上の建物が現実に貸し付けられている場合をいうと解
すべきである。
(イ)しかし,本件相続開始時において,本件工事は未完成であって,本件建物
は存在しておらず,本件建物がE生協に現実に貸し付けられていたということはで
きないから,本件土地は貸家建付地に該当しない。
イ本件土地の利用が制限されていないことについて
(ア)時価の評価に当たっては,その財産の評価に影響を及ぼすべきすべての事
情を考慮するが,時価が不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常
成立すると認められる価額であることからして,考慮する事情は,不特定多数の人
において看取し得る客観的事情に限られ,不特定多数人において看取し得ない所有
者等の意図,思惑といった主観的な要因は考慮すべきでなく,同様に所有者等の意
思,行為によって変更することのできるような事情を考慮することも許されない。
また,時価とは相続開始時における客観的交換価値であるから,時価の評価に当
()。
たって考慮すべき事情は相続開始時被相続人死亡時に存在した事情に限られる
(イ)以上を前提に本件について検討すると,以下のとおり,本件土地の利用は
制限されておらず,減額して評価すべき事情は認められない。
a本件契約において,本件敷地の面積比率と同率の持分比率で本件建物を共有
し,登記することになっていたことなどに照らせば,E生協,C及びDは,本件建
物につき賃借権を設定する以外に,本件建物につき賃借権等の敷地利用権を設定し
たということはできない。つまり,上記三者は,自分たちの土地の上に,自分たち
の建物を建てていたにすぎないのである。
b本件契約は,E生協による店舗の開店を停止条件とし,C死亡時には,本件
店舗は開店していなかったのであるから,本件契約がC死亡時において効力を有し
ていなかったことは客観的に明らかである。そして,本件土地の時価を評価するに
当たり,相続開始後に発生が見込まれるとして,相続開始時に存在しない用益権を
考慮することはできない。
ウ仮に本件土地に何らかの権利の負担があったとしても,本件土地の時価が路
線価による評価額を下回ることはないことについて
路線価の決定に当たっては,評価上の安全を考慮し,路線価は,地価公示法2条
1項に基づいて公示される正常な価格(土地について自由な取引が行われるとした
場合にその取引において通常成立すると認められる価格。同条2項)の80パーセ
ント以内の水準をめどとして,いわゆる控えめな金額として設定されている。
そして,本件土地に何らかの権利の負担があったとしても,その負担は,上記イ
主張の通り,借地権や賃借権などではない。そして,相続税法23条によれば,地
上権という土地所有者に不利な権利でさえ,残存期間が20年であれば,当該土地
の価額の2割でしか評価されないのであるから,上記何らかの負担を地上権以上に
評価する必要があるとは到底考えられない。そうすると,上記公示される価格から
2割の安全性をもって設定された路線価を基礎に評価された本件土地の評価額から
更なる減額をするべき理由はなく,本件土地の時価が路線価による自用地としての
評価額を下回ることはない。
第3当裁判所の判断
1()相続税法は,相続又は遺贈により財産を取得した者が,当該相続又は遺
贈により取得した財産(その者が同法1条の3第3号の規定に該当する者である場
合には,同法の施行地にあるものに限る)の価格の合計額をもって,相続税の課

