弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     本件を大阪地方裁判所に差し戻す。
         理    由
 本件控訴の趣意は、弁護人小林芳郎、同伊藤廣保、同平野恵稔連名作成の控訴趣
意書、控訴趣意訂正・補充書、控訴趣意補充書(二)及び同(三)に、これに対す
る答弁は、検察官青木捷一郎作成の答弁書にそれぞれ記載されたとおりであるか
ら、これらを引用する。
 第一 控訴趣意のうち、訴訟手続の法令違反の主張について
 所論は、要するに、原審が、検察官請求のAの検察官に対する平成六年一一月二
四日付け供述調書(以下、検察官に対する供述調書を「検面調書」という。)を刑
訴法三二一条一項二号に定める要件がないのに採用し、また、弁護人がB及びCの
各証言をそれぞれ弾劾するために刑訴法三二八条に基づいて請求した両名の証券取
引特別調査官に対する各質問調書(以下、証券取引特別調査官に対する質問調書を
「質問調書」という。)を、その要件があるのに採用しなかった点で、原判決に
は、判決に影響を及ぼすことが明らかな訴訟手続の法令違反がある、というのであ
る。
 そこで、記録を調査し、当審における事実取調べの結果をも併せて検討するに、
記録によると、原審は、平成八年三月一日に期日外で、検察官請求のAの平成六年
一一月二四日付け検面調書を刑訴法三二一条一項二号書面として採用し、また、第
六回公判(平成八年一月一九日)において、弁護人がB及びCの各証言を弾劾する
ために刑訴法三二八条に基づいて請求した両名の各質問調書を却下したことが認め
られるが、記録を検討してみても、原判決には所論が指摘するような訴訟手続の法
令違反の誤りはない。以下、所論にかんがみ説明を付加する。
 一 Aの検面調書について
 所論は、Aの平成六年一一月二四日付け検面調書には、同人の原審証言との間に
刑訴法三二一条一項二号にいう相反性もなければ、特信性もない、検察官は、A証
人の尋問に際し、調書の署名押印について尋問するだけで、特信情況については全
く尋問せず、何らの立証をしていない、と主張する。 原判決がAの右検面調書を
採用するに当たり、相反性、特信性についていかなる判断をしたのかは、採用決定
にその理由がないためうかがい知ることはできない。しかし、Aの原審証言と右検
面調書との内容を対比すると、明確に相反するとまではいえないものの、趣旨、ニ
ュアンスからして実質的に異なる供述をしている部分があることは十分認められる
(所論は、相反性がない根拠として、Aの調書の記載は空疎で、検察官の誘導尋問
の内容をあたかもAが供述したかのように記載したにすぎないなどと指摘するが、
相反性の判断に際し右のような指摘が根拠たり得ないことはいうまでもない。)。
また、Aと被告人との関係を考えると、たとえその関係が証言時には既に解消され
ていたとしても、被告人の面前で不利益な証言をすることがはばかられることは経
験則上明らかであり、同人の証言内容、態度等をも併せかんがみると、検面調書の
方に特信性があることも十分認められるというべきである。なお、検察官が特信情
況についてAの証人尋問において何らの立証をしていないと論難する点は、特信情
況は証人尋問においてしか立証し得ないとの独自の見解を前提とするものというべ
きである。したがって、所論は採用することができない。
 二 B及びCの各質問調書について
 所論は、Bの平成六年九月六日付けの質問調書二通及びCの各質問調書は、それ
ぞれ、両名の原審各証言といずれも重要な点で食い違っており、刑訴法三二八条の
弾劾証拠に該当することは明らかである、と主張する。
 しかし、Bの原審証言と各質問調書、Cの原審証言と各質問調書とをそれぞれ対
比してみるに、所論がるる指摘する食い違いの部分は、要するに、各質問調書で
は、証言に見合う供述記載がないというものがほとんどであり、特別調査官からそ
のような事実について質問があったか否かもはっきりせず、これをもって自己矛盾
の供述であると解することは無理であるといわざるを得ない。したがって、両名の
各質問調書が刑訴法三二八条の弾劾証拠に該当するとの所論は採用することができ
ない。
 論旨は理由がない。
 第二 控訴趣意のうち、事実誤認の主張について
 所論は、要するに、本件の争点は、(1)BがD皮膚科医院を訪れた際に、ユー
スビル錠についての死亡例を含む副作用症例が発生し、一時同剤の出荷を停止する
との原判示文書(以下「至急文書」という。)を被告人に手交したか否か、(2)
被告人のE商事株一万株の売り注文が、Bからの右文書交付によるユースビル錠に
かかる副作用情報によりなされたものか否か、という点であるところ、原判決は、
(1)については、唯一の証拠であるB証言が信用できるとしてこれを肯定し、
(2)についても、これを前提に、被告人は、E商事株の確実な下落を予想し、利
