弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     本件を東京高等裁判所に差し戻す。
         理    由
 弁護人清瀬一郎、同内山弘、同大竹武七郎、同石塚誠一、同小竹勝、同内藤惣一、
同小石幸一、被告人A、同B、同C、同Eの上告趣意について。職権をもつて調査
すると、当裁判所は次の理由により原判決には判決に影響を及ぼすべき重大な事実
誤認の疑があつて、原判決を破棄しなければ著しく正義に反するものと認める。
 一、第一審判決は、被告人A、同B、同Cの三名は共謀の上、昭和二三年一一月
二九日午後八時過頃当時静岡県磐田郡a村bD方で、同人等所有の現金約七万円、
衣類二〇数点、中古黒塗男女兼用自転車一台を強奪し、被告人Eは、右強奪品中現
金を除いた物品をその賍物であることの情を知りながら買受けた旨の犯罪事実を認
定した。しかるに、原判決は、第一審判決が本件被害現金額を約七万円と認定した
のは、事実誤認と認めなければならないといつている。残る衣類二〇数点、中古自
転車一台については、これを被告人Eに売渡した旨の被告人A、C、B等の供述並
びにこれを買受けた旨の証人Fの供述がない訳ではないが、被告人E方からは該物
品と確認しうべきものが発見されていないし、また、同被告人がこれを如何に処分
したかについては明確な証拠が見当らない。従つて、原一、二審の審理の程度では
前記供述を信用してよいかどうかについて多大の疑問が存する。
 二、第一審判決は、被告人等が判示年月日生れで、判示冒頭記載の経歴の者であ
るが、第一、被告人A、同Bの両名は、常日頃賭博に耽つてその資金に窮しており、
また、被告人Cは、妻子六名を抱えて日頃から生計に窮して居つて、いずれも、金
銭を欲しく思つていたところがら、右被告人第三名は、昭和二三年一一月二五日頃
から同月二八日頃までの間肩書e村c内で寄々協議を遂げた結果共に同村内で相当
現金を蓄えて居るとの噂のあつた同村bに居住し、甘藷飴等の製造販売をして居る
D(当時三四年)方に入つて金品を強奪しよう、然し近所の事で顔見知りである関
係上若し犯行発覚の虞があつたらこれを防止するためには右D一家を塵殺するのも
已むを得ないと相談が纒まり、茲に右D一家を殺害して金品を強奪しようと共謀し
た旨認定し、さらに、第四、被告人Aは、同年七月頃静岡県磐田郡a村cd番地C
方において同人所有の銀側懐中時計一個を窃取したと認定した。しかし、大正一四
年六月二六日生れの判示経歴を有し判示第四の日時頃、同判示のごとき窃盗をした
被告人Aと明治三六年五月二四日生れの判示経歴を有し判示第四のごとき窃盗の被
害を受けたCとが判示第一の日時頃同判示のごとき動機からたやすく同判示のごと
き強盗殺人の共謀をするものであらうか。多大の疑問なきを得ない。そして、原一、
二審の挙げた証拠並びに説示によつては未だ右の疑問を解消して前記共謀の事実を
確認するに足りないと思われる。
 三、検察官の昭和二四年二月一四日附検証調書及び添附の図面、写真(記録一冊
三一二丁以下)、医師Gの鑑定書(記録一冊二九二丁以下)医師Hの鑑定書(記録
一〇冊六八七丁以下)、押収品(証一号乃至三九号)等によれば、被害者の殺害さ
れた当時の服装、殺害の手段方法、屍体の始末等がほぼ判明し、ことに第一審判決
に引用されている綿平織黒色たすき様布紐(証第八号及び証第一九号)、木綿紫色
布紐(証第三四号及び第三六号)及び被害者Dの手を縛つたものと見られるいちび
の紐(証第一二号)等が押収されている。しかるに、これらの押収品の出所、その
結方の特徴と犯人との関係等につき未だ納得するに足りる審理が尽されているとは
思われない。
 よつて、弁護人並びに被告人の上告趣意についての判断を省略し、刑訴四一一条
三号により原判決を破棄し、同四一三条本文により、裁判官全員一致の意見で主文
のとおり判決する。
 検察官 佐藤欽一出席
  昭和三二年二月一四日
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    真   野       毅
            裁判官    斎   藤   悠   輔
            裁判官    入   江   俊   郎

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