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令和3年3月26日判決言渡同日原本交付裁判所書記官
令和2年(ワ)第26867号発信者情報開示請求事件
口頭弁論終結日令和3年3月9日
判決
原告X
同訴訟代理人弁護士中島博之
被告GMOペパボ株式会社
同訴訟代理人弁護士佐藤明夫
松本雄真
海住舞子
主文
1被告は,原告に対し,別紙発信者情報目録記載の各情報を開示せよ。15
2訴訟費用は被告の負担とする。
事実及び理由
第1請求
主文同旨
第2事案の概要20
1本件は,原告が,氏名不詳者がインターネット上のウェブサイトに別紙投稿
記事目録記載の記事(以下「本件記事」という。)をアップロードし,原告の
著作権(複製権又は翻案権,公衆送信権)を侵害したことが明らかであるなど
と主張して,被告に対し,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び
発信者情報の開示に関する法律(以下「法」という。)4条1項に基づき,上25
記著作権の侵害に係る発信者情報である別紙発信者情報目録記載の各情報(以
下「本件発信者情報」という。)の開示を求める事案である。
2請求原因
⑴原告は,別紙著作物目録記載の漫画(以下「本件漫画」という。)につい
て著作権を有する著作権者である。
⑵被告は,「漫画~無料漫画感想ネタバレビュー」と題するウェブサイト5
(以下「本件サイト」という。)のサーバを管理していた特定電気通信役務
提供者である。
⑶氏名不詳者は,別紙投稿記事目録の「投稿日時」欄記載の年月日に,本件
サイト内にあり同目録の「閲覧用URL」記載のウェブサイトに,本件記事
をアップロードした(以下,本件記事をアップロードした氏名不詳者を「本10
件投稿者」という。)。本件投稿者と本件サイトに係るサーバの利用契約者は
同一である。
⑷ア本件投稿者は,本件漫画のほぼ全ての台詞をそのまま抜き出すとともに,
絵で描かれている情景や登場人物の名前を文字に起こしており,本件記事
は,本件漫画と実質的に同一のものといえ,又,本件漫画のコマ部分をデ15
ッドコピーしたものであり,本件記事のアップロードによって原告の著作
権(複製権,公衆送信権)が侵害されたことは明らかである。
イまた,本件記事の文字部分について,新たな創作性が付与されていると
しても,本件記事は,本件漫画に依拠し,その本質的特徴が感じられるこ
とは明らかであり,原告の翻案権が侵害されたことは明らかである。20
⑸原告は,本件投稿者に対する損害賠償請求のため,本件発信者情報の開示
を受けるべき正当な理由がある。
⑹被告は,本件発信者情報を保有している。
⑺よって,原告は,被告に対し,法4条1項に基づき,本件発信者情報の開
示を求める。25
3被告の認否
⑴請求原因⑴,同⑹は認める。
⑵請求原因⑵のうち,被告が特定電気通信役務提供者であることは認め,そ
の余は否認。
⑶請求原因⑶ないし⑸は,不知ないし否認。
第3当裁判所の判断5
1請求原因⑴,同⑹は,当事者間に争いがない。
2証拠(甲1,2)及び弁論の全趣旨によれば,被告は,本件記事の投稿時,
本件サイトのサーバを管理していたことが認められ,請求原因⑵は認められる。
3証拠(甲1,2,4,6)及び弁論の全趣旨によれば,請求原因⑶は認めら
れる。10
4原告は,本件漫画の著作権者であり(争いのない事実),本件漫画のコマ部
分(コマ絵及び台詞)の著作権を有するところ,本件記事には,本件漫画のコ
マ部分(コマ絵及び台詞)が掲載されており(甲4,9),本件記事のアップ
ロードは原告の複製権及び公衆送信権を侵害するものであり,他に著作権侵害
を阻却する事由も認められない。したがって,原告の複製権及び公衆送信権が15
侵害されたことは明らかといえ,請求原因⑷アを認めることができる。
5証拠(甲6)及び弁論の全趣旨によれば,原告は,本件投稿者に対して,著
作権侵害を理由に損害賠償請求する意思を有しており,そのためには,本件発
信者情報の開示が必要であるから,請求原因⑸は認められる。
6以上によれば,被告は,本件記事がアップロードされた本件サイトを管理し20
ており,本件投稿者による通信を媒介した開示関係役務提供者といえるところ,
本件記事のアップロードにより原告の著作権が侵害されており,原告には本件
発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるといえる。
7よって,原告の請求は理由があるからこれを認容することとし,主文のとお
り判決する。25
東京地方裁判所民事第46部
裁判長裁判官柴田義明
裁判官佐伯良子
裁判官棚井啓
(別紙)
発信者情報目録
別紙投稿記事目録記載の投稿日時における閲覧用URLのサーバ領域の契
約者に係る下記情報
記5
1氏名または名称
2住所
3メールアドレス
4電話番号
(別紙投稿記事目録は省略)
(別紙著作物目録は省略)

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