弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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       主   文
被告が昭和三二年四月二日付でした原告らに対する別表二記載の懲戒処分はこれを
取消す。
訴訟費用は被告の負担とする。
       事   実
当事者の求める裁判
一、原告ら
 主文同旨の判決。
二、被告
 原告らの請求を棄却する。
 訴訟費用は原告らの負担とする。
 との判決。
原告らの請求原因
第一、原告らは別表一記載の各学校に勤務し、同表記載の職にある教育公務員たる
地方公務員であり、地方公務員法による職員団体たる佐賀県教職員組合(以下単に
佐教組という)の同表記載の役員たる地位にあつたところ、被告は昭和三二年四月
二日原告らに対し別表二処分理由説明書記載の理由により、同記載の各懲戒部分
(以下単に本件処分という)をなした。
第二、本件処分は次のとおり違法であり取消すべき瑕疵がある。
一、本件処分の根拠法規である地方公務員法(以下単に地公法という)三七条一項
に憲法二八条に違反する。
(一)、憲法二八条において保障する勤労者の団結権および団体交渉その他の団体
行動をする権利(労働基本権)は、憲法二五条の生存権を基本理念とするいわゆる
生存権的基本権であり、公務員も憲法二八条の「勤労者」としてこの権利の保障を
受けるものであつて、公務員は全体の奉仕者であることを規定する憲法一五条を根
拠として公務員の労働基本権を全面的に否定することは許されないが、右のような
労働基本権にあつても権利保障の本質に内在する制約があり、具体的にどのような
制限が合憲とされるかについては、
第一に労働基本権が前記のとおり勤労者の生存権に直結し、それを保障するための
重要な手段である点を考慮して、その制限は合理性の認められる必要最小限のもの
にとどめられること、
第二に労働基本権の制限は、勤労者の提供する職務または業務の性質が公共性の強
いものであり、従つてその職務または業務の停廃が国民生活全体の利益を害し、国
民生活に重大な障害をもたらすおそれのあるものについてこれを避けるために必要
やむを得ない場合について考慮されるべきこと、
第三に労働基本権の制限違反にともなう法律効果、
すなわち違反者に対して課せられる不利益については必要な限度をこえないように
十分な配慮がなされなければならないこと、第四に職務または業務の性質上労働基
本権を制限することがやむを得ない場合には、これに見合う代償措置が講ぜられな
ければならないこと、
などの諸条件を考慮し、慎重に決定する必要があることはすでに最高裁判所の示す
ところである(昭和四一年一〇月二六日、刑集二〇巻八号九〇一頁)。
(二)、ところで前記労働基本権制限の四条件に照らして地公法三七条一項の合憲
性を吟味すると、同条項は地方公務員の争議行為を、その職務の性質、内容および
争議行為の種類、態様について個別的、具体的に検討することなく、また職務の公
共性に応じて制限の程度、方法、範囲を限定することなく一律全面的に禁止してい
る点において、さらに禁止違反に対しては、懲役刑を含む刑罰(地公法六一条四
号)あるいは解雇(地公法三一条二項)を予定し、前者については任命あるいは監
督権者からの告訴、告発も不要であり、後者については予め聴問、処分前の予備審
査の制度が備わつていないなど苛酷な制裁をもつて臨んでいる点で、そして現行の
人事委員会制度が有効な代償措置たり得ない点においてそれぞれ右四条件の何れに
も適合していない。
(三)、最高裁判所は昭和四四年四月二日、右の点につき公務員の職務の性質、内
容は多種多様でありその公共性にも強弱の差があるので、地公法三七条一項の規定
が文字どおりにすべての地方公務員の一切の争議行為を禁止している趣旨と解すべ
きものとすれば、公務員の労働基本権を保障した憲法の趣旨に反し必要やむを得な
い限度をこえて争議行為を禁止しているものとして、違憲の疑いを免れないが、法
律の規定は可能な限り、憲法の精神にそくし、これと調和しうるよう、合理的に解
釈されるべきであつて、地公法三七条一項についてもその争議行為が常に直ちに公
務の停廃をきたし、国民生活全体の利益を害するとはいえない職種の公務員の争議
行為や、直ちに国民生活に重大な支障をもたらすおそれのない態様の争議行為は、
右条項によつて禁止された争議行為にあたらない、という規制の限界が認められる
ので、右条項をその規定の表現のみをみて、直ちに違憲無効とはいえない旨判示し
た(刑集二三巻五号三〇五頁)。
(四)、しかし地公法三七条一項の規定は、右のような限定を付して解釈すること
は不可能である。このことは単に同条項の文言からのみでなく、その立法の経過、
その後の運用の実際、従前の最高裁判所の判旨からもいえるのである。
 法律が広狭二つの合理的解釈を可能とし、その一つをとることが違憲であると認
められる場合には憲法に適合するような他の一つをとることは合理的ではあるが、
明らかに文理に反し、立法の意図に合致するとも認められないような解釈は合理的
解釈の限界をこえ、一種の立法であつて許されない。
 のみならず右のような限定解釈によつて形の上では地公法三七条一項から違憲の
部分が切除されることになるが、しかし法文自体は依然としてそのままであり、か
つ限定解釈によつて、その限定がどこでどのようになされるのか具体的には少しも
明確ではない。従つて客観的にみても、禁止の対象となる争議行為であるか否かの
判断が困難な場合が少くなくせつかくの人権尊重の配慮も結果的には運用上かなり
の混乱を生ずるおそれがある。
二、仮にそうでないとしても、公立小中学校の教職員の争議行為は地公法三七条一
項の禁止する争議行為に該当しない。
(一)、前記一、(一)、の労働基本権制限の四条件の第二の「国民生活全体の利
益を害し、国民生活に重大な障害をもたらすおそれ」は、労働者が生存権を実現す
るうえでそれ以外の手段、方法のない固有不可欠の権利である争議権を制約するも
のであるから、国民の側からみても争議権を制約することなしには国民の日常生活
を営みえない、ないしは営むことを著しく危くするものでなければならず、またそ
の行使がもともと使用者に対してはもとより、第三者たる公衆に対しても多かれ少
かれ迷惑をかけることを本質的属性とする争議権を制約するものとして、単なる一
般的な公衆の迷惑をもたらす程度にとどまらず、公衆の迷惑が重大な公共の困難の
程度にまで達すること、さらに争議行為は職務を一時的に停廃(中断)するもので
あるから、長期にわたる職務の停廃がなければもたらされないものであつてはなら
ず、また「一時的」であることから「直ちに」もたらされるものであること、すな
わち重大な公共の困難が現に発生しないしは切迫した状況にあることを必要とす
る。従つて職務の性質、内容が重要な権力作用を行うという一事をもつてしては、
その停廃は「国民生活全体の利益を害し、国民生活に重大な障害をもたらすおそ
れ」にあたらない。
 このことは、警察、消防、監獄に勤務する者を除き公務員の争議行為を禁止して
いなかつた旧労働組合法(昭和二一年三月一日施行)、業務の停廃が国民経済を著
しく阻害し、又は公衆の日常生活を著しく危くする事業を公益事業とし、争議権を
制限している現行労働関係調整法、その業務の中断が重大な公共の困難を惹起する
が故に真に必要不可欠ではない事業と、この基準によれば不可欠ではない事業とを
関係法で区別することなく同じ基盤で取扱れることは適当でないとするILOの実
情調査調停委員会のいわゆるドライヤー報告などによつても明らかである。
(二)、これを教職員の職務についてみてみると、学校教育は重要ではあつても国
民の日常生活に不可欠のものとはいえず、またその一時的停廃によつて国民が受け
る迷惑は重大な公共の困難の程度には至らないのみならず、長期的計画的に遂行さ
れその成果は未来に求められるから現在の国民の日常生活にはただちに直接のかか
わりがない。このことは、旧労働関係調整法(昭和二一年九月二一日公布)のもと
において教育公務員は現業公務員並みとされ、同法三八条による争議禁止の適用外
とされていたこと、また同法ならびに現行労働関係調整法では教育事業は公益事業
に指定されていないこと、昭和二六年労働法規の全面検討に際しては、労働省労政
局案では教員を含む現業公務員は公共企業体の職員とともに労働法令上民間労働者
と同一の扱いとし、争議権を解放することが示され、また労働関係法令審議会の公
益委員案もまた公共企業体職員と現業公務員の争議権を解放し、そのため公務員法
等関係法令の根本的な再検討をなすべき旨政府に要望していたこと、ILO・ユネ
スコの「教師の地位に関する勧告」八四項は公務員であるか否かを区別することな
く教師に争議権を認めるべき旨規定していることなどにかんがみて明白である。
(三)、以上のように学校教育の一時的停廃は一般的に国民生活に重大な支障をも
たらすおそれはないが、さらに具体的に考察してみても現実の教育は弾力性、柔軟
性があり、その一時的停廃による影響は容易に回復が可能であつて児童、生徒の教
育を受ける内容に重大な障害をもたらすことはない。しかし仮りに職務の停廃が長
期に及び現実に教育に重大な支障をきたすことがあつたとしても、その制限はたと
えば仲裁や調整などの方法によれば足り、一律に禁止することは前記一、(一)、
の四条件の第一に「合理性の認められる最小限度」を越えるものである。
 以上検討の結果によれば、公立小中学校の教職員の争議行為は、憲法二八条の趣
旨からみて地公法三七条一項の禁止の対象となる争議行為には該当しない。
三、仮にそうでないとしても本件争議行為は地公法三七条一項の禁止する争議行為
に該当しない。
(一)、前記一、(一)、のように地公法三七条一項の規定は限定して解釈すべき
であり、具体的な争議行為が実質的に国民生活全体の利益を害し国民生活に重大な
支障をもたらすおそれがあるが故に同条項の禁止する争議行為に該当すると言える
か否かは、当該地方公務員の職務の性質、内容と当該争議行為の態様とを総合的に
考察し、争議行為を禁止することによつて保護しようとする法益と、労働基本権を
尊重し保障することによつて実現しようとする法益との比較衡量により両者の要請
を適切に調整する見地から判断すべきである。以下これを本件についてみることと
する。
(二)、主体
 本件争議行為の主体は教職員であつて前記二、のとおりその職務の性質、内容か
らみて国民生活に対する影響は重大なものではない。
(三)、動機・目的
イ、(昭和二八年度末における教職員配置および勤務条件の実態)
 佐賀県は平坦地がほとんどで僻地校が少いので、一学級当り、一学校当りの児童
生徒数の多いいわゆる大規模学級、学校が他県に比して多かつた。
(1)、そのため昭和二八年度末の児童数に対する教職員の比率は、小学校につい
ては、人口、財政規模、産業等の類似した他県(以下単に類似県という)の最低、
中学校についてはその平均を下まわつていた。
(2)、また事務職員、養護教諭は学校教育法の定めるところにしたがつて全国何
れの県にも配置してあつたが、他県が市町村費、P・T・A会費などによつて措置
されている割合が高かつたのに比し、佐賀県では全員県費によつて配置されてい
た。(被告は、文部省の指定統計による教職員の配当率(一学級当りの教員数)が
類似県に比し高率であつたので佐賀県の教職員は勤務条件が類似県よりよかつた旨
主張するが、県費によらない養護教諭は文部省の指定統計の教員中に含まれない
点、および前記(1)、の点を看過するもので、正確性を欠き合理性がない。)
(3)、それまでの佐教組の教育予算の増額の要求は主として定員増に向けられ、
給与その他の要求は強力ではなかつたこともあつて、教職員の給与は同一学歴、同
一経験年数により比較すると全国的にみてかけ離れて低かつた。また超過勤務手当
が予算に計上されておらず、宿日直手当も全国最低であり、学校施設の不備もはな
はだしく、教職員の定数、給与条件も含めた外的教育諸条件は佐賀県公立学校運営
史上最悪であつた。
ロ、(行政機構簡素化と人員整理に関する決議)
 佐賀県の財政は、中央政府の再軍備政策にともなう地方税制改革によつて、充分
な財源を確保できなくなり、昭和二五年ごろから生じはじめた実質赤字が昭和二八
年度末には五億二、三〇〇万円にのぼつた。しかしながら昭和二九年三月県議会に
おいて、いつたん教育行政水準を維持するため児童の自然増にともなう教員定数の
一九一名増の決議がなされた。然るに保守派議員全員が前記赤字財政再建のためと
の名目の下に、同月末には逆に教職員の減員をも含めた「行政機構簡素化と人員整
理に関する決議」案を右県議会に上程し、右決議案は可決された。
ハ、(昭和二九年五月県議会における教育費五、五〇〇万円削減案)
 右決議にもとづき、県当局は同年五月県議会に教育費五、五〇〇万円の削減案を
提出した。右削減案は、現実に免職になる者はいないとしても、教職員の二〇七名
の定員減になり、その時期以降、補充定員、産休、結休補充教員は零となるほど教
育界に甚大な影響のあるものであつたが、右削減案は後記(四)、ロ、(1)、の
ように審議未了廃案となつた。
ニ、(一〇月県議会一億円削減案の可決)
 ところが同年一〇月県議会において県当局提出の教育費一億円(うち人件費五、
五〇〇万円)削減案が可決され、前記ハ、の五、五〇〇万円削減案とほぼ同内容の
教職員の定員削減となつた。
ホ、(自主再建計画による四〇八条例の制定)
 昭和三〇年九月県当局は、前記県財政の赤字の累増を防止するとの名目で一〇年
間にわたる財政再建計画案を策定したがその内容は、義務教育についていえば、事
務職員、養護教諭を全廃し、昇給については財源を見込まず、給与残の範囲で実施
し、欠員不補充を原則とするというものであつた。県知事はその実施の第一歩とし
て被告に教職員の予算上の定員を一、四〇〇名削減する結果になる定数条例原案の
送付を要請したが、被告は右要請に応ずれば教育は実施不可能になると拒否し、独
自の立場から昭和三〇年、三一年の二ケ年間に四〇八名の人員を削減する結果にな
る定数条例案(四〇八条例案)を作成し、地教委に協力を求めたが、人員整理に難
色を示す地教委の反対にあつたものの最終的には同意があつたものと解し、県知事
の強力な要請もあつたから一たんは右条例原案を送付することを決定したところ、
地教委はあくまで反対であつたことが判明し、前記原案送付の決定を取消し、教育
委員七名中四名がその責任を負つて辞任するなどの紆余曲折を経て留任した二名の
教育委員が前記原案を送付し、昭和三〇年一月一〇日の県議会で可決された。
 右条例の実施方法は当初主として事務、養護職員の整理を主とするという方針で
はあつたが、生活困窮者の多かつた事務、養護職員が退職勧奨に頑強に抵抗したた
めと、再建計画を知つて教育の将来に失望し自主的に退職して行つた教員が多かつ
たため、整理計画の第一年度たる昭和三〇年度末までに主として教員が四〇五名退
職し、その結果は小学校では出張その他で一人でも教員が欠ければ校長も教壇に立
たねばならず、中学校では臨時免許状を交付して専門外教科が多数の教員に受け持
たすという状態になり、英語担任教員がいなくて英語教育を満足に受けられなかつ
た中学校の生徒が、就職試験で全員不合格になる事態も生じた。また被告は昭和三
一年度当初の人事異動で事務職員、養護教諭に対し一方では二校を兼務させて労働
過重を強い、他方では一校に二名を配置して一名の勤務を事実上取り上げてしまう
という前記退職勧奨に応じなかつたことに対する報復人事を行つた。
ヘ、(法定再建計画の教育破壊性)
 昭和三〇年一二月地方財政再建促進特別措置法が成立したが、県知事はさきに同
年一〇月の県議会において、四〇八条例審議の過程で、自主再建計画を、佐賀県が
同法による再建団体となつた場合予想される自治庁からの厳しい要求に対する防波
堤にしたいと言明していたにもかかわらず、昭和三一年三月の県議会に佐賀県が同
法による財政再建団体として指定を受けることを提案し、県議会がこれを可決する