()
,,
税価格とし相続税法11条の2各相続人らの相続税の課税価格を基礎にして
各相続人等の相続税額を算出するものとしている(同法16条,17条参照。そ

して,同法22条は,同法3章で特別の定めのあるものを除くほか,相続又は遺贈
により取得した財産の価額は,当該財産の取得の時における時価による旨規定する
ところ,上記の「時価」とは,相続開始時における当該財産の客観的交換価値をい
い,客観的交換価値とは,当該財産の現況に応じ,不特定多数の当事者間において
自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額をいうものと解するの
が相当である。
()もっとも,課税実務上,相続財産の評価は,原則として,評価通達によっ
て定められた相続財産の統一的な評価方法によることとされている。この点につい
ては,仮に相続財産の客観的交換価値を個別に評価することとすると,その評価方
式,選択された基礎資料等により異なった評価額になることを避けられない上,課
税庁の事務負担が重くなり,課税事務の迅速な処理が困難となるおそれがあること
などに照らして,あらかじめ定められた評価方法によって画一的に相続財産を評価
することは,当該評価方法の内容が時価の認識方法としてそれ自体一応合理的なも
のである限りにおいて,納税者間の公平,納税者の便宜,徴税費用の節減という観
点から合理的であるということができ,相続税法22条は,このような課税実務を
も許容する趣旨のものと解される。そして,評価通達の定める評価方法は,それ自
体,一応合理的であると認められるから,相続財産の評価に当たっては,特別の定
めのある場合を除き,原則として,同通達に定める評価方法によって算出された財
産の評価額をもって,当該財産の時価と認めるのが相当である。
もっとも,上記()のとおり,相続税法22条にいう時価とは,相続開始時にお
ける当該財産の客観的交換価値をいうのであって,評価通達によって画一的に相続
財産を評価する課税実務の根拠は上記のとおりであるから,同通達に基づいて算出
された評価額が相続開始時における当該財産の客観的交換価値を上回り,同通達に
基づいて当該財産の評価を行うことが納税者間の公平等の見地に照らしても著しく
不適当であるような特段の事情がある場合には,原告は,当該事情を主張,立証し
て,上記通達の定める方法によって算出された時価を前提とする相続税の課税処分
の適法性を争うことができると解すべきである。
以上を前提に,本件土地の評価額について,以下検討する。
2争点①(本件土地の自用地としての価額)について
()評価単位について
ア上記1()に説示したとおり,相続財産の評価に当たっては,特別の定めの
ある場合を除き,原則として,評価通達に定める評価方法によって算出された財産
の評価額をもって,当該財産の時価と認めるのが相当であるところ,評価通達10
は,宅地の価額は,1画地の宅地(利用の単位となっている1画地の宅地をいう。
以下同じ)ごとに評価することとし,宅地の上に存する権利の価額についても,

同様とすると規定するので,この点について,まず検討する。
イ本件においては,前記第2の1記載のとおり,以下の各事実が認められる。
(ア)C及びDとE生協とは,平成7年9月7日,前記第2の1()ウ(ア)から
(サ)までの内容の合意をした(本件契約。

(イ)E生協は,平成9年3月26日,本件建物の建築着工が遅延したことによ
ってC及びDに迷惑を掛けたとして,同年4月からE生協による開店に至るまで,
毎月,Cに対して31万1431円を,Dに対して11万5129円をそれぞれ支
払う旨約束し,同約束に従い同人らに上記金員を支払った。
(ウ)C及びDとE生協とは,平成9年4月7日,本件契約における建築協力金
の合計を2億2500万円,C分を1億6427万2500円,D分を6072万
7500円と決定した上,前記第2の1()オ(ア)から(エ)までの内容の合意をし
た。
(エ)CとE生協とは,同平成9年11月25日,前記第2の1()カ(ア)から
(ウ)までの内容で賃借料前払の合意をし,E生協は,平成9年12月以後,Cに対
し,賃借料の前払をしていた。
(オ)大阪府知事は,平成10年1月21日付けで,E生協に対し,本件開発許
可地に係る開発行為を許可した。
(カ)箕面市農業委員会は,平成10年1月23日,本件土地に係るC及びE生
協による農地法5条1項3号に基づく農地転用の届出を受理した。
,,,,,
(キ)E生協C及びDは平成10年3月2日Fとの間で本件工事につき
請負代金を4億2768万4744円(消費税及び地方消費税額を含む)とする