益を得ようと右売買を行ったものであると肯定しているが、Bの訪問は、至急文書
の交付による情報伝達を目的としたものではなく、また、同文書の交付はもとよ
り、いかなる方法によるにせよ、Bから右情報の伝達はなされていない、被告人の
右株売買は、右情報の伝達によるものではなく、証券会社の担当者であるFからの
情報と被告人の相場感によるものである、したがって、原判決には、右争点に関し
事実誤認があり、これが判決に影響を及ぼすことは明らかである、というのであ
る。
 そこで、記録を調査し、当審における事実取調べの結果をも併せて検討するに、
原判決挙示の各証拠によれば、原判示の事実は優に認定することができ、原判決が
(補足説明)の一で認定説示するところは正当としてこれを是認することができる
から、原判決には所論指摘の事実誤認は認められない。以下、所論にかんがみ、当
裁判所の判断を付加して説明する。
 一 前提となる事実と争点
 関係証拠によると、(1)G薬品株式会社H支店は、D皮膚科に医薬品等を納入
している有限会社I商会(実質的な経営者は被告人である。)に対し昭和四六年こ
ろから医薬品を販売しており、本件当時、同支店第一営業部のH営業所長CがI商
会との取引の担当者であったが、同商会が大口の得意先であったほか、被告人がJ
会の会長等の要職についており、被告人から何人もの開業医を顧客として紹介して
もらうなどしていたことから、Cの上司である右第一営業部次長のBが主に被告人
と取引の商談等に当たっていたこと、(2)ユースビル錠は、帯状ほう疹に効果が
ある皮膚科用抗ウイルス剤として、E商事株式会社が平成五年九月三日に発売を開
始したものであるところ、その後、フルオロウラシル系薬剤(ガン治療薬剤)との
併用投与による死亡例を含む重篤な副作用症例が発生し、これに関する副作用情報
は、同年一〇月一二日午後二時に厚生省が緊急安全性情報として発表し、さらに、
同日午後三時ころ、E商事がマスコミ関係者に発表し、公に明らかとなったこと、
(3)E商事からG薬品本社等を通じて送られてきた右副作用情報は、これに先立
つ同日午前一〇時四一分ころ、至急文書としてG薬品H支店にもファックスで送ら
れていたこと、(4)ところで、被告人は、ユースビル錠に関し、発売前から講演
会の開催等でE商事等に対し協力しており、D皮膚科でも、G薬品から同錠を購入
しては、患者に投与して使用していたこと、(5)被告人は、同日昼過ぎころ、D
皮膚科にBの訪問を受け、午前の診療を終えた後、院長室で二〇分間ほど話をする
などし、その後、近くのレストラン「K」にて、I商会の管理薬剤師のLも交えて
三人で約一時間にわたり会食をしたが、出かける直前、午後一時二〇分ころ、Bを
待たせて、院長室から、日頃取引のあるM證券株式会社N支店の担当者Fに電話を
かけ、信用取引でE商事の株一万株を指し値三一三〇円で売り(いわゆる空売り)
注文をしたこと(以下、これを「本件株取引」という。)、(6)なお、右注文し
た株は、同日午後一時五〇分ころ、売買が成立した(被告人は、翌一三日に右一万
株を二六六〇円で買い戻し、その差額四七〇万円の利得を得た。)が、E商事の株
は、一二日午後二時一〇分、E商事からのユースビル錠の副作用発生等の報告を受
けた大阪証券取引所により、売買が停止されたこと、以上の事実が認められ、これ
らの事実についてはほぼ争いがない。
 被告人の本件株取引は、新薬ユースビル錠の副作用情報が公表されることによ
り、発売元のE商事の株価が相当下落することが見込まれる中、その公表直前にお
いて行われており、被告人において右情報を事前に入手していたのではないかとの
疑いが持たれるところ、Bは、原審公判で、本件当日の昼のD皮膚科訪問の際、H
支店において入手した至急文書の写しを被告人に手渡した旨、明確に証言してい
る。これに対し、被告人は、捜査(証券取引等監視委員会の調査を含む。)段階か
ら一貫して、右事実を否定する供述をしている。
 したがって、双方の供述の信用性いかんが本件の争点であり、以下この点を中心
に検討する。
 二 Bの証言の信用性について
 1 まず、Bの証言についてみるに、Bが至急文書を入手し、その写しを被告人
に手渡すまでの経緯とその動機について述べるところは、具体的かつ詳細であるこ
と、また、本件副作用情報が記載された至急文書が、一〇月一二日午前一〇時四一
分ころ、G薬品H支店にファックスで送られてきたことは、前示のとおりであると
ころ、同支店の第一営業部次長であるBは、その立場と職責からして、この直後に
右情報を知った可能性が高く、Bが右情報に接していたとするなら、その情報の内
容や被告人とのそれまでの関係等からいって、BがD皮膚科を訪問しながらこの情
報を被告人に伝達しないなどということは、たとえ至急文書が医療機関宛ての文書