や、さらに自治庁の要求に盲従して自主再建計画をしのぐ法定再建計画を策定して
県議会に提出し、昭和三一年五月一五日の県議会で可決され、その後自治庁の承認
を得た。右計画によれば教員数を一学級当り小学校一、一九人に、中学校一、五八
人とするため昭和三〇年から同四〇年までの間に教職員を約七〇〇名削減し、さら
に高給者一、四〇〇名の退職を伴う新陳代謝によつて平均年令の低下による平均給
与の引き下げをはかるというものであつた。 この結果教育現場では次のような混
乱が予想された。
① 大部分の学校では、事務、養護の仕事を学級担任が行なうか、仕事を全廃する
ほかはないこと。
② 教員の欠席が一名なら校長の補欠授業によつて補えるが、二名以上になると子
供を放棄するか、合併授業をやる以外に方法がないこと。
③ 中学校は一教員が二教科までは受持つことが可能であるが、計画によれば四教
科、五教科を受持つことになり、不可能を強いるばかりか、P・T・A、クラブ活
動、校外指導などが出来なくなること。
④ 教職員の過重労働を若干でも軽減するために、事務員、給食婦、養護職員を雇
うことになると、赤字団体である市町村費ではまかなえないので、いきおいP・
T・Aに陳情することとなり、父兄の経費負担が激増することになること。
⑤ 県の教育費削減が、市町村立学校の管理者である市町村に肩代りされ、市町村
財政の窮乏に拍車をかける結果になること。
 これでは充実した教育が達成されないどころか、教育は破滅の淵に立たされるこ
とになる。
 右計画は、地方財政の窮乏の真の原因には全く眼を蔽い、赤字の解消を専ら経費
の節減のみによつて達成し、およそ教育的配慮など毛頭認められないものであつ
て、まさに教育は破壊されることは明らかであつた。
ト、(二五九名削減について)
 昭和三一年八月ごろ、昭和三一年度の本予算査定(同年は当初六ケ月の暫定予算
を組んでいた)の段階で、自治庁から昭和三一年五月の文部省指定統計の教職員数
が、法定再建計画による定数より二五九名超過しているので整理するよう要求され
た県当局は、同年八月末までに二五九名を削減しようとしたが、年度途中での削減
の教育現場に与える影響を恐れた被告の反対にあつて、県知事の責任において年度
末まで削減は延期されたものの、年度末には削減が強行されることは必至であり、
前年度の四〇五名の削減に加えて右削減が強行されることは原告ら教職員の黙視で
きないところであつた。
チ、(給与、諸手当の劣悪化)
 前記一、(3)、のように教育予算削減以前から教職員の給与は全国最下位であ
つたばかりでなく、昭和二九年以降一度も給与表の改定がないばかりでなく、給与
の遅配が続き、昭和三〇年度には県人事委員会の度重なる勧告にも拘らず財政難を
理由に条例に定める教職員の定期昇給さえ発令せず、結局昭和三〇年度は昇給によ
る差額分の請求権を一定期間放棄することを約束して、定期昇給の発令をするに甘
んずる外ないことになり、また諸手当に至つては宿直料二〇〇円、日直料一五〇
円、出張旅費は大巾に削減され、超勤手当は皆無という最悪のものとなり、教職員
の生活を圧迫した。
リ、(人事委員会の勧告、要望の無力化)
 地方公務員には争議権剥奪の代償措置として人事委員会制度が保障されている。
昭和二九年以降、給与諸手当の引下げにともない県人事委員会は、昇給昇格の完全
実施について、昭和二九年六月三〇日、同三〇年三月一九日、同年七月一九日、同
年一一月一五日いずれも要望書を、同年九月一四日、同三一年三月一九日、同年七
月九日、同年一一月二〇日いずれも勧告書をそれぞれ提出し、また宿日直手当の増
額については、昭和三〇年三月三一日、同三一年四月六日いずれも要望書を、給与
の支払い、分割払いに対しては昭和三〇年六月一〇日支給日厳守の要望書をそれぞ
れ提出したが、県議会議長、知事はいずれもこれを無視して実施しなかつた。
ヌ、以上のような教職員の勤務条件を含む佐賀県の義務教育が危殆に瀕する状況下
にあつて、佐教組は、教職員の定員削減反対、定員削減を含む財政再建計画粉砕、
昭和三二年度教育予算の大幅確保、昭和三一年度昇給昇格の完全実施、教職員給与
の二、〇〇〇円引上げなどを目的として本件休暇斗争に立上つた。
(四)、本件争議行為に至る経緯
イ、(佐教組の構成と運営の実態)
 佐教組は組合員の経済的、社会的、政治的地位の向上をはかり、教育並に研究の
民主化につとめ文化国家建設を期することをもつて目的とし、各市町村毎に地公法
五二条により組織されている単位職員団体の連合体で同法五三条により人事委員会
に登録され法人格を有しているものである。組合には大会、中央委員会、執行委員
会、支部長会、支部書記長会などの機関がある。大会は最高決議機関で毎年一回又
は臨時に開かれ、組合員の直接無記名投票によつて選出された代議員をもつて構成
され、組合の重要な事項を決定する。
 中央委員会は大会に次ぐ決議機関で原則として毎月一回ひらかれ、支部ごとにそ
の支部の代議員会において組合員より選出された中央委員及び支部長をもつて構成
し、大会から委任された事項、大会に提出する議案の検討その他大会の決定の範囲
内で重要事項を決定する。大会又は中央委員会の決議により、組合員の一般投票を
行なうことができ、一般投票は全組合員の直接無記名投票により、その過半数の賛
成がなければ効力を生じない。大会又は中央委員会の決議が一般投票で否決された
ときは、その後の決議は効力を失う。
 執行委員会は、執行委員をもつて構成される執行機関である。
 執行委員会のもとに組織、法制、情宣等の部が置かれ、執行委員がその長を兼ね
る。斗争時には執行委員会は斗争委員会を構成し斗争に関する組合業務を執行す
る。また斗争委員会の具体策について助言を与えるため支部書記長を斗争委員会に
参加させ、この場合の斗争委員会を拡大斗争委員会と呼称している。
 執行委員会の業務執行は規約の他大会及び中央委員会の決議に拘束され、執行経
過につき決議機関の承認を得なければならない。機関の決定に反する執行委員及び
組合員は規約により除名、その他の処分をうける。
ロ、(教育予算削減反対運動)
(1)、前記(三)、ハ、の教育費五、五〇〇万円削減案が議会に提案されるや、
佐教組は組合員による一斉昼食ぬき、デモ行進、県当局、被告に対する集団交渉な
どの統一行動によつて抗議を行い、さらに街頭宣伝、教育白書作成などによつて県
民に赤字財政の基因、その解決を人員整理に求めることの無謀性、県教育の実情な
どを訴え、地教委及びP・T・Aにも協力を要望した結果、これに呼応して地教委
P・T・Aなど多方面から反対陳情がなされ、右削減案は審議未了により廃案とな
つた。
(2)、前記(三)、ニ、の教育費一億円削減案に対してはやはり知事、被告との
交渉、東京における知事会議に対する要請、事務職員大会、知事に対する動員交
渉、P・T・A及び地教委連絡協議会に対する共斗申入れ、九州ブロツク代表によ
る知事交渉、街頭宣伝、県庁前坐り込み、などの反対斗争を行つたが、結局保守派
議員の強行採決により可決された。
(3)、佐教組は前記(三)ホの四〇八条例案の成立を阻止するため、「地方自治
と教育を守る教職員の総決起大会」を開催し、組合員全員による知事、被告宛陳情
書提出、P・T・A会長、県会議長、地教委に対する共斗要請、署名運動、街頭宣
伝、県庁前坐り込み、課外指導および宿日直拒否などの斗争を組んだ。
(4)、前記(三)、チ、のように給与の遅配が続き、昭和三〇年四月には県は職
員の定期昇給の発令をしなかつたので、佐教組は県当局と精力的に追加予算を組む
よう交渉を行つた。
 そして高等学校教職員組合(以下単に高教組という)及び県庁職員組合(以下単
に県職組という)とともに知事、及び被告に対し給与は条例通り二一日に必ず支給
すること、昇給昇格を抑制することなく、直ちに発令することなどを要望し、組合
員各人が知事、県教育長、県教育委員、県総務部長その他に昇給、昇格の財源措
置、夏期手当一ケ月支給、旅費、宿日直の増額などについて文書陳情をなすように
指示し、組合員はこれを実行した。
ハ、(本件統一行動に至る経過)
(1)、法定再建計画案の県議会への提出に対し、佐教組は組合員に対し各自知事
に対し自治庁の干渉を強力に拒否せよという陳情書を送付すること、市町村別に地
教委、P・T・Aなどを主力とする教育問題研究会を開催し、定員削減に絶対反対
の決議及び陳情書を知事、県議会議長に送付することなどを指令した。
 被告も法定再建計画には反対し、昭和三一年五月一日県知事宛「教職員の配置に
ついては現行の定数条例による昭和三〇年度の配当基準を維持すること、昇給昇格
の完全実施に必要な財源の確保について特に遺憾のないよう措置すること、宿直手
当は最低二〇〇円の予算措置を講じること」などを要望する意見書を提出した。
 また同月一四日佐賀市公会堂において、被告、地教委、県P・T・A連合会、県
小中学校校長会、県高校校長会、県高校後援会共催の「教育を守る県民大会」が開
催され、約六〇〇名の教育関係者が集まり、定員削減に反対する決議をした。
(2)、昭和三一年六月九日、一〇日開かれた佐教組の第三一回定期大会におい
て、代議員間に、過去数年にわたつて実施した教育予算削減に対する反対斗争が成
果をあげることができず、今後は法定再建計画によつて一〇年間にわたり数千名の
教職員が削減される事態にまで至つたことに対する危機感がみなぎり、右計画を阻
止するためには今までにない強力な実力行使を行うべきであるとの意見が強く、結
局昭和三二年度予算案の知事査定の重要段階に組合員全員による休暇斗争を含む実
力行使を実施することが決議された。
(3)、前記(三)、ト、のとおり、自治庁から二五九名削減の要求があることを
知つた佐教組は、昭和三一年九月一八日から二三日まで知事、総務部長、財政課長
に対し年度途中はもとより年度末においても削減しないよう団体交渉を行い、一般
県民に対してもビラを配布したりなどして教育現場の実情と年度中途における二五
九名削減が学校運営を麻痺させることを訴え、さらに同月二三日から二六日まで県
庁前広場で削減反対の坐り込みを実施した。
(4)、佐教組は同年八月三〇日の第一六一回中央委員会の決議にもとづき、さき
に決定された実力行使につき一般組合員に十分論議を尽させ、その意向を調査する
ため、当時の佐賀県の教育行政の問題点を明らかにする「教育を守る斗争資料」を
作成して、右資料により各支部において討論集会を実施させたが、組合員の意向調
査によれば、約半数が定員確保の目的を達するためには一斉賜暇などによる強力な
実力行使やむなしという意見であつた。
(5)、しかし佐教組はその後も知事や被告との交渉、要望書の提出は勿論、P・
T・A、地教委、校長会等関係団体に対し再建計画反対の態度をとるよう働きかけ
る運動等およそ考え得るあらゆる斗争を精力的に行つた。
 しかしながら同年一一月二八日県当局が決定した昭和三二年度予算編成方針によ
れば、昭和三一年度末において教職員二五九名が削減されることが明らかとなつ
た。佐教組執行部は同年一二月一三、一四日執行委員会、一五日拡大執行委員会を
それぞれ開き、従来の斗争方法はほとんど効果をおさめていないし、さきの定期大
会、中央委員会において知事査定段階で行なう実力行使の具体的方法につき提案す
べく義務づけている状況にあつたので、組合員の団結力を最大限に示すとともに県
民に定員削減などの問題の重要性を再認識させる効果があり、しかも授業を確保で
きる統一行動の方式として、組合員が第一日二割、第二日二割、第三日三割、第四
日三割の割合で有給休暇をとり、措置要求集会を開く斗争を含む実力行使を中央委
員会に提案することを決定した。
(6)、同月二〇日開催された第一六四回中央委員会で執行部は、当面の斗争は再
建計画の変更、定員の確保、給与、諸手当の確保を基本方針とし、P・T・A、町
村民の教育予算増額の請願、陳情を行う、各分会代表一名よりなる家族総会、支部
単位による家族動員を行う、全組合員から教育委員長、知事宛にはがき陳情を行
う、知事査定の重大段階に全分会は知事宛電報を打ち、動員交渉や坐り込み交渉を
行うことと併せて重要段階では二・二・三・三割の賜暇斗争を含む実力行使を行な
うことを提案し、右賜暇斗争を含む実力行使の案件については、さらに各分会に持
ちかえつて下部討議を深めるということで継続審議となり、その余の案件について
はすべて原案どおり可決された。その後各支部は分会会議で各組合員の討議を深め
たところ、休暇斗争の必要性について異論をとなえる者がほとんどなく、具体的斗
争方法について活発な論議がかわされ、二・二・三・三割という戦術では、問題の
重大性を強く県民に訴えることができないし、県当局の中央盲従の態度や、任命制
県教委の権力追従の動きからして、再建計画変更をかちとることはできないので、
三・三・四割、五・五割、一日一〇割などのもつと強力な戦術を組むべきであると
の意見がかなり多く出され、また全組合員が一致団結して斗争を成功させなければ
ならないという見地から、斗争期間を短縮すべきだとする意見も出された。
 佐教組は昭和三二年一月二三日の第一六五回中央委員会において実力行使の具体
的方法について討議したが、多くの意見が出て紛糾したので、各支部一名の代表で
構成する小委員会をひらいて審議した結果、三・三・四割と一日一〇割の二案にし
ぼつたうえ、本委員会で採決を行つたところ、結局当初の執行部の提案より強力な
三・三・四割が絶対多数で可決され、更に一般組合員の意思を確かめるため、これ
を全組合員の一般投票にかけることが決定された。
(7)、佐教組は、同年二月五日第一六六回中央委員会を開催し、三・三・四割休
暇斗争の日程を同月一四日、一五日、一六日と決定し、同月九日までに右の件につ
いて全組合員の無記名による一般投票を実施し、各支部毎に集計することを決議し
た。而して一般投票の結果は、七八・一三パーセントが三・三・四割休暇斗争に賛
成の意見であつたが、反対意見の中には、一日一〇割、五・五割というような強硬
意見も相当含まれていた。
 佐教組は第一六六回中央委員会の決定に基き、同月一〇日第三二回臨時大会を開
き、右一般投票の結果を確認し、「二月一四日、一五日、一六日定員削減の重要段
階に各分三・三・四割の休暇斗争をもつて要求を貫徹する。この指令権を中央斗争
委員長bに委譲する。」旨及びその実施要項を決議した。右実施要項には「各分会
は二月一一日職場集会を開催し、斗争態勢を完了し、支部へ連絡する。各分会斗争
委員長は休暇届をそれぞれ前日までにとりまとめ学校長に提出する。届出とともに
休暇中の児童生徒の措置と計画を呈示する。一四、一五、一六日佐賀市及び唐津市
において要求貫徹総決起大会を開催する。この集会は昇給昇格、定員について組合
員個々の措置要求書を提出するための集会である。休暇動員者は、児童生徒に休暇
日における自習計画を話し徹底させる。低学年の場合は、隣接学級学年の組合員に
細部を口頭で連絡する。休暇者以外の残留者は、休暇の事後措置を完全ならしめる
ように措置する。隣接学年学級の自習の世話、臨時に起る休暇動員者の事務は、積
極的に措置する。」ことなどであり、同大会はさらに「今日県当局は再建計画どお
り昭和三二年度の予算編成を行ないつつある。佐賀県教育は、教職員の三〇〇名に
及ぶ大量退職という悲惨な断崖に立たされているのである。定員減が、学校教育に
重大な支障を与え、教職員に労働過重を強い、児童生徒の学力は低下の一途をたど
つている。そして父母の負担は増加し、義務教育の本質は歪められ教育の機会均等
は大きく侵害されているといわなければならない。このときに当り佐教組は、佐賀
県教育を守るため来る二月一四日以降第一次実力行使を断行し、県当局や政府の善
処方を強く要望するとともに、教職員の団結を固め広く父母県民に理解を求め、教
育を守る県民の総決起を促さんとするものである。」旨の宣言文を採択した。
(8)、右臨時大会の翌一一日、佐教組は大会宣言文を県総務部次長、教育長、教
育委員長に手交し、総務部次長に対し定員問題と昇給昇格問題についての団体交渉
と上京中の鍋島知事の早期帰県を申入れた。
 同月一二日上京中のp9総務部長が帰佐するとの連絡があつたので、佐教組執行
