弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人仙谷由人の上告理由について
 おもうに、注文者が請負人に対して有する仕事の目的物の瑕疵の修補に代わる損
害賠償請求権は、注文者が目的物の引渡を受けた時から一年内にこれを行使するを
要することは、民法六三七条一項の規定するところであり、この期間がいわゆる除
斥期間であることは所論の通りであるが、右期間経過前に請負人の注文者に対する
請負代金請求権と右損害賠償請求権とが相殺適状に達していたときには、同法五〇
八条の類推適用により、右期間経過後であつても、注文者は、右損害賠償請求権を
自働債権とし請負代金請求権を受働債権として相殺をなしうるものと解すべきであ
る。けだし、請負契約における注文者の請負代金支払義務と請負人の仕事の目的物
引渡義務とは対価的牽連関係に立つものであり、目的物に瑕疵がある場合における
注文者の瑕疵修補に代わる損害賠償請求権は、実質的、経済的には、請負代金を減
額し、請負契約の当事者が相互に負う義務につきその間に等価関係をもたらす機能
をも有するものであるから、瑕疵ある目的物の引渡を受けた注文者が請負人に対し
取得する右損害賠償請求権と請負人の注文者に対する請負代金請求権とが同法六三
七条一項所定の期間経過前に相殺適状に達したときには、注文者において右請負代
金請求権と右損害賠償請求権とが対当額で消滅したものと信じ、損害賠償請求権を
行使しないまま右期間が経過したとしても、そのために注文者に不利益を与えるこ
とは酷であり、公平の見地からかかる注文者の信頼は保護されるべきものであつて、
このことは右期間が時効期間であると除斥期間であるとによりその結論を異にすべ
き合理的理由はないからである。以上の解釈と異なる大審院判例(昭和三年(オ)
第六四四号同年一二月一二日判決・民集七巻一二号一〇七一頁、法律評論一八巻(
上)民法四二八頁)は、変更されるべきである。
 本件において、原審が適法に確定したところによれば、被上告人Bの上告人に対
する本件損害賠償請求権と上告人の同被上告人に対する本件請負代金請求権とは、
同被上告人が本件請負契約の目的物の引渡を受けた時から民法六三七条一項所定の
一年の期間が経過する前である昭和四五年三月末日に相殺適状に達していたという
のであるから、同被上告人が本件損害賠償請求権を自働債権とし本件請負代金請求
権を受働債権としてした本件相殺の意思表示は、右期間経過後にされたものであつ
ても、有効なものというべきである。本件相殺の意思表示を有効とした原審の判断
は結論において正当であつて、原判決に所論の違法はなく、これと異なる見解のも
とに原判決を非難する論旨は採用することができない。
 よつて、民訴法四〇一条、三九六条、三八四条、九五条、八九条に従い、裁判官
全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    岸   上   康   夫
            裁判官    藤   林   益   三
            裁判官    下   田   武   三
            裁判官    岸       盛   一
            裁判官    団   藤   重   光

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