弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決の上告人敗訴部分のうち、被上告人Bの遅延損害金の請求中上告
人に対し金三一二万九二一九円に対する昭和五一年八月一一日から支払ずみに至る
まで年五分の割合による金員の範囲を超えて支払を求める部分及びその余の被上告
人らの遅延損害金の請求中上告人に対しそれぞれ金一一八万一六八八円に対する昭
和五一年八月一一日から支払済みに至るまで年五分の割合による金員の範囲を超え
て支払を求める部分につき、原判決を破棄し、第一審判決を取り消す。
     前項の部分に関する被上告人らの請求を棄却する。
     上告人のその余の上告を棄却する。
     上告人の民訴法一九八条二項の規定による裁判を求める申立を棄却する。
     訴訟の総費用及び上告人の民訴法一九八条二項の規定による裁判を求め
る申立に関して生じた費用は、上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人原田策司、同相澤建志、同児玉康夫の上告理由第一点について
 原審の適法に確定した事実関係のもとにおいて、訴外Dはダンプカーの運行によ
つて傷害を受けたために死亡したものであるとした原審の判断は、正当として是認
することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。
 同第二点について
 所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当とし
て是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、原審
の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものにすぎず、採用するこ
とができない。
 同第三点について
 不法行為の被害者が、自己の権利擁護のため訴を提起することを余儀なくされ、
訴訟追行を弁護士に委任した場合には、その弁護士費用は、事案の難易、請求額、
認容された額その他諸般の事情を斟酌して相当と認められる額の範囲内のものにか
ぎり、右不法行為と相当因果関係に立つ損害というべきであることは当裁判所の判
例とするところであり(最高裁昭和四一年(オ)第二八〇号同四四年二月二七日第
一小法廷判決・民集二三巻二号四四一頁)、この理は、被害者が自動車損害賠償保
障法一六条一項に基づき保険金額の限度において損害賠償額の支払を保険会社に対
して直接請求する場合においても異ならないと解するのが相当である。原審の適法
に確定した事実関係及び本件訴訟の経過に照らし、原審の認容した限度で本件交通
事故と弁護士費用との相当因果関係を肯認した原審の判断は正当であつて、原判決
に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、独自の見解に立つて原判決を論難する
ものにすぎず、採用することができない。
 同第四点について
 自動車損害賠償保障法一六条一項に基づく被害者の保険会社に対する直接請求権
は、被害者が保険会社に対して有する損害賠償請求権であつて、保有者の保険金請
求権の変形ないしはそれに準ずる権利ではないのであるから、保険会社の被害者に
対する損害賠償債務は商法五一四条所定の「商行為ニ困リテ生シタル債務」には当
らないと解すべきである。してみると、弁護士費用を除く損害賠償債務について商
事法定利率である年六分の割合による遅延損害金を付した原審の判断には、自動車
損害賠償保障法一六条一項及び商法五一四条の規定の解釈適用を誤つた違法があり、
論旨は理由がある。
 以上の次第で、原判決及び第一審判決中、弁護士費用を除いた損害賠償請求につ
いて民法所定の年五分の割合による金員を超えて遅延損害金の請求を認容した部分
は、それぞれ破棄又は取消を免れず、本訴請求中、右部分は失当として棄却すべき
であるが、その余の上告は理由がないからこれを棄却すべきである。
 上告人の民訴法一九八条二項の規定による裁判を求める申立について
 上告人は、本判決末尾添付の申立書記載のとおり民訴法一九八条二項の規定によ
る裁判を求める申立をし、その理由として陳述した同申立書記載の事実関係は、被
上告人らの争わないところである。そして、右事実関係によれば、上告人が原判決
により履行を命じられた債務につきその弁済としてした給付は右条項所定の仮執行
の宣言に基づく給付にあたるものというべきであるところ、原判決及び第一審判決
中、遅延損害金として年五分を超えて被上告人らの請求を認容した部分がそれぞれ
破棄又は取消を免れないことは前記説示のとおりであるから、第一審判決に付され
た仮執行宣言は右部分についてその効力を失うものといわなければならない。しか
しながら、被上告人らの受領した遅延損害金は元本全額について年五分の利率によ
つて計算された金額であることが明らかであるから、前記部分について仮執行の宣
言に基づく給付があつたものとはいえない。したがつて、上告人の本件申立は理由
がないので棄却を免れない。
 よつて、民訴法四〇八条、三九六条、三八六条、三八四条、一九八条二項、九六
条、八九条、九二条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    横   井   大   三
            裁判官    環       昌   一
            裁判官    伊   藤   正   己
            裁判官    寺   田   治   郎

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