弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     被告人を懲役一年二月に処する。
         理    由
 検事総長福井盛太非常上告申立の理由は「Aに対する窃盗被告事件に付、昭和二
十三年七月十六日佐倉簡易裁判所に於て被告人に対し窃盗罪に依り懲役一年六月に
処する旨を言渡し、該判決は同日被告人の上訴権抛棄に因り即日確定し、刑罰執行
中のものなるところ、右は曩に被告人が昭和二十年二月二十七日横須賀鎮守府軍法
会議に於て戦時逃亡国家総動員法違反被告事件に付懲役八月に処せられ当時其の刑
の執行を終了した前科あるものとして刑法第五十六条同第五十七条を適用し、累犯
加重を為したるものなること一件記録判決書に徴し明らかであるが、其の後千葉検
事正草鹿浅之介に於て右前科を調査したところに拠れば右刑は二年間其の執行を猶
予せられ、而も昭和二十年十月十七日勅令第五百七十九号大赦令に依り赦免の罪名
に該当するものなること同検事正報告書添付の「昭和二十三年八月二十日附横須賀
刑務支所より千葉刑務所宛釈放者の身分帳についての件回答」と題する書面並びに
「昭和二十三年九月六日附横浜地方検察庁より千葉地方検察庁宛、恩赦事項につい
て」と題する書面記載に徴し明白なるところとす、果して然りとすれば前示佐倉簡
易裁判所の為した審判は本来累犯の加重を為すべからざるものに対して之を為した
ものとして刑罰法令の適用を誤つた違法あるものと謂わざるを得ない。仍つて右法
令違反部分の原判決を破毀し更に相当なる裁判を求める為、茲に非常上告に及ぶ次
第である。」というにある。
 仍て案ずるに、
 原審佐倉簡易裁判所は、昭和二三年七月一六日被告人に対し被告人は、相被告人
Bと共謀の上同年六月二五日午後十一時三十分頃千葉県印旛郡a村bc番地C方よ
り朝鮮牛牝八歳一頭見積価格金四万円位を窃取した旨の犯罪事実を認定し、なお被
告人に対する身上取調書中の前科欄の記載により昭和二〇年二月二七日横須賀鎮守
府軍法会議におてい戦時逃亡国家総動員法違反被告事件につき懲役八月に処せられ
当時その刑の執行を終つた旨の前科を認め刑法第二三五条の外同第五六条第五七条
をも適用して累犯加重を為し被告人を懲役一年六月に処し該判決は、即日確定した
ことは、一件記録に徴し明らかなところである。然るに所論「身分帳についての件
回答と題する書面」並びに「恩赦事項についてと題する書面」によれば、原判決の
認めた前科は二年間その執行を猶予せられたものであるのみならず昭和二〇年一〇
月一七日勅令第五七九号大赦令によりその罪は赦免せられたものであること明白で
ある。従つてその前科の刑の言渡は執行猶予期間の終了を侯つまでもなく、即日将
来に向つてその効力を失つたものといわねばならぬ。然るに原確定判決は、前述の
ごとくこの前科の刑の言渡を消滅せざるものと誤認して累犯加重をしたものである
から結局不当に累犯加重の規定を適用した法令違反あるものといわざるを得ない。
それ故本件非常上告は結局その理由あるものと認める。
 よつて刑訴第五二〇条第一号本文に従い原確定判決の法令を不当に適用した累犯
加重部分を破棄すべきところ、該部分は他の部分と不可分であるから原確定判決全
部を破棄し同号但書に従い被告事件につき更らに判決を為すべきものとする。すな
わち原確定判決の確定した被告人の前示所為は刑法第六〇条第二三五条に該当する
から、その所定の刑期範囲内において被告人を懲役一年二月に処すべきものとし、
主文のとおり判決する。
 この判決は裁判官全員の一致した意見である。
 検察官 安平政吉関与
  昭和二三年一二月一六日
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    沢   田   竹 治 郎
            裁判官    真   野       毅
            裁判官    齋   藤   悠   輔
            裁判官    岩   松   三   郎

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