弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

主文
1本件控訴を棄却する。
2控訴費用は,控訴人の負担とする。
事実及び理由
第1控訴の趣旨
1原判決を取り消す。
2被控訴人の請求をいずれも棄却する。
3訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。
第2事案の概要(略語等は,原則として,原判決に従う)。
1本件は「留学」の在留資格を有する中華人民共和国国籍の被控訴人が,東,
()()京入国管理局東京入管入国審査官から出入国管理及び難民認定法入管法
24条4号イ(同法19条1項の規定に違反して報酬を受ける活動を専ら行っ
ていると明らかに認められる者)の要件(専業活動要件)に該当するとの認定
を受け,同法49条1項による異議の申出に理由がない旨の法務大臣の裁決を
経て,東京入管主任審査官から退去強制令書の発付を受けたため,上記の認定
処分,裁決及び退去強制令書発付処分の取消しを求めている事案である。
,,原審は被控訴人は入管法24条4号イの専業活動要件に該当しないとして
被控訴人の請求をいずれも認容したので,控訴人が控訴した。
2前提事実,争点及び当事者の主張は,原判決の「事実及び理由」第2の1及
(。),び2同2の引用に係る原判決別紙を含むに摘示されたとおりであるから
これを引用する。
第3当裁判所の判断
1当裁判所も,被控訴人の請求はいずれも理由があるものと判断する。その理
由は,次のとおり原判決を訂正するほか,原判決の「事実及び理由」第3の1
及び2に説示されたとおりであるから,これを引用する。
(原判決の訂正)
(1)原判決6頁8行目の「等を総合考慮して」を「その他の諸事情を総合考
慮し,本来の在留資格に基づく学業の遂行の状況と資格外活動の状況等を比
較検討した上で」に改め,同頁11行目の冒頭から同25行目の末尾まで,
を次のとおり改める。
「エなお,この点に関して,控訴人は「専ら行っている」とは,在留目,
的となる活動が在留資格である活動から変更されたと評価できる程度に
,「」まで在留資格外の活動を行っていることと解すべきであるとし留学
(),「」の在留資格は原則的に就労と両立せず入管法19条1項2号留学
の在留資格を取得するためには当該外国人にその経費の支弁能力のある
ことを要件としている(入管法7条,同法施行規則6条)のであって,
我が国は,就労しながら勉学することを希望する外国人を受け入れる出
入国管理政策を採用していないから「留学」の在留資格で在留する外,
国人が行う資格外の報酬活動の程度が,留学経費の不足分を補う程度の
アルバイトを超えて,本邦滞在中の必要経費を賄おうとするまでに至っ
ている場合には,学業の遂行自体が阻害されていないとしても,在留目
「」(),的たる活動が留学から資格外活動就労に変更されたと評価され
専業活動要件に該当すると解すべきであり,このことは,資格外活動の
規制に関する平成元年入管法改正時の国会審議からも明らかである等の
主張をする。
入管法及び同法施行規則の規定は所論のとおりであるが,入管法は,
刑事罰の対象となる資格外活動自体を退去強制事由とすることなく,専
業活動要件を具備する資格外就労のみを特に重大な違法事由である退去
強制事由とし,かつ,これを独自の刑事罰の対象としていること(入管
法70条1項4号)は,既に説示したとおりであり,この点をも考慮す
れば,特に重大な違法事由である退去強制事由及び犯罪の構成要件の内
容をなす専業活動要件は,法の文理に即して解釈されるべきである。
すなわち,入管法24条4号イは,同法19条1項1,2号を区別す
ることなく,同法19条1項に違反する資格外活動を「専ら」行ってい
ることの明白性を要件としているのであるから「留学」を在留資格と,
する外国人についても,前記ウの諸事情を総合考慮し,本来の在留資格
に基づく学業の遂行の状況と資格外活動の状況等を比較検討した上で,
当該外国人の在留目的である活動の実質的な変更の有無を判断すべきで
あり,資格外活動による報酬額が本邦滞在中の必要経費の額に達するこ
との一事をもって,学業の遂行の状況のいかんを問わず直ちに上記法定
の要件を満たすものと解すべきものではない。平成元年の入管法改正時
の国会審議における政府委員の答弁(乙52の1及び2)も,入管法1
9条2項に関連して,留学を在留資格とする者についての資格外就労許
可においては,学業と就労の本末が転倒して就労が主になることは避け
たいとし,又は資格外就労により一切の生計費を賄うような場合には就
学・留学の基礎が問題となるとの一般論に言及するにとどまるものであ
り,まじめな学生についてはその実態を十分に踏まえた配慮をその在留
活動について考えていく必要がある旨の答弁部分をも併せ考えると,専
業活動要件につき法の文理から乖離した所論の解釈を導く根拠となり得
るものとは認め難い。所論は,入管法19条1項2号(特に「就学,」
「留学)に係る無許可の資格外活動については,法文にない基準に基」
づき専業活動要件を緩和すべしというにほかならず,採用することはで
きない(仮に,所論の基準による実務の運用が政策的に真に必要である
のであれば,そのような解釈を採り得る法文へ改正するという立法的解
決を図るべき事柄といえよう。。)
なお,控訴人は,被控訴人が従事したホステスの業務の違法性及び悪
質性を主張し,入管法の目的に係る我が国の産業及び国民生活に与える
影響に言及するが,資格外活動の違法性及び悪質性は,入管法24条4
号ヌのように当該活動自体が退去強制事由になる場合は格別,在留期間
の更新の許否の裁量的判断において考慮されるべき事柄であり,在留資
格をもって本邦に在留する外国人から即時にその法的地位を剥奪する退
去強制処分の要件である専業活動要件について所論の解釈を導く根拠と
なるものではない」。
(2)同16頁5行目の末尾に改行して,次のとおり加える。
「なお,控訴人は,被控訴人は,仮放免後に開設したブログ(乙49)の
中で,生活費の欠乏を嘆きながらアルバイトによる収入の確保に強い意欲
を示し,中国茶葉の販売や中国語教室の宣伝を行うなど事業活動に強い意
欲を示しており,本件を反省することなく新たな資格外活動をしようとし
ている旨主張するが,本件認定処分から約10か月を経た後の事情に係る
主張である上,証拠上,当該ブログ上の中国茶葉の販売や中国語教室の宣
伝が被控訴人自身の関与によるものと認めるには足りず,上記主張は,前
示の判断を左右するに足りるものではない。
控訴人のその余の主張も,被控訴人の専業活動要件への該当性に関する
前示の判断を左右するに足りるものではない」。
2よって,原判決は相当であり,本件控訴は理由がないから棄却することとし
て,主文のとおり判決する。
東京高等裁判所第11民事部
裁判長裁判官富越和厚
裁判官中山顕裕
裁判官岩井伸晃

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