部は夜遅くまで待機し団交を申入れたが拒否された。翌一三日午後四時ごろ、右総
務部長と交渉を持つたが、「二五九名の整理を実施する。」旨の回答しか得られ
ず、「佐教組が三・三・四割休暇斗争の実施を決定しているが、誠意ある解決策は
ないか。」とつめ寄つたところ、発熱したことを理由に交渉を打切られてしまつ
た。そこで佐教組は同日午後八時から翌一四日午前三時四〇分まで被告と交渉を行
つたが被告は「二五九名は整理する。無理な退職勧奨はしない。しかし勧奨されて
退職しない者を新年度に配当するかどうか回答できぬ。昇給については、三・三・
六・九ケ月分の請求権放棄の方針で、昇給昇格は現行どおり二本建で実施するよう
県当局と打合せをする。」と回答し、定員確保については誠意を示さなかつた。
 以上のように佐教組は休暇斗争の実施を決定した後も最終段階に至るまで県当局
や、被告との団体交渉によつて解決をはかるべく努力したが、これに対し県当局
は、自主性を失い自治庁の指示を忠実に守ることのみに汲々とし、重大局面を打開
すべき責務を放棄し、団交を拒否するなど誠意をみせず、また被告や地教委も昭和
三一年一〇月一日以降任命制に切り替えられてからは、再建計画の実施が佐賀県の
教育を破滅に導くという認識をもちながらも、これに対する抵抗を示さず、県当局
の方針に追従し、ただ休暇斗争の回避を申し入れるだけであり、年度末における二
五九名削減は必至となつたので、佐教組はやむなく三・三・四割休暇斗争に入つ
た。
(五)、本件争議行為の態様
 本件争議行為は三・三・四の割合で教職員が三日間労務の提供を拒否する単純、
不作為の同盟罷業であり、学校業務への支障がないよう万全の配慮をなしたうえ実
施された。
 すなわち第三二回臨時大会において確認された前記「実施要領」にもとづき、二
月一一日各分会では分会会議を開き休暇割当、自習計画などについて校長をまじえ
て十分な協議がなされた。その結果休暇の割当については同一学年隣接学級担任の
組合員が特定の日にかたよらないよう配慮がなされ、休暇をとる者の事後処理につ
いては、自習またはテスト用のプリントを作成し、あるいは合併授業を行い、隣接
学級、又は同一学年の残留組合員がその指導監督にあたることとし、休暇動員者は
児童生徒に自習計画などについての説明を徹底し、特に低学年の場合は代つて指導
監督を行う組合員に細部を口頭連絡して万全を期し、また小・中学校合わせて授業
計画を立て教職員の人数が多い中学校から小学校へ応援をさせることにしたところ
もあつた。
 さらに佐教組執行部は同年二月一二日、各分会に対し「校長(当時は校長も組合
員であつた)は要求貫徹大会に参加せず、学校運営の責任者として残留し、正常な
運営を阻害しないよう十分留意する。組合員は児童生徒の措置については、万全の
注意をして、特に事故の発生しないよう特に留意する。」ことを文書で指示した。
(六)、本件争議行為の教育への影響
 元来、学校教育は年間なり学期なりを基準とした長期計画を主体として行われ、
学校教育法は小・中・高の各学校ごとに六・三・三と年限を定め、同法施行規則は
小・中・高の授業時数や単位時数を年間を単位として定め、学習指導要領による教
育過程の基準も年間を単位として定められている。
 このように教育には柔軟性、弾力性があるので、仮に一時的に停廃しても、年間
又は学期の授業計画の過程で容易に補充ができるのである。而して学習指導要領の
教育過程基準は、農繁期休業、お祭り休業、その他の臨時休業が慣行として行われ
ることを見越して相当の余裕をもつて定められているうえ、佐賀県の小・中学校の
従来の平均出校日数も文部省の定める基準を一〇日ないし三〇日上まわり、実際の
出校日数、出校日数のうち授業を全く行なわなかつた日数、授業の一部を欠かした
日数、農繁休業、臨時休業などの日数はいずれも学校によつて大きな開きがあるこ
とは、教育に柔軟性、弾力性のあることを示すものである。その上本件統一行動に
際しては教職員は前記のとおり平素の研修、研究発表会などにおける出張のときよ
りも一層細心の注意を払つて自習計画の立案、プリントの作成にあたり、残留組合
員は平素の二倍近い労働力を費して児童生徒の指導監督、合併授業等にあたつたの
で、視察に来た教育委員やP・T・A役員らが安心する程児童生徒の学習態度は平
素より良好で、学校現場の状態も平穏であつた。従つて本件争議行為によつては教
育にはほとんど支障がなかつた。
(七)、本件争議行為のもたらした成果
イ、本件統一行動後、佐賀県下各P・T・Aなどが再建計画反対の運動を強力に推
進し始め、世論も再建計画阻止へと喚起された。そして昭和三二年四月一日から児
童生徒の自然増による教員六六〇名の増員と、別に一二〇名の定員増が実施され、
期限付採用方法が避けられ、同月以降教職員について昇給昇格が完全に実施され、
給与の遅配もなくなつた。
ロ、本件事件が契機となつて昭和三二年五月一日、県財政の如何にかかわらず、一
定数の学級編成ならびに教職員定数を確保する「公立義務教育諸学校の学級編成、
教職員定数の標準に関する法律」が制定された。
 また県の財源全体の改善として、本件当時低率に押えられていた地方交付税法
(六条)の交付税率が昭和三〇年の二二パーセントから逐年増加され、本件当時佐
賀県議会でも要望されていた三〇パーセントをさらに上まわる三二パーセント(昭
和四一年)まで達し、地方交付税法(一二条)の測定単位及び単位費用が少くとも
教育費について相当増額された。
(八)、以上のように本件争議行為は、主体、動機、目的、争議行為に至る経緯、
影響、結果からみて「国民生活全体の利益を害し、国民生活に重大な支障をもたら
すおそれ」のあるものではなく、地公法三七条一項に実質的に該当しない。
四、仮にそうでないとしても、本件における原告らの言動はとうてい懲戒理由たり
えない。
(一)、地公法三七条一項後段の「企て」「共謀」「そそのかし」「あおる」等の
行為は、当該争議行為に必要不可欠か、通常随伴するものであるかぎり、懲戒処分
の対象とされない。
イ、労働組合は資本制社会の矛盾の結果、無産階級としての労働者が自らと家族の
生存を防衛し、その利益や行動の自由を拡大する必要から結集、団結することが契
機となつて生れたものであつて本質的に自主性、民主性、斗争性を不可欠の要素と
して備え、争議行為の原動力は社会的矛盾の結果生れた団結そのものに内在するも
ので、一部幹部の積極的指導によつて生れるものではない。
 また争議行為は右の団結目的達成に向けてなされる組織的、集団的行為であつ
て、使用者との対抗関係を前提としているから、当然に構成員の団結、連帯を基礎
としてのみ成立するものである。ということは労働組合の行為において最も重要な
のは団結意思の形成ということでありその団結意思を組織体として統一的に実現す
るということである。
 従つて組合内部においてその目的とする争議行為につき企画、立案がなされ、自
由に意見を開陳し、批判討議をし、それに基いて議決をし、指令を発し、その指令
または決議事項を伝達し、その趣旨を説明し説得するなどの諸行為は、労働者の団
結体としての労働組合の特質からいつて、争議行為の目的完遂のためには必要にし
て不可欠の行為かもしくは争議行為に通常随伴する行為であるといわなければなら
ない。そして右の諸行為は一般には主として組合幹部によつてなされることが多い
であろうが、それは多くは組織上の義務に基いてなされるものであつて、いわばそ
れらの者の争議行為に参加すべき一態様に過ぎないものというべく、それ自体を争
議行為の実行行為に比して別個独立に評価すべき理由は認められない。
ロ、ところで右の諸行為は多くの場合地公法三七条一項後段に「企て」「共謀」
「そそのかし」「あおる」等の概念を充足するものと解せられるが、右のようにこ
れらの諸行為はその争議行為に必要不可欠の行為か、もしくは通常随伴する行為で
あつて、一般的にみて争議行為の実行と実質的に異なるところはなく、これと比較
してそれ自体格別違法性の強い行為と断定すべき合理的理由は存しない。にもかか
わらずこれらの行為が右の「企て」「共謀」「そそのかし」「あおる」等の概念を
充足するとの一事をもつて違法として禁止の対象とすることは、前記一、(二)、
の最高裁判所昭和四四年四月二日判決の、地公法三七条一項の規定が文字どおりす
べての地方公務員の一切の争議行為を禁止し、これらの争議行為の遂行を共謀し、
そそのかしあおる等の行為をすべて禁止された違法なものとすれば違憲の疑いをま
ぬがれないとの判旨に照らしてとうてい是認できない。
ハ、従つて、地公法三七条一項後段の諸行為は争議行為に必要不可欠か、通常随伴
するものであるかぎり、正当な組合活動と評価され、従つてこれを懲戒処分の対象
とすることは許されない。
(二)、争議行為に参加した組合員の行為は、地公法二九条一項の懲戒規定の対象
にはならない。
イ、懲戒は、個別的労働関係において遵守が期待される服務規律に違反する行為
で、かつ個別的労働関係の当事者としての労働者の行為につき、個別責任を追及す
ることを本質とするから、集団的労働関係にある労働組合の活動に参加した組合員
の行為は、これが正当な組合活動であればもちろん、たとえ団体として違法な行為
(殺人、放火、暴力行為等その違法が明白かつ重大でもはや社会的に組合活動と評
価できない行為をいうのではない。)であつても、労働組合の行為として不可欠の
ものと認められる限りこれを組合員個人の責任として懲戒の対象とすることはでき
ない。もし組合の活動として行つた行為についてまで個人責任を追及できるとすれ
ば、規律と統制を基礎とする団結の破壊を招く結果となるからである。その意味で
組合の活動として行なつた行為について懲戒責任を問い得ないということは団結権
保障の法理の当然の帰結である。
ロ、とくに争議行為は組合員が使用者の労務指揮下から離脱することによつて成立
するから、服務規律によつて職場秩序の確立する基礎自体が失われているのであつ
て、服務規律違反を理由とする懲戒責任を問題とする余地がない。これに反し、労
働者が争議行為に藉口してことさら規律違反の行為を行う場合のように、組合活動
を構成する行為として到底認めえないものについては、当該行為の実行者について
懲戒責任の問題が生ずる。
ハ、従つて、争議行為はたとえ団体的に違法な場合でも、それに参加した組合員の
行為は、それが争議行為の一環として評価しうるかぎり懲戒責任を負わせることは
できない。
(三)、争議行為を懲戒処分の対象とすることは、前記一、(一)、の労働基本権
制限の第三条件に違反する。
 地公法三七条はすべての地方公務員のあらゆる争議行為を全面一律に禁止し、そ
の違反に対する制裁として地公法二九条を適用して懲戒処分が課されるのが現実で
ありしかもこれらの懲戒処分は実質上刑事罰としての罰金よりはるかに重い。これ
は前記一、(一)、の労働基本権を合憲的に制限できるための第三条件に照らし、
必要な限度を越える不利益であつて憲法二八条に違反するものとして許されない。
(四)、違法な争議行為について組合幹部に懲戒責任を負わすことは許されない。
 争議行為がたとえ団体的に違法であつても、争議行為の一環として評価しうる行
為である限り、懲戒責任を問題とすべき余地はないことは前記(二)、のとおりで
あるが、このことは組合幹部が機関活動として行なう行為についても当然いえる。
組合幹部の故に使用者との関係で特別に重い企業秩序維持に対する責任を負うべき
合理的根拠はなく、したがつて組合幹部がその権限と義務に基づいて行う行為、た
とえば争議行為の企画、提案、大会における推進、争議中の指令、指導等は、たと
えその争議行為が違法であつても機関の活動として団体たる組合自身の行為と評価
すべきものであるから、個人として使用者から懲戒責任を問われるべき性質のもの
ではない。一説には民法四四条第一項を根拠にいわゆる幹部責任を肯定する見解が
あるが、同項は主として財産取引を念頭においた規定であつて、その責任も損害賠
償の範囲に限られるのであるから、労働組合の基本的第一次目的たる争議行為その
他使用者との対抗関係における組合活動についてまで懲戒責任を問いうる根拠規定
とはなりえない。
 そもそも労働組合は使用者との団体交渉を通じて個々の組合員と使用者との間の
労働関係を規制するだけでなく、組合員相互の連帯意識のうえに立つて、組合員の
経済的法律的諸生活領域にわたつて、広く深く関与するものであつて、主として対
外的財産取引を本来の目的とする市民法上の団体とその性格を異にするのであり、
しかも本来の目的たる使用者に対する活動とりわけ争議行為は組合幹部の活動を含
めた組合員全体の活動によつてはじめて組合活動として具現しうるという特殊な構
造をもつのであるから、組合の争議行為について財産取引の面における法人の代表
ないし代理の観念をいれる余地はないのである。また法律上の責任は自己のなした
違法な行為について生ずるとするのが近代法における基本原則であり、法律上特別
の規定がないかぎり、他人の行為について当然にその責任を負うべきいわれはな
い。このことは懲戒責任についてもいえるのであつて、労働組合の役員なるが故に
組合員の行つたすべての行為について当然に懲戒責任を負わねばならない法律上の
根拠はない。
(五)、原告らの具体的行為は前記三、(四)、(五)、のとおりであつて、前記
(一)、の争議行為に必要不可欠又は通常随伴する行為であり、(二)、の争議行
為の一環として評価しうる行為であり、また(三)、の法理に照らしてもいずれも
懲戒の対象とすることはできない。またもし原告らに対する本件処分がいわゆる幹
部責任を問うためになされたものであるとすれば、前記(四)、の法理に照らして
違法である。
五、仮にそうではないとしても本件処分は懲戒処分に値する違法性はなく、従つて
被告の本件処分はその権限を濫用してなされたものである。
(一)、公務員関係の秩序を維持するために、任命権者はその使用主たる立場に基
づき、懲戒処分をするか否か、もしくは懲戒処分をするとした場合に如何なる懲戒
処分を選択するかについて裁量権を有する(地公法二九条)。しかしながら地方公
務員の身分を保障している地公法二七条の規定の趣旨にかんがみると、右の裁量権
の行使は、公務員関係の秩序を維持するために必要な限度にとどめられねばなら
ず、その限度を越える場合は裁量権の範囲を逸脱したものとしてあるいは処分権の
濫用として違法となる(行政事件訴訟法三〇条)。
(二)、右に述べた裁量権の行使の限界は争議行為に対する処分にも原則的にはあ
てはまるが、争議行為は憲法二八条に保障されている労働基本権の行使であること
からさらに制約をうけなければならない。
 すなわち前記一、(一)、のように公務員にも原則として労働基本権が保障され
ており、その制限は合理性の認められる必要最小限度のものにとどめられねばなら
ないし、またその制限が許される場合でもその制限違反に伴う法律効果すなわち違
反者に対して課せられる不利益については必要な限度をこえないよう十分な配慮が
なされなければならない。従つて争議行為が地公法三七条の禁止する違法な争議行
為に該当する場合でも、これに対して懲戒処分を課すか否か、あるいは如何なる懲
戒処分を課すかは、当該争議行為の違法性の強弱の程度のみならず、その動機、目
的、態様、そのもたらした結果、相手方の事情、当該処分によつて蒙る被処分者の
不利益の程度など諸般の事情を考慮して決すべきであり、当該処分が右の事情に照
らし、合理的妥当性を欠くときは懲戒権の濫用として違法となる。
(三)、本件争議行為の動機、目的、態様、影響、成果はそれぞれ前記三、
(三)、(五)、(六)、(七)のとおりであり、これらの諸事情を勘案すると、
本件争議行為の違法性は極めて微弱であり、被告が原告らを懲戒処分にすることは
合理的妥当性を欠き必要な限度を越えて懲戒権を行使したものである。かりにそう
でないとしても、本件争議行為の違法性が極めて微弱であることと、処分の原告ら
に及ぼす不利益を比較較量すると、著しく均衡をそこねており、従つて本件処分は
合理的妥当性を欠き必要な限度を越えるものとして懲戒権の濫用である。
第三、よつて本件処分の取消を求める。
