弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
       本件上告を棄却する。                    
       上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 1 原審の適法に確定した事実関係の概要は,次のとおりである。
 (1) 上告人は,被上告人との間で,昭和57年8月10日,下記内容の災害割
増特約が付加された生命保険契約(以下「本件保険契約」という。)を締結した。

  ア保険の種類      利益配当付養老生命保険
  イ 被保険者       D
  ウ 保険金受取人     上告人
  エ 災害割増特約保険金  5000万円
  オ 保険期間昭和57年8月10日から30年間
(2) 本件保険契約に適用される保険約款(以下「本件約款」という。)によれば
,主契約及び定期保険特約における死亡保険金の支払事由は被保険者が保険期間中
に死亡したときであるとされているが,災害割増特約における災害死亡保険金の支
払事由は不慮の事故を直接の原因として被保険者が保険期間中に死亡したときであ
るとされ,さらに不慮の事故とは,偶発的な外来の事故で,かつ昭和42年12月
28日行政管理庁告示第152号に定められた分類項目のうち上記約款の別表2に
掲げられたものをいうとされている。また,本件約款によれば,被保険者の故意に
より上記災害割増特約における災害死亡保険金の支払事由に該当したときは災害死
亡保険金を支払わない場合に当たるとされている。
 (3) 本件保険契約の被保険者であるDは,平成7年10月31日午後2時30
分ころ埼玉県北足立郡a町所在の5階建て建物の屋上から転落し,脊髄損傷等によ
り死亡した(以下,これを「本件転落」という。)。
 2
上告代理人山本隆夫,同根岸隆,同久利雅宣,同増田英男の上告理由第一について
 【要旨】本件約款に基づき,保険者に対して災害割増特約における災害死亡保険
金の支払を請求する者は,発生した事故が偶発的な事故であることについて主張,
立証すべき責任を負うものと解するのが相当である。けだし,本件約款中の災害割
増特約に基づく災害死亡保険金の支払事由は,不慮の事故とされているのであるか
ら,発生した事故が偶発的な事故であることが保険金請求権の成立要件であるとい
うべきであるのみならず,そのように解さなければ,保険金の不正請求が容易とな
るおそれが増大する結果,保険制度の健全性を阻害し,ひいては誠実な保険加入者
の利益を損なうおそれがあるからである。本件約款のうち,被保険者の故意により
災害死亡保険金の支払事由に該当したときは災害死亡保険金を支払わない旨の定め
は,災害死亡保険金が支払われない場合を確認的注意的に規定したものにとどまり
,被保険者の故意により災害死亡保険金の支払事由に該当したことの主張立証責任
を保険者に負わせたものではないと解すべきである。   
 以上によれば,本件転落が偶発的な事故であることについて,上告人に主張立証
責任があるとした原審の判断は正当として是認することができる。上記判断は,所
論引用の判例に抵触するものではない。原判決に所論の違法はなく,論旨は採用す
ることができない。
 3 同第二について
 所論の点に関する原審の事実認定は,原判決挙示の証拠関係に照らし,是認する
ことができ,その過程に所論の違法はない。上記事実関係の下において,本件転落
が偶発的な事故であると認めることはできないとした原審の判断は正当として是認
することができる。論旨は,原審の専権に属する証拠の取捨判断,事実の認定を非
難するものにすぎず,採用することができない。
 よって,裁判官亀山継夫の補足意見があるほか,裁判官全員一致の意見で,主文
のとおり判決する。
 裁判官亀山継夫の補足意見は,次のとおりである。
 私は,法廷意見に賛成するものであるが,次のことを付言しておきたい。
 本件約款の合理的解釈としては,法廷意見のいうとおり,保険金請求者の側にお
いて偶発的な事故であることの主張立証責任を負うべきものと解するのが相当であ
る。しかしながら,本件約款が,保険契約と保険事故一般に関する知識と経験にお
いて圧倒的に優位に立つ保険者側において一方的に作成された上,保険契約者側に
提供される性質のものであることを考えると,約款の解釈に疑義がある場合には,
作成者の責任を重視して解釈する方が当事者間の衡平に資するとの考えもあり得よ
う。そして,かねてから本件のように被保険者の死亡が自殺によるものか否かが不
明な場合の主張立証責任の所在について判例学説上解釈が分かれ,そのため紛争を
生じていることは,保険者側は十分認識していたはずであり,保険者側において,
疑義のないような条項を作成し,保険契約者側に提供することは決して困難なこと
とは考えられないのであるから,一般人の誤解を招きやすい約款規定をそのまま放
置してきた点は問題であるというべきである。もちろん,このような約款がこれま
で使用されてきた背景には,解釈上の疑義が明確に解消されないため,かえって改
正が困難であったという事情があるのかもしれないが,本判決によって疑義が解消
された後もなおこのような状況が改善されないとすれば,法廷意見の法理を適用す
ることが信義則ないし当事者間の衡平の理念に照らして適切を欠くと判断すべき場
合も出てくると考えるものである。
(裁判長裁判官 梶谷 玄 裁判官 河合伸一 裁判官 福田 博 裁判官 北川
弘治 裁判官 亀山継夫)

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