弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人戒能通孝の上告理由第一点について。
 民法八二六条の利益相反にあたるか否かは、当該行為の外形で決すべきであつて、
親権者の意図やその行為の実質的な効果を問題とすべきでないことは、すでに当裁
判所の判例とするところである(昭和三四年(オ)第一一二八号、同三七年一〇月
二日第三小法廷判決、民集一六巻一〇号二〇五九頁参照)。従つて、上告人主張の
ような事情から本件贈与契約が締結されたとしても、右は上告人の親権者たるDの
単なる内心の意図にすぎず本件契約締結の動機または縁由の域を出ないから、未だ
利益相反の結果を生ずるにいたらないとした原審の判断は、正当として是認できる。
 論旨は、原審に釈明権不行使、審理不尽の違法があるというが、上告人と被上告
人との間に実質上民法七九四条の関係が存したとか、本件贈与に要素の錯誤があつ
たとか、民法八二五条但書の適用を主張すべき関係であつたとか、その他すべて、
原審において主張認定のない事実関係を前提として原判決の正当な判断を非難する
に帰着し、原審には所論の違法は存しないから、所論はいずれも採用できない。
 釈明権不行使に関する所論各判例は、本件と事実関係を異にするから、右判例に
依拠する所論も採用できない。
 同第二点について。
 所論は、原判決の判断が民法八三〇条に違反するというが、訴外Eが上告人の親
権者に本件不動産を管理させたいという趣旨で本件不動産を上告人に贈与したとの
事実は、原審において主張なく従つて認定判断を経ないことであるから、右事実を
前提とする所論は採用できない。
 同第三点について。
 本件贈与契約当時、上告人の親権者Dおよび被上告人が上告人を被上告人の養子
とする気持を懐いていたことは、原判決の認定判示するところであるが、右は、本
件贈与契約の動機または縁由として認められるにすぎないことが原判文上明らかで
あり、被上告人が上告人の所有物を取り上げ自己に贈与させようとしたとの所論事
実は、原判決の認定しないところである。従つて、右所論事実関係を前提として民
法八二六条の潜脱を云々する論旨は、採用できない。
 同第四点について。
 所論は、本件贈与契約は民法七九四条に実質上違背し、親権の濫用にあたるとい
うが、本件契約の直前である昭和三五年七月二五日まで被上告人の夫Fが上告人の
後見人であつたこと、右Fならびに被上告人が上告人の所有する本件不動産を欲し
がり、上告人の母Dの無知に乗じてこれを贈与させたとの所論事実は、原審におい
て主張なく従つて認定判断を経ないことであるから、これを前提とする右論旨は採
用できない。
 上告代理人倉重達郎の上告理由第一点について。
 本件贈与契約が所論利益相反行為にあたらないとした原判決の正当なことは、上
告代理人戒能通孝の上告論旨第一点について述べたとおりであつて、所論は採用で
きない。
 同第二点について。
 本件贈与契約が親権の濫用にあたらないとした原判決の判断は、その認定判示の
事実関係のもとでは是認でき、原判決には釈明権不行使、審理不尽、その他所論の
違法は存しないから、所論はすべて採用できない。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の
とおり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    柏   原   語   六
            裁判官    田   中   二   郎
            裁判官    下   村   三   郎
            裁判官    松   本   正   雄

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