 なお右処分について原告らは昭和三二年四月一〇日、佐賀県人事委員会に不利益
処分審査の請求を申し立てたが、右人事委員会の裁決をまつては著しく損害を蒙る
おそれがあるのでその判定をまたず本訴に及んだ。
被告の答弁及び主張
第一、請求原因事実第一の事実は認める。
第二、原告らは処分理由説明書記載のような行為を行つたものである。
一、佐賀県は後記のような財政危機を乗り切るため、やむなく教職員の定員減を含
む一連の財政再建計画を策定し、一方財源の逼迫から教職員の定期昇給等を完全に
実行することができない情況にあり、佐教組は現員の確保及び昇給、昇給の完全実
施等を要求して運動を展開してきたものであるが、昭和三一年一二月一三日、一四
日開催された拡大執行委員会(a、b、c、d、e、fの各原告が参加)、同月一
五日開催された拡大執行委員会(a、b、c、d、e、f、g、h、iの各原告が
参加)において協議の結果、要求貫徹のための斗争方法として翌三二年二月に全組
合員が、二・二・三・三割の割合により年次有給休暇をとつて実力行使をすること
を立案し、これを同年一二月二〇日開催された第一六四回中央委員会に提案したと
ころ、休暇斗争を行うという基本的態度は承認されたが、その具体的方法について
は継続審議となつた。そこで佐教組は翌三二年一月七日の拡大執行委員会(b、
c、d、e、f、g、松隅、iの各原告が参加)、同月一〇日の拡大執行委員会
(d、e、f、g、h、iの各原告が参加)、同月二一日の拡大執行委員会(b、
c、d、f、g、h、iの各原告が参加)において、休暇斗争の法的根拠、具体的
実施方法等について協議を重ねた上、同月二三日開催された第一六五回中央委員会
に、再び右休暇斗争の実施を提案したところ、休暇をとる割合を三・三・四割と修
正して休暇斗争を行うことが可決せられた。
 次いで佐教組は、同月二六日の拡大執行委員会(b、c、d、e、f、g、h、
iの各原告が参加)、同年二月一日の同執行委員会(b、c、d、e、g、h、i
の各原告が参加)、同月二日の同執行委員会(b、c、d、e、g、hの各原告が
参加)において、休暇斗争の日程その他細部の事項を審議決定して、これを同月五
日に開催された第一六六回中央委員会に提案して可決された。さらに同月七日の執
行委員会(b、c、d、e、fの各原告が参加)同月九日の拡大執行委員会(b、
c、d、f、g、h、iの各原告が参加)において、更に検討の上、同月一〇日開
催された第三二回臨時大会において、二月一四日、一五日、一六日の三日間にわた
り三・三・四割の割合による休暇斗争を行う旨の前記中央委員会決定案を提案して
その承認を得た。さらに佐教組は、この間において全組合員に対して前記休暇斗争
の実施について賛否を求める一般投票を行い、賛成を得ていた。
二、右決定に基き昭和三二年二月一三日佐教組は斗争委員長であつた原告b名義で
「各分会は、二月一四日、一五日、一六日の三日間、三・三・四割の年次有給休暇
をとり、佐賀、唐津において開催する要求貫徹総決起大会に参加せよ」なお「大会
開催前又は終了後といえども登校しないこと」との指令を発し、二月一四日には全
教職員五、九二九名の二割七分余、一五日も同じく二割七分余、一六日には、三割
三分余のものが、一斉に、年次有給休暇を請求し、地教委ないしは学校長の承認を
受けないままで欠勤し、争議行為を敢えて行つた。
三、右休暇斗争の実施により、関係学校では正規の授業が行なえず、やむなく何時
間かで授業を打ち切つたところもあり、また不在教師の学級については、とりあえ
ず分散したり、合級したりして、その日その日の受持を割当て、あるいは授業や行
事を変更して臨時の授業時間割をたてて不在教師の補欠対策を打ち合わせたりした
が、それとてもその内容は各時間ともプリントによる自習やテストの連続であつた
り、あるいは合級しやすい体育などの教科にかたよつたりしており、なお指導方法
も、隣接学級のかけもちの指導や、校長または養護教諭、事務職員による間に合せ
の指導がなされたところなどもあり、これらのために、期待された授業の成果を損
つたことは否定できないところであり、児童生徒に与えた影響も甚大であつたとい
わざるを得ない。
四、(1)、原告aは佐教組執行委員長として、本件休暇斗争を企画し、その原案
を、前記一、の第一六四回中央委員会に提案し、その賛成を得、
(2)、原告bは副執行委員長として、前記一、の各委員会に出席して本件休暇斗
争に関する協議決定に参画し、また第三二回臨時大会の指導をし、斗争組織上の最
高責任者として各分会に対し、更に斗争委員長として前記二、の斗争指令を発し、
全般的に右斗争の実践を指導推進し、なお休暇斗争期間中の二月一五日杵島郡山内
村立山内東中学校において、同校ならびに同西小学校職員である組合員に対し、
「私も杵島郡出身として地元から脱落校を出しては面目ないから、ぜひ二月一六日
の休暇斗争には参加せられたい」旨申向け、
(3)、原告cは書記長兼情報宣伝部長として、斗争委員長たる原告bを補佐し
て、前記一、の第一六五回中央委員会における斗争方針の協議決定に参画し、また
第三二回臨時大会の指導をするなどその他全般的に斗争の実践を指導推進し、
(4)、原告dは書記次長兼調査部長として前記一、の第一六五回中央委員会にお
ける斗争方針の協議決定に参画し、また第三二回臨時大会の指導をし、その他書記
長たる原告cを補佐して斗争の実践を指導推進し、なお二月一一日伊万里市立山代
中学校において、同校職員である組合員に対し、「今回の大会参加についてはよろ
しく頼む。」旨、同月一二日西松浦郡西有田村立大山小学校において、同校職員で
ある組合員に対し、「今度の斗争は合法的なもので心配はいらない。」旨、同月一
三日佐賀市立本庄小学校において、同校職員である組合員に対し、「今度の斗争に
は脱落しないでしつかりやつてほしい。」旨それぞれ申向け、
(5)、原告eは組織法制部長として、前記一、の第一六五回中央委員会および第
三二回臨時大会に出席してその決議に加わり、その他斗争の実践を指導推進し、な
お二月一三日佐賀市立城南中学校において、同校職員である組合員に対し、「休暇
斗争は絶対に違法ではない。城南中学校だけが他校におくれているので早く参加の
態度を決めるように。」との旨申向け、
(6)、原告jは、執行委員として休暇斗争期間中の二月一六日杵島郡有明村立有
明東中学校において、同校職員である組合員に対し、同日同村立有明東小学校にお
いて、同校職員である組合員に対しそれぞれ「本日の大会に参加してほしい。」旨
申向け、(7)、原告fは婦人部長として、二月一三日三養基郡北茂安村立北茂安
小学校において、同校職員である組合員に対し、「脱落しないようにしつかり頼
む。」旨、同月一五日佐賀郡久保田村立思斉中学校及び同小学校において、各同校
職員である組合員に対し、「しつかり頼む。」旨それぞれ申向け、
(8)、原告iは小城郡支部書記長として、二月一一日多久市立多久北部小学校に
おいて、同校職員である組合員に対し、「年次休暇を請求した場合、これを校長が
阻止することは違法である。」旨、同月一三日小城郡小城町立桜岡小学校におい
て、同校職員である組合員に対し、「斗争に参加してもらいたい。」旨それぞれ申
向け、
(9)、原告gは佐賀市支部書記長として、二月一二日佐賀市立金立小学校におい
て、同校職員である組合員に対し、「団結して斗争に参加してくれ。」との旨、同
日佐賀市立高木瀬中学校において、同校職員である組合員に対し、「実力行使は合
法である。責任は組合がとるから参加してくれ、校長が参加を阻止するのは地公法
違反である。」旨、同月一三日佐賀市立兵庫小学校において、同校職員である組合
員に対し、「市内各分会はほとんど実力行使への態勢が確立しているから、この分
会も早く参加の態度を決定してほしい。」旨、同日同市立巨勢小学校において、同
校職員である組合員に対し、「中学校は早く参加の態度が決定しているのに小学校
が決められないはずはない。」旨、同月一四日同市立本庄中学校において、同校職
員である組合員に対し、「市内全部参加しているので早く参加してもらいたい。」
旨それぞれ申向け、
(10)、原告hは佐賀郡支部書記長として、二月一三日佐賀郡東与賀村立東与賀
小学校において、同校職員である組合員に対し、「この村は態度未決定であるが、
佐賀郡下の各分会はほとんど参加に決定している。斗争の責任は一切組合本部がと
るので、本部の指示に従つて行動してほしい。」旨、同日同村立東与賀中学校にお
いて、同校職員である組合員に対し、「要求貫徹のために実力行使に参加してほし
い。」旨それぞれ申向け、もつて右斗争が計画どおり遂行されるように努力したも
のである。
五、以上のとおり、本件休暇斗争は学校業務の正常な運営を阻害するものであつ
て、地公法三七条一項の争議行為であるところ、原告らは結局第一六五回中央委員
会の決議及び第三二回臨時大会の確認決議を通じて他の組合員らと争議行為をなす
ことを共謀してこれを遂行させたものであり、地公法三七条一項の争議行為の遂行
を共謀した者にあたることは疑いを容れないところであるが、ただ単に共謀者であ
るのみならず、休暇斗争を計画立案して右中央委員会や、右臨時大会に提案したも
のであつて、この点よりすれば原告らは争議行為を企てた者であり、また中央委員
や組合員らに休暇斗争は違法でないなどのことを強調したり指令指示を発したり
し、さらに原告b、d、e、j、f、i、g、hは前記四、のようにそれぞれ組合
員らに申向けたりしたのであつて、この点よりすれば原告らは争議行為の遂行をあ
おりまたはそそのかしたものであつて、原告らの右行為は地公法三七条一項後段に
該当する。
第三、地公法三七条一項の規定は違憲無効のものではない。
 地公法三七条一項の地方公務員の争議行為禁止の規定は、公共の福祉の要請に基
づくものであつて、憲法二八条に違反するものということはできない。
 昭和四四年四月二日の最高裁大法廷(都教組判決)の多数意見によつても、右地
公法の規定は、これを、労働基本権を尊重し、保護している憲法の規定と調和し得
るように解釈するときは、争議行為規制の限界が認められるから、直ちに違憲無効
のものとすべきではないといつている。
第四、公立小中学校の教職員の争議行為は違法である。
一、民主的で文化的な国家を建設して世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする
日本国憲法の理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものであり(教育基
本法前文)、その教育は人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者とし
て真理と正義を愛し、個人の価値をたつとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に
みちた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない(教育基本法
一条)。この教育の理想の実現と目的達成ならびに憲法二六条に定められている国
民の教育を受ける権利を保障するために設けられる学校の教職員は全体の奉仕者で
あつて、自己の使命を自覚し、その職責の遂行に努めなければならない(同法六
条)。なかんずく初等中等教育の対象は通常満六才から一八才に及ぶ年令層の児童
生徒であつて、この年令層は心身の発達途上にあり、人格形成上最も重大な時期に
あるから、これら次代を担うべき国民の子弟を陶冶して憲法の理想実現に寄与する
人格を育成しうるか否かは、一にかかつてその学校の教職員の双肩にあるといわな
ければならない。しかも教育には、それが受ける信頼と尊敬がなければその成果を
期待しうるものではない。このような初等中等教育を施す学校の教職員は、県民全
体のために教育の理想と目的達成の使命を負うものであつて、その職務は極めて重
要であり、公共性の強いものである。
二、公立小中学校は、憲法二六条の国民の教育を受ける権利の要請を実現するた
め、広く一般住民の子弟に初等中等教育を施すために設けられた公共の施設であ
り、かような初等中等教育は本来相当長期間(現制度上は、小学校六年、中学校三
年、高等学校三年)にわたり系統的、段階的におこなわれることが必要であるとと
もに、その教育効果をあげるためには教科の組織的配列、時間の割振りなどについ
ての適切綿密な指導計画が立てられなければならない。かくして学校教育は、計画
的組織的に運営実行されるべきものであるから、本件の場合のように、教職員の
三・三・四割のものが三日間にわたつて授業を放棄し指導計画を乱すことは、たと
えこれに対し自習計画、合併授業などの方法による多少の補正手当をなしたとして
も、教育効果を著しく阻害されることは明白であり、このことは一面において憲法
に保障する国民の教育を受ける権利を侵害するものに外ならない。いわんや、公立
小中学校の教育の目的は、次代を担うべき児童、生徒の健全な人格形成にあり、そ
の職務の停廃のもたらす住民生活上の障害は、決して容易に回復し得る軽微なもの
と言い得ない。従つてその業務に従事する教職員の争議行為は、次代の国民の教育
上に障害をもたらすものとして違法である。
三、もつとも、初等中等教育は柔軟性、弾力性を帯びることは否定できない。けれ
ども柔軟性、弾力性があるから、たとえ一時停廃されてもそれは十分かつ容易に回
復され得るという原告らの主張は、前記の教育における系統的、組織的ないし計画
的な本質を無視し、自己らの非行をかばおうとする口実にすぎない。
第五、本件休暇斗争は、違法な争議行為である。
一、本件休暇斗争は、前記第二、のとおり全県下にわたり、二月一四日には二割七
分余の、一五日には同じく二割七分余の、一六日には三割三分余の教職員が一斉に
休暇届を提出して、その職務を放棄したものであるからその態様、斗争の規模、時
間等において正常な業務運営の阻害の程度が、極めてはなはだしいものであつたと
いわざるを得ない。
二、本件休暇斗争の動機、目的
(一)、本件休暇斗争に至るまでの佐賀県の財政事情と被告の態度
イ、佐賀県においては、昭和二五年における税制の改革その他に伴う政府の財源賦
与が不十分であつたという一般的な原因の他に、昭和二四年、同二八年の相次ぐ大
水害による復旧事業費の増加、公債償還費の増大等の理由によつて財政事情は悪化
し、遂に昭和二八年度末において二億七、五〇〇万円の形式的赤字を生じ、実質収
支は実に五億円を超える赤字となり、このまま推移してはいかなる事態をひきおこ
すかもわからないので、昭和二九年度以降は、このような危険な財政状態を再建し
なければならない必要に迫られていた。そこで県は昭和二九年度から財政規模の縮
少、行政機構の改革等の方法によつて経費を節減し、もつて赤字の累増を防止して
財政の再建をはかることになつた。
ロ、県当局は昭和二九年五月佐賀県部設置条例案外六件を立案し、県庁の部を整理
統合し、地方事務所を廃止する外、人件費の節減方法として知事部局、議会事務局
その他全般にわたつて人員整理を行うが、教職員については人件費五、五〇〇万円
の節減を目標とし、その具体的方法は被告に一任した。被告としては県財政の赤字
を傍観することもできず、右程度の人件費の節減では教育の低下を来すこともある
まいと考え、一四五名の人員整理案を立案した。右各議案は県議会に提出されたも
のの、何れも審議未了廃案となつた。
ハ、そこで県当局は同年九月の県議会に昭和二九年度佐賀県地方事務所を廃止する
条例案外四件を提出する方針で、教育費については八、九〇〇万円(うち人件費
五、二〇〇万円)の節減を目途とした教職員の欠員中四五名分を予算より削減し、
昇給、昇格を抑制するという案を被告に提示した。被告としては教育への影響を最
小限にとどめる方針で慎重に県当局と協議したが、右程度の節減はやむを得ないも
のであり、また右定員削減も現実に出血を伴うものではなかつたので県当局の計画
を承認したものである。
 右案件は何れも県議会に提出議決され、このため当初一〇数億円の赤字の見込み
を八億四、四〇〇万円に抑えることができた。
ニ、その後国会において審議されていた地方財政再建促進特別措置法の成立が予定
