弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人弁護士三浦強一の上告理由第一点について。
 しかし原判決は上告人が昭和二元年一月二九日被上告人に対し解約申入をした事
実を認定し右解約申入につき正当事由があるならば本件賃貸借契約は解約申入の日
より起算し六箇月の経過により消滅すべきであると判示して原判示の当事者双方に
存する諸般の事実を考慮して本件解約申入においては正当事由の存在を認容するこ
とができないと判断しているのである。それゆえに右判断のうちには本件解約申入
の日から六箇月の期間内に正当事由がなかつたということと、六箇月経過後原審の
口頭弁論終結当時までの間にも正当事由がなかつたということとの二の判断を包含
する趣旨であることは自ら明らかである、従つて本件解約申入から六箇月経過後に
生じた所論の事実即ち(一)昭和二二年五月から上告人の二女夫婦が本件家屋の二
階八畳一室を借受けている事実及び(二)被上告人が昭和二二年四月から古物商を
始めている事実は固より本件解約申入から六箇月経過後の正当事由の有無の判断に
参酌されたもので本件解約申入から六箇月の期間内の正当事由の判断に斟酌された
ものでなく右六箇月の期間内の正当事由存否の判断には前示(一)及(二)の事実
を除外した他り事実が参酌考慮されたものと認むべきである、然らば原判決には所
論のような違法なく論旨は理由がない。
 同第二点について。
 (一)たとえ本件解約申入当時所論のような事情があつたとしても上告人が本件
家屋に賃借人たる被上告人の居住中であることを知りながらこれを買受けたという
事実は他の原審認定事実と相俟つて本件解約の中入に正当事由の認め難い一資料と
なり得るものである。
 (二)仮りに所論のように被上告人が本件解約申入を受けた後も長期間引越先を
探索した事実がなかつたとしても原審認定の事実関係の下においては未だ直ちに本
件解約申入に正当事由があるものと認めることはできない。
 (三)上告人が被上告人に対し上告人の住家との入れ代りによる明渡を求めたが
拒絶された事実は原審の認定したところであるが被上告人は煙草小売商等を営み生
計を立てているので右代りの家屋が適当な移転先であると認めることはできない、
原審認定の事実関係の下においては原審の判断は不公平であるとは認められない。
 要するに原審認定の事実関係の下においては本件解約申入の当時から原審口頭弁
論終結当時に至るまでの間を通じ解約申入に正当事由があつたものとは認められな
いから原審の判断は正当であつて論旨は理由がない。
 同第三点について。
 (一)所論「被上告人が上告人に無断で古物商を開始した」との事実は上告人が
原審で被上告人の留置権の抗弁に対する再抗弁として主張したに止まり解約の正当
事由として主張したものでないことは記録上明白である、されば原審が正当事由の
存否につき右事実を判断しなかつたのは当然である。
 (二)所論上告人の主張については原判決は証拠により「上告人(被控訴人)が
本件家屋を必要とする理由は……妻の右美容院の経営を拡張し度いという欲求を満
足せしめたいという点にある事実を認め得る云々」と認定している、即ち原判決は
上告人の伯母とその娘二名が上告人と同居して美容院を経営するというのは単に上
告人の事業拡張の欲求を満足せしめたいという点にあるに過ぎず上告人が右の如き
事情に迫られているものでないことを判示している趣旨であり所論の主張事実につ
き判断を与えていることが原判文上明白である。
 要するに原判決には所論の如き判断遺脱の違法はない。
 同第四点について。
 しかし原審は本件解約申入の正当事由の存否については当事者双方の利害と衡平
に考慮しているのであつて特に賃借人の利益のみを重視しているものでないことは
原判文上明白である、それゆえ原判決には所論の如き違法はなく論旨は理由がない。
 よつて、民訴四〇一条九五条八九条に従い主文のとおり判決する。
 この判決は裁判官全員一致の意見である。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    霜   山   精   一
            裁判官    栗   山       茂
            裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    谷   村   唯 一 郎

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