弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件控訴を棄却する。
         理    由
 本件控訴の趣意は、弁護人杉浦酉太郎の控訴趣意書を引用する。
 その第一点について。
 論旨の要旨は、被告人は、Aに商売資金として、二万円を交付したもので、選挙
運動の報酬の趣旨は含まれていないのに、原判決は、採証の法則を誤り、事実を誤
認して、右金二万円を選挙運動の報酬と認定したものであると謂うにある。
 よつてこの点に関し、原判決が証拠としたものは、被告人及び原審相被告人の原
審公判廷における各供述、Aの検察官に対する第一乃至第三回供述調書謄本、被告
人の検察官に対する第一、第二回供述調書であるが、被告人の供述調書について
は、原判決は、証拠の標目を掲記するに際し、供述調書謄本としたが、これは、原
審相被告人Aの犯罪事実についての証拠にも引用するつもりで、且つ内容が同一な
ため記載したもので、これは、措辞妥当を欠くか又は誤記したものと認める。被告
人及びAは、原審公判廷で、原判示の金銭の趣旨を否認する外、その他の事実は認
めて居り、被告人の検察官に対する第一、二回供述調書によれば、被告人は、候補
者Bと叔父甥の関係にあつて、Bを当選せしめたく熱望していたものであり、A
は、被告人方に先代より出入して居るもので、この間の事情をよく知つて居るもの
であるが、昭和二十七年九月初頃、Aは被告人に対し、Bが立候補したら、自分が
a村の方の選挙運動をする旨話したところ、被告人は、よろしく頼むと言つて居
り、同年九月五、六日頃、Bが立候補したことが明らかとなるや、Aは被告人に対
し、Bのため投票取りまとめのため、他の候補者と対抗上、金を使わねばならなく
なつたら、その時は、金を出してくれと頼んでおいたところ、同年九月二十日頃、
Aが被告人方を訪ね、被告人に対し、「a村で他の候補者も金をまいて居る様子だ
から自分もB派のために投票を集めるため費用を相当使つたし、又これからも費用
がかかると思う、選挙の方に自分で立替えて相当使つたので、商売の問屋に払う資
金が不足したから、是非二万円出してくれ」と頼んだので、被告人としては、選挙
のことで叔父Bのために働いてくれているAに損をかけるわけにも行かないし、他
の候補者もやつているとすれば、それに対抗上、金で投票を集めることも仕方がな
いと考え、Aの要求通り、二万円を渡したが、その時、被告人は、Aが選挙運動に
使つた分を差引いて残りがあればその分は、商売の資金に当て、その分だけは返し
てくるだろうが、二万円全部を投票買収費に使えば、返さないだろうと思つたが、
二万円は、選挙運動の実費として渡したものでないことが十分に認められ、Aの検
察官に対する供述調書謄本によれば、右と同趣旨のことが認められるのみならず、
Aは被告人からも、Bのための選挙運動を頼まれ、同年九月二十日頃までに合計一
万七千円位を投票取りまとめの費用として使用し、引き続き、費用もいるし、商売
資金に不足も来たしたので、被告人に二万円出してもらつたことが認められる。
 以上の点を綜合するときは、被告人は、Aに対し、同人がBのため選挙運動を為
したことに対する報酬として金二万円を供与した事実が十分に認められる。証人A
の証書を見るも、右認定事実を覆するに足らないのみならず、右二万円はAが投票
の買収費として自分の金一万七千円位を使つたので、商売資金に不足を生じ、候補
者Bと特殊関係のある被告人にその旨を話し、受取つたものであることが認められ
るから、右金二万円は被告人が選挙運動と関係なく、Aに渡したものであるとは、
到底認められない。原審は採証法則に違反していることはなく、且つ事実誤認もな
い。論旨は、理由がない。
 第二点について、
 論旨は、原判決が公職選挙法第二百二十一条第一項第三号を適用したのは誤り
で、同条第一項第一号を適用すべきであつたと謂い、選挙運動を為した報酬とする
ためには、投票日以後に供与されたものでなければなら<要旨>ないと論ずるが、投
票日以後において、選挙運動者に報酬を供与したときには、明らかに選挙運動をし
たことの報酬として、同条第一項第三号に該当するけれども、選挙運動をし
たことの報酬は、投票日以後の供与に限るものでなく、投票日以前においても、個
々の選挙運動を為した尓後においての報酬についても、これに該当するものと解す
べく、従つて本件においては、Aが選挙運動を為し、投票買収費として、一万七千
円を使つた後に、これが報酬として、被告人がAに金二万円を供与したものである
から、尓後の報酬として、原判決が、同条第一項第三号を適用したのは正当であ
る。仮りに、同条第一項第一号を適用すべきに拘らず、同条第一項第三号を適用し
ても、その法定刑に変りはないので、判決に影響することが明らかでないとも解す
ることができる。論旨は理由がない。
 同第三点について、
 第一点について説明した通り、被告人は、AがB候補のため、昭和二十七年九月
初頃から同月二十日頃までに、投票取りまとめの運動を為し、合計一万七千円位を
使つたので、被告人がこれが補償をする意味で、二万円を出した事実も認められる
ので、被告人の行為は、Aが選挙運動を為したことに対する報酬供与と認めること
ができる。原判決挙示の証拠によると、十分にこれを認め得るところで、その間に
矛盾を認めない。被告人はAに二万円を渡したならば、Aがその金を商売資金に充
てるか又は更に選挙運動費用に費消するか或は一部を返すか、わからないと想像し
たことが、被告人の検祭官供述調書に現れているが、二万円を供与した根本の趣旨
は、AがBのため投票取りまとめ運動を為し、一万七千円を使つて、商売資金に不
自由を来たすことを虞れ、これを返す趣旨で供与したものであるから、選挙運動を
したことの報酬と認定するのは正当であり、単純な貸借と見ることはできない。論
旨は、理由がない。
 よつて刑事訴訟法第三百九十六条により、本件控訴を棄却する。
 (裁判長判事 高城運七 判事 柳沢節夫 判事 赤間鎮雄)

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