よりおくれ、一方佐賀県の財政の窮迫は、前記のような努力にも拘らずますます深
まるばかりなので、右法律の成立まで放置することができず、県当局は昭和三〇年
一〇月に至り、昭和四〇年度まで一〇年の長期にわたる財政再建の計画(自主再建
計画)を立て、被告に対しても教職員の人員整理を要請して来たので、被告は県財
政再建の必要性と教育の低下の防止との両面から慎重に検討した結果、昭和三〇
年、昭和三一年の二年間にわたつて教職員を四〇八名整理することになる定数条例
案を作成し、右整理の方法は欠員不補充の方法によるとの方針を決定した。
 佐賀県は右案を含めて行政の全分野にわたる支出削減のため条例案等を同月の県
議会に提出して可決された。
ホ、昭和三〇年一二月地方財政再建促進特別措置法が成立するや佐賀県は財政再建
団体の指定を受け、法定再建計画につき翌三一年六月自治庁の承認を受けて、昭和
四〇年までの間に財政を健全なる状態に建て直すことになつた。
(1)、右再建計画は、県民に直接関係する歳入の面では県税の増徴、ならびに法
定外普通税の新設及び高等学校授業料等の引上げを行い、歳出の面では産業経済の
基盤である事業費についても過去の実績から七〇~七五パーセント、国庫補助のな
い単独事業については五〇パーセント程度に抑制し、また行政規模の合理化、組織
の簡素化、消費的経費の節減等あらゆる部門にわたつて類似県と比較検討して、一
〇年の長期にわたつて佐賀県財政の再建を図ろうとするもので、県財政の大部分を
占める人件費については、職員配置の合理化、給料の減額等によつてこれが縮減に
つとめたものであり、その内容は一般職員については類似県の最低を、警察官につ
いては政令の定数を、教職員については、類似県の平均をそれぞれ基準にして人員
を削減する、また特別職については給料を一割減額するというように、すべての職
員にわたつて影響があつたのであつて決して教職員のみに県財政緊縮のしわ寄せが
なされたものではなかつた。
(2)、右計画中教職員の定員関係の概略は、再建計画実施前の文部省指定統計に
よる佐賀県の教職員の配当率(一学級当りの教職員の割合)は、小中学校とも類似
県に比して相当高く、また教職員の人件費が九五パーセントに及ぶ教育費の決算額
に占める割合は、東京都、大阪府を除く全国平均、類似県平均に比していずれも高
かつたので、教職員の定数の算定方法として、配当率を類似県並みの小学校は一、
一九人、中学校は一、五七人として計算した人員を基礎とし、これに昭和三一年以
降における児童生徒数の増減に伴う学級数の増減を推定し、この学級数の増減に対
して教職員を一学級当り一人の割合で増減することとして各年度の定数を算定し、
なお一学級当りの最高児童生徒数を小学校六〇人(従来は六一人)、中学校を五六
人と定めた。
(3)、つぎに給与等については教職員を含む一般職員全体に、昭和三〇年度にお
いて、それぞれ昇給時に昇給額七〇〇円未満のものは六ケ月、七〇〇円以上一、四
〇〇円未満のものは六ケ月、一、四〇〇円以上一、五〇〇円未満のものは九ケ月、
一、五〇〇円以上のものは一二ケ月分の各昇給額の請求権の放棄を求め、昭和三一
年度分は二パーセントの昇給見込額を増加加算し、昭和三二年度以降は昇給昇格所
要額を予算に計上せず、一般財源の自然増加、職員の新陳代謝によつて浮く経費の
範囲内で処理する。また超過勤務手当は従来六パーセントであつた率を切り下げ、
宿日直手当は各二〇〇円であつたものを、日直手当を一五〇円に引下げるというも
のであつた。
(4)、ところで右再建計画によつて直ちに佐賀県の教職員の勤務条件が極度に悪
化し、かつ学校教育の現場が混乱するとは考えられなかつた。けだし小中学校の教
職員の定数の基準を定めるのに最も重要な要素は一学級当りの教員数を如何に定め
るかということであり、右計画の一学級当りの教員数は甚しく低劣なものではなか
つたことは前述のとおりである。一方原告らの主張する一学校当り及び一学級当り
の児童生徒数の多少は地理的条件によつて影響されるが、これらの数の単純な県平
均をもつて直ちに教育効果や教員負担に結びつけるのは当らない。また再建計画に
おいては一学級当りの児童生徒数の最高基準を小学校六〇人、中学校五六人と定め
たこと前述のとおりであるが、この数値が後に公布施行された「公立義務教育諸学
校の学級編成及び教職員定数の標準に関する法律」による昭和三三年度の学級編成
の暫定標準の数値(小学校六〇人、中学校五五人)とほとんど一致している。
ヘ、右のような内容の法定再建計画が実施に移されたが、右計画が県議会において
議決されたのが昭和三一年五月一五日であり、右計画によつて算出された同年度の
定員は七、五一四人であるのに、右議決当時すでに右計画定員を二五九名上まわる
教職員七、七七三人が配置ずみになつていた。
 しかし、同年度予算には計画定員以上の人件費を計上することができず、したが
つて右過員を同年度中に整理しなければならないことになつていた。
 しかしながら被告としては年度途中の教職員の整理が教育現場にもたらす混乱を
考慮し、県当局と交渉の結果、同年度中にはこれを整理しないことの承諾をとりつ
け、昭和三二年二月一〇日ごろまでには右二五九名を同年度内は維持することの計
画変更について、自治庁の承認を受けることに成功した。
 また定期昇給問題については県当局と佐教組、高教組、県職組との間に交渉が行
われ、県当局において前記六・六・九・一二ケ月分の昇給額請求権の放棄の額を
三・三・六・九ケ月分と変更したので県職組は昭和三一年一二月二二日これを了承
したが、佐教組と高教組は定期昇給については異議はなかつたが、昇給昇格を二本
建にするよう要求し、県当局が一般職員、国の教職員との不均衡が生ずることを理
由にこれに難色を示したことから妥結が延引していた。
(二)、本件休暇斗争に至るまでの佐教組の情勢
イ、佐教組はもとより昭和二九年度の経費節減施策当時から、県の再建計画に反対
の意見を表明し、各種集会の開催、決議文の手交、交渉、陳情等の方法をとつてき
たものである。
ロ、休暇斗争直前における被告と佐教組との交渉の状況について
(1)、佐教組が昭和三一年度中に被告に要望していた事項は定員確保に関するも
の、昇給昇格に関するものその他多岐にわたつたが、被告は誠意を以て交渉に応
じ、それが実現可能なものと不可能なものとを明示して回答し、交渉事項は徐々に
狭められていつたのであるが、なかんずく一番の重要問題は、同年度の計画定数を
超過している二五九名の現員の年度途中の整理を避けるということであつた。被告
は、この問題について、前述のとおり県当局と接渉を続け、これを説得して、よう
やく昭和三一年九月に年度内は現員を確保するという確約を取りつけ、予算措置も
とられるところまでこぎつけたのである。しかしこれには自治庁による再建計画変
更の承認が必要であるから、以後は、被告も県当局も、そのための自治庁交渉に全
力を傾けたのであつた。しかしながら一方において、翌昭和三二年度には、児童生
徒数の自然増が見込まれていたので、被告としては、この面における教職員確保の
問題も考えなければならず、この問題について申入れ、財源として二、〇〇〇万な
いし二、五〇〇万円程度を来年度において確保されたいことを要望し、これについ
ても昭和三二年一月末ごろには県当局の概ねの諒承を得るに至つた。
(2)、ところが佐教組は同年二月一一日に前記二月一〇日の臨時大会で決定した
「百年の教育確立のため、来る二月一四日以降第一波実力行使を断行し」云々の宣
言文を持参して、被告に交渉を申し入れたので、被告はこれに応ずることを回答す
るとともに、実力行使を回避するよう極力勧告し、地教委に対しても、佐教組の実
力行使を回避させることに最大の努力をするよう指導助言をした。
(3)、次いで被告は、同月一三日夜から一四日午前三時四〇分まで佐教組と交渉
を続けたのであるが、この時の交渉事項は、現員確保、昇給昇格の二本建実施、強
制整理や無理な退職勧奨はするなということに集約されていた。
 ところで現員確保の問題については、そのころ既に当時のp9総務部長が自治庁
から再建計画変更承認の内諾をとつて帰任しており、この問題は既に解決されてい
たうえ、被告が来年度の教職員の定数増について財源措置を考え、県当局に申し入
れて概ねの諒承をとつていたことは、佐教組も承知していたのである。
 右のような状況にあつたので、被告としては、右交渉においては、教職員の定員
については、二五九名の削減による教育の低下を最小限に防止するため、今後も最
善の努力を続ける。昇給昇格については、佐教組の従来からの要求額である前年度
の実績額を上廻る財源を得ている、強制整理はもちろん行なわない、退職勧奨はす
るが無理にはやらない旨の回答をし、今後も交渉を続けることを約束した。
 右回答のうち、同年度内の現員確保の問題は、前述したとおり解決済のものであ
り、強制整理、退職勧奨の問題は、右回答以上の内容はできないものであつた。昇
給昇格についての交渉過程における佐教組の具体的要求は、昭和三〇年度の右実績
額を下廻らないということであり、被告は右実績額を上廻る財源を当時既に確保し
ていた。そこでこれを佐教組に提示したところ、佐教組としてはこれを了承して
三・三・六・九ケ月の割合による昇給額請求権を放棄することで昇給昇格問題は概
ね了解点に達していたものである。しかるに佐教組は、近く公務員の給与体系が変
更されて昇給昇格が一本化されることは既に承知しており、他県においてもほとん
ど一本化され、佐賀県においても警察および県職員は既に一本化されていたという
事情にあつたにもかかわらず、争議行為の直前の交渉において、改めて昇給昇格の
二本建を主張したものである。
(4)、このような被告と佐教組との交渉事項の内容及び交渉の進展の状況からす
れば、この交渉事項を達成する目的を以て争議行為を実施する必然性や緊急性は全
くなかつたといわなければならない。
(三)、当時佐賀県財政が置かれていた状態、この状態の継続によつて考えられる
であろう県民の不利益については被告はもちろん県当局もまた認識して、これが改
善に努力しており、佐教組の要求にそうことはもちろん、それ以上の措置を具体的
に考慮し、実現せしめるべく努力していたのであるから、これらの財政状況と県民
の不利益は遠からず解除せらるべき状態にあり、これらの情勢の改善は当然教職員
の給与その他の勤務条件に及ぶものであつた。
 昭和三三年度における教職員定員の増加或は定数標準法の制定等が、佐教組の本
件休暇斗争の成果であるとするのは独善的見解にすぎない。
 いわば佐教組は、しなくともよい争議行為を、予定に従つて無反省に形式的目的
を以て強行したものである。従つて、このことが直ちに自らの給与その他の勤務条
件の向上に役立つものではなかつたのである。このような状況においては、三日間
にわたる本件休暇斗争によつて受けた県民の不利益は、一方的であり、かつ重大で
あるといわなければならない。ことに佐賀県は、公立学校の数が圧倒的に多く、公
立学校における職務の停廃が、実際的にも精神的にも住民に与える影響は極めて大
なるものがあつた。
三、以上によれば、本件休暇斗争は争議行為であり、それはまさしく都教組判決に
よつても地公法三七条一項によつて禁止されている違法な争議行為に該当するもの
である。
 仮に、本件争議行為に刑事処罰をもつて臨む程度の違法性がなかつたとしても、
少なくとも、原告らの行為に対し地公法二九条による懲戒処分をなし得ることはむ
しろ当然であると言わなければならない。
第六、原告らの第二、四、の主張は争う。
 原告らの本件休暇斗争に際しとつた行為が、地公法三七条一項後段に該当するこ
とは前記第一、二、のとおりである。しかして原告らが企画し、共謀し、あおりま
たはそそのかした休暇斗争が地公法三七条一項において禁止されている違法な争議
行為である以上、その責任を個々に追及されるのは当然であつて、単にそれが団体
行動であつたが故に責任を免れうるものではない。
第七、原告らの第二、五、の主張は争う。
 原告らに対する処分は別表第二、のとおりであるが、それはすべて停職処分であ
り、一ケ月から六ケ月の範囲にわたるものである。処分の軽重はすべて被告の裁量
権の範囲内にあるものであり、右原告らに対する処分は、原告らが本件違法な争議
行為の立案から実施にいたるまでの間に果した役割ないし行為から見るときは、公
正妥当であつて、何ら右裁量権の範囲を逸脱しているものではない。原告らの行為
が団体行動に通常随伴する行為であるとしてもその団体行動自体が違法とされると
きは、その他通常随伴行為も違法とされることは当然であり、故に原告ら個々の非
行として懲戒処分の対象とすることは、適法正当であつて、何ら懲戒権の濫用にわ
たるものではない。
証拠(省略)
       理   由
第一、原告らが昭和三二年二月当時別表一、記載の各学校に勤務し同表記載の職に
ある教育公務員たる地方公務員であり地公法による職員団体たる佐教組の同別表記
載の役員たる地位にあつたこと、
 佐教組が昭和三二年二月一四、一五、一六日佐賀県下の公立小中学校において教
職員の定員削減反対、昇給昇格の完全実施などを目的として、いわゆる三・三・四
割休暇斗争を行つたこと、
 被告は同年四月二日付で原告らに対し、原告らが右休暇斗争の実施に関連して別
表二記載のような行為をなし、これが地公法三七条に違反するとの理由で、同表記
載の懲戒処分をなしたこと、
 以上の事実は当事者間に争いがない。
第二、地公法三七条一項と憲法二八条の関係
一、ところで原告らは本件処分の根拠法規となつた地公法三七条一項の規定は憲法
二八条に違反すると主張するので以下この点につき判断する。
二、地公法三七条一項と憲法二八条との関係については、すでに最高裁判所昭和四
四年四月二日判決(刑集二三巻五三号三〇五頁、いわゆる都教組事件判決)におい
て判断が示されているところであつて、当裁判所も右判決と基本的立場を同じくす
るものである。
 すなわち、憲法二八条において保障する勤労者の団結権及び団体交渉その他の団
体行動をする権利(労働基本権)は、憲法二五条の生存権保障を基本理念とするい
わゆる生存権的基本権であり、公務員も憲法二八条の「勤労者」としてこの権利の
保障を受けるものであつて、公務員は全体の奉仕者であることを規定する憲法一五
条を根拠として、その労働基本権を全面的に否定することは許されないが、公務員
の職務は一般的にいつて私企業の労働者のそれに比し公共性が強いものであること
は否定できないところであるから、その労働基本権については職務の公共性に対応
する制約が内在し、具体的にどのような制限が合憲とされるかについては、
 第一に、労働基本権が勤労者の生存権に直結し、それを保障するための重要な手
段である点を考慮し、その制限は合理性の認められる必要最小限度のものにとどめ
られること、
 第二に、労働基本権の制限は勤労者の職務の性質が公共性の強いものであり、従
つてその職務の停廃が国民生活全体の利益を害し、国民生活に重大な支障をもたら
すおそれのあるものについてこれを避けるために必要やむを得ない場合について考
慮されるべきこと、
 第三に、労働基本権の制限違反にともなう法律効果、すなわち違反者に対して課
せられる不利益については、必要な限度をこえないように十分な配慮がなされなけ
ればならないこと、
 第四に、職務の性質上労働基本権を制限することがやむを得ない場合にはこれに
見合う代償措置が講ぜられなければならないこと、
 などの諸条件を考慮し、慎重に決定する必要がある。
三、ところで地方公務員の職務の性質、内容は多種多様であつて、職務の一時的停
廃が直ちに地方住民の生活上の利益を害するような公共性の極めて高いものから、
私企業のそれとさして異らない、利益侵害の程度の比較的弱いものまで多岐にわた
ること、また争議行為の態様もさまざまで、同盟罷業の場合を考えても、異常に長
期にわたるものから、極めて短時間のものまであつて、地方住民に与える影響も決
して一様ということはできず、この点よりすれば、争議行為の主体とその態様に応
じ地方住民の生活に与える影響の性質程度は千差万別である。