の体裁をとっていないにしても、およそ考えられないことであることにかんがみる
と、その信用性は大筋において認めることができるというべきである。
 所論は、Bの一〇月一二日のD皮膚科訪問の目的は、至急文書の写しを渡すこと
ではなく、トリルダン錠の最終的な商談をすることであり、現に会食の際もトリル
ダン錠の話題しか出ていない、Bの言うような目的であれば、会食の際にも、本件
副作用情報に関する話題が当然出るはずである、Bが被告人に対し本件副作用に関
する情報を伝えたのは、Bが同月一五日にD皮膚科を訪問した際が初めてである、
と主張する。
 確かに、関係証拠によると、一〇月一八日にI商会からG薬品にトリルダン五万
錠の注文がなされていること、「K」での会食の経費処理にかかるG薬品の交際
費・雑費申請書には、「なお、今月分としてトリルダン錠六〇g一〇〇〇T×五〇
箱注文いただきました。」との記載があること、会食の際には、トリルダン錠につ
いての話題のみで、ユースビル錠については何ら話が出なかったことなどが認めら
れるが、他方、Bの手帳には、当日の予定としてトリルダン錠の商談の件は記載さ
れていないこと、Bの原審証言によれば、トリルダン錠の商談は、正式かどうかは
ともかくとして、既に九月末ころにできていた、「K」の経費処理にかかる記載文
言は社内でのスムーズな処理を慮って便宜トリルダン云々としたものである、とい
うのであり、Cもこれに見合う証言をしていることが認められ、また、会食の際に
トリルダン錠の話題に終始したのは、本件副作用情報を得て本件株取引を行った直
後であれば、被告人の方で意識的にユースビル錠の話題を避けたとしても不思議で
なく、Bもその意図を察知して話を合わせたと解することもでき(ましてや、Lが
同席していたことを考えると、その感が強くなる。)、会食の際の話題が直ちにB
の訪問目的につながるとはいえないことなどに照らすと、この点に関するBの証言
が信用できないと決め付けることはできないというべきである。
 これに対し、被告人は、Bと本件副作用情報とのつながりに関し、所論に沿う供
述をするところ、確かに、関係証拠によると、Bが一〇月一五日にD皮膚科を訪問
し、被告人に本件副作用情報に関する記事が掲載された業界新聞を手渡した事実は
認められる。しかし、Bがこの日まで本件副作用情報に関する事柄を一切被告人に
伝えず、しかも、右のような業界新聞でもってその情報を伝えるに止めたというの
は、たとえ被告人が同月一二日夕刻にAの方から本件副作用情報を得ていたという
事実があるにせよ、Bの行動としてみた場合、前示の被告人とBとの従前の関係、
Bが本件副作用情報に接した時期、本件副作用情報の内容等からして、余りにも情
報伝達として間延びした不自然なものというべきであり、被告人の供述は到底措信
することができない。
 したがって、所論は採用することができない。
 2 次に、本件株取引についてみると、被告人は、Bの訪問の際、すなわち、B
から情報を入手し得た時間帯に、これから会食を共にしようというBをわざわざ待
たせてまで、時間を急ぐかのようにFに電話をかけて行っている。さらに、その態
様は、関係証拠によると、被告人は、昭和五〇年ころから、何度か控えていた時期
はあるものの、M證券N支店を通じて株取引を続けて行っていたところ、空売り
は、これまで担当者から再三勧められても、リスクが大きいことなどから行ったこ
とがなく、今回が初めてのことであること、しかも、今回は、E商事の株価の動き
を聞くなどした後とはいえ、被告人の方から先に空売りをすることを持ち出してい
ることなど、通常の株取引とは違った特異性が認められる。これらの事実に照らす
と、特段の事情でもない限り、本件株取引とBの訪問とは無関係ではなく、被告人
は右訪問の際Bからなにがしかの情報を得たからこそ本件株取引を行うに至ったの
ではないかとの合理的な推認が働くところであり、この点も、Bの証言の信用性を
補強するものといえる。
 所論は、本件株取引に関し、被告人は、当日午前中のE商事株の売却を踏まえ、
Fからの情報と自らの相場感から行ったものである旨主張し、被告人もこれに沿う
供述をしている。
 確かに、関係証拠によると、被告人は、E商事株の取引については、平成五年五
月に、ユースビル錠の発売予定を見込んで株を買い始めて以来、何度か買っては売
って利益を上げ、同年九月一七日に三四〇〇円、二〇日に三四五〇円で五〇〇〇株
ずつ信用買いした分については、その後売却の好機をつかめないままでいたとこ
ろ、本件当日は、朝からFと連絡を取り合い、午前九時四五分に一万株を指し値三
三七〇円で売り注文し、午前一〇時ないし一〇時半ころには、Fからの報告を聞
き、売れ残った六五〇〇株について三三〇〇円に指し値を変更するなどしているこ
とが認められ、被告人にとっては、E商事株の取引はそれまでにも経験があり、当
