弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件控訴を棄却する。
     控訴費用は控訴人の負担とする。
         事    実
 控訴代理人は、原判決を取り消す、被控訴人の請求を棄却する、訴訟費用は第
一、二審とも被控訴人の負担とする、との判決を求め、被控訴代理人は、控訴棄却
の判決を求めた。
 当事者双方の事実上及び法律上の主張、認否、書証の提出及びこれに対する認否
並びに証拠の援用については、
 被控訴代理人において、「控訴人から支払を受けた金員のうち、昭和三三年一〇
月三一日の金十万円と昭和三四年七月一二日の金三千百九十円、合計金十万三千百
九十円は本件貸金元本の弁済に充当したものであり、又、昭和三二年九月から昭和
三三年一〇月まで毎月金三万円ずつと昭和三三年一一月三〇日の金一万二千円、合
計金四十三万二千円は、当事者間の合意により、本件貸金に対する昭和三三年一一
月一五日までの約定利息に対する弁済に充当したものである。なお、控訴人が昭和
三六年四月一九日その主張のような弁済供託をしたとの事実は認めるが、右供託に
より債務が消滅したとの点は否認する。」と述べ、
 控訴代理人において、「被控訴人主張のような弁済充当をした事案を認める。な
お、控訴人は、昭和三六年四月一九日、被控訴人に対して、本件貸金残金一万六千
八百九十七円及びこれに対する昭和三五年一二日一日から昭和三六年四月一九日ま
での遅延損害金二干五百九十円、合計金一万九千四百八十七円を弁済のため現実に
提供したが、その受領を拒絶されたので、昭和三六年九月二日、右金員を札幌法務
局に弁済のための供託した。従つて、右供託により、本件貸金債務は全部消滅した
ものである。」と述べ
 た外、原判決事実欄に記載するところと同一であるから、ここにこれを引用す
る。
         理    由
 被控訴人が昭和三二年九月九日、控訴人との間に、従前の貸金債権金五十万円を
準消費貸借の目的に供し、弁済期昭和三三年三月末日、利息及び違約損害金を月六
分と定める旨を約した上、右貸金債務を担保するため、控訴人から被控訴人に対し
て別紙第一目録記載の物件の所有権を移転した事実並びにその後右貸金の弁済期を
昭和三三年一二月末日まで延期する旨を約した事実は当事者間に争いなく、成立に
争のない甲第一、二号証、原審証人A及びBの各証言並びに弁論の全趣旨を総合す
れば、右貸金担保の趣旨は、控訴人が弁済を怠つたときは被控訴人において前記の
担保物を任意売却し、その代金を以つて本件貸金債務の弁済に充当すべく、控訴人
が弁済期に完済したときは右担保物の所有権は当然に控訴人に復帰すること、被控
訴人は控訴人に対して右担保物を無償で貸与し、控訴人が弁済を怠つたときは右使
用貸借も当然終了し、被控訴人に右担保物を引渡すべきものであつたことが認めら
れ、右認定を覆えすに足る証拠はない。それゆえ、別紙目録記載の物件は、昭和三
二年九月九日、被控訴人の所有に帰属したものといわなければならない。
 そこで、控訴人主張の抗弁をみるに、控訴人が被控訴人に対し、別紙目録記載の
日、同記載の金員を支払つたこと、右支払金員のうち、昭和三三年一〇月三一日金
十万円、昭和三四年七月一二日金三千百九十円、合計金十万三千百九十円を本件貸
金元本の内金に弁済充当し、昭和三二年九月から昭和三三年一〇月まで毎月末日金
三千円ずつ及び昭和三三年一一月三〇日金一万二千円、合計金四十三万二千円を、
当事者間の合意により、本件貸金に対する昭和三三年一一月一五日までの月六分の
約定利息の弁済に充当して右各金員を支払つたことは当事者間に争いのないところ
である。控訴人は、右約定利息の額が利息制限法所定年一割八分の制限を超えるも
のであるから、その超過部分はその支払の都度、残存元本の弁済に充当すべきであ
る旨主張するので按ずるに、なるほど、右約定利息が利息制限法所定の制限利率を
超えるものであることは控訴人の主張するとおり<要旨>であるが、しかし、当事者
間の合意により約定利息の弁済に充当した金員は、たとえ、利息制限法所定の制
利率を超える部分があつても、後日あらためて右超過部分の金員を残存元
本の弁済に充当することができないものと解するのが相当である。けだし、利息制
限法は、債務者保護のため利息額の最高限を定め、その限度を超える利息の契約成
立を禁遏してその超過部分を無効とするほか、利息を天引した場合において、天引
額が債務者の受領額を元本として計算した制限利率を超えるときは、その超過部分
を元本の支払に充てたものとみなす旨を定めているが、しかし、契約成立後におい
ては、いささか趣を異にし、債務者が任意に支払つたときは、その超過部分の返還
を請求することができないものと定めているからである。それゆえ、控訴人の前記
主張はこれを採用することができない。
 次に、控訴人は、昭和三六年四月一九日、被控訴人に対し、本件貸金元本の内金
一万六千八百九十七円及びこれに対する昭和三五年一二月一日から昭和三六年四月
一九日までの遅延損害金二千五百九十円、合計金一万九千四百八十七円を弁済のた
め現実に提供したが、その受領を拒絶されたので、昭和三六年九月二日、右金員を
弁済供託したから、本件貸金債務は右供託により消滅した旨主張するが、右弁済の
提供は、本件貸金債務の弁済期限である昭和三三年一二月三一日以後になされたも
のであつて、債務の本旨に従つたものではないから、債権者たる被控訴人がその受
領を拒絶するのは当然で、従つて、たとえ、控訴人主張の弁済供託をしたとして
も、これによつて債務消滅の効果を生ずるに由ないものといわなければならない。
それゆえ、控訴人の右主張も、また、これを採用することができない。
 そうとすれば、弁済期である昭和三三年一二月三一日当時の貸金残金は、別紙第
二目録記載のとおり、金四十万円であつたことは計数上明らかであるから、別紙第
一目録記載の物件についての使用貸借は、約旨により昭和三三年一二月三一日限り
終了したものというべく、従つて、控訴人は、被控訴人に対し、右物件を引き渡す
べき義務あること当然である。
 よつて、民事訴訟法第三八四条、第九五条、第八九条を適用して主文のとおり判
決する。
 (裁判長裁判官 乾久治 裁判官 臼居直道 裁判官 安久津武人)
(別紙第一目録)
<記載内容は末尾1添付>
(別紙第二目録)
<記載内容は末尾2添付>

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