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福岡地裁平成20.3.25一部開示命令316条の26第1項
主文
本件保護状況ないし採尿状況に関する記載のある警察官A作成のメモを開示することを
命じる。
その余の本件証拠開示命令請求を棄却する。
理由
第1請求の趣旨及び理由
弁護人作成の平成20年2月29日付け証拠開示命令請求書2項及び3項記載のとおりである
から,これを引用する。
第2当裁判所の判断
1検察官の平成20年3月10日付け求釈明に対する意見書及びB県警察本部刑事部刑事総
務課長作成の平成20年3月21日付け「警察官作成の「個人的メモ」の提示決定に対する意見
書」と題する書面の写し(以下「県警意見書」という。)によれば,本件証拠に該当する
ものとして,警察官A作成のメモ(以下「本件メモ」という。)が存在し,これをA警察
官が保管していることが認められる。
2刑訴法316条の28第2項により期日間整理手続において準用される刑訴法316条の26第
1項の証拠開示命令の対象となる証拠は,必ずしも検察官が現に保管している証拠に限られ
ず,当該事件の捜査の過程で作成された書面等であって,公務員が職務上現に保管し,か
つ,検察官において入手が容易なものを含むと解するのが相当である。
これを本件についてみると,本件メモは,被告人に対する覚せい剤取締法違反被疑事件
の捜査の過程で作成された書面であって,A警察官が職務上現に保管し,かつ,検察官に
おいて入手が容易なものであることが明らかであるから,開示の対象となる証拠と認める
のが相当である。
この点,検察官は,本件メモについて,専ら自己が使用するために作成したもので,他
に見せたり提出することを全く想定していないものであるから,証拠開示命令の対象とは
ならないと主張する(検察官の平成20年3月13日付け異議申立書3項参照)。
しかし,警察官は,捜査を行うに当り,当該事件の公判の審理に証人として出頭する場
合を考慮し,その経過その他参考となるべき事項を明細に記録しておかなければならない
(犯罪捜査規範13条)。しかも,当裁判所は,本件保護状況に関し,A警察官を証人とし
て取り調べることを決定している。これらのことからすると,本件メモは個人的メモの域
を超え,捜査関係の公文書というべきであるから,検察官の主張は採用できない。
3本件メモは,いわゆる主張関連証拠として開示請求がなされたものであるから,その
関連性の程度その他の被告人の防御の準備のために当該開示をすることの必要性の程度並
びに当該開示によって生じるおそれのある弊害の内容及び程度を考慮し,相当と認めると
きに開示を命じることになる。
これを本件についてみると,弁護人は,警察官らがC交番において被告人の身体を違法
に拘束したと主張しているのであるから,本件保護状況に関する記載のある本件メモは,
弁護人の主張との関連性の程度が高く,また,警察官らの証言の信用性が問題となるとい
う本件の証拠構造に照らせば,被告人の防御の準備のために本件メモの開示をすることの
必要性の程度も高いといえる一方,本件メモの開示によって生じるおそれのある弊害は,
一般的には考えにくく,検察官からの具体的な主張もない以上,これがあるとは認められ
ない。
なお,本件メモの内容によっては,上記関連性及び必要性について異なる判断もあり得
ることから,当裁判所は本件メモの提示を命じたが,検察官はこれに応じなかった。また,
県警意見書によれば,本件メモの内容は,任意採尿を実施するに当たり,必要な書類等を
B県D警察署組織犯罪対策課捜査員に対して問い合わせ確認した結果等が雑記されている
にすぎないというのであるが,これだけでは上記判断をくつがえすに足りない。
4以上によれば,本件メモは開示をすべき証拠というべきである。
5県警意見書等によれば,本件メモ以外に本件証拠に該当する証拠は存在しないと認め
られるから,本件証拠開示命令請求中,本件メモに係る請求を除くその余の請求は,前提
を欠き,採用できない。
第3結論
よって,本件証拠開示命令請求中,本件メモに係る請求は理由があり,その余の請求に
は理由がないから,主文のとおり決定する。
(裁判官・柴田寿宏)

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