日も、午前中に持ち株を売却しており、右売却を通じるなどして、E商事株の下げ
含みの値動きについては承知していたといえる。しかし、これらの事情は、被告人
が、本件当日、E商事の株について売り注文をしたからといって不自然ではないと
いえるにとどまり、前示のように被告人から進んで空売りの注文を行ったことまで
合理的に説明し得るものではないというべきである(なお、被告人は、Bを待たせ
てFに電話したことについて、当審公判で、特に理由はないが、午前中にした売れ
残り分の売り注文の結果を知りたくて、後場の始まった頃を見計らってFに電話を
した、こういうことはよくあることである、と供述しているが、午前中にした売り
の結果を聞くにせよ、また、その後の値動きを聞くにせよ、何もこの時間帯に被告
人の方から電話する必然性はなく、Fからの連絡を待っていてもよいし、被告人か
ら電話するにしても、会食が終わってから午後の診療前にすれば足りるともいえる
のであって、必ずしも合理的な説明になっていない。)。そうだとすると、本件株
取引はFからの情報と自らの相場感から行ったものであるとの被告人の供述は、そ
のままにわかに措信するには無理があるといわざるを得ない。
 また、所論は、被告人の本件株取引(その後の買い戻しも含む。)は、Bからの
本件副作用情報を得て、多額の利益を得ようとして行ったとするには、余りにも矛
盾する内容となっている、と主張する。
 確かに、関係証拠によると、被告人は、本件株取引に際し、Fから空売りの限度
枠一杯(三万株)を勧められながら、これに応じず、一万株の空売りに止めている
こと、翌日も、Fから、本件副作用情報の公表により株価がより一層下がることが
見込まれたので、新たに売り建てをするなり、買戻しの時期を見合わせるなりする
ようにとの勧めがあったにもかかわらず、被告人はそれを聞かずに全部寄りつきで
買い戻している(差額四七〇万円の利益を得た。)ことなどが認められる。しか
し、被告人が右のように一万株の売りに止め、また、翌日これを全部買い戻したの
は、被告人自身がE商事の株価動向の見通し(リスクを含む。)の下に判断した結
果であると解されるのであり、所論の指摘する前記事実があるからといって、被告
人が本件副作用情報をもとに本件株取引を行ったものではないとの決め手となるも
のではない。
 したがって、本件株取引に関する所論はいずれも採用することができない。
 3 さらに、所論は、Bの供述は、質問調書、検面調書、原審証言とみていく
と、その変遷は甚だしいところ、Bは、自己の供述の変遷理由について、原判決が
述べるような納得のいく説明などしていない、また、原判決は、Bの証言態度に関
し、同人が被告人に不利な証言をして利益を得るという立場にないことや被告人か
ら世話になり懇意な間柄であったことを指摘しているが、同証人の心理の表層のみ
を捉えた皮相な観察である、などと指摘し、原判決がBの原審証言の信用性につい
て判示するところは誤りである、と主張する。
 確かに、Bの証言は、当審で供述経過を立証するため取り調べた同人の質問調書
と見比べてみると、所論が指摘するように、質問調書には出てこない事実が述べら
れていたり、証言時の方が具体的でより明確な供述になっていたりすることが認め
られる。また、関係証拠によると、Bは、証券取引等監視委員会の調査当初におい
ては、本件当日にD皮膚科を訪問したことすら記憶していなかったことなどが認め
られる。こうした点を考えると、Bの供述の信用性の判断について慎重な態度が求
められることは、所論が強調するとおりである。しかし、当初は記憶が薄れていて
も、種々の資料や関係者の話などをもとに次第に記憶が喚起されていくことはよく
あることであり、本件でも、Bにおいては、調査や捜査が進むにつれ、更に原審で
証言するまでに、自ずと記憶を喚起するに足る資料や関係者の話などの材料が増え
ていったことがうかがわれるのであって、供述の変遷についてそのような事情を述
べるBの説明が不合理であるとはいえない。そして、B自身が被告人をことさら罪
に陥れようとする立場(あるいは被告人に不利な証言をして利益を得るという立
場)にないことは明らかであり、本件副作用情報を伝えたという核心部分に関する
限り、そこに虚偽が混ざっているとは認め難く、原判決がBの証言態度に関し述べ
るところも、基本的には首肯することができるというべきである。
 したがって、所論は採用することができない。
 4 以上によれば、Bの証言は、本件副作用情報を伝えたという核心部分に関す
る限り、基本的に信用することができ、逆に、これに反する被告人の供述はにわか
に措信し難いというべきであり、被告人がB訪問の際に同人から本件副作用情報を
得たことは優に認められるというべきである。
 三 B証言の信用性に関するその余の所論について
 所論は、(1)Bの証言中、本件当日午前一一時ころ、被告人に対し、あらかじ