請負契約を締結し,Cは,同日,Fに対し,上記工事代金のうち,3290万95
00円を支払った。なお,本件契約における前記第2の1()ウ(ク)bの合意(建
築協力金の支払方法に係る合意)に照らせば,上記支払に先立ち,Cは,E生協か
ら,同額の建築協力金の支払を受けたものと推認される。
(ク)Cは,平成▲年▲月▲日,死亡し,本件相続が開始した。
(ケ)本件相続開始当時,本件工事は,既に宅地造成工事等が着手されており,
その時点での本件工事の出来高は,契約時に合意した代金額の約2.9パーセント
に相当する1180万円であった。
ウ(ア)以上に認定したとおり,本件契約は,本件建物の建築並びにその後の本
件敷地及び本件建物のE生協による専用使用についての合意に加え,本件建物建築
時においては,その建築費用の全額を実質的にE生協が負担し,C及びDの負担部
分は,後日,同人らからE生協に無利息で返還されるという資金計画についての合
意,本件建物を建築し,又はそこにおいて店舗経営をするために法律上,又は事実
上必要な手続又は作業をE生協が主となって行うという合意,本件契約が中途で解
約され,又はその期間が満了することにより終了する場合の精算方法についての合
意などを含むものであって,これらの合意内容に照らせば,本件契約は,本件敷地
上にE生協,C及びDが本件建物を建築してこれを共有し,完成した本件建物にお
いてE生協が本件店舗を開店し,経営するという事業計画(以下「本件事業計画」
という)全般にわたる総合的な契約であって,実質的には,共有者間における共

()(。,。


有物本件建物の管理に関する協議民法252条なお同法249条参照
本件建物の賃貸借契約,消費貸借契約及び準委任契約としての性格等を有する契約
であるということができる。
,,,
(イ)そして本件契約の合意内容に加え上記本件契約の法的性格に照らせば
本件事業計画全般にわたる総合的な契約としての本件契約の効力は,その締結によ
って確定的に生じているというべきであって,本件建物が完成して初めてその効力
を生じるものということはできない。
この点については,確かに,前記認定のとおり,本件契約締結時において,本件
建物は完成しておらず,また,本件契約において,契約書の標題が「土地建物賃貸
」,,
借契約書とされた上賃貸借期間がE生協による店舗開店日より20年間とされ
E生協の賃料支払債務も同日から発生するものとされているが,E生協は,Cに対
し,本件店舗の開店後に本件契約に基づきE生協が支払うべき賃借料の一部に充当
することを合意した上で,賃借料の前払をしていたこと,本件契約の締結後,E生
協は,本件建物建築に必要な開発行為の許可を申請してこれを受け,また,C及び
E生協において本件土地に係る農地法5条1項3号に基づく農地転用の届出をして
受理され,さらに,E生協,C及びDにおいてFとの間で本件工事に係る請負契約
を締結し,CらにおいてFに対し工事代金の一部を支払い,Fにおいて本件工事の
うちの宅地造成工事等に着手したことなどが認められるのであって,これらの事実
に照らせば,本件契約の各当事者間においては,本件契約の締結後本件相続開始に
至るまでの間,本件建物を完成させることを当然の前提としていたということがで
きる。そうとすれば,上記賃貸借期間に関する合意は,本件契約内容のうち契約期
間の終期を確定するための起算日及び賃借料名義の金員の支払開始日を定めたもの
,。
と解すべきであって本件契約の効力発生日を定めたものと解することはできない
(ウ)以上のような本件事業計画の内容並びに本件契約の内容,法的性格及び効
力発生時期に加え,店舗という本件建物の使用目的,本件建物の構造及び規模(前
記認定のとおり,完成した本件建物の構造は,鉄骨造亜鉛メッキ鋼板葺4階建てで
あり,その面積は,1階が506.90平方メートル,2階が2175.58平方
メートル,3階が2296.2平方メートル,4階が589.8平方メートルであ
る,本件工事に係る請負代金額(前記認定のとおり,本件工事に係る請負契約に


