弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告は孰れも之を棄却する。
     上告費用は上告人等の負担とする。
         理    由
 本件上告理由は末尾添付別紙記載のとおりであつて、これに対する判断は次のと
おりである。
 上告理由第一点について。
 原判決は、被上告委員会の本件異議却下の決定は昭和二二年一一月一七日上告人
等に送達された事実を確定したことは所論のとおりであるけれども、右はただ、同
決定に対する不服の訴提起の期間算定の基準としてこれを示したにとどまるのであ
つて、右却下決定の内容の當否については何らの判断をも与えていないのである。
右の期間は昭和二二年法律第二四一号附則第七条第一項所定の如く、処分のあつた
ことを知つた日から起算するのであつて、その処分が有効であるか無効であるかは
右期間の起算に関しては問題とならないのである。すなはち原判決は所論のごとく
自作農創設特別措置法第七条第三項所定の期間経過後になされた被上告委員会の本
件異議却下決定は、右期間経過後になされたにかかわらず有効なりとの判断を示し
てはいないのである。論旨は、原判決が右のごとき判断を示したことを前提とする
ものであつて、上告の理由としてこれを採り上げることはできないのである。
 同第二点について。
 本件異議の決定が仮りに違法のものであつても、その決定の取消を求める訴は昭
和二二年法律第二四一号(自作農創設特別措置法改正法律、同年一二月二六日施行)
附則第七条第一項によつて、改正法律施行前処分のあつたことを知つた者について
は、改正法施行後一箇月以内に提起しなければならない。然るに原審の認定によれ
ば、上告人は昭和二二年一一月一七日に本件決定謄本の送達を受けたのであるから、
遅くもその當日には本件決定のあつたことを知り又は知ることができたものである。
而して上告人は同二三年四月一九日に本訴を提起したのであるから出訴期間経過後
の出訴であることは明白であつてこの理由によつて、本訴を不適法として却下する
旨の裁判をした原判決は正當である。論旨は理由がない。
 同第三点について。
 原判決は、本件異議却下の決定に対する不服の訴は、法定の出訴期間経過後に提
起されたものであるから不適法であるというのであつて、右決定に対して別に都道
府県に対して訴願をなし得るや、否や、その訴願提起の期間をいかに解すべきかに
ついては、何ら判断を示すところはないのである。論旨は原判決が右訴願の途を杜
絶するが如き解釋をとるものと誤信しているのであつて畢意原判決を正解しないこ
とに基ずくものというべく、これを採用することはできない。
 以上のように本件上告は理由がないから、民事訴訟法第四〇一条、第九五条、第
八九条を適用して主文のとおり判決する。
 この判決は裁判官全員の一致した意見によるものである。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    霜   山   精   一
            裁判官    栗   山       茂
            裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    藤   田   八   郎

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