め本件副作用情報を電話で知らせ、ファックスで至急文書の写しを送ったとする点
は、被告人がその後患者に対し現にユースビル錠を投与している事実と明らかに矛
盾するし、また、当日昼に被告人に至急文書の写しを手渡したとする点も、その直
後、Bらと一時間もの間のんびりと会食をし、他の開業医への連絡も午後四時すぎ
ころになるまでしていないなど、被告人の実際の対応、行動と著しく矛盾する、
(2)Bの行動としてみても、Bは、本件副作用情報が重大なものであると証言し
ているが、至急文書の写しを持参してD皮膚科に赴きながら、午前の診療が終わる
のを待って被告人と面談するなど、その悠長な行動は全く矛盾している、(3)B
は、被告人がBから至急文書の写しを受け取った後、I商会に電話してユースビル
錠の注文取消等の指示をしたと証言するが、これに沿うかのようなCの証言は、G
薬品の管理薬剤師のOからの伝聞によるものであり、かつ、Cの各質問調書とも矛
盾するものであって信用できないこと、注文取消等の指示を受けたとするLの供述
とも一致しないことなどに照らすと、Bの右証言は信用できない、(4)Bは、被
告人に本件副作用情報を伝える動機として、E商事のAとの電話のやり取りを挙げ
て証言しているが、質問調書ではそのような事実について供述していない上、Aは
Bとの電話の事実を覚えていない旨証言しており、また、Bが述べるAとの電話の
内容は、Aの当日の行動等と明らかに矛盾するものであり、この点に関するBの証
言も信用できない、と主張する。
 まず、(1)についてみるに、その前半部分は、おおむね原判決が説示するとお
りである。これに付け加えると、本件副作用情報はフルオロウラシル系薬剤との併
用に関するものであるところ、患者にユースビル錠を投与するに際しては、カルテ
を見て、同錠の投与歴を確認し、現在その副作用と思われる症状が出ているか否
か、フルオロウラシル系薬剤との併用の心配がないか否かを確認して行うことがで
きるのであるから、それで問題がないと判断して同錠を患者に投与したからいっ
て、本件副作用情報を知ったことと何ら矛盾するものではない(そのような患者で
あっても副作用情報を知りながら新たに投与するなどということは、医者としてあ
り得ないことである、と所論は指摘するようであるが、現に、被告人の供述によっ
ても、Fからの連絡で本件副作用情報を知ってユースビル錠を投与した午前中の患
者のカルテを見たが、投与歴や症状の有無から大丈夫と思い、それ以上当該患者へ
の聞き合わせや服用停止の指示等は一切しなかった、というのであり、被告人のこ
のような対応をみれば、一般論はともかく、本件では右の指摘は当たらないという
べきである。)。また、被告人は、本件副作用情報を知ったならば、直ちに、診療
を中断してでも、ユースビル錠を投与した患者のカルテを調べて併用の有年を確認
し、更に他の開業医に対し連絡するなどする、と所論に沿う供述をするところ、確
かに、被告人は、Bらと「K」にて約一時間会食をしており、また、関係証拠によ
ると、開業医への連絡も当日午後四時すぎから五時ころまでの間に行っていること
が認められる。しかし、このような事実があるからといって、これが直ちに、被告
人が本件副作用情報を入手したことと矛盾した行動であり、ひいては、B証言の信
用性を否定する事由となるものではない。次に、(2)についてみるに、確かに、
関係証拠によれば、所論指摘の事実は認められるが、Bは、被告人と懇意な間柄で
あることから、本来のルートでの伝達に先んじて、好意から、被告人に本件副作用
情報を伝えているのであって、右の事実があるからといって、直ちにこれが、Bに
とって矛盾した行動であり、ひいては、B証言の信用性を否定する事由となるもの
ではない。さらに、(3)についてみるに、Cのこの点に関する証言は、当審で供
述経過を立証するため取り調べた同人の質問調書と見比べてみると、I商会からの
ユースビル錠の注文取消しの事実について、質問調書では覚えていない旨の供述を
しているのに、証言では、はっきりその事実について、Oから昼の一時半頃その旨
聞いたと供述しており、そこには矛盾があるかのようである。しかし、Cは、質問
調書の時から原審証言に至るまでに、Oから事実確認をし、自分なりに考えるなど
して記憶をたどった結果であると説明しており、Bについて述べたのと同様、右説
明もまた首肯することができる。Cの証言がBの証言と逐一符合しているわけでな
いことは、所論が別途指摘するところからも明らかであり、CがBの証言に迎合し
て証言したなどという疑いはないというべきである。また、Lは、昼食から帰った
後、被告人から、電話で本件副作用情報を聞くとともに、午前中にしたユースビル
錠の注文を取り消すよう指示され、すぐG薬品に電話して右注文を取り消した、と
証言しているが、必ずしもL自身の記憶に基づくものか疑わしく、被告人とLとの