おいて合意された請負代金額は,消費税及び地方消費税額を含み4億2768万4
744円である,本件相続開始時において,本件工事のうち宅地造成工事等が着


手され,その出来高金額は契約時に合意した代金額の約2.9パーセントに及んで
いたこと,E生協がCに対して本件契約に基づく賃借料の一部を前払していたこと
などを併せ考えれば,本件相続開始時において,本件建物が未完成で,本件店舗も
開店していないこと,本件単位土地がE生協,C及びDら数人の所有に係る土地1
4筆を併せたものであって,一人の者の所有権に属するものでないことなどをしん
しゃくしてもなお,本件相続開始時において,社会通念に照らし客観的にみて本件
単位土地の全体が前記認定のような構造及び規模を有する本件建物等の敷地予定地
として一体として利用されていたというべきである。
なお,本件単位土地のうち,別紙物件目録記載10から14までの各土地は本件
建物の敷地でなく,また,別紙物件目録記載11から14までの各土地は,C,D
又はE生協の所有に係るものでないものの,甲第1及び第18号証,乙第2号証,
鑑定の結果並びに弁論の全趣旨によれば,本件相続開始時において,E生協が別紙
物件目録記載11から14までの各土地の各所有者からこれらを賃借して専属的に
使用する権利を取得していたことが認められる上,別紙物件目録記載10から14
までの各土地には,現在,本件店舗に付属した施設が設置され,同施設は本件店舗
の営業の用に供されていることが認められ,そうすると,本件相続開始時において
もそのことが予定されていたと推認されることなどに照らせば,別紙物件目録記載
10から14までの各土地を含めた本件単位土地全体が利用の単位となっていたと
いうことができる。
他方,別紙物件目録記載15及び16の両土地は,本件開発許可地の一部である
ものの,甲第1,第17及び第18号証並びに弁論の全趣旨によれば,E生協,C
及びDは,本件相続開始時において,上記両土地について,その所有権又はこれを
専属的に使用する権利を有していなかったこと,上記両土地の現況は里道であるこ
とが認められるところ,これらの事実に照らせば,上記両土地は,本件単位土地と
一体として利用されていたということはできない。
以上より,本件土地の評価額は,本件単位土地を利用の単位としての1画地とし
てその評価額を算出し,その評価額に本件単位土地に占める本件土地の面積の割合
を乗じて算出するのが相当である。
()評価方式について
評価通達11()は,市街地的形態を形成する地域にある宅地の評価は,原則と
して,路線価方式によって行う旨規定している。そして,弁論の全趣旨によれば,
本件単位土地は上記市街地的形態を形成する地域にある宅地であると認められ,か
つ,本件において,本件単位土地の評価を路線価方式によって行うことが著しく不
適当であると認めるに足りる特段の事情はうかがわれないから,本件単位土地の評
価は,路線価方式によって行うのが相当である。
()本件単位土地の時価
本件単位土地の本件相続開始時における路線価方式による評価額は,甲第1号証
及び弁論の全趣旨によって,別表2記載のとおり,12億5395万8849円で
あるものと認められる。
,,,,,
なお原告らは上記評価額は本件単位土地が①造成中の宅地であること
②不整形地であること,③一部を児童公園に指定されていること,④広大地
であること,がいずれも正当に考慮されておらず,時価よりも高額になっていると
いった趣旨の主張をする。しかしながら,甲第1号証及び弁論の全趣旨によれば,
上記価額は,上記①,②及び④の各点を考慮した上での適正な価額であることが認
められる。また,本件においては,上記③の事実を認めるに足りる証拠がないこと
に加え,公園等の公共公益的施設用地が含まれていることは,広大地としての補正
として評価されているから(評価通達24−4参照,上記原告の主張は採用する

ことができない。
()本件土地の自用地としての価額
本件土地の自用地としての価額は,本件単位土地の自用地としての価額に本件単
位土地の面積に占める本件土地の面積の割合を乗じた価額であるから,以下の計算
式のとおり,5億1794万4802円である(なお,同価額が本件土地の本件相
続開始当時の時価の評価として相当性を欠くものではないことは,鑑定の結果及び
乙第2号証によっても裏付けられているというべきである。


(計算式)
1,253,958,8492,175.965268.06517,944,802
×÷≒
3争点②(本件土地は,貸家建付地として,又はそれに準じ,自用地としての
価額より減額して評価すべきであるか否か)について
,(,,,
()評価通達25は宅地の上に存する権利借地権定期借地権等地上権
区分地上権及び区分地上権に準ずる地役権)の目的となっている宅地の評価につい
て,各権利ごとの区分に従い,自用地としての価額から調整して評価するものとし
ている。
ところで,民法上,土地所有者自らは借地権者となることができないのが原則で
あり(同法179条1項本文,同法520条本文,また,その例外としての自己

