弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決及び第一審判決を次のとおり変更する。
     一 被上告人は、上告人に対し、一七一三万五〇八五円及びこれに対す
る内金一二七一万九八七八円については昭和四五年三月一七日から、内金三七一万
五二〇七円については昭和四九年一〇月一九日から、各支払ずみにいたるまで年五
分の割合による金員を支払え。
     二 上告人のその余の請求を棄却する。
     訴訟の総費用はこれを二分し、その一を上告人の、その余を被上告人の、
各負担とする。
         理    由
 上告代理人武田安紀彦の上告理由について
 一 労働者災害補償保険法に基づく保険給付の実質は、使用者の労働基準法上の
災害補償義務を政府が保険給付の形式で行うものであつて、厚生年金保険法に基づ
く保険給付と同様、受給権者に対する損害の填補の性質をも有するから、事故が使
用者の行為によつて生じた場合において、受給権者に対し、政府が労働者災害補償
保険法に基づく保険給付をしたときは労働基準法八四条二項の規定を類推適用し、
また、政府が厚生年金保険法に基づく保険給付をしたときは衡平の理念に照らし、
使用者は、同一の事由については、その価額の限度において民法による損害賠償の
責を免れると解するのが、相当である。そして、右のように政府が保険給付をした
ことによつて、受給権者の使用者に対する損害賠償請求権が失われるのは、右保険
給付が損害の填補の性質をも有する以上、政府が現実に保険金を給付して損害を填
補したときに限られ、いまだ現実の給付がない以上、たとえ将来にわたり継続して
給付されることが確定していても、受給権者は使用者に対し損害賠償の請求をする
にあたり、このような将来の給付額を損害賠償債権額から控除することを要しない
と解するのが、相当である(最高裁昭和五〇年(オ)第四三一号同五二年五月二七
日第三小法廷判決(民集三一巻三号四二七頁登載予定)参照)。
 二 ところが、原審は、将来給付を受けるべき労働者災害補償保険法に基づく長
期傷病補償給付と厚生年金保険法に基づく障害年金について、その現在価額をそれ
ぞれ四七五万九一三二円、四六五万六一六七円と算出して右の合計九四一万五二九
九円を上告人の逸失利益から控除し、上告人の被上告人に対する右請求を棄却した
のである。ところで、原審の適法に確定したところによると、上告人は、長期傷病
補償給付として昭和四六年二月から同四八年一〇月まで年額二〇万八〇五〇円の割
合による金員を、昭和四八年一一月から同四九年一〇月まで年額二三万〇八八一円
を、障害年金として昭和四六年一一月から同四八年一〇月まで年額一一万八二五六
円を、同年一一月から同四九年一〇月まで年額二四万一四四七円を現実に支給され
ているのであつて、その合計が一二八万〇九七七円となることは計算上明らかであ
る。
 したがつて、原審の判断のうち、右九四一万五二九九円から上告人が現実に給付
を受けた右一二八万〇九七七円を控除した八一三万四三二二円を上告人の逸失利益
から控除した部分は、法令の解釈を誤つており、その誤りは判決に影響を及ぼすこ
とが明らかであるから、論旨は理由があり、原判決は破棄を免れない。
 そして、原審の確定した事実によれば、被上告人は、上告人に対し、原審で認容
した九〇〇万〇七六三円に右八一三万四三二二円を加算した一七一三万五〇八五円
及びこれに対する内金一二七一万九八七八円については昭和四五年三月一七日から、
内金三七一万五二〇七円(一七一三万五〇八五円から一二七一万九八七八円及び遅
延損害金を請求していない弁護士費用七〇万円を控除した額)については昭和四九
年一〇月一九日から、各支払ずみにいたるまで年五分の割合による金員の支払義務
のあることは明らかであるから、原判決及び第一審判決を主文第一項一、二のとお
り変更すべきものである。
 よつて、民訴法四〇八条一号、三九六条、三八六条、三八四条、九六条、九二条
に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    高   辻   正   己
            裁判官    天   野   武   一
            裁判官    江 里 口   清   雄
            裁判官    服   部   高   顯
            裁判官    環       昌   一

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