関係を考えると、同人の証言をそのまま信用することはできないというべきであ
る。最後に、(4)についてみるに、Bの所論指摘の証言については、所論が指摘
するような点がうかがわれるが、同人が質問調書で述べていないことからもいえる
ように、同人にAとの電話自体はっきりとした記憶が残っていたものではなく、後
に資料等から記憶を呼び起こした結果であり、電話の内容まで正確性が保たれてい
るとは思われないし、すべてにわたり矛盾なく証言しているとは必ずしもいえない
のであって、指摘の矛盾点があるといって、直ちに、Aとの電話のあったことまで
Bの証言は信用できないとみるのは相当でない。
 したがって、所論はいずれも採用することができない。
 その他所論がるる指摘するところを逐一検討してみても、B証言の信用性に関す
る前記判断を左右するものはない。
 以上の次第であるから、事実誤認をいう論旨は理由がない。
 第三 控訴趣意のうち、法令の解釈適用の誤りの主張について
 所論は、要するに、(1)原判決は、本件副作用情報が証券取引法一六六条二項
二号イの重要事実に該当するか否かを判断するにつき、損害額が軽微基準を超えて
いるか否かは証拠上はっきりしないとして、同号の該当性を認めず、次いで、同項
四号の該当性を判断し、本件情報の重要性を指摘して同号の該当性を肯定している
が、四号の重要事実は、「前三号に掲げる事実を除き」とあることからも当然のよ
うに、一ないし三号で列挙された重要事実を含まないのであって、原判決のように
二号が問題になる事実について更に四号でも問題にするというような拡大解釈は、
インサイダー規制の立法の経緯からして問題であり、罪刑法定主義に反するもので
ある、(2)原判決は、G薬品がE商事と契約を締結している者であって、G薬品
が本件重要事実を当該契約の履行に関し知ったものであるとして、同条一項四号を
適用しているが、本件副作用情報の伝達は、G薬品・E商事間の契約の履行に関し
て行われたものではなく、E商事が薬事法の規定に基づいて広く情報伝達を行って
いた一環であり、右条項の適用は誤りである、したがって、原判決には判決に影響
を及ぼすことが明らかな法令の解釈・適用の誤りがある、というのである。
 そこで、検討するに、原判決には、証券取引法一六六条二項二号イ及び四号の解
釈・適用の誤りがあり、これが判決に影響を及ぼすことは明らかであるので、破棄
を免れない。以下、その理由を説明する。
 一 本件公訴事実によると、検察官は、「新薬ユースビル錠について、発売直
後、これを投与された患者につき、フルオロウラシル系薬剤との併用に起因した相
互作用に基づく副作用と見られる死亡例が発生した」との事実をE商事の業務等に
関する重要事実としてとらえ、これが証券取引法一六六条二項四号にいう「当該上
場会社等の運営、業務又は財産に関する重要な事実であって投資者の投資判断に著
しい影響を及ぼすもの」に当たるとして起訴しているところ、原判決は、「本件副
作用情報に関するユースビル錠による前記副作用例の発生に伴いE商事に生ずると
予想される損害について考えてみると、この損害としては、この副作用例の発生が
E商事の責に帰するものと認められる場合における当該被害者らに対する損害賠償
金のほかに、本件副作用情報の公表後における出荷・販売済みユースビル錠の返品
や同社が目標としていた同錠の売上高の低下による逸失利益(右副作用例の発生は
フルオロウラシル系薬剤との併用によるものであることなどに照らすと、ユースビ
ル錠の右売上高の低下率は自ずと限界があるものとみられる。)等を挙げることが
できる。そして、これらの損害は証券取引法一六六条二項二号イにいう『災害又は
業務に起因する損害』に当たると解されるとしても、これが同条項所定の重要事実
といえるためには、大蔵省令(会社関係者等の特定有価証券等の取引規制に関する
省令二条一号)にいう『損害の額が最近事業年度の末日における総資産の帳簿価額
の百分の一に相当する額未満であると見込まれること』との、いわゆる『軽微基
準』を上回ることが必要であるところ、E商事に生ずると予想される前示損害の見
込み額は、同社にとっては少なからず痛手になる額と推測されるものの、証拠関係
を検討してみてもその具体的な額を算定し得ない上、E商事の最近事業年度の末日
における総資産の帳簿価額に関する的確な証拠もない本件においては、右損害がこ
の『軽微基準』を上回るものとにわかに断定することができないから、本件につい
て、証券取引法一六六条二項二号イに該当の重要事実は認められない。なお、同条
項の右二号イを除くその余の各号に該当の重要事実も認められない。……そこで、
……四号に……当たるかどうかにつき、以下検討する。」とし、「同項一号ないし
三号と右四号の配列の仕方や同条項の立法趣旨に照らし、同項一号ないし三号(前