 また一方地方公務員の側をみても、勤務条件には常に変動があつて、これに応じ
て争議権を保証されることによつて実現される地方公務員の利益も一様ではない。
 以上の諸点を前記四条件に照して考えると、地方公務員の労働基本権殊に争議権
が制限されるのは、争議行為が地方住民の生活に重大な支障を来す場合に限られる
べきであるが、右支障が重大か否かは具体的争議行為におけるその主体たる地方公
務員の職務の公共性の程度、争議行為の態様等を総合して判断し、当該争議行為を
保障することによつて地方公務員にもたらされる利益と比較衡量し、何れがより尊
重されるべきかをも勘案して決定されるべきものである。
 また地公法三七条一項は地方公務員の争議行為を禁止してはいるが、しかしなが
ら少なくともこれに違反して争議行為に参加したに止まる者に対しては懲戒責任は
ともかく刑事上の制裁は課さない建前であることは同法六一条四号の規定上明らか
であるから、そのような法律効果しか伴わないものとして争議行為を禁止しても、
それは必要の限度を超えない合理的なものというべく、したがつて禁止される争議
行為の範囲を前記のように限定して解釈する限り、同法三七条一項は憲法二八条に
違反するものではない。
四、地公法三七条一項は「職員は、地方公共団体の機関が代表する使用者としての
住民に対して同盟罷業、怠業その他の争議行為をし、又は地方公共団体の機関の活
動、能率を低下させる怠業的行為をしてはならない。又、何人も、このような違法
行為を企て、又は遂行を共謀し、そそのかし、若しくはあおつてはならない。」と
規定し、その文言上のみからすると一見何らの限定なしに地方公務員の争議行為を
一律に禁止しているかのようではあるが、しかしながら法律の解釈は、その文言の
みに拘泥することなく、憲法その他の法体系と調和させながら、その趣旨内容を明
らかにすべきものであるところ、その見地からすれば同法案は前記のように限定的
に解すべきであり、且つそれが充分可能である。
 原告らは右のような解釈は法解釈の域を超え、一種の立法にあたるもので許され
ないと主張するが、地公法第三七条一項には、地方公務員の争議行為を例外なく禁
止したものとしか解釈できないような文言は見当らないし、右のような制限解釈を
することが殊更同条項の文言を枉げることにはならない。
第三、地公法三七条一項と教職員の争議行為
一、つぎに原告らは地方公務員の職務の公共性の高い場合は争議権を制限できると
仮定しても、公共性の高い職務というのは、その職務が地方住民の日常生活に不可
欠であつて、その一時的停廃が直ちに住民の日常生活に重大な障害をもたらすよう
な場合のみを指し、教職員の職務は右の意味における不可欠業務にあたらないか
ら、その争議行為は地公法三七条一項により禁止できる場合にあたらないと主張す
る。
二、原告ら主張のような不可欠業務が公共性の高い職務にあたることはその主張の
とおりではあるが、しかしながら公共性の高い職務が右のような場合のみに限定さ
れるいわれはなく、職務の一時的停廃によつて蒙る住民の損害が、その日常生活に
直ちに及ぶ場合でなくても、極めて重大であつて、回復できないような場合も含む
べきものと解する。
三、これを公立学校の教職員についてみるに、憲法二六条は国民に教育を受ける権
利を保証するとともに子女に普通教育を受けさせる義務を課しており、この目的を
達するために市町村はその区域内の学令児童生徒を就学させるに必要な小中学校を
設置すべく義務づけられている。(学校教育法二九条、四〇条)
 而して右立法の立前や現代社会における教育の占める地位を考え併せれば、一般
国民にとつて、少なくとも義務教育を受けることはその将来の社会生活上不可欠で
あり、教育を受ける権利は重大で最も基本的なものであることは疑いのないところ
である。
 しかも学校教育法施行規則は年間授業日数や各教科の学年毎の授業時間の基準を
定め、これに基いて定められた学習指導要領は各学年毎に各教科の目標を定めてお
り、また教育の効率的な運用の面からみても、教育は予め綿密適切に計画されたと
ころにしたがつて行われることが必要であり、授業の一時的停廃は一般的には右系
統的な教育計画全体に影響を及ぼすおそれが大きく、ひいては国民の教育を受ける
権利に支障をもたらすものというべきである。
 叙上のとおりであるから教職員の職務が公共性の強いものではないことを前提と
して争議行為の制限を一切受けないとする原告らの主張は採用できない。
四、もつとも、実際上はどの学校においても授業時間数は前記施行規則の基準を上
まわつて定められ、学校行事、教員の研修、出張等で授業が欠けることがあつても
後に充分補充がなされていること、また農村では農業休業も行われるが、日数など
も各学校により異つていること、更に事情によつては一たん編成された教育計画も
学校の自主的判断によつて変更、修正できるなどの実情にあること、また教科の進
度はおおむね平均化されているとはいうものの、児童、生徒の理解に応じてある時
は早く、ある時は遅く、またある時は繰り返して進められていることは公知の事実
というべきである。このように教育計画は相当の余裕を見込んで作成され、しかも
必ずしも絶対的不可変的なものではなく学校教育は日常的に或る程度の弾力性、柔
軟性をもつて実施されている実情にあることは否定できないところである。
 したがつて、教職員の義務の停廃が短時間に止まる等授業への影響が容易に回復
できるような範囲のものである場合には、教育計画全体への影響のおそれはなく、
地方住民の生活への影響は必ずしも重大ではないものというべきである。
第四、地公法三七条一項と本件休暇斗争
 地公法三七条一項によつて禁止される争議行為の範囲及びこれを決定する基準に
ついては第二、三において述べたとおりである。
 そこで本件休暇斗争が右禁止される争議行為に該当するか否かにつき考察する。
一、いずれも成立に争いのない乙第六号証の一ないし三、七号証の一ないし一〇、
第一六、第一七号証いずれも原本の存在並びにその成立に争いのない甲第一、二号
証、第八号証の一ないし三四、同号証の三七、同号証の三九、同号証の四一ないし
六三、第九号証の一ないし四、第一〇号証の一ないし八、同号証の九ないし三七、
第一一号証の一ないし一二、同号証の一四ないし二五、同号証の二七ないし三九、
同号証の四三、同号証の四五ないし四八、同号証の五〇、五三、同号証の五五、同
号証の六一、同号証の六三ないし六六、同号証の六八ないし七六、同号証の七八な
いし一〇七、同号証の一〇九ないし一一二、第一二号証の一ないし二二、第一三号
証、第一六号証、第一八ないし二二号証、第二六号証、第二八号証の一ないし一
七、乙第一四、一五号証、第一八ないし二〇号証、第二一号証の一ないし一一、第
二二ないし三七号証の各一、二、第三八号証の一ないし七、第三九号証の一ないし
三、第四〇ないし四三号証、第四四号証の一、二、第四五号証、第四六号証の一、
二、第四七号証、第四九号証、第五〇ないし五六号証の各一、二、第五七号証の一
ないし四、第五八ないし六〇号証、第六八ないし七〇号証、第七三号証の一ないし
一九、第七五号証の一ないし三、第七六号証の一、二、第八四ないし八六号証、第
八七号証の一ないし一一、原本の存在並びにその成立につき争いのない第七七、七
八号証の各一ないし一五、第七九号証の一ないし二八、第八〇号証の一ないし一
三、第八一号証の一ないし五、第八二号証の一ないし六、第八三号証の一ないし一
一、証人k、l、m、n、o、p、q、r、s、t、u、v、w、x、y、z、p
1、p2、p3、p4、p5、p6、p7の各証言、原告i、a、c、d、各本人
尋問の結果、および弁論の全趣旨を総合して認められる事実並びに当事者に争いの
ない事実によれば本件休暇斗争の背景、経過、態様はつぎのとおりであつた。
(一)、佐教組は、佐賀県内の市町村立小中学校の教職員で組織された地公法五二
条一項に規定する団体(単位団体)の連合体であつて、単位団体及び単位団体を組
織する教職員(以下組合員という)の経済的、社会的、政治的及び文化的地位の向
上をはかり、教育及び学問の民主化に努め、もつて文化国家の建設に寄与すること
を目的として、昭和二二年組織されている法人であり、他の都道府県教職員組合と
ともに連合体である日本教職員組合(以下日教組という)を組織している。佐教組
は最高議決機関として大会(毎年一回又は臨時に開かれ、組合員の直接無記名投票
によつて選出された代議員をもつて構成する)、大会に次ぐ議決機関として大会よ
り委任された事項および大会に提出する議案の検討その他を任務とする中央委員会
(原則として毎月一回開かれ、各支部ごとにその支部の代議員会において組合員に
より選出される中央委員及び支部長をもつて構成する。)を設けるが、大会または
中央委員会の決議により、さらに組合員の一般投票(全組合員の直接無記名投票に
より、その過半数の賛成がなければその効力を生じない)を行うことができ、大会
又は中央委員会の決議が一般投票で否決されたときは、その後その決議は効力を失
う。執行機関として執行委員会を設け、そのもとに組織、法制、情宣部などが置か
れ、執行委員がその長を兼ねる。組合が斗争状態に入つた場合には、執行委員会を
斗争委員会とし、斗争に関する組合業務を執行する。また斗争委員会の構成員に各
支部書記長が参加して構成される拡大斗争委員会は斗争の具体策の検討にあたる。
佐教組は佐賀市、唐津市、三養基郡、神崎郡、佐賀郡、小城郡、東松浦郡、西松浦
郡、杵島郡及び藤津郡に支部を、各学校に分会を置き、各支部は組合の目的を達成
するために所属の分会又は組合員と本部との連絡ならびに分会相互間及び組合員相
互間の連絡提携にあたり、必要な事業を行い、最高議決機関として総会、総会に次
ぐ議決機関として代議員会(重要な議案については各学校長が参加する拡大代議員
会を開くことがある)、執行機関として常任委員会を、役員として支部長、書記
長、常任委員その他を設け、支部の議決機関及び執行機関は本部の拘束を受ける。
(二)、(1)、佐賀県財政は昭和二五年度から実質的赤字を生じ、ことに県費負
担公務員の増加とベースアツプによる人件費の増加、災害の頻発、特に昭和二四年
と昭和二八年の水害による事業費の増加及び歳入の不足を補うために起した地方債
の元利償還金の累積によつて実質的赤字の累計は昭和二八年度には約五億二、〇〇
〇万円になり、このまま推移すれば累増することは明らかであつた。このため昭和
二九年三月の県議会で、小中学校の児童生徒数の自然増加に伴い、教員定数の一九
一名増加を内容とする予算案が可決されたのにかかわらず、同月末には右財政の赤
字を理由として逆に教職員の減員を含む赤字解消の必要性を説く「行政機構簡素化
と人員整理に関する決議案」が一部議員から提出され議決されるに至つた。
(2)、そこで右決議案をきつかけとして県当局は赤字累増防止対策に乗り出し、
「佐賀県部設置条例案」、「佐賀県地方事務所を廃止する条例案」等の機構簡素化
案や、人員削減案を同年五月の県議会に提出したが、そのうち教育費関係について
は、教職員の定員を一三六名削減し、(但しこれに見合う欠員があつたから現実の
人員整理はなかつた)、その他欠員補充のずれから生ずる人件費の節減、昇給昇格
の抑制による経費の節減等で合計五、五〇〇万円の経費を削減する案であつた。し
かし各議案に対する反対が強く何れも審議未了廃案となつた。
(3)、同年九月、県当局は前記各議案が廃案になつたので、再びほゞ同様の議案
を同月の県議会に提出し可決された。そのうち教育費関係の人件費についてもほゞ
五月県議会に提出されたものと同様で、節減額は約五、二〇〇万円というものであ
つた。
(4)、前記のとおり右人員削減は現実の出血を伴わなかつたとはいうものの、欠
員の補充ができない結果になり、教育への影響は無視できないものがあつた。
(5)、イ、右のとおり経費節減策は講じられたものの、なお県財政の赤字は累増
し、昭和二九年度の累積赤字は八億五、〇〇〇万円に達した。
 県当局としては県財政の建直しの希望を昭和三〇年七月、成立を予定されていた
「地方財政再建特別措置法」の実施に託していたが、これが継続審議となつた。し
かし財政の窮乏は一時の猶予も許されず、且つ右地財法成立後は直ちにその適用が
受けられるようにするため、同年一〇月に至つて、昭和四〇年度までの一一年間に
わたつて計画的に財政規模を縮小し、人件費の節減をはかることによつて県財政の
再建をはかる計画(自主再建計画)を策定した。
 再建計画の内容は、公共事業費の七割、一般事業費の五割削減、一般補助金の五
割削減、県本庁及び出先機関の整理統合、各種委員会、審議会の整理及び定員の削
減、昇給昇格財源の減縮、超過勤務手当の減額等による人件費の節減等行財政のあ
らゆる面に及ぶものであつた。
ロ、昭和三〇年七月頃、県当局は自主再建計画の一環として被告に対して教職員の
当時の定員より一、四〇〇名削減する結果になる定数条例案の送付方を要請した。
これは地方交付税の基準財政需要額を基礎に算出した純粋に財政的見地から出た定
数を基礎とするものであつた。
 しかしながら被告としてはそのような大量の人員削減は教育行政上全く不可能と
してこれを拒否し、独自の立場から現員より四〇八名(うち県立高校三三名、小中
学校三七五名)を削減する結果になる定数条例(四〇八条例)案を作成し、地教委
と協議を進めたけれども、大量の人員削減は教育現場の混乱を招くことを理由に反
対する地教委との調整が難航し、四名の県教育委員の辞任という異常な曲折の末残
留委員のみで右条例案を送付し、同年一一月の県議会で可決された。
 而して右削減の方法は、養護教諭と事務職員を主とし、昭和三〇年度と翌三一年
度の二年間にわたつて希望退職を募るという計画であり、相当強力な退職勧奨が行
われたが、未亡人や海外からの引揚者が多かつた養護教員、事務職員は右勧奨に応
じないものが多く、一方退職勧奨の対象とならなかつた一般教員中から将来に見切
りをつけて自発的に退職して行く者が多く出たため、結局第一年目である昭和三〇
年度末には最終目標にほゞ近い四〇五名が退職することになつた。
ハ、その結果小学校では学級担任以外の教員が少なくなり、中学校では教員の授業
受持時間が長くなり、出張等で教員が欠ければ校長が教壇に立つたり合併授業をし
たりしなければならなくなる等教育現場には深刻な影響があつた。
 一方被告は昭和三一年度の教職員の移動に際し、養護教員及び事務職員に対し甚
しい負担過重な二校以上の兼務や、一人分の仕事しかない学校に二人を発令するよ
うなことをしたので、教職員間では嫌がらせの方法による退職勧奨であるとの批判
も生じた。
(6)、イ、昭和三〇年一二月地財法が成立するや、県当局は直ちに県議会の議決
を得た上財政再建団体の指定を受け、これと前後して法定再建計画の策定に入つた
が、右計画に対する自治庁の要求は予想以上に厳しく、その内容は自主再建計画に
比し厳しいものとなつた。
 即ち右計画は昭和三〇年から昭和四〇年までの一一年間を財政再建期間とし、行
政規模の適正化、行政組織の合理化を人口、財政規模等の類似した他県と比較しな
がら進めようとするものであり、交付税の増加、県民税の均等割の引上げ等により
多少の歳入の増加も見込まれたが、歳出面においては人件費を中心に自主再建計画
より更に節減を余儀なくされることになつた。
ロ、これを小中学校の教職員定数についてみると、当時一学級当りの教員数(配当
率)が小中学校一、二一四人、中学校一、六一七人であつたものを、類似県平均の
小学校一、一九人、中学校一、五八人に学級数を乗じたものを基準として児童生徒
の自然増減に伴う学級の増減の見込まれるものについては一学級一人の割で増減し
たものを教員定数とし、当時三〇〇名近くいた事務職員を昭和三五年までに全廃す
るというもので、計画の最終年度たる昭和四〇年度までに結局約七〇〇名が整理さ
れる上、一人当りの給与単価を引下げる目的で、新陳代謝が行われ、そのため相当
数の高年令者が退職を余儀なくされるというものであつた。
ハ、右計画は文部省の統計によると佐賀県が類似県に比し教員の数が多いからこれ
を類似県並みにするという構想から出たものではあるが、しかしながら特に整理の
