弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄し、本件を仙台高等裁判所秋田支部に差し戻す。
         理    由
 上告代理人阿部正一の上告理由第一点(2)ないし(5)について。
 (一) 原判決は、上告会社の設立に際し額面株式一、〇〇〇株(一株の金額お
よび発行価額一、〇〇〇円)を発行すべきことを定め、訴外Dが三〇〇株、被上告
人が二五〇株、訴外Eらが合計四五〇株を引き受けたが、その払込金は被上告人が
F銀行を通して中小企業金融公庫(以下公庫と略記する。)から借り受けた金一〇
〇万円をもつてこれに当てたことを認定し、つづいて、公庫に対する被上告人の貸
金債務につき上告会社が重畳的または免責的な債務引受をなした旨を認定した上、
原判決は、さらに、当時上告会社の常務取締役であつた被上告人は、本件土地を公
庫に対する右債務の増抵当物件として提供することを上告会社に対し承諾したとこ
ろ、上告会社代表者Dは、被上告人に無断で本件土地を上告会社の所有名義に登記
した上、公庫のために抵当権設定登記をしたので、これを発見した被上告人は、昭
和三一年末頃または同三二年はじめ頃、右の所有権移転登記の不当を詰問したとこ
ろ、Dは、上告会社代表者として、公庫に対する債務が将来弁済され抵当権設定登
記が抹消される時は被上告人名義に本件土地の所有権移転登記をするからそれまで
猶予して貰いたい旨の申出をしたので、被上告人はこれを承諾した旨の事実を認定
している。
 (二) しかし、
 (イ) 原判決のいうように、被上告人が公庫から金一〇〇万町を借り受け、こ
れをもつて株金を払い込み、上告会社が設立されたという認定が正しいとするなら
ば、被上告人の負つている右債務(資本金の額と同額のもの)につき、発足後間も
ない上告会社が、免責的ないし重畳的に引き受けるということは(とくに免責的債
務引受については)、特別の事情が認められないかぎり、とうてい納得しがたいと
ころといわなければならない。そもそも、株主が株金払込のために他より借り受け
た借入金の債務につき、会社自体が弁済の責に任ずるなどということは異例なこと
であり、これが認められる場合においては、その前提として、上告会社が被上告人
からこれに対する代償を得るか(たとえば、被上告人からあらかじめこれに見合う
他の財産を譲り受ける等のこと)、上告会社がその弁済の責を果したときには、被
上告人に対し求償しうることが明らかでなければならない筋合である。けだし、代
償を得ることもなく、求償もなし得ないとするならば、上告会社は、その株主に対
し出資の総額を払い戻したと同様のきわめて不当な結果を招来するからである。然
るに、原判決には、これらの点に思いを致した形跡がなんら認められないばかりで
なく、右説示したところに照らし、たやすく、肯認しがたい事実、すなわち、右債
務を担保するため被上告人が提供したとされる本件土地につき、上告会社は、右債
務が弁済される時は、右土地の所有名義を被上告人名義に復帰すべきことを約した
という事実を認定しているのである。
 然らば、原審は、以上の諸点につき審理を尽くさず、かつ理由不備の違法を犯し
ているものというほかはない。
 (ロ) 次に、成立に争いのない乙三号証によると、所論のとおり、上告会社は、
その後昭和三二年七月一一日本件土地について、極度額金三〇〇万円におよぶ根抵
当権の設定登記をしていることがうかがわれるが、上告会社の常務取締役である被
上告人がこれを知らないはずはなく、知つたとすれば、一〇〇万円の債務に対する
担保提供の承諾のときに所有権移転登記が不当にされたとして上告会社代表者Dを
詰問したとされる被上告人が、このような根抵当権の設定を黙認していることは容
易に考えられないところ、被上告人が、この点で右Dらをとくに詰問していること
は、一件記録上全くうかがわれないことにかんがみれば、右乙三号証は原判決の前
示認定事実に対する有力な反証であり、これを排斥するには特段の説明を要するも
のと解されるが、原判決が、この点に関しなんら判示するところがないのは、理由
不備のそしりを免れない。
 (ハ) さらに、乙一号証によれば昭和三四年五月、上告会社の当時の代表者D
と現代表者Gとの間の代表者の交替に際しては、詳細な取極めがなされ、右Dと共
に退陣する被上告人もこれに関与し、被上告人と会社との間にも取極めがなされて
いるにかかわらず、被上告人主張の契約のことについてはなんらふれるところがな
かつたことがうかがわれ、もし右乙号証の成立が認められるならば、右書証は、他
の証拠と相いまつて、原審認定の前示契約の事実に対する有力な反証たることを失
わないものと認められるところ、原審は、同号証の成立につきなんら判断を示すと
ころなく、したがつて、右書証につき特段の説明を加えることもなく、たやすくこ
れを排斥しているのであつて、この点において原判決には、重要な証拠についての
判断を遺脱し、ひいて審理不尽、理由不備におちいつた違法があるといわなければ
ならない。
 (三) 以上説示したように、原判決には理由不備か、または審理不尽の違法が
あるというべきであつて、結局、論旨は理由がある。
 よつて、その余の論旨に対する判断を省略し、民事訴訟法四〇七条一項に基づき、
原判決を破棄して本件を原審に差し戻すこととし、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    横   田   正   俊
            裁判官    五 鬼 上   堅   磐
            裁判官    柏   原   語   六
            裁判官    田   中   二   郎

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