弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人山本耕幹、同田中庸夫、同阿部裕行の上告理由第一点について
 原判決が本件救済命令を違法であるとしたのは、被上告人の団体交渉拒否が労働
組合法(以下「法」という。)七条二号所定の不当労働行為に該当しないにもかか
わらずこれを該当するとして救済を命じたことのゆえであり、本件救済命令におけ
る是正措置の内容が適切を欠くことのゆえでないことは、その判文に徴し明らかで
ある。ところで、法二七条に基づく救済の申立があつた場合において労働委員会は
その裁量により使用者の行為が法七条に違反するかどうかを判断して救済命令を発
することができると解すべきものではなく、裁判所は、救済命令の右の点に関する
労働委員会の判断を審査してそれが誤りであると認めるときは、当該救済命令を違
法なものとして取り消すことができるものというべきである。これと同旨の見解の
もとに前述の理由により本件救済命令を違法であるとした原審の判断は、正当であ
る。所論引用の判例は、使用者に法七条違反の行為があると認められる場合にいか
なる内容の是正措置を命ずるかについて労働委員会の広汎な裁量権を認め、是正措
置の内容の適否について裁判所の審査に限界があることを判示したものにすぎない
から、本件に適切でない。原判決に所論の違法はなく、右違法があることを前提と
する所論違憲の主張は、その前提を欠く。論旨は、採用することができない。
 上告代理人山本耕幹、同田中庸夫、同阿部裕行の上告理由第二点及び参加人代理
人井上庸一の上告理由第一、第二について
 原判決が被上告人は誠意をもつて団体交渉に応ずべき義務を尽くし昭和四八年一
月一七日の団体交渉においてもはや交渉の余地がなくなつたために団体交渉を拒否
するにいたつたものであると判断した趣旨であることは、その判文に徴し明らかで
あり、また、その後団体交渉を再開すべき事情の変更は認められないとした原審の
認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができる。
原判決に所論の違法はなく、右違法があることを前提とする所論違憲の主張は、そ
の前提を欠く。論旨は、採用することができない。
 参加人代理井上庸一の上告理由第一、第三について
 所論の点に関する原審の判断は、正当として是認することができる。原判決に所
論の違法はなく、右違法があることを前提とする所論違憲の主張は、その前提を欠
く。論旨は、原判決を正解せず独自の見解に基づいて原判決を非難するものであつ
て、採用することができない。
 よつて、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官
全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    大   塚   喜 一 郎
            裁判官    吉   田       豊
            裁判官    栗   本   一   夫

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