重点目標になつた養護教員と事務職員は類似県では市町村費で賄われる者が多く、
そのような養護教員は右統計上に現れないため、統計のみを根拠として佐賀県の教
員数を比較するのは合理的でないこと、佐賀県は地理的な条件から類似県に比し大
規模学校、大規模学級が多く、教員一人当りの受持児童生徒数が多かつたので、佐
賀県の教職員は勤務条件上類似県より格段によかつたとはいえないことなど、教育
現場の実態より財政的考慮に重点が置かれたものであつた。右のような計画が実行
されれば、教育現場では次のような混乱が当然に予想されるものであつた。
① 大部分の学校では、事務、養護の仕事を学級担任が行うか、仕事を全廃するほ
かないこと。
② 教員の欠席が一名なら校長が教壇に立つことによつて補えるが、二名以上にな
ると合併授業をやる以外に方法がないこと。
③ 中学校は一教員が二教科までは受持つことが可能であるが、計画によれば四教
科、五教科を受持つことになり、不可能を強いるばかりか、P・T・A、クラブ活
動、校外指導など出来なくなること。
④ 教職員の過重労働を若干でも軽減するために、事務員、給食婦を雇うことにな
ると、赤字団体である市町村費ではまかえないので、いきおいP・T・Aに陳情す
ることとなり、父兄の経費負担が激増することになること。
⑤ 県の教育費削減が、市町村立学校の管理者である市町村に肩代りされ、市町村
費の窮乏に拍車をかける結果になること。
ニ、ついで昭和三一年八月頃、同年度本予算査定の段階(同年度は六ケ月分の暫定
予算が組んであつた)において、文部省の統計による同年五月一日現在の教職員の
数が、法定再建計画による定数より二五九名(高等学校も含む)超過していること
が判明し、県当局としては法定再建計画を超える人件費を予算に計上することがで
きないところから、被告に対し右二五九名を早急に整理するよう要求し、年度途中
で大量の教職員の整理をすることが教育現場に及ぼす影響を考慮した被告はこれに
難色を示し、協議した結果、県当局において右過員の昭和三一年度末までの人件費
を予算に計上し、県当局は再建計画の変更について自治庁の承認を得ることにする
旨の協定が成立したものの、同年度末には右過員の整理されることは必至の情勢で
あつた。
ホ、一方給与関係についてみると、もともと教職員の給与水準は他県に比し低位に
あつた。その上教職員を含む佐賀県の地方公務員一般につき県は財政難を理由とし
て昭和二九年六月ごろから給料手当の遅払い分割払いをすることが続いた上、昭和
三〇年三月には従来の宿直手当二五〇円を二〇〇円に減額した。
 また県は同年七月及び九月の二回にわたり県人事委員会から勧告又は要望がなさ
れたのに同年四月、七月、一〇月及び昭和三一年一月の各定期昇給日にその発令を
せず、「昭和三〇年度の昇給、昇格は定期日に発令するが、発令の日から昇給差額
七〇〇円未満の者は六ケ月分、七〇〇円以上一、四〇〇円未満の者は六ケ月分、
一、四〇〇円の者は九ケ月分、一、五〇〇円以上の者は一二ケ月分、それぞれ増額
分の請求権を放棄する。」(以下六・六・九・一二ケ月分の請求放棄という)こと
を要請したので、佐教組、高教組、県職組はやむなく昭和三一年二月一六日右要請
を受け入れる協定を締結しようやく発令がなされ、昭和三一年分についても七月、
一一月の二回にわたる県人事委員会の勧告にも拘らず再び四月、七月、一〇月、昭
和三二年一月にも昇給の発令がなく、ようやく同年一月一六日県職組との間には
「三・三・六・九ケ月分の請求権の放棄」の協定が成立し、一般職員には昇給の発
令がなされたが、佐教組と高教組間では右請求権放棄の関係ではほゞ了解に達して
いたものの、県当局において昇給昇格につき従来教員については昇格と関係なしに
常に昇給するという建前(二本建)であつたものを県当局の他の職員並みに昇給と
昇格が重なる場合には昇格のみをする建前(一本建)にしたいとの主張とこれに反
対する教組側との間に了解がつかず協定に達せず、そのままでは昇格の発令される
見込みは立たなかつた。
 また法定再建計画では給与関係については昇格財源は昭和三一年度は昭和三〇年
度末の現給の二パーセントを計上するが、昭和三二年度以降はこれを計上せず、一
般財源の自然増の範囲内で行うこと、超過勤務手当は従来六パーセントであつたも
のを一般職員三パーセント、警察官四パーセントとするが、学校事務職員は昭和三
一年度二パーセント、昭和三二年度一パーセント、翌年以降〇パーセントとし、従
来二〇〇円であつた宿直手当を一五〇円にするというものであつた。
(三)、法定再建計画には当初被告も批判的で昭和三一年五月一日県知事に対し、
「教職員の配置については、現行の定数条例による昭和三〇年度の配当基準を維持
すること、完全昇給昇格に要する財源の確保について特に遺憾のないよう措置する
こと、宿日直手当は最低二〇〇円の予算措置を考慮すること、学校事務職員の超過
勤務手当について、一般職員との間に差別を設けず、均等に支給すること」を要望
する意見書を提出したほどであつた。
 また、前記のとおり同月一四日には地教委、県P・T・A連合会、県小中学校校
長会は佐教組と共催で「教育を守る県民大会」を開催し、一連の教育費削減計画が
児童生徒の不幸をもたらすものとして、これを防止するため教職員の現員確保や、
昇給昇格の完全実施を訴える決議をした。
 昭和三二年二月初旬鳥栖市校長会は、再建計画の教育に及ぼす影響を憂慮し、そ
の変更を求める旨の声明文を父兄に配布した。
 その頃県小中学校長会は「もし、この財政再建計画が断行されることになれば、
本県教育は沈滞し、児童生徒の学力低下、不良児の続出、勤務過重による教職員の
疾患激増、年令低下による練達教師の減少等悲しむべき事態が年とともに深刻化す
ることは火をみるより明らかで、正しく佐賀県教育は一大危機に直面しているとい
うべきである。教職員の定数については現員を確保し、昇給昇格の完全実施を可能
ならしめるため再建計画の変更を要望する。不合理な退職勧奨に反対し、教職員の
勤務年限延長を期する。」との決議文を採択し、これを県議会、被告、県当局等に
提出した。
 また県P・T・A連合会も臨時大会を開き「郷土を愛し、教育を愛するが故に現
状を黙視しえない。総力を結集して教育費、教職員の削減に反対し、本県教育を守
り抜くことを誓う。」旨の宣言文を採択した。
(四)、(1)、佐教組は前記一連の教育費削減計画に対して一貫して反対の態度
をとり、昭和二九年五月及び九月の県議会における教育費削減案の審議に際して
は、ニユースカーによる県民への訴え、各組合員による県議会議員、県教育委員等
を自宅訪問しての陳情運動、組合員による一斉昼食抜き、県庁前坐り込み、デモ行
進等による抗議行動を行い、或は県議会への陳情を行い、いわゆる四〇八条例の制
定に対しては「人員削減、予算削減を強行するならば我々は重大な決意で強じんな
斗争を展開する」旨の警告宣言を発し、「地方自治と教育を守る教職員総決起大
会」を開催し、知事に対して条例案を議会に提出しないよう要求する大会宣言を採
択し、課外授業、宿日直拒否の順法斗争等を行つた。
(2)、又法定再建計画の策定に対しても、組合員が一斉に知事に対して、自治庁
の干渉を排除されたい旨の陳情書を提出し、市町村別に地教委、P・T・A、婦人
会を主とする教育問題研究会を開催して教育の現状についての認識を深めさせると
共に定員削減反対の決議をし、分会毎に出身県会議員、被告等への陳情を行い、更
に被告、地教委、県P・T・A連合会、県小中学校校長会等と共催で「教育を守る
県民大会」を開き、教職員の現員確保や昇給昇格の完全実施を訴えること等を決議
した。
(3)、昭和三一年六月一〇日の佐教組の第三一回定期大会において、出席代議員
の中から、「従来まで佐教組は教育予算削減と教職員の人員整理に対してあらゆる
方法で反対運動を展開したにも拘らず、ほとんど効果がなく、このままでは佐賀県
の教育は重大な結果になる。佐教組としては更に強力な運動をする必要があるので
はないか。」との発言があり、そのような危機感が代議員間にみなぎつており、結
局法定再建計画実行の最重要段階において実力行使を行なう旨の決議がなされた。
 その後佐教組が行つた組合員の意向調査によれば、同盟罷業あるいは一斉休暇斗
争を行うべきであるとの意見が相当数あらわれるに至つた。
(4)、ついで同月五日の第一六二回中央委員会において、「一率二、〇〇〇円の
ベースアツプを獲得すること、不当な再建計画の執行に反対し、計画変更を斗いと
ること、定数条例、再建計画の首切りに反対する。昇給昇格の完全実施を獲得する
こと。」等を斗争目標とし、秋季から年末にかけての斗争方針と併せて、春季斗争
方針として、「新年度予算の知事査定、首切りに対して本年最大にして強力な行動
と法廷斗争を準備すること」を決定した。
(5)、佐教組は同年一〇月中二、三回にわたり、県知事及び総務部長に定員問
題、給与問題、昇給昇格問題等について要望書を提出して交渉したが、一〇月二二
日には高教組と連名にて県知事に対し、「一率二、〇〇〇円のベースアツプを実施
されたい。教育の現場は四〇八条例、再建計画により非常な混乱と教育の低下を来
しているから、現定員を確保するため、再建計画変更を強力に中央に折衝されると
ともに追加予算、新年度予算に計上されたい。」旨の要望書を提出し回答を文書で
なされたい旨要望したところ、県知事は同年一一月五日、要求内容の実現は困難で
ある旨の回答書を発した。
 また佐教組は同月一九日、被告に対し本年度予算未計上の二五九名の人件費を早
急完全に追加計上すること、五月一日以降の欠員を補充すること(たとえば、三根
東中学では英語教師が欠員のまま補充されなかつたため、英語の学力が非常に低下
した)、新採用者で六ケ月の条件付期間満了者は当然本職員に切りかえること、期
限付採用という無謀な採用形式はこの際撤回すること、(期限付採用の方法は同年
四月から実施され、該当者は約一一〇名いた)助教諭の単位修得のための講習会を
開催するとともに臨時免許状の再交付をすること(県は昭和三一年度は財源の制約
から単位習得のための講習会を開かなかつた。また被告は当時臨時免許状所有者に
対しては昭和三二年三月末をもつて免許状の更新をしないという方針を決定してい
たが、臨時免許状所有者は約四〇〇名いた)、四月、七月及び一〇月の昇給昇格を
早急に完全に実施すること等を要求する旨の要望書を提出した。
 県当局は同年一一月昭和三二年度の予算編成方針を決定したが、右方針によれ
ば、教職員二五九名は再建計画どおり昭和三二年三月末にこれを削減するというも
のであつた。佐教組は再三被告及び地教委に教育の現状を訴えたが、被告は右予算
編成方針に従い、昭和三二年一月、この方針どおりの予算要求書を県当局に提出し
た。
(6)、昭和三一年一二月一〇日から三日間、福岡県教職員組合が、全組合員が
三・三・四割の有給休暇をとり、措置要求大会を開催する斗争を行い、佐教組から
も数名が応援に赴いていたので右情報は直ちに知らされた。
 以上のような情勢において、佐教組執行部は、同年一二月一三日及び一四日の執
行委員会、一五日の拡大執行委員会で協議のすえ、佐教組が過去においてとつてき
た運動方式ではほとんど効果がなく、一部組合員からも執行部に対して強力な斗争
方法を強く要求していたところから、組合員の団結力を最大限に示すとともに県民
に問題の重要性を再認識させる効果があり、しかも学校の授業になるべく支障をき
たさず、合法の範囲内で組合員全員が参加できる統一行動の方式として、右福教組
の事例をも参考にした上第一日二割、第二日二割、第三日三割、第四日三割(以下
二・二・三・三という)の休暇斗争を含む実力行使を中央委員会に提案することを
決議し、同月二〇日の中央委員会において右の提案をしたが、事重大であるので各
分会において検討するということで継続審議となつた。なお同委員会では定員確
保、昇給昇格斗争の方法として、陳情、請願、坐り込みなどを行い、一方執行部は
対県交渉を強化する等の戦術が提案され可決された。
(7)、昭和三二年一月一〇日より希望退職者の受付が始まつたので佐教組は、教
職員に対し年度末の定員削減のための退職勧告がなされることを予想し、同月一七
日、県教育長に対し、本人の希望以外は勧告を行わないこと、臨時免許状の再交付
又は期限延長の措置をとり、臨時免許状所有者を勧告の対象にしないこと、勧告に
ついては不当な強制や人権を無視した言動がないよう被告の責任において教育事務
所及び地教委に徹底させること等を要望した。
(8)、同月二三日開かれた第一六五回中央委員会において「一月二二日より一月
二五日まで二支部単位の動員交渉を行う。一月二八日、二九日、三〇日の三日間坐
り込み又はハンストを県庁前で行う。第一波実力行動として二月四日より三日間、
組合員の一割動員交渉を行う。第二波実力行使として、二月一二日より一週間の間
昭和三二年度予算の知事査定の重大段階に、二・二・三・三の休暇斗争を行う。本
部は実力行使を背景に日教組、県総評の協力を求め、徹底的な対県交渉を行う。」
こと等が提案され、同中央委員会はこれらの議案について討議した結果「二月四日
より三日間、組合員の一割動員交渉を行う」との原案を「二月四日より三日間、各
分会選出の代議員数による動員交渉を行う」と修正して決定し、二・二・三・三の
休暇斗争の原案については、その割合について「二・二・三・三」「三・三・四」
「五・五」「一割一〇日」「一〇割一斉」等多くの意見が出て紛糾したので、小委
員会(各支部から代表者一名を選出して構成した)を設けて討議した結果、「三・
三・四」と「一〇割一斉」の二案にしぼつたうえ、本委員会で採決を行つたところ
「三・三・四」は途中で切り崩しに合うおそれはあるが、平常の教員の出張や欠勤
の実情から授業が確保できるということで、絶対多数の賛成をもつて「三・三・
四」休暇斗争に修正して決定し、なおこれを全組合員の一般投票にかけ、二月一〇
日に予定される臨時大会で最終的に確認することを決定し、その他の議案について
はいずれも原案どおり決定した。
(9)、佐教組執行部は、二月一日、二日及び四日の拡大斗争委員会における協議
を経て、同月五日開かれた第一六六回中央委員会において、休暇斗争の日程を具体
的に二月一四日、一五日及び一六日とし、この三日間に各分会三・三・四の休暇斗
争をもつて要求を貫徹するとの案件を全組合員の直接無記名投票に付し、二月九日
までにこれを実施し、集計すること、ならびに同月一〇日に第三二臨時大会を開催
して、二月一四日、一五日、一六日の三日間定員削減の重要段階に各分会三・三・
四の休暇斗争をもつて要求を貫徹すること及びその実施要項に関する議案を同大会
に提案することを提案し、同中央委員会はこれらの議案を原案どおり決定した。
(10)、佐教組執行部は、同月七日の執行委員会及び同月九日の拡大執行委員会
において、同月一〇日開催される第三二回臨時大会の運営について打ち合せを行
い、一一日以降の分会、支部及び本部のとるべき詳細な具体的行動を規制する「一
一日以降の行動について」という文書を右大会出席者に配布することを決定し、オ
ルグ派遣についても協議したうえ、同月六日から八日までの間に各分会で実施され
た組合員の一般投票の結果を集計したところ、七八パーセント強が三・三・四休暇
斗争に賛成であることが判明したので、これを右大会に提出して確認を受けること
とした。
(11)、ところで県知事は、同月初ごろから県立病院に入院し、佐教組からの交
渉申入れに応ずることを拒否し、総務部長は同月六日ごろ上京し、県知事も同月八
日ごろ退院すると同時に上京してしまつたので、佐教組は県当局と折衝する機会を
失つた。
(12)、佐教組は、同月一〇日第三二回臨時大会を開催し、「二月一四日、一五
日、一六日定員削減の重要段階に各分会三・三・四の休暇斗争をもつて要求を貫徹
する。この指令権を中央斗争委員長bに委譲する」旨及びその実施要項を提案して
前記一般投票の結果を発表したところ、同大会は絶対多数の賛成でこれを確認し、
右議案を決定した。
 右実施要項が定めるところは、「各分会は二月一一日職場集会を開催し、斗争態
勢を完了し、支部へ連絡する。各分会斗争委員長は、休暇届をそれぞれ前日までに
