弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人小坂志磨夫、同竹田和彦の上告理由第一点、第二点及び第三点一につ
いて
 特許法は、特許に無効原因がある場合について、直接当該特許の取消ないしは無
効確認を求めて訴訟を提起することを認めず、特許を無効にするための手続として、
民事訴訟手続に準じた審判手続を設け、特許無効の審判を請求した者と特許権者と
を当事者として関与させ、特許の無効原因の存否について専門的知識経験を有する
審判官による審理判断を経由することを要求するとともに、その審決に対しては取
消訴訟において専ら審決の適法違法のみを争わせ、特許の適否は審決の適否を通じ
てのみ間接にこれを争わせるにとどめているところ、その趣旨とするところは、特
許に無効原因があるかどうかについては、右審判手続において法律上及び事実上の
争点について十分な審理判断をすべきものとするにあると解される。また、特許法
は、右取消訴訟を東京高等裁判所の専属管轄として事実審を一審級省略しているの
であるが、このことは、特許の無効原因の存否については、すでに審判手続におい
て当事者の関与のもとに十分な審理判断がされていることを前提としているからに
ほかならないと解されるのである。これらの点に鑑みると、特許法一五七条二項四
号が審決をする場合には審決書に理由を記載すべき旨定めている趣旨は、審判官の
判断の慎重、合理性を担保しその恣意を抑制して審決の公正を保障すること、当事
者が審決に対する取消訴訟を提起するかどうかを考慮するのに便宜を与えること及
び審決の適否に関する裁判所の審査の対象を明確にすることにあるというべきであ
り、したがつて、審決書に記載すべき理由としては、当該発明の属する技術の分野
における通常の知識を有する者の技術上の常識又は技術水準とされる事実などこれ
らの者にとつて顕著な事実について判断を示す場合であるなど特段の事由かない限
り、前示のような審判における最終的な判断として、その判断の根拠を証拠による
認定事実に基づき具体的に明示することを要するものと解するのが相当である。
 これを本件についてみるに、原審の適法に確定したところによれば、本件審決書
には、本件第一発明についての特許が特許法二九条二項の規定に違反し無効である
とする理由としては、「本件特許の上記第一番目の発明において、その余の成分を
使用する場合については、該成分はいずれも上記成分と同様に使用できる相互置換
容易の化合物であり、さらに生成染料について、本件特許明細書には、該染料が、
ある特定の成分を使用した場合のみ著しく価値あるものとすべき十分の根拠を示し
ていないことから判断して、夫夫の生成染料は上記染料と同程度の価値のものとし
ての認識を出ていないものと解するを相当とする。」との記載があるにすぎないと
いうのであり、これを原判示の本件審決書のその余の記載に照らして考察しても、
右理由の記載は、本件第一発明においてジアゾ成分のXとしてシアン以外の成分、
カツプリング成分のYとしてアシルアミノ以外の成分をそれぞれ用いた場合につい
ては、シアン及びアシルアミノが用いられているとする引用例の発明とは成分の置
換が容易であり、また、生成染料も同程度の価値のものであるということをいわば
結論的に示すにとどまり、そのように.判断した根拠を証拠による認定事実に基づ
き具体的に明示するものとはいえないから、特段の事由が認められない本件におい
ては、本件第一発明のような染料の技術分野における発明についての特許が右規定
に違反し無効であるとする判断を示すについて、右程度の記載をもつて法の要求す
る審決理由を記載したものと解することはできず、したがつて、本件審決中本件第
一発明に関する部分は違法であるといわなければならない。右と同旨の原審の判断
は、正当として是認することができる。また、原審の適法に確定したところによれ
ば、本件審決書には、本件第二発明についての特許が前記規定に違反し無効である
とする理由の記載としては、本件第一発明に関する前記理由の記載をうけたうえ、
本件第二発明と本件第一発明との相違点に格別の技術的意義はない旨の説示を付加
しているにすぎないというのであるから、本件審決中本件第二発明についての特許
を無効にした部分も、適法な理由の記載を欠く違法があるものというほかはなく、
これと同旨の原審の判断もまた、正当として是認することができる。原判決に所論
の違法はなく、論旨は採用することができない。
 同第三点二について
 判決に証拠に関する摘示を欠いたことは、それによつて判決に影響を及ぼすもの
でない限り上告適法の理由にあたらないと解すべきところ(最高裁昭和五一年(オ)
第一三二三号同五二年一〇月二五日第三小法廷判決・裁判集民事一二二号一三五頁)、
記録及び原判決の理由の説示に徴し、原判決に証拠に関する摘示を欠いたことが判
決に影響を及ぼすものとは認められないから、論旨は採用の限りでない。
 よつて、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官
全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    木 戸 口   久   治
            裁判官    横   井   大   三
            裁判官    伊   藤   正   己
            裁判官    安   岡   滿   彦

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