弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主文
1本件各控訴をいずれも棄却する。
2控訴費用は控訴人らの負担とする。
事実及び理由
第1当事者の求めた裁判
1控訴の趣旨
⑴原判決を取り消す。
⑵被控訴人は,控訴人らに対し,各17万1428円及びこれに対する平成
15年3月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
⑶訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。
⑷上記⑵につき仮執行宣言
2控訴の趣旨に対する答弁
⑴主文第1,2項と同旨
⑵仮執行免脱宣言
第2事案の概要
1控訴人らは,大韓民国に居住する同国の国民であって,第二次世界大戦中に
朝鮮半島から強制連行されるなどして,昭和20年8月6日に広島市に投下さ
れた原子爆弾により被爆したAの承継人である。
本件は,控訴人らが,被控訴人は,原子爆弾被爆者の医療等に関する法律(以
下「原爆医療法」という。)に基づき被爆者健康手帳の交付を受けた者が我が
国の領域を越えて居住地を移した場合には,原子爆弾被爆者に対する特別措置
に関する法律(以下「原爆特別措置法」といい,原爆医療法と併せて「原爆二
法」という。)は適用されず,原爆特別措置法に基づく健康管理手当等の受給
権は失権の取扱いとなるものと定めた「原子爆弾被爆者の医療等に関する法律
及び原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律等の
施行について」と題する通達(昭和49年7月22日衛発第402号各都道府
県知事並びに広島市長及び長崎市長あて厚生省公衆衛生局長通達。以下「40
2号通達」という。)を作成,発出し,その後,原爆二法を統合する形で原子
爆弾被爆者に対する援護に関する法律(以下「被爆者援護法」といい,原爆二
法と併せて「原爆三法」という。)が制定された後も,平成15年3月まで4
02号通達の上記の定めに従った取扱いを継続したことによって,Aの原爆三
法上の「被爆者」としての法的地位ないし権利を違法に侵害してきたなどと主
張して,それぞれ,被控訴人に対し,国家賠償法1条1項に基づく損害賠償と
して,17万1428円及びこれに対する違法行為の終了日である同月1日か
ら支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案
である。
原審が控訴人らの請求をいずれも棄却したため,控訴人らが控訴した。
2前提事実は,原判決の「事実及び理由」の「第2事案の概要」2(原判決
2頁10行目から11頁11行目まで)に記載のとおりであるから,これを引
用する。
3争点及びこれに関する当事者の主張は,以下のとおり補正するほかは,原判
決の「事実及び理由」の「第3争点及びそれに関する当事者の主張」1及び
2(原判決11頁13行目から14頁13行目まで)に記載のとおりであるか
ら,これを引用する。
⑴原判決12頁13行目の「これについて」を「上記の定めが廃止されるま
では,Aないし控訴人らにおいて訴えによりその権利を行使することは著し
く困難又は客観的に不可能であったし,失権取扱いの継続について」に改め
る。
⑵原判決12頁25行目末尾に「なお,民法724条後段の効果の制限には,
権利行使を不能又は著しく困難とする事由がある場合の債権者救済のための
特段の規定は不要であると解すべきである。」を加える。
第3当裁判所の判断
1当裁判所も,控訴人らの請求はいずれも理由がないから棄却すべきものと判
断する。その理由は,以下のとおり補正するほかは,原判決の「事実及び理由」
の「第4当裁判所の判断」1~3(原判決14頁15行目から16頁15行
目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。
⑴原判決15頁13行目から23行目までを以下のとおり改める。
「前記のとおり,平成15年3月1日の厚労省健康局長による通知により,
402号通達の失権取扱いの定めが廃止されたのであるが,Aに対する不
法行為に基づく損害賠償請求権の除斥期間は平成17年11月30日まで
であったから,上記通知の時点では除斥期間が経過していないことはもと
より,除斥期間が経過するまでには2年半以上の期間があったこと,上記
通知を受けて,平成15年3月~5月に約1000人もの在韓被爆者が来
日し,被爆者健康手帳の交付を受けていない在外被爆者からの仮申請が殺
到したこと(弁論の全趣旨)からして,その頃には,Aの相続人は,40
2号通達の失権取扱いの定めが廃止されたことを知り得る状態にあり,除
斥期間内に,同年3月まで402号通達の定めに従った取扱いが継続され
たことによって,Aの原爆三法上の「被爆者」としての法的地位ないし権
利が違法に侵害されてきたと主張して,被控訴人に対する損害賠償請求訴
訟を提起することは,客観的には可能であったといわざるを得ないことか
らすれば,被控訴人の控訴人らに対する損害賠償義務について,民法72
4条後段の規定を適用することが著しく正義・公平に反することになると
はいえない。」
⑵原判決16頁10行目の「結語」を「小括」に改める。
2以上によれば,控訴人らの請求をいずれも棄却した原判決は相当であるから,
本件各控訴はいずれも理由がないので,これらを棄却することとし,主文のと
おり判決する。
大阪高等裁判所第4民事部
裁判長裁判官田川直之
裁判官安達玄
裁判官石丸将利

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