記大蔵省令に定める『軽微基準』を含む。)に準ずる程度のものと解するのが相当
である。」とした上、「これを、本件について、……E商事の規模・営業状況・自
社品事業部門の商品に占めるユースビル錠の比重・同錠の開発に投下した資金量・
同錠に対する有力商品としての期待・同社株の人気の要因・同錠の売上げ目標の大
きさ等を踏まえて検討すると、「1」……ユースビル錠の今後の販売の見込みを著
しく損ない期待した売上(収益)を得られない事態を招くのみか、今後とも更に判
明するかもしれない副作用例の内容によっては同社の信用を一段と害してより多く
の損害を被るものと予想されるのは明らかであり、しかも、「2」……ユースビル
錠は::E商事株の人気の主要な部分を支えていただけに、本件副作用情報は、こ
れが公表されると同社の株取引についてはユースビル錠の今後の販売見込み等の将
来性に関わる大きな不安材料となり、その株価を著しく引き下げる原因となるのは
当然で、かつ、これは同社の株取引を行う被告人を含む一般投資家にも見易い道理
であったというべく、……以上を考え併せると、本件副作用情報は、証券取引法一
六六条二項一号ないし三号に準ずる程度のものとして、同項四号にいう『当該上場
会社等の運営、業務又は財産に関する重要な事実であって投資者の投資判断に著し
い影響を及ぼすもの』に当たると認めるのが相当である。」としている。
 二 右判示は、要するに、本件副作用情報の重要事実性を判断するに当たり、証
券取引法一六六条二項二号イをまず問題にし、同号イの「災害又は業務に起因する
損害」に該当するとしても、証拠上その損害が所定の軽微基準を上回るとは断定で
きないとの理由で、同号イの該当性を否定し、右イを除く一ないし三号の該当性も
否定した上で、四号の該当性について更に検討している。
 <要旨>ところで、証券取引法のインサイダー取引規制は、その立法経過等に照ら
すと、取引者が取引を行う時点において、その取引が処罰の対象となるか否
か、規制すべき取引の範囲を明確にするとの観点から、構成要件をできる限り客観
的かつ明確に規定する立法形式を採用したとされている。そこで、いわゆる重要事
実について規定した同法一六六条二項は、一号から三号までにおいて、典型的なも
のを具体的に列挙し、しかも、一、二号においては軽微基準を、三号においては重
要基準をかからしめ、これらを省令で形式的に数値化して処罰対象行為の基準を明
らかにしており、その上で、四号において、一ないし三号とは異なり、「会社等の
運営、業務又は財産に関する重要な事実であって投資者の投資判断に著しい影響を
及ぼすもの」という一般的・包括的な事項を規定している。この四号の規定の趣旨
は、今後の経済、証券市場の発展、変化に対応してすべての事項をあらかじめ列記
することはきわめて困難であることから、将来、インサイダー取引規制に抜け穴が
生じないようにするために、一ないし三号に加えて規定されたものである。したが
って、四号は、インサイダー取引規制の構成要件をできる限り客観的かつ明確に規
定するとの大きな枠組みの中で、あくまで補充的・補助的規定として設けられたも
のとみるべきであり、他方、一ないし三号は、それぞれ独立した構成要件であっ
て、四号に内包される単なるガイドライン的な規定でないことは法文上明らかとい
うべきである。このような立法趣旨に照らしてみても、また、四号の冒頭にある
「前三号に掲げる事実を除き」との文言からしても、四号は、一ないし三号までに
掲げられた重要事実以外の事実についての規定であり、一ないし三号に相応する事
実ではあるが、同時に又は選択的に、投資判断に著しい影響を及ぼすものとして四
号に該当するというようなことはないと解するほかない。
 そして、本件副作用情報は、まず個別条項である二号イにいう「災害又は業務に
起因する損害」に該当する余地があり、その損害が所定の軽微基準を上回るか否か
の判断は、被告人の本件取引行為が処罰の対象となるか否かに係るものである。そ
うだとすると、原判決が、検察官が主張する四号の該当性の判断に先立ち、二号イ
をはじめ一ないし三号の該当性について検討しているところは是認できるが、二号
イの該当性を検討しながら、同号イの該当性を否定した上で、四号の該当性を更に
検討するといった判断手法は、前示の一ないし三号と四号との関係からして、誤り
であるといわざるを得ない。しかも、損害が軽微基準を上回るかどうか証拠上断定
できないのであれば、この点の審理を尽くさせるべきであり、それをすることなく
前示のような理由で安易に同号イの該当性を否定すること自体も、刑事裁判におけ
る立証責任の観点からして問題であるといわなければならない。記録によると、原
審において二号イの該当性が問題になったのは、弁護人が弁論でこの点の主張をし
てからであり、本来なら、原裁判所は、この段階で、あるいは、いったん終結した
