弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人菊池武及び同井上準一郎の各上告理由について
 旧著作権法(明治三二年法律第三九号)の定めるところによれば、著作者は、そ
の著作物を複製する権利を専有し、第三者が著作権者に無断でその著作物を複製す
るときは、偽作者として著作権侵害の責に任じなければならないとされているが、
ここにいう著作物の複製とは、既存の著作物に依拠し、その内容及び形式を覚知さ
せるに足りるものを再製することをいうと解すべきであるから、既存の著作物と同
一性のある作品が作成されても、それが既存の著作物に依拠して再製されたもので
ないときは、その複製をしたことにはあたらず、著作権侵害の問題を生ずる余地は
ないところ、既存の著作物に接する機会がなく、従つて、その存在、内容を知らな
かつた者は、これを知らなかつたことにつき過失があると否とにかかわらず、既存
の著作物に依拠した作品を再製するに由ないものであるから、既存の著作物と同一
性のある作品を作成しても、これにより著作権侵害の責に任じなければならないも
のではない。
 ところで、原審の確定したところによれば、A楽曲又はその一部である甲曲は、
わが国においては乙曲が被上告人Bによつて作曲された昭和三八年当時に至るまで
音楽の専門家又は愛好家の一部に知られていただけで、音楽の専門家又は愛好家で
あれば誰でもこれを知つていたほど著名ではなく、他方、被上告人Bは、内外のレ
コード、楽譜の厖大な量のコレクシヨンがある放送局に勤務し、昭和二七年ころ一
時レコード係を勤めたほか、昭和三八年当時は演出部長として音楽番組を含むテレ
ビ番組の企画製作についての責任を負い、かつ、その間流行歌の作詞作曲に従事し
ていた者ではあるが、乙曲を作曲した当時A楽曲の存在を知つていたとしなければ
ならないような特段の事情はなく、更に、甲曲と乙曲とを対比すると、動機を構成
する旋律において類似する部分があるが、右類似部分の旋律は、A楽曲や乙曲を含
むB楽曲のようないわゆる流行歌においてよく用いられている音型に属し、偶然類
似のものがあらわれる可能性が少なくないうえ、乙曲には甲曲にみられない旋律が
含まれている、というのであり、右事実によれば、被上告人Bにおいて乙曲の作曲
前現に甲曲に接していたことは勿論、甲曲に接する機会があつたことも推認し難く、
乙曲をもつて申曲に依拠して作曲された甲曲の複製物と断ずることはできないから、
被上告人B、同株式会社Eが、上告人の主張するように、乙曲を含むB楽曲の複製
を他に許諾したとしても、そのことから甲曲を含むA楽曲を複製してA楽曲につい
ての著作権を侵害したということはできない。これと同趣旨の原判決は相当であつ
て、原判決に所論の違法はない。論旨は、原判決を正解しないか、又は独自の見解
に立つて原判決を論難するものに過ぎず、採用することができない。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主
文のとおり判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    岸   上   康   夫
            裁判官    団   藤   重   光
            裁判官    藤   崎   萬   里
            裁判官    本   山       亨

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