弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     第一審判決の判示第一の臨時物資需給調整法違反の罪について各被告人
を免訴する。
     被告人等を各懲役五月に処する。但し被告人等三名に対しいずれも二年
間右刑の執行を猶予する。
     被告人Aより金四二八七六〇円三三銭を、被告人B、同Cより各金四二
一七六〇円三三銭をそれぞれ追徴する。
     訴訟費用中第一審において証人D、同E、同Fに支給した分及び当審に
おける分は全部被告人等三名の連帯負担とする。
         理    由
 職権を以て調査すると、原判決の是認した併合罪中第一審判決認定の判示第一の
臨時物資需給調整法違反の罪については、原判決のあつた後昭和二七年政令一一七
号大赦令一条により大赦があつたので、刑訴四一一条五号、四一三条但書、四一四
条、四〇四条、三三七条三号により主文第一、二項のとおり破棄、免訴し、その余
の罪について更に判決すべきものと認める。従つて当裁判所が自ら更に量定処断す
べき本件塩専売法違反の罪の追徴の点に関する弁護人林喜平の上告趣意第一点ない
し第三点に対しては判断を与えない。
 よつて各被告人の右大赦にかからない罪に対して法令を適用すると第一審判決の
判示第二の(一)、(二)の贈賄の点は刑法一九八条、六〇条に、同判示第三の十
三回に亘る価格違反の点は物価統制令九条の二、三四条、昭和二四年法律一一二号
による改正前の塩専売法二〇条、旧塩売捌規則一一条、刑法六〇条に、同判示第四
の十三回に亘る白塩を譲渡した点は右法律一一二号により改正された塩専売法附則
八項により改正前の同法五条、二五条刑法六〇条に(但し昭和二三年一二月二四日
頃の分については更に昭和二三年法律一九号煙草専売法の一部を改正する等の法律
一七条の一七、第五項をも適用)各該当し、右物価統制令違反と塩専売法違反の所
為は一個の行為で数個の罪名に触れる場合であるから刑法五四条一項前段一〇条に
より重い前者の罪の刑に従い(されば前示法律一一二号による改正前の塩専売法三
五条を適用しない)以上は刑法四五条前段の併合罪であるからいずれも所定刑中懲
役刑を選択し同法四七条、一〇条により最も重いと認める昭和二三年一二月二四日
頃白塩七二〇叭を不当に高価な額で上新川郡a村農業協同組合に販売した罪の刑に
法定の加重をした刑期範囲内で被告人等を各懲役五月に処し、同法二五条を適用し
二年間右刑の執行を猶予すべくDに贈賄した現金七千円は同人から贈賄者である被
告人Aに返還せられ同被告人がこれを費消し没収することができないから同法一九
七条の四に則り同被告人よりその金額七千円を追徴すべく、なお第一審判決の判示
第四の塩専売法違反の罪にかかる白塩は既に譲渡し又は費消しこれを没収すること
ができないから前示法律一一二号による改正前の塩専売法二五条(但し昭和二三年
一二月二四日頃の分については前示法律一九号煙草専売法の一部を改正する等の法
律一七条の一七、第五項をも適用)右法律一一二号により改正せられた塩専売法附
則八項、刑法四九条一項、五四条二項により昭和二三年三月三〇日頃の分の基準価
格計七四五、八八五円八〇銭同年一二月二四日頃の分の価格に相当する金額八三五、
二〇〇円合計一五八一、〇八五円八〇銭を被告人等三名より平等に追徴すべきとこ
ろ、原判決は、全部の基準価格計一二六五、二八一円を追徴したに過ぎないから、
刑訴四一四条、四〇二条により原判決の追徴した金額を被告人等三名から平等で結
局主文五項のとおり追徴すべく、訴訟費用の負担については刑訴一八一条一項、一
八二条に則り裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。
 検察官 大津民蔵出席
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    斎   藤   悠   輔
            裁判官    真   野       毅
            裁判官    岩   松   三   郎
            裁判官    入   江   俊   郎

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