のであれば再開し、検察官から右主張に対する反論をさせるなどして、双方の主張
がかみ合う形で審理を尽くすべきであったというほかない。
 三 検察官は、一ないし三号と四号との関係について、原審における前示の審理
経緯があったからか、原審では何も主張していなかったが、当審の答弁書におい
て、四号に規定する重要事実は、一ないし三号が経済的、量的な観点から形式的要
件をもって重要事実を列挙している関係上、それとは異質の、およそ経済的、量的
観点だけでは評価し切れない事項(企業の信用、イメージ評価等)であって、実質
的に投資者の投資判断に著しい影響を及ぼすものであると解される、と新たな主張
をする。 そこで、これについてみるに、このような考え方は、四号について一な
いし三号とは別個の独自な意味合いを持たせるものであり、前述の立法者の意思と
明らかに矛盾するものであるといわざるを得ない。なるほど、一ないし三号の規定
は、構成要件をできる限り客観化、明確化するとの要請を受けての規定であるが、
余りにも具体的であり、かつ、軽微基準ないし重要基準といった数値での線引きを
設けているため、規定が複雑であり、インサイダー取引規制の処罰目的を達成する
ことが困難となることも予想でき、これを解消し、処罰目的をより効果的かつ柔軟
に達成するためには、四号の包括的規定を活用すべく、同号の存在意義を見直し、
二項全体を柔軟に解釈するという処罰対応の解釈も考えられ得る。しかし、仮に、
立法形式に問題があるとしても、もともと規制すべき取引の範囲を明確かつ客観的
に規定するために採用された立法形式であり、このような不具合が生じることは立
法当初から明らかであったことである。証券取引法を取り巻く社会事象の変化を考
慮に入れても、法改正をしないで解釈でもって右不具合の解決を試みようとするの
は、立法趣旨をないがしろにするものであって、刑罰法規の解釈の限界を超え、ひ
いては罪刑法定主義にも反するものというほかない(いわゆる通い売春の形態につ
いて売春防止法一二条(管理売春)の適用を認めた最高裁第三小法廷昭和四二年九
月一九日決定や、写真コピーについて文書偽造罪の文書性を認めた最高裁第二小法
廷昭和五一年四月三〇日判決等は、いずれも立法当時予想されなかった事象に対応
するために、合理的解釈を施したものであり、本件の場合にこれらと同列に解する
ことはできないというべきである。)。実質的にみても、一ないし三号に規定する
事実は、いずれも経済的、量的観点だけでは評価し切れない企業の信用、イメージ
評価等の事項をも含むことは、通常のことであると考えられるのであって、このよ
うな事項について再度四号の該当性が問題になるというのでは、一ないし三号を処
罰対象の構成要件として定めた意味がなくなり、四号の単なるガイドラインとし
て、実質的に空文化するものといわざるを得ない。インサイダー取引規制の処罰目
的を達成するために、柔軟でかつ合理的な解釈が許されるとしても、それは、規制
の枠組みの中で、まず、一ないし三号の個別的規定について、その客観的・主観的
要件の解釈・運用の面で試みるのが筋であり、いきなり包括的規定である四号で処
罰を試みるというのは、余りにも処罰の便宜に走り、かつ、立法構成を無視した解
釈であって、到底賛同できない。
 したがって、検察官の主張は採用することができない。
 四 以上によれば、原判決には、証券取引法一六六条二項二号イ及び四号の解
釈・適用の誤りがあり、これが判決に影響を及ぼすことは明らかである。
 論旨はこの点で理由がある。
 第四 結論
 よって、その余の所論について判断するまでもなく、刑訴法三九七条一項、三八
〇条により原判決を破棄し、なお、当審において自判するのが相当であるかについ
て考えるに、本件副作用情報の重要事実性については、前示したように、証券取引
法一六六条二項二号イに該当する余地があり、これを検討、判断するべきであると
ころ、二号イの該当性については、原審では、弁護人から最終弁論での主張がある
のみで、全く審理されていない状況にかんがみると、審級の利益の観点からして、
今後審理の上で予測される二号イの該当性に関する客観的・主観的要件の立証につ
いて、原審で攻防を尽くさせるのが相当であり、この点について、当審において予
備的にでも訴因の変更を促し、全く新たに審理するのは、訴訟経済の点を考慮に入
れても相当ではない。したがって、当審で自判することは避け、原審において、予
備的にでも訴因の変更を促して二号イの該当性について審理を尽くさせるため、刑
訴法四〇〇条本文により、本件を原裁判所である大阪地方裁判所に差し戻すことと
し、主文のとおり判決する。
 (裁判長裁判官 田崎文夫 裁判官 久米喜三郎 裁判官 毛利晴光)

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