借地権の設定要件を規定する借地借家法15条1項が,借地権を設定する場合にお
いては,他の者と共に有することとなるときに限り,借地権設定者が自らその借地
権を有することを妨げないと規定し,自己借地権の設定を当事者の意思にゆだねる
こととしていることに照らせば,土地所有者がその土地上に他の者と建物を共有す
る場合においても,その旨の明示の合意がない限り,自己借地権は設定されていな
いものと解するのが相当である。本件契約においては,前記第2の1()ウ(イ)及
び(オ)のとおり,E生協,C及びDは本件建物につき本件敷地の面積に占める各人
の所有地の実測面積の比率と同じ持分割合を有するものとされた上,本件敷地及び
本件建物はE生協が専用使用するものとし,C及びDが本件敷地及び本件建物の使
用権を放棄する代償として,E生協はC及びDに賃借料を支払うものとされている
のみであり,前記第2の1()ウ(コ)のとおり,C及びDが本件契約を中途解約す
る場合E生協はC及びDの本件建物共有持分を買い取り,C及びDは本件土地及び
D所有地につき借地権を設定することとされていることと対比しても,上記明示の
合意があるとは認められないから,本件建物につき借地権は設定されていないもの
と認められる。
また,上記のとおり,本件契約において,E生協,C及びDの本件建物の持分比
率は,本件敷地に占める各人の所有地の実測面積の比率による旨定められていたと
ころ,前記第2の1()オのとおり,その後「建築協力金・保証金・敷金の追加契
1,
約書」において,上記三者は,本件建物の持分割合を上記三者のそれぞれが支払う
本件建物の建築費の金額の比率によるものとする旨の変更合意をするとともに,建
築協力金の額を具体的に決定し,本件建物の建築費のうち上記建築協力金相当額を
C及びDが負担してその余はE生協が負担するものとしているが,上記変更合意に
おいて,建築協力金の金額は,本件建物が完成したときの本件建物の持分割合が本
件敷地に占める上記三者の所有地の実測面積の比率におおむね等しくなるよう,上
記変更合意をした平成9年4月7日当時に予定されていた本件建物の建築費の金額
に本件敷地の面積に占める本件土地及びD所有地の実測面積の比率を乗じて決定さ
れたものと推認され,本件契約のその余の約定は特に変更されていないことからす
れば,上記合意をもって借地権設定の合意をしたと認めることもできず,経済的な
見地からして,本件建物につき借地権が設定された場合と同様の状況にあるという
こともできない。
したがって,本件土地につき,借地権等の目的となっている宅地として,自用地
としての価額より減額して評価すべきであると認めることはできない。
,(),
()評価通達26は借家の目的に供されている宅地貸家建付地の価額は
その宅地の自用地としての価額から,その自用地としての価額に評価通達27(借
地権の評価)の定めによるその宅地に係る借地権割合と評価通達94(借家権の評
価)の定めによるその貸家に係る借家権割合との相乗積を乗じて計算した価額を控
除した価額によって評価するものとしている
そこで,本件土地を,貸家建付地として,又はそれに準じ,自用地としての価額
より減額して評価すべきであるか否かについて検討する。
ア本件相続開始に至るまでの本件土地の利用等に係る経緯は,以上に認定,説
示したとおりであるところ,E生協,C及びDの三者がそれぞれその所有地を敷地
として提供し,当該敷地(本件敷地)上に上記三者が本件建物を建築してこれを共
有し,完成した本件建物においてE生協が本件店舗を開店し,経営するという本件
事業計画の内容,前記認定のような本件契約の内容及び法的性格,本件相続開始時
において本件契約の効力は確定的に生じており,本件契約に基づいて諸手続が進め
られていたことに加えて,本件建物がE生協が店舗として専用使用することを予定
した鉄骨造4階建て,完成後の各階の床面積が最大2296.2平方メートル(3
階)の規模及び構造を有する大型商業施設であること,本件相続開始時において既
()
に開発許可及び農地転用届がされてFとの間で本件建物の建築等の工事本件工事
につき請負代金を4億2768万4744円とする請負契約が締結された上,宅地
造成工事等が着手され,その出来高金額が契約時に合意した代金額の約2.9パー
セントに及んでいたこと,E生協がCに対して本件契約に基づく賃借料の一部を前