とりまとめ学校長に提出する。届出とともに休暇中の児童生徒の措置と計画を呈示
する。一四日、一五日、一六日佐賀市公会堂及び唐津市公民館において要求貫徹総
決起大会を開催する。この集会は昇給、昇格、定員について、組合員個々の措置要
求書を提出するための集会である。休暇動員者は児童生徒に、休暇日における自習
計画を話し、徹底させる。低学年の場合は隣接学級学年の組合員に細部を口頭にて
連絡する。休暇者以外の残留者は休暇の事後処理を完全ならしめるよう措置する。
隣接学年学級の自習の世話、臨時に起る休暇動員者の事務は積極的に措置する。」
こと等であつた。更に、同大会は「今日県当局は再建計画どおり昭和三二年度の予
算編成を行いつつある。佐賀県教育は、教職員の三〇〇名に及ぶ大量退職という悲
惨な断崖に立たされているのである。定員減が学校教育に重大な支障を与え、教職
員に労働過重を強い、児童生徒の学力は低下の一途をたどつている。そして父母の
負担は増加し、義務教育の本質は歪められ、教育の機会均等は大きく侵害されてい
るといわなければならない。このときに当り佐教組は、佐賀県教育を守るため、来
る二月一四日以降第一波実力行使を断行し、県当局や政府の善処方を強く要望する
とともに、教職員の団結を固め広く父母県民に理解を求め、教育を守る県民の総決
起を促さんとするものである。」との宣言文を採択した。
(13)、同月一一日佐教組はp8教育長に前記第三二回臨時大会の宣言文を提出
して、三・三・四休暇斗争を決定した旨を通告するとともに、交渉をもちたい旨要
求したところ、被告は翌一二日「三・三・四統一行動は学校の正常な運営を阻害す
るのみならず、教育上いろいろの問題を惹起するから絶対に回避してもらいた
い。」旨の文書を交付したうえ、交渉にはいつでも応ずることを通告した。
 ところで当時上京していたp9県総務部長は、教職員二五九名過員に対する昭和
三一年度内の予算措置及び昇給昇格の差額の請求権放棄を当初の予定六・六・九・
一二から三・三・六・九に緩和することについて、いずれも自治庁の承認を得たの
で、これを佐教組に伝えて、休暇斗争を回避すべく、県知事の命により二月一二日
夜佐賀に帰任した。そこで佐教組は翌一三日午後四時ごろから、県庁総務部長室
で、総務部長と交渉をもつたところ、総務部長は、佐教組に対し前記二点について
自治庁の承認を得て解決したことを伝えて、翌一四日からの休暇斗争を中止してほ
しい旨を要望したけれども、二五九名は年度末においても削減しないこと、昇給昇
格の二本建の維持という佐教組の要求に対しては、何らの進展はなく交渉はものわ
かれとなつた。
 そこで佐教組は、同日午後七時ごろから翌一四日午前四時ごろまで、被告とも交
渉をもつたが、被告の回答は「二五九名の整理については無理な勧奨はしない」と
の点を除き、右整理そのものをしないこと及び昇給昇格については右総務部長の回
答以上のものでなかつたので、佐教組はこれを不満として交渉は遂に不調となり、
ここにおいて佐教組は同日より三・三・四休暇斗争に入つた。
(五)、右休暇斗争はほゞ予定どおり、県下小中学校の教職員が、二月一四日には
二割七分余、一五日には二割七分余、一六日には三割三分余の教職員が一斉に年次
有給休暇届を提出して勤務につかず、佐賀市公会堂及び唐津市公民館で開催された
「要求貫徹総決起大会」に参加したものであるが、各分会は前記第三二回臨時大会
の決定の趣旨にしたがつて児童生徒への影響が最小限度に止まるよう休暇請求をす
る組合員が同一学年、隣接学級にかたよらないよう、また休暇をとる組合員はテス
ト用プリントを作成したり自習計画等を綿密に練り、残留組合員に指導監督を依頼
する等充分の協議を整えた。また当時校長も大部分組合員ではあつたが、二月一二
日執行部から「校長は要求貫徹大会に参加せず、学校運営責任者として残留し、正
常な運営を阻害しないよう十分留意する」との指示もあり、休暇を請求せず学校の
運営に混乱を来さないよう努力した。
 そのため、斗争期間中臨時休校や授業の一部打切りが行われた学校も絶無ではな
く、また予定が映画観賞や学芸会の練習等に変更された学校もあつたが、普段でも
小・中学校では研究発表会、研修あるいは教科書展示会等のため三割程度の教員が
出張することも絶無ではなく、斗争に参加した教職員の前記のような周到な準備や
残留教職員の努力の結果、総じて学校は平穏に運営され、担任教員の欠けた学級の
児童生徒も平静に自習、テスト、合併授業を受けた。
(六)、なお本件休暇斗争後の昭和三二年三月県議会において知事は昭和三二年度
には児童生徒の自然増による教職員の増加の外一二〇名の定員増をはかるよう努力
すると言明し、同年九月右定員増による計画変更につき自治庁の承認を受けた。
二、(一)、以上詳述したとおり、佐賀県の教職員の労働条件は県財政の異常な逼
迫という特殊事情の下にあつたとはいえ、定員関係についていえば昭和二九年九月
県議会で可決された経費節減計画による定員の削減、翌三〇年の四〇八条例制定に
よる四〇五名の退職によつて教育に影響が出始め、教職員の勤務の過重が明らかに
なつたのに、昭和三一年策定された法定再建計画によれば更に七〇〇名に上る定員
削減が行われる外新陳代謝計画によつて多数の高年令層が退職を余儀なくされるこ
とが明らかであり、その一環として昭和三一年度末には二五九名の人員整理が必至
という情勢にあつた。
 また右のとおり勤務過重の度が加わるのに対し給与諸手当においても他県に比し
て決して恵まれた状態とはいえなかつたのに、昭和二九年六月頃から給与の遅払い
分割払いが断続的に続き、定期昇給の発令が一時見送られ、昭和三〇年度には六・
六・九・一二ケ月分の請求権放棄の県当局の要求を受け入れて始めて発令されたの
に、昭和三一年度には三・三・六・九ケ月分の請求権放棄の外更に従来より不利に
なる昇給昇格の一本建の県当局の要望をのまない限り発令される見通しがない上、
法定再建計画では将来昇給ができるかどうかは県の歳入の自然増という不確定な要
素のみにかかり、その他宿日直手当の連続二回にわたる減額、事務職員については
超過勤務手当の減額更には廃止等佐教組組合員にとつて法定再建計画が実行に移さ
れた場合、その勤務条件ひいては佐賀県の教育の将来に対して絶望感、焦燥感を抱
いたのは極めて当然であり、しかも昭和二九年五月県議会に五、五〇〇万円の教育
費節減案が提出された頃から、およそ考えられるあらゆる反対斗争を実行しながら
殆んどその効果を上げることができず、ほゞ県当局の計画どおりにことが運びつつ
ある状況にあつて、これを阻止するためには他に方法はないとの判断の上に立つて
本件斗争が計画されたものであつて、組合員の勤務条件の維持改善を基本的任務と
する佐教組が人員整理に反対し、昇給昇格の完全実施を目標に掲げて行つた本件休
暇斗争はまことにやむを得ざるに出たものといわなければならない。
(二)、被告は右一連の経費節減計画は佐賀県の行財政の全般にわたつたものであ
り、ひとり教職員にのみしわ寄せされたものではなく、仮に教職員の犠牲が他の職
員に比し大きかつたとしても、右計画が一般に佐賀県の行政規模を類似県並みにす
るとの基本原則に出たものであり、教職員の佐賀県と類似県との定員の差が、他の
職員のそれに比し著しく高かつたことによるものに過ぎず、したがつてまた定員削
減の結果勤務条件が少なくとも類似県に比し著しく劣悪になるものではなかつたと
主張する。
 なるほど前記経費節減計画が佐賀県行財政全般にわたり、ひとり教職員の人件費
のみが削減の対象となつたものでないことは被告主張のとおりではあるが、しかし
ながら法定再建計画の教職員の定員算定にあたり、類似県には佐賀県と異り、市町
村費で賄われている養護教員、事務職員が相当数に上ることを看過して、文部省統
計のみを基礎としたこと、教職員の勤務量の測定には一学級当りの児童生徒数も要
素となることを考慮に入れるべきであつたこと等の点で必ずしも当を得たものとは
いえないし、法定再建計画が教職員の勤務条件ひいては佐賀県の教育全般に及ぼす
影響を憂い、反対の態度をとつたのはひとり佐教組のみではなく、P・T・A連合
会、小中学校校長会等も軌を一にしてその変更方を要望していたこと、当初は被告
自身も批判的であつたこと、昭和三三年度になつてからではあるが、児童生徒数の
自然増に伴う定員増の外、一二〇名の定員の増加に伴う再建計画の変更を自治庁も
認めざるを得なかつた実情などからみて、佐教組の掲げた要求をもつて、県財政の
現状を無視したひとりよがりのものとは到底いうことはできず、被告の右主張は採
用できない。
(三)、給与、勤務時間その他の勤務条件等についての研究の成果を地方公共団体
の長又は議会に提出し、職員の給与が法律又は条例に適合して行われることを確保
するため給与の支払いを監理し、給料表に定める給料額を増減することが適当と認
めたときは勧告をする等の権限を有する人事委員会制度が、地方公務員の争議権禁
止の代償措置として設けられていることは疑いのないところであり、右勧告等が地
方公共団体を法律上拘束するものではなくても、これが誠実に実施されている場合
は有効な代償措置としての機能を果しているものというべきではあるが、しかし本
件の場合にはすでに認定したとおり●次にわたる県人事委員会の給与の支給日の不
遵守、昇給昇格の発令のおくれに対する勧告ないしは要望が誠実に実施されたこと
はないのであるから、当時県人事委員会制度が有効な代償措置の機能を果していた
ものとは到底いうことはできない。
(四)、つぎに本件斗争の方法である三・三・四割の休暇斗争が発案されたのは、
一面斗争の効果を考えながら、他面教育への影響を最小限度にとどめようとする考
慮から出たものであつて、第三二回臨時大会において授業確保のための周到な方策
が協議され、右計画どおり実行がなされたため、本件斗争期間中、教科の進展に多
少の遅れのでたことは否めないにしても、全般的に極めて平穏に学校運営がなさ
れ、児童生徒の学習態度も平常と異なることはなかつたものであつて、本件休暇斗
争の教育に及ぼした影響は容易に回復できる程度のものであつたかはともかく、比
較的軽微であつたものということができる。
(五)、以上のとおりであつて、本件休暇斗争の教育に与えた影響は必ずしも重大
とはいえなかつたのに比し、佐教組の組合員たる教職員が争議行為を禁止されるこ
とによつて蒙るべき損害は極めて重大であり、これらを比較衡量すれば後者の争議
権が尊重されるべきである場合にあたり、したがつて本件休暇斗争は地公法三七条
一項によつて禁止された争議行為に該当しないことになる。
第五、結論
 被告のなした本件懲戒処分は本件休暇斗争が地公法三七条一項に該当する違法な
ものであることを前提としていることは明らかであり、したがつてその点が否定さ
れる以上原告らが別表二記載のような行為をしたかどうか、それが地公法第三七条
一項後段に該当するかどうかなどその余の諸点を判断するまでもなく、本件処分は
違法であつて取消しを免れない。よつて原告らの本訴請求はすべて正当としてこれ
を認容し、訴訟費用につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条を適用して主文
のとおり判決する。
(裁判官 諸江田鶴雄 松信尚章 大浜恵弘)
(別表一)
(別表二)
 (処分理由説明書)
a 停職二月
 昭和三十一年度における佐賀県教職員組合の執行委員長として同組合の諸般の行
動についての最高責任者であつたが、昭和三十二年二月中旬に第一日二割、第二日
二割、第三日三割、第四日三割の休暇斗争を行うことを企画して、同組合が実際に
行つた二月十四日から三日間の休暇斗争の端緒を作つたことは地方公務員法第三十
七条の規定に明らかに違反し、教育公務員として甚だ不都合であるから懲戒処分と
して停職二月に処するものである。
b 停職六月
 昭和三十一年度に於ける佐賀県教職員組合の副執行委員長であり、昭和三十二年
二月十四日、十五日および十六日の三日間にわたる同組合の休暇斗争に際して、斗
争組織上の最高責任者として同組合の各分会に斗争指令を発し、更に全般的に斗争
の実践を指導推進して学校の正常な運営を阻害するに至らしめた。このことは地方
公務員法第三十七条の規定に明らかに違反し教育公務員として甚だ不都合であるか
ら懲戒処分として停職六月に処するものである。
c 停職五月
 昭和三十一年度に於ける佐賀県教職員組合の書記長であり、情報宣伝部長であつ
て昭和三十二年二月十四日、十五日および十六日の三日間にわたる同組合の休暇斗
争に際しb斗争委員長を補佐し、更に全般的に斗争の実践を指導推進して学校の正
常な運営を阻害するに至らしめた。
 このことは地方公務員法第三十七条の規定に明らかに違反し、教育公務員として
甚だ不都合であるから懲戒処分として停職五月に処するものである。
d 停職二月
 昭和三十一年度に於ける佐賀県教職員組合の書記次長であり調査部長であつて、
昭和三十二年二月十四日、十五日及び十六日の三日間にわたる同組合の休暇斗争に
際して、c書記長を補佐して斗争の実践を指導推進して学校の正常な運営を阻害す
るに至らしめた。
 このことは地方公務員法第三十七条の規定に明らかに違反し教育公務員として甚
だ不都合であるから懲戒処分として停職二月に処するものである。
e 停職一月
 昭和三十一年度における佐賀県教職員組合の執行委員であり、組織法制部長であ
つて昭和三十二年二月十四日、十五日および十六日の三日間にわたる同組合の休暇
斗争に際して斗争の実践を指導推進して学校の正常な運営を阻害するに至らしめ
た。このことは地方公務員法第三十七条の規定に明らかに違反し、教育公務員とし
て甚だ不都合であるから懲戒処分として停職一月に処するものである。
f 停職一月
 昭和三十一年度における佐賀県教職員組合の執行委員であり、婦人部長および教
育文化部員であつて、昭和三十二年二月十四日、十五日および十六日の三日間にわ
たる同組合の休暇斗争に際して、斗争の実践を指導推進して学校の正常な運営を阻
害するに至らしめた。このことは地方公務員法第三十七条の規定に明らかに違反
し、教育公務員として甚だ不都合であるから懲戒処分として停職一月に処するもの
である。
j 停職一月
 昭和三十一年度における佐賀県教職員組合の執行委員であり、厚生部員であつて
昭和三十二年二月十四日、十五日および十六日の三日間にわたる同組合の休暇斗争
に際して、斗争の実践を指導推進して学校の正常な運営を阻害するに至らしめた。
このことは地方公務員法第三十七条の規定に明らかに違反し、教育公務員として甚
だ不都合であるから懲戒処分として停職一月に処するものである。
h 停職一月
 昭和三十一年度における佐賀県教職員組合の中央委員であり、佐賀郡支部担当の
執行委員であるが、昭和三十二年二月十四日、十五日および十六日の三日間にわた
る同組合の休暇斗争に際して、斗争の実践を指導推進して学校の正常な運営を阻害
するに至らしめた。このことは地方公務員法第三十七条の規定に明らかに違反し、
教育公務員として甚だ不都合であるから、懲戒処分として停職一月に処するもので
ある。
g 停職一月
 昭和三十一年度における佐賀県教職員組合の中央委員であり、佐賀市支部担当の
執行委員であるが、昭和三十二年二月十四日、十五日および十六日の三日間にわた
る同組合の休暇斗争に際して、斗争の実践を指導推進して学校の正常な運営を阻害
するに至らしめた。このことは地方公務員法第三十七条の規定に明らかに違反し、
教育公務員として甚だ不都合であるから懲戒処分として停職一月に処するものであ
る。
i 停職一月
 昭和三十一年度における佐賀県教職員組合の中央委員であり、小城郡支部担当の
執行委員であるが、昭和三十二年二月十四日、十五日および十六日の三日間にわた
る同組合の休暇斗争に際して、斗争の実践を指導推進して学校の正常な運営を阻害
するに至らしめた。このことは、地方公務員法第三十七条の規定に明らかに違反し
教育公務員として甚だ不都合であるから懲戒処分として停職一月に処するものであ
る。

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