弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人佐藤直敏の上告趣意第一点の一について。
 しかし、所論親族関係の存在は、単に法律上刑の免除の原由たるに過ぎないから、
これが主張の存しない限り、必ずしも、これが審判をなすの要あるものではない。
そして本件では上告人は原審において、これが主張をした形跡がなく、また特にそ
の存在を疑わしめるに足る特別の事情も存しない、のみならず、記録を精査すると、
原審第一回公判廷において、裁判長は被告人に対して「A、B、C等は知合か」と
訊問したのに対して、被告人は「Aは知つていましたが他の二人は知りませんでし
た」と答えている。又右公判廷において、裁判長が証拠調として被告人に対する司
法警察官の訊問調書を読み聞け意見弁解を求めたのに、被告人は何もないと答えて
いる。そして、右訊問調書には「問、お前はB、A、Cと親戚関係なきや、答、今
迄顔は知つていましたが氏名は知りません人々でした。親戚関係はありません」と
あるから、原審は所論の被告人と窃盗本犯との間に親族関係の有無について、審理
しその関係を認めなかつたこと明白である。それ故この点に対する所論は採るを得
ない。
 同第一点の二について。
 しかし、記録を精査すると、原審は昭和二三年六月一八日公判を開き、同日結審
をしたことは所論のとおりであるが、これよりさき同年五月一七日附で東京地方検
察庁に対し、A外二名にかかる窃盗被告事件の記録の送付を嘱託している。そして
右公判廷において、裁判長は証拠調の際右取寄記録中の各訊問調書、盗難被害届の
各要旨を告げ、被告人に対して意見弁解の有無を問い、右書類の供述者又は作成者
の喚問を求めうる旨及び利益の証拠があれば提出し得る旨を告げたところ、被告人
は、別にありませんと答えていることが明らかである。だから、原審は所論の訊問
調書についても、証拠調をなし且つ被告人及び弁護人に対して、右調書の供述者又
は作成者の喚問申請を促したにもかかわらず、被告人及び弁護人はその請求をしな
かつたものである。されば所論の訊問調書を証拠にとつた原審は刑訴応急措置法第
一二条(上告趣意には第一五条とあれども第一二条の誤記と認む)又は刑訴法第四
一〇条第一三号の規定に違背するものではない。論旨は理由がない。
 同第二点について。
 しかし、憲法第三六条にいわゆる「残虐な刑罰」とは人道上残酷と認められる刑
罰を指し、法定刑の選択又は量定の不当を言うものではない。(昭和二二年(れ)
第三二三号同二三年六月二三日大法廷判決参照)また、刑の執行猶予を与うべきか
否かは、刑の言渡をなす事実裁判所が諸般の事情を勘案して自由に決する事柄であ
る。それ故、原審が被告人を刑法第二五六条第二項所定の十年以下の懲役及び千円
以下の罰金の範囲内で、懲役六月及び罰金六百円に処し、刑の執行猶予をしなかつ
たからと言つて、右憲法の条規に違反するものとはいえない。また、刑訴応急措置
法第一三条第二項の規定は、刑の量定甚しく不当なりと思料すべき顕著な事由ある
に止まるときは、上告理由とすることができないというにすぎないのであつて、刑
の量定が違法の場合又は憲法第三六条にいわゆる「残虐な刑罰」を科した場合に、
これを上告の理由とすることを許さない趣旨ではないのであるから、前記措置法の
規定をもつて、右憲法の規定に違反するものとなす論は当らない。所論は名を憲法
違反に藉り、その実原審の自由裁量に属する量刑を非難するに過ぎないものである
から、上告適法の理由とはならない。
 よつて刑訴法第四四六条に従い、主文のとおり判決する。
 この判決は、裁判官全員の一致した意見である。
 検察官 安平政吉関与
  昭和二三年一二月二七日
     最高裁判所大法廷
         裁判長裁判官    塚   崎   直   義
            裁判官    長 谷 川   太 一 郎
            裁判官    沢   田   竹 治 郎
            裁判官    霜   山   精   一
            裁判官    井   上       登
            裁判官    栗   山       茂
            裁判官    真   野       毅
            裁判官    島           保
            裁判官    齋   藤   悠   輔
            裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    河   村   又   介

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