弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件各上告を棄却する。
         理    由
 被告人E本人の上告趣意について。
 論旨は、違憲をいう点もあるが、その実質は事実誤認の主張に帰し、上告適法の
理由とならない。(論旨は被告人Eの所論各供述調書はいずれも取調官の所論の如
き強制によるものである旨主張するが、右強制の事実を認めるに足る資料は存しな
い。)
 被告人Bの弁護人原玉重、同渡辺卓郎、同関根俊太郎の上告趣意について。
 論旨は、いずれも、原審の裁量に属する証拠の取捨選択を非難し、ひいて事実誤
認の主張をするものに過ぎないから、すべて刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
 被告人Eの弁護人長井清水の上告趣意について。
 論旨一は、憲法三八条違反をいうが、所論各供述調書が取調官の所論の如き脅迫
等によるものであつて任意性を欠くものであるとの事実は、これを認めるに足る資
料がないから、その前提を欠き、上告適法の理由とならない。
 論旨二は、判例違反をいうが、その実質は単なる法令違反の主張に帰し、上告適
法の理由とならない。(なお、所論各供述調書が所論の如き任意性を欠くものであ
るとの事実を認めるに足る資料は存しない。)
 論旨三は、憲法三九条違反をいうが、その実質は事実誤認の主張に帰し、上告適
法の理由とならない。
 論旨四は、違憲をいう点もあるが、その実質は単なる法令違反、事実誤認の主張
に帰し、上告適法の理由とならない。
 論旨五は、判例違反をいうが、原判決の認定にそわない事実を前提とするもので
あつて、その前提を欠き、上告適法の理由とならない。
 論旨六は、量刑不当の主張であつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
 被告人Aの弁護人江村高行、同河合信義の上告趣意について。
 論旨第一点は事実誤認の主張、論旨第二点は量刑不当の主張であつて、いずれも、
刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
 被告人Aの弁護人岩田春之助、同仙道兵太郎の上告趣意について。
 論旨第一点は、事実誤認、単なる法令違反の主張であつて、刑訴四〇五条の上告
理由に当らない。
 論旨第二点は、違憲をいうが、その実質は単なる法令違反の主張に帰し、上告適
法の理由とならない。(本件公訴事実中所論一五万円の受供与の事実については、
一罪である合計三〇万円の受供与罪の一部として起訴されたものと認めるから、被
告人Aに対し、主文において特に無罪の言渡をしないとした原判示は、正当である。)
 論旨第三点は、判例違反をいうが、所論にいわゆる最高裁判所判例なるものを具
体的に摘示していないから、上告適法の理由とならない。(なお、所論の点につき、
原判決が「選挙運動の報酬及び費用」と判示したのは、所論各金員は選挙運動の報
酬と費用とを区別することなく包括して不可分的に授受されたものと認定している
ものと解せられる。大審院昭和八年(れ)第七三八号同年七月六日判決、刑集一二
巻一一六二頁参照)
 論旨第四点は、判例違反をいうが、原判決の認定にそわない事実を前提とするも
のであつて、その前提を欠き、上告適法の理由とならない。
 論旨第五点は、事実誤認、単なる法令違反の主張であつて、刑訴四〇五条の上告
理由に当らない。
 論旨第六点は、違憲をいう点もあるが、その実質は事実誤認、単なる法令違反の
主張に帰し、上告適法の理由とならない。
 論旨第七点は、単なる法令違反の主張であつて、刑訴四〇五条の上告理由に当ら
ない。
 論旨第八点については、当該各上告趣意について判断したとおりである。
 被告人Aの弁護人田中政義の上告趣意について。
 論旨第一点は、違憲をいうが、その実質は事実誤認、単なる法令違反の主張に帰
し、上告適法の理由とならない。
 論旨第二点は、判例違反をいうが、原判決が所論判例と相反した判断をしたもの
でないことは原判文上明らかであるから、その前提を欠き、上告適法の理由となら
ない。
 論旨第三点は単なる法令違反の主張、論旨第四点は量刑不当の主張であつて、い
ずれ刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
 また、記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。
 よつて、刑訴四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文の
とおり決定する。
  昭和三六年六月一四日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    池   田       克
            裁判官    河   村   大   助
            裁判官    奥   野   健   一
            裁判官    山   田   作 之 助

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