弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

            主     文
       原判決を破棄し,第1審判決を取り消す。
       本件訴えを却下する。
       訴訟の総費用は上告人の負担とする。
            理     由
 1 本件は,地方公共団体である上告人の長が,宝塚市パチンコ店等,ゲームセ
ンター及びラブホテルの建築等の規制に関する条例(昭和58年宝塚市条例第19
号。以下「本件条例」という。)8条に基づき,宝塚市内においてパチンコ店を建
築しようとする被上告人に対し,その建築工事の中止命令を発したが,被上告人が
これに従わないため,上告人が被上告人に対し同工事を続行してはならない旨の裁
判を求めた事案である。第1審は,本件訴えを適法なものと扱い,本件請求は理由
がないと判断して,これを棄却し,原審は,この第1審判決を維持して,上告人の
控訴を棄却した。
 2 そこで,職権により本件訴えの適否について検討する。
 行政事件を含む民事事件において裁判所がその固有の権限に基づいて審判するこ
とのできる対象は,裁判所法3条1項にいう「法律上の争訟」,すなわち当事者間
の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争であって,かつ,それが法
令の適用により終局的に解決することができるものに限られる(最高裁昭和51年
(オ)第749号同56年4月7日第三小法廷判決・民集35巻3号443頁参照)。
国又は地方公共団体が提起した訴訟であって,財産権の主体として自己の財産上の
権利利益の保護救済を求めるような場合には,法律上の争訟に当たるというべきで
あるが,国又は地方公共団体が専ら行政権の主体として国民に対して行政上の義務
の履行を求める訴訟は,法規の適用の適正ないし一般公益の保護を目的とするもの
であって,自己の権利利益の保護救済を目的とするものということはできないから
,法律上の争訟として当然に裁判所の審判の対象となるものではなく,法律に特別
の規定がある場合に限り,提起することが許されるものと解される。そして,行政
代執行法は,行政上の義務の履行確保に関しては,別に法律で定めるものを除いて
は,同法の定めるところによるものと規定して(1条),同法が行政上の義務の履
行に関する一般法であることを明らかにした上で,その具体的な方法としては,同
法2条の規定による代執行のみを認めている。また,行政事件訴訟法その他の法律
にも,一般に国又は地方公共団体が国民に対して行政上の義務の履行を求める訴訟
を提起することを認める特別の規定は存在しない。したがって,【要旨1】国又は
地方公共団体が専ら行政権の主体として国民に対して行政上の義務の履行を求める
訴訟は,裁判所法3条1項にいう法律上の争訟に当たらず,これを認める特別の規
定もないから,不適法というべきである。
 【要旨2】本件訴えは,地方公共団体である上告人が本件条例8条に基づく行政
上の義務の履行を求めて提起したものであり,原審が確定したところによると,当
該義務が上告人の財産的権利に由来するものであるという事情も認められないから
,法律上の争訟に当たらず,不適法というほかはない。そうすると,原判決には判
決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり,原判決は破棄を免れない。そ
して,以上によれば,第1審判決を取り消して,本件訴えを却下すべきである。
 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。 
    最高裁判所第三小法廷
(裁判長裁判官 金谷利廣 裁判官 奥田昌道 裁判官 濱田邦夫 裁判官 上田
豊三)

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