弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人大西幸馬、同大山菊治の上告理由第一点について。
 論旨は、現行民法においては離婚の場合に離婚をした者の一方は、相手方に対し
て財産分与の請求ができるから、離婚につき相手方に責任があるの故をもつて、直
ちに慰藉料の請求をなし得るものではなく、その離婚原因となつた相手方の行為が、
特に身体、自由、名誉等の法益に対する重大な侵害であり不法行為の成立する場合
に、損害賠償の請求をなし得るに過ぎないものと解すべきである。しかるに原判決
が右と異なる見解をとり慰藉料の請求を認容したのは、慰藉料請求権の本質を曲解
した違法があるというに帰する。
 しかしながら、離婚の場合に離婚した者の一方が相手方に対して有する財産分与
請求権は、必ずしも相手方に離婚につき有責不法の行為のあつたことを要件とする
ものではない。しかるに、離婚の場合における慰藉料請求権は、相手方の有責不法
な行為によつて離婚するの止むなきに至つたことにつき、相手方に対して損害賠償
を請求することを目的とするものであるから、財産分与請求権とはその本質を異に
すると共に、必ずしも所論のように身体、自由、名誉を害せられた場合のみに慰藉
料を請求し得るものと限局して解釈しなければならないものではない。されば、権
利者は両請求権のいずれかを選択して行使することもできると解すべきである。た
ゞ両請求権は互に密接な関係にあり財産分与の額及び方法を定めるには一切の事情
を考慮することを要するのであるから、その事情のなかには慰藉料支払義務の発生
原因たる事情も当然に斟酌されるべきものであることは言うまでもない。ところで、
これを本件について見ると、被上告人は本訴において慰藉料のみの支払を求めてい
るのであつて、すでに財産分与を得たわけではないことはもちろん、慰藉料と共に
別に財産分与を求めているものでもない。それ故、所論の理由により慰藉料の請求
を許されずとなすべきでないこと明らかであるから、所論は理由がない。
 同第二点について。
 原判決は、本件離婚の原因が、主として上告人の母Dの被上告人に対する冷酷な
言動にあつた事実を認定し、かつ上告人が夫として破局を防止し得たにかかわらず
その努力を怠つたことを理由として上告人に離婚の責任があるとしたに止まらず、
上告人が「むしろ母の言動に追随する有様であつた」との事実をも併せて認定して
いるのである。してみれば、所論のように上告人の行為を不作為だけとなすのは当
らない。そして、論旨は、現行民法により財産分与請求権が認められた以上、特に
重大な権利侵害があつた場合でなければ慰藉料請求は許されないとの理論を前提と
しているが、右理論自体が誤りであることは、第一点について判示したとおりであ
るから、所論は採るを得ない。なお、論旨中には違憲をいうけれども、その実質は
上告人に本件離婚の責任があるとした原判決の実体法規の解釈適用を非難するに帰
するので、適法な違憲の主張に当らない。
 その他の論旨は、原審に審理不尽の違法があると主張するに過ぎず、すべて「最
高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律」(昭和二五年五月四日
法律一三八号)一号乃至三号のいずれにも該当せず又同法にいわゆる「法令の解釈
に関する重要な主張を含む」ものと認められない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致で、主文のとお
り判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    小   林   俊   三
            裁判官    本   村   善 太 郎

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