弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

       主   文
1 本件控訴をいずれも棄却する。
2 控訴費用は控訴人らの負担とする。
       事実及び理由
第1 当事者の求めた裁判
1 控訴の趣旨
(1) 控訴人A
ア 原判決を取り消す。
イ 被控訴人が,平成13年5月9日,控訴人Aに対してした土地区画整理法84
条2項に基づく備付簿書閲覧請求(ただし,さいたま市αの施行地区内に宅地を所
有する組合員約250名から被控訴人に提出された従前の宅地の地積更正の申請に
係る書類全部に関するもの)拒否処分を取り消す。
(2) 控訴人B
ア 原判決を取り消す。
イ 被控訴人が,平成13年4月25日,控訴人Bに対してした土地区画整理法8
4条2項に基づく備付簿書閲覧請求(ただし,さいたま市αの施行地区内に宅地を
所有する組合員約250名から被控訴人に提出された従前の宅地の地積更正の申請
に係る書類全部に関するもの)拒否処分を取り消す。
2 控訴の趣旨に対する答弁
 主文と同旨
第2 事案の概要
1 被控訴人の組合員である控訴人らが,それぞれ被控訴人に対し,土地区画整理
法(以下「法」という。)84条2項に基づく備付簿書の閲覧請求をしたところ,
被控訴人は,施行地区内に宅地を所有する組合員約250名から被控訴人に提出さ
れた従前の宅地の地積更正の申請に係る書類全部(以下「本件申請書等」とい
う。)に関する部分につき閲覧請求を拒否する各処分をした。
 本件は,控訴人らが被控訴人に対し,上記拒否処分の各取消しを求めた事案であ
り,争点は,本件申請書等が法84条所定の備付簿書に該当するか否かである。な
お,控訴人らは被控訴人に対し,被控訴人が本件申請書等を主たる事務所に備え付
けず,かつ,違法に上記拒否処分をしたことにより精神的損害を被ったとして,国
家賠償法に基づき損害賠償を請求していたが,控訴人らは,当審において,当該損
害賠償請求にかかる訴えを取り下げた。
2 第1審裁判所は,本件申請書等は手続の端緒となる資料に過ぎず,未だ法84
条・土地区画整理法施行令(以下「施行令」という。)73条4号所定の簿書に該
当すると認めるには不十分として,控訴人らの請求をいずれも棄却した。
3 基本的事実関係(争いのない事実)及び争点についての当事者の主張は,原判
決の「事実及び理由」欄の第2の2及び3(1)と同じであるから,これを引用す
る。
4 控訴人らの当審における主張
(1) 施行令73条4号の簿書は同条の他の号の書類と異なり作成方法等が明ら
かでないので,その作成についての正確性,妥当性等の確保を図るためにも,権利
の内容の変更等に関連する資料は,施行者が入手した以上は,施行令73条4号の
簿書となる。
(2) 原判決のいうような,関係権利者がその土地区画整理事業について正確な
理解と判断を持つことができるように,施行者に関係簿書の備付けを義務づけ,利
害関係者に要求に応じて閲覧させる義務を課しているとの考え方によれば,事業施
行のうえで何ら不都合も生じない本件申請書等の閲覧を拒否する正当な理由はな
い。
5 被控訴人の当審における主張
(1) 施行令73条4号は法84条を受けており,施行者である被控訴人が作成
することは明らかであるので,正確性,妥当性等について,施行令73条2号ない
し3号と異に解することはない。
(2) 前記4(2)は争う。
第3 当裁判所の判断
1 当裁判所も,本件申請書等は,手続の端緒となる資料に過ぎず,権利内容を確
定するものではないので,施行令73条4号所定の簿書に該当するとは認められ
ず,これと同旨の見解のもと本件申請書等の閲覧を拒否した本件拒否処分はいずれ
も適法であると判断する。
 その理由は,次のとおり補正するほか,原判決の「事実及び理由」欄の第3の1
と同じであるから,これを引用する。
 原判決8頁6行目の「施行令74条4号」を「施行令73条4号」に,同8行目
の「名簿」を「名簿に相当する確定的な内容のもの」にそれぞれ改める。
 また,控訴人は,関係権利者がその土地区画整理事業について正確な理解と判断
を持つことができるように,施行者に関係簿書の備付けを義務づけ,利害関係者に
要求に応じて閲覧させる義務を課していることからすると,事業施行のうえで何ら
不都合も生じない本件申請書等の書類の閲覧を広く認めるべきと主張する。たしか
に,控訴人らが主張するような事由による必要性も考えられないわけではないが,
逆にその閲覧をさせることによって権利内容と権利者等の確定前に利害関係人の間
で申請内容,プライバシー等をめぐって無用な紛争等を起こす可能性もあるうえ,
施行令73条4号のみをあえて同条の他の号の書類と異なるものとして位置づける
理由が見出し難いし,同条で閲覧の対象足り得る書類は当然に法84条1項によっ
て被控訴人は主たる事務所に備え付けておかなければならなくなることにかんが
み,控訴人らの主張する程度の必要性のみを強調して条文を無限定に拡大解釈をす
るのも相当とはいえない。その他の控訴人の主張も,いずれも上記判断を左右する
に足りない。
2 結論
 以上のように,控訴人らの本件請求はいずれも理由がないので棄却すべきであっ
て,これと同旨の原判決は相当である。
 よって,控訴人らの本件控訴をいずれも棄却することとして,主文のとおり判決
する。
東京高等裁判所第16民事部
裁判長裁判官 鬼頭季郎
裁判官 納谷肇
裁判官 任介辰哉

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