弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     原判決を取り消す。
     被控訴人の本訴を却下する。
     訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。
     本件につき原裁判所が昭和三三年八月一五日にした強制執行停止決定中
原判決添附目録記載の(1)ないし(3)および(5)ないし(13)の物件に対
する部分はこれを取り消す。
     前項にかぎり仮りに執行することができる。
         事    実
 控訴代理人は、「原判決を取り消す。被控訴人の請求を棄却する。訴訟費用は第
一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は控訴棄却
の判決を求めた。
 当事者双方の事実上の主張および証拠関係は、左に記載するほか原判決の事実摘
示と同じであるから、これを引用する。
 一、 控訴代理人は、次のとおり述べた。
 (1)、 本件物件は訴外Aの所有であり、被控訴人の所有でない。Aは、控訴
人より同人に対する東京地方裁判所昭和三二年(ワ)第二、一九三号貸金請求事件
の確定判決の執行力ある正本に基く強制執行を妨害するため、訴外Bおよび被控訴
人と通謀し、Bが競買により本件強制執行の目的物等の所有権を取得したかのよう
に仮装し、さらにBより被控訴人がこれを買い受けたように仮装したものである。
 (2)、 のみならず、本件物件については既に競売が実施され第三者の所有に
帰している。すなわち、本件物件は控訴人のため差押がなされていたところ、他の
執行力ある債務名義を有する債権者訴外Cの執行委任により照査手続が行なわれ、
この分については債務者Aが執行停止の申立をしなかつたので、昭和三五年一一月
二一日および同月二九日に競売が実施され、いずれも訴外Dが競落人となり、競落
代金を支払い、競落物件の所有権を取得した。そして、競売売得金より差押および
競売の費用を控除した残額は控訴人とCに配当された。このように、本件物件は競
売実施により第三者の所有に帰してしまつた以上、本件物件につき強制執行の排除
を求める被控訴人の本訴請求は排斥せらるべきである。
 二、 被控訴代理人は、
 右(1)の主張事実は争う。(2)の主張事実中競売および配当実施の事実は認
めるが、控訴人に対する配当実施は執行停止中になされたもので違法である。
 と述べた。
 三、 立証として、控訴代理人は乙第八ないし第一一号証を提出し、被控訴代理
人は右乙号各証の成立を認めた。
         理    由
 控訴人が訴外Aに対する東京地方裁判所昭和三二年(ワ)第二一九三号貸金請求
事件の判決の執行力ある正本に基き、執行吏に委任して、昭和三三年八月五日原判
決添附目録記載の物件に対し差押をしたことは当事者間に争いがない。
 そこで、控訴人が当審で主張する(2)の点について検討する。成立に争いのな
い乙第八ないし第一一号証および控訴人主張の競売手続に関し被控訴人の争わない
事実を総合すれば、本件物件について、控訴人の委任にかかる強制執行は、本訴第
三者異議の訴の提起に伴う被控訴人の申立により、昭和三三年八月中に停止された
が、その後控訴人以外に前記Aに対する執行力ある債務名義を有する債権者訴外C
の委任に基き、執行吏において昭和三五年一〇月頃本件物件その他について照査手
続を実施したところ、被控訴人は該強制執行については第三者異議の訴を提起せ
ず、したがつて執行の停止もなされなかつたので、執行吏は、同年一〇月二一日お
よび一一月二四日の両度にわたり本件執行の目的物についても競売を実施した結
果、訴外Dが競落人となり、他の物件とあわせ代金合計二一、五五〇円の支払を了
してこれが所有権を取得し、控訴人は昭和三六年一月二〇日右売得金中から本件債
務名義による債権額五四〇、〇八〇円に対する配当として金一<要旨>五、七五〇円
の支払を受けたことを認めることができる。してみれば、本件物件に対する強制執
行は、前記CCの委任による競売および配当の完了によつて終了したものと
いうべく、よし控訴人に対する売得金の配当が執行停止中のため違法であるとして
も、そのことのため執行終了の事実を左右するものではない。
 以上の理由により、被控訴人が排除を求めんとする本件強制執行の手続は既に完
結したものであるから、本訴は訴の利益を失うに至つたものというべきであつて、
被控訴人の本訴請求を認容した原判決は失当であることに帰するので、民事訴訟法
第三八六条によりこれを取り消し、本訴はこれを不適法として却下することとし、
訴訟費用の負担につき同法第九六条第八九条を、強制執行停止決定の取消および仮
執行の宣言につき同法第五四八条第一、二項をそれぞれ適用し、主文のとおり判決
する。 (裁判長裁判官 原増司 裁判官 山下朝一 裁判官 多田貞冶)

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