払していたことなどの各事実に照らせば,本件相続開始時において,社会通念に照
らし,客観的にみて,本件土地は,E生協が本件契約に基づいて専用使用すること
となる本件建物の敷地に供されることが確定していたものというべきである。換言
すれば,前記のような事実関係の下においては,本件相続開始時においてはCを含
む関係当事者が本件契約関係から離脱することは極めて困難であって,本件事業計
画は,本件相続開始時において,社会通念に照らし,客観的にみて,既に不可逆的
な状態にあったということができるのであり,本件相続開始後に,本件建物が完成
せず,又は本件契約が何らかの事情によって解約されるなど,本件事業計画が頓挫
するという事態が生ずるであろうことをうかがわせるような具体的な事情は,証拠
上認められない。
本件契約によれば,本件敷地及び本件建物は,E生協が専用使用して本件店舗に
おける営業の用に供するものとされ,Cは,本件土地を専属的に使用する権利及び
本件建物を自己の持分に応じて使用する権利(民法249条参照)を放棄する対価
として,E生協から賃借料名義の一定額の金員の支払を受けることとされていたの
であるから,本件建物は,上記の限度で借家権の目的となっているのと同視すべき
状態にあったということができる。
そして,前記のとおり,本件相続開始時において,本件土地は,本件建物の敷地
の用に供されることが確定していたというべきであるから,所有者であるCによる
本件土地の利用は,本件相続開始当時,本件契約の存在及びその履行により,経済
的及び法律的に一定の制約を受ける状態にあったというべきであり,したがって,
貸家の目的に供されている宅地と同視すべき状態にあったというべきである。
そうであるとすれば,本件土地の価額の評価においては,評価通達26の貸家建
付地に準じ,その自用地としての価額から本件契約の存在及びその履行による本件
土地の利用に対する制約の内容,態様,程度等に相応する一定の価額を控除した価
額とするのが相当というべきである。
イこの点について,被告は,評価通達26にいう貸家建付地とは,相続開始時
において,当該土地上の建物が現実に貸し付けられている場合をいうと解すべきで
あるところ,本件においては,本件相続開始時において,本件建物は存在しておら
ず,本件建物がE生協に現実に貸し付けられていたということはできないから,本
件土地は,貸家建付地に該当しないといった趣旨の主張をする。
確かに,評価通達26が,貸家建付地の価額をその宅地の自用地としての価額か
ら一定の価額を控除した価額によって評価するとしている趣旨は,土地上の建物が
借家権の目的となっている場合,賃貸人は,自己使用の必要性などの正当の事由が
ある場合を除き,賃貸借契約の更新を拒絶したり,解約の申入れをしたりすること
ができない(借地借家法28条)から,借家権を消滅させるために立退料の支払を
要することになること,借家人は,賃貸借の登記がなくても,建物の引渡しがあっ
たときは,その後その建物について物権を取得した者に対し借家権の効力を対抗す
ることができる(同法31条1項)から,建物に借家権を付着させたままで当該建
物及びその敷地を譲渡する場合には,その譲受人は,当該建物に加え,その敷地の
利用についても制約を受けることなどから,その敷地の経済的価値が借家権の目的
となっていない建物の敷地に比べて低くなることなどによるものと解される。そし
て,建物の賃貸借については,その性質上,一般的に,当該建物が賃借人に対しそ
の賃貸借契約に基づいて引き渡されるまでは,賃貸人と賃借人との間の権利関係は
なお流動的であるということができるから,建物が現実に貸し付けられて初めて敷
地の利用に対する制約が確定的に生じ,その結果としてその敷地の価額が低下する
のが通常であるということができる。
しかしながら,本件については,上記アに認定,説示したとおり,所有者である
Cによる本件土地の利用は,本件相続開始当時,本件契約の存在及びこれに基づく
諸手続の履践により,E生協が専用使用する本件建物の敷地の用に供されることが
確定した土地として,経済的及び法律的に一定の制約を受ける状態にあったと認め
られるのであり,その限りにおいて,上記通常の場合における地上家屋が現実に貸
し付けられた貸家建付地と同視すべき状態にあったというべきであるから,本件建
