弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人北山八郎の上告理由第一、二点について。
 論旨は、まづ、本件のごとく、売買の登記について、登記原因を証する書面に、
未成年者に対する親権者の同意を証する書面の添付のない場合、また、未成年者が
代理人に依つて登記申請をするにあたつて、代理人の権限を証する書面に、親権者
の同意を証する書面の添付のない場合は、いずれも、不動産登記法四九条二号所定
の「事件カ登記スヘキモノニ非サルトキ」に該当するものであることを主張する。
 しかし、不動産登記法四九条二号にいわゆる「事件カ登記スヘキモノニ非サルト
キ」とは、原判示のごとく、主として申請がその趣旨自体において法律上許容すべ
からざること明らかな場合をいうものであつて(大審院昭和六年(ク)一一九号、
同年二月六日決定、民集一〇巻一号五〇頁参照)、所論の場合のごときはこれに該
らないと解するを相当とする。論旨引用の大審院判例は、売買と同時に登記しなか
つた買戻契約に基く買戻権の登記に関するものであつて本件に適切でない。
 次に論旨は、かりに右は同法四九条八号の場合であるとしても、異議の申立があ
つた場合には登記官吏は登記の抹消手続を為すべき義務があると主張する。
 しかし、登記の申請が同条八号に該当する場合は、登記官吏は決定をもつて申請
を却下すべきことは同条の規定するところであるけれども、かかる申請も受理され
て登記が完了した場合においては、登記官吏は職権をもつてこれを抹消することの
できないことは同法一四九条の二(改正前)の規定するところである。その法意は、
かかる登記手続の形式的違法性の故にその登記を抹消するときは、かかる登記を信
頼して取引をした第三者の利益を害することとなり、不動産取引の安全を害するの
おそれなしとしないからである。さらに、登記は、実質において、権利関係の実体
と合致する以上、申請の手続において、形式的な瑕疵あるからといつて当然に無効
となるものでなく、たとえ訴をもつてしてもかかる登記の抹消を請求することので
きないことは、当裁判所判例(昭和二九年(オ)第二七七号、同三一年七月一七日
第三小法廷判決、民集一〇巻七号八五六頁、昭和二八年(オ)第一一一号、同三一
年七月二七日第二小法廷判決、民集一〇巻八号一一二二頁)の趣旨とするところで
あり、登記官吏はもとより実体的権利関係の存否について審査の権限をもたないも
のである(昭和三三年(オ)第一〇六号、同三五年四月二一日第一小法廷判決、民
集一四巻六号九六三頁参照)から、既に登記完了の後においては、かかる登記官吏
の処分はもはや不動産登記法一五〇条(改正前)以下所定の異議の申立の対象とな
らないものと解するを相当とする(大正一二年(ク)三七号、同年三月二八日大審
院決定、民集二巻四号一八五頁、大正一三年(ク)五一三号、同年一一月一四日大
審院決定、民集三巻一一号四九九頁参照)。これと同趣旨に出た原判決は正当であ
つて、論旨は理由がない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    池   田       克
            裁判官    河   村   大   助
            裁判官    奥   野   健   一
            裁判官    山   田   作 之 助

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