弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     被告人を懲役一年六月に処する。
     原審における未決勾留日数中六〇日を右本刑に算入する。
         理    由
 本件控訴の趣意は、旭川地方検察庁検察官検事高橋秋一郎作成名義の控訴趣意書
記載のとおりであり、これに対する答弁は、弁護人水原清之提出の答弁書記載のと
おりであるから、いずれもこれを引用する。
 右控訴趣意第一の法令適用の誤について
 原判決が被告人に対する本件各公訴事実のとおりの事実を認定処断した本刑に未
決勾留日数全部を算入するにあたり、右公訴事実とは別個の被疑事実につき被告人
に発せられた昭和三五年一月二八日付勾留状による勾留の日数をも含めていること
原判文ならびに本件記録に徴し、まことに所論のとおりである。
 そこで、その当否を按ずるに、刑法二一条にいう算入の対象となる未決勾留の日
数の起算が勾留の初日からであり、起訴前のそれをも含むことは疑いのないところ
である。しかし、それは、本刑に算入せらるべき関係において、元来、本刑の科せ
られる罪が単独で、または、同一被告人に対する他の罪と併合して裁判所に起訴さ
れ、一個の訴訟手続で審理される場合にかぎつて、その罪につき発せられた勾留状
にもとずく未決勾留の日<要旨>数を本刑算入の対象とすべきものと解するから、何
等起訴されない罪について発せられた勾留状による未決勾留は、たとい、そ
れが起訴された罪の捜査取調につき実質上利用されたものとしても、起訴された罪
の本刑に算入し得ないものとしなければならない。答弁書中これと見解を異にして
の所論はにわかに首肯し難い。してみると、原審の前示措置は、結局前記法条の解
釈適用を誤り、本来本刑に算入し得ない未決勾留日数をこれに算入した違法のもの
というべく、そして、それは判決に影響をおよぼすことが明らかな場合に該当する
ものと認められるから、原判決は到底破棄を免れない。
 同第二の量刑不当について
 本件記録にあらわれた本件犯行の動機、態様、回数、傷害の部位、程度、被告人
本来の性格やこれまでの非行歴、本件犯行後の情況その他諸般の事情を総合する
と、被告人が少年の域を脱したばかりの若年であること、本件被害の一部が弁償さ
れていることなど被告人に有利な事情を勘案しても、原判決が被告人を徴役二年に
処し、これに三年間保護観察付執行猶予の言渡をしたのは、その量刑が軽きに失す
るものと認めざるを得ない。
 答弁書中犯罪後の情況を控訴理由の判断の資料とすることの不当を云為する所論
は、弁護人独自の見解としてこれまた採用するに由ない。したがつて、原判決はこ
の点においても破棄を免れない。
 よつて、各論旨は理由ありと認め、刑事訴訟法三九七条、三八〇条、三八一条、
四〇〇条但書により原判決を破棄し、さらにつぎのとおり自判することとする。
 原審が適法に認定した事実に法律を適用すると、被告人の原判示一の窃盗の所為
は刑法二三五条、六〇条に、同二および三の(一)の各傷害の所為は同法二〇四
条、六〇条(共謀の点)、罰金等臨時措置法三条一項に(各懲役刑選択)、同三の
(二)の所為は刑法二四九条一項、六〇条に各該当するところ、以上の各罪と当審
で取調べた検察官作成の上申書と題する書面によつて明らかな被告人の昭和三五年
八月一一日旭川地方裁判所で傷害致死罪により懲役六年に処する旨の判決言渡しを
受け、その同年九月二〇日確定した罪とは、刑法四五条後段の併合罪であるから、
同法五〇条に従い未だ裁判を経ない前記各罪につきさらに処断すべく、右各罪は同
法四五条前段の併合罪の関係にあるので、同法四七条、第一〇条により犯情最も重
いと認める原判示二の傷害の罪の刑に法定の加重をした刑期範囲内で被告人を懲役
一年六月に処し、同法二一条を適用して原審における未決勾留日数中六〇日を右本
刑に算入し、刑事訴訟法一八一条一項但書に従い原審ならびに当審における訴訟費
用は被告人に負担させないこととし、主文のとおり判決する。
 (裁判長裁判官 矢部孝 裁判官 中村義正 裁判官 小野慶二)

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