物が現実に貸し付けられていないとして,本件土地を自用地として評価することは
著しく不適当であり,自用地として算出された評価額は本件相続開始時における本
件土地の客観的交換価値を上回るというべきである。
()減額率と土地の評価額
前記のとおり,本件契約において賃貸借期間がE生協による店舗開店日より20
年間とされ,当事者間の合意によりこれを更新することができるものとされている
こと,本件建物がE生協,C及びDの共有とされ,その持分割合が本件敷地に占め
る上記三者の所有地の実測面積の比率におおむね等しくなるようにされているこ
,,,
と前記第2の1()ウ(ク)のとおりC及びDが負担すべき本件建物の建築費は
E生協において建築協力金としてC及びDに支払った上,C及びDにおいて,これ
を本件建物の保証金及び敷金として,無利息で賃料発生日後11年目から割賦償還
の方法により返還すれば足りるものとされていること,前記第2の1()ウ(コ)及
び(サ)のとおり,本件契約において,いずれの契約当事者も中途解約することが認
められているが,C及びDが本件契約を中途解約する場合には,E生協はC及びD
の本件建物共有持分を買い取り,C及びDはE生協に対し本件土地及びD所有地に
つきそれぞれ借地権を設定するものとされていること,その他証拠上認められる本
件契約の存在及びその履行による本件土地の利用に対する制約の内容,態様,程度
等を総合考慮すれば,本件土地の価額は,その自用地としての価額5億1794万
4802円からその10パーセントに相当する価額を控除した価額とするのが相当
というべきである。そうすると,本件土地の評価額は,以下の計算式により,4億
6615万0322円である。
(計算式)
517,944,802517,944,8020.1466,150,322
−×≒
()なお,被告は,路線価は,地価公示法2条1項に基づいて公示される正常
な価格の80パーセント以内の水準をめどとして,いわゆる控えめな金額として設
定されているところ,仮に本件土地に何らかの権利の負担があったとしても,その
負担を2割以上に評価する必要があるとは考えられないから,本件土地の時価が路
線価による自用地としての評価額を下回ることはない旨主張する。
しかしながら,前記のとおり,相続財産の評価に当たっては,特別の定めのある
場合を除き,原則として,評価通達に定める評価方法によって算出された財産の評
価額をもって,当該財産の時価と認めるのが相当であるというべきところ,本件事
実関係の下においては,本件土地は,評価通達26にいう貸家建付地と同視すべき
状態にあったというべきであるから,同通達26に準じてその価額を評価するのが
納税者間の公平の観点からしても相当というべきである。したがって,上記被告の
主張は採用することができない。
4結論
()そこで,本件土地の価額を4億6615万0322円として,原告らが納
付すべき相続税の税額を算出する。
弁論の全趣旨によれば,原告らが納付すべき相続税額算出の基礎となる事実は,
,,
上記本件土地の価額を除き別表4及び5に各記載のとおりであることが認められ
また,別表4及び5の相続税額算出の計算方法は,法令の規定するところに従って
,,
いるものと認められるから上記各別表を本件土地の価額の点について補正すると
別表7「課税価格及び相続税の総額の計算明細表(裁判所認定,及び同8「課税


価格の明細表(裁判所認定」のとおりとなる。

()以上によれば,原告Aが納付すべき相続税の税額は,3億4477万44
00円であり,これによると,原告Aが納付すべき過少申告加算税の税額は,別表
9記載のとおり,373万1000円となる。また,原告Bが納付すべき相続税の
税額は,2699万0500円である。
したがって,原告Aに係る本件各処分のうちの上記金額を超える部分及び原告B
に係る本件処分は,いずれも違法である。
()よって,原告らの請求は,上記の範囲で理由があるから,その範囲でこれ
を認容し,原告らのその余の請求は理由がないから,これを棄却することとし,主
文のとおり,判決する。
大阪地方裁判所第2民事部
裁判長裁判官西川知一郎
裁判官森田亮
裁判官田中健治は,転補のため署名押印することができない。
裁判長裁判官西川知一郎

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