弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決及び第一審判決中、被告人Aに関する部分を破棄する。
     被告人Aを懲役三月に処する。
     但し本裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。
     押収にかかるワイシヤツ四枚(新潟地方裁判所昭和三四年領第五九号の
一)及び敷布五枚(前同号の二)は、被告人Aからこれを没収する。
     被告人Aから金六百円を追徴する。
     被告人Bの本件上告を棄却する。
     被告人Aに関し、第一審における訴訟費用は全部被告人Bとの連帯負担
とし、被告人両名に関し、当審における訴訟費用は、被告人等の負担とする。
         理    由
 被告人A本人の上告趣意は事実誤認、単なる刑訴法違反の主張をいでず、刑訴四
〇五条の上告理由に当らない。
 被告人両名の弁護人坂晋の上告趣意(1)は憲法三八条違反を主張するが、記録
を精査しても、所論各供述調書の任意性に疑があるものと認め得る資料はないから、
違憲の主張は前提を欠く。
 同(2)は憲法三七条二項違反を主張するが、刑訴三二一条一項二号後段の規定
が憲法三七条二項に違反しないものであることは当裁判所の判例(昭和二九年(あ)
一五四号同三〇年一一月二九日第三小法廷判決刑集九巻一二号二五二四頁、昭和二
三年(れ)八三三号同二四年五月一八日大法廷判決刑集三巻六号七八九頁)とする
ところであつて、所論の実質は刑訴三二一条一項二号後段により取調べられた所論
各供述調書の特信性を肯定した原審の判断を争う単なる刑訴法違反乃至事実誤認の
主張に帰するから、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。(そして記録を精査する
とき、所論の特信性を肯定した原審の判断は、これを首肯するに足りる。)
 また、被告人Bに関しては、記録を調べても、刑訴四一一条を適用すべきものと
は認められない。
 次に、職権をもつて調査するに、公職選挙法二二一条三項にいう「公職の候補者」
とは、同法の規定にもとづく正式の立候補届出または推薦届出により候補者として
の法律上の地位を有するに至つた者をいうものと解すべきであり、未だ正式の届出
をしない、いわゆる「立候補しようとする特定人」を包含しないものと解するを相
当とすることは、既に当裁判所の判例とするところである(昭和三四年(あ)一一
九〇号同三五年二月二三日第三小法廷判決刑集一四巻二号一七〇頁)。しかるに、
原判決の是認する第一審判決によれば、被告人Aは昭和三四年四月三〇日施行され
た新潟県中蒲原郡a町議会議員選挙に際し、立候補の決意の下に、自己の当選を得
る目的をもつて、立候補届出前に判示の饗応、供与、交付及び選挙運動をなした旨
認定し、同被告人の右饗応、供与、交付の所為に対し公職選挙法二二一条三項を適
用しているのである。従つて同条項にいう「公職の候補者」には「立候補しようと
する特定人」も含まれるものとした第一審判決には、法令の解釈適用を誤つた違法
があり、右誤りを看過した原判決もまた違法あるに帰するから、刑訴四一一条一号
の事由に該当するものとして、原判決及び第一審判決中、被告人Aに関する部分は
破棄を免れない。
 よつて、被告人Bについては刑訴四一四条、三九六条により本件上告を棄却すべ
く、また被告人Aについては同四一一条一号により原判決及び第一審判決中同被告
人に関する部分を破棄し、同四一三条但書により更に判決すべきものとし、第一審
判決が同被告人の犯罪事実として確定した判示第一、第三の事実に法律を適用する
と、判示所為中事前運動の点はいずれも公職選挙法一二九条、二三九条一号、罰金
等臨時措置法二条一項(判示第三については更に刑法六〇条)に、供与、饗応の点
はいずれも公職選挙法二二一条一項一号罰金等臨時措置法二条一項(判示第三につ
いては更に刑法六〇条)に、交付の点は公職選挙法二二一条一項五号罰金等臨時措
置法二条一項に各該当するが、これらの供与、饗応、交付と事前運動とはいずれも
一個の行為にして数個の罪名に触れる場合であるので刑法五四条一項前段、一〇条
によりそれぞれ重い前者の罪の刑に従つて処断することとして所定刑中懲役刑を選
択し、以上は同法四五条前段の併合罪であるから同法四七条本文、一〇条により犯
情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をした刑期範囲内で同被告人を懲役三
月に処し、情状により同法二五条一項を適用して本裁判確定の日から二年間右刑の
執行を猶予することとし、同被告人からの主文第四項掲記物件の没収及びワイシヤ
ツ一枚の没収不能による追徴につき公職選挙法二二四条を、被告人両名に関し訴訟
費用の負担につき刑訴一八一条(被告人Aについては更に同一八二条)を各適用の
上、主文のとおり判決する。
 この判決は裁判官全員一致の意見によるものである。
 検察官 羽中田金一公判出席
  昭和三六年五月三〇日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    島           保
            裁判官    垂   水   克   己
            裁判官    高   橋       潔
            裁判官    石   坂   修   一

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