弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

主文
1本件各控訴をいずれも棄却する。
2控訴費用は,控訴人らの負担とする。
事実及び理由
第1当事者の求めた裁判
1控訴の趣旨
()原判決を取り消す。1
()被控訴人A,同B及び同静岡県元県議会議員会は,連帯して,静岡2
県に対し,469万0992円及びこれに対する平成12年1月18日
から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
()被控訴人A,同C及び同静岡県元県議会議員会は,連帯して,静岡3
県に対し,244万0146円及びこれに対する平成13年3月30日
から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
()訴訟費用は,第1,2審とも,被控訴人らの負担とする。4
2控訴の趣旨に対する答弁(被控訴人ら共通)
主文と同旨。
第2本案の概要
事実の概要は,原判決2頁15行目の「静岡県」の次に「以下,単に(
「県」ともいう」を加え,同3頁5行目,同10行目及び同13行目の。)
各「もの」をいずれも「者」に改め,同9頁1行目の「却下ないし」を削る
ほかは,原判決の事実及び理由欄の「第2事案の概要」に記載のとおりで
あるから,これをここに引用する。
第3当裁判所の判断
1当裁判所も,控訴人らの本件請求はいずれも理由がないから棄却すべき
ものと判断する。その理由は,次のとおり訂正し,付加し,又は削除する
ほかは,原判決の事実及び理由欄の「第3争点に対する判断」に記載の
とおりであるから,これをここに引用する。
()原判決25頁11行目から同26頁19行目までを次のとおりに改1
める。
「()普通地方公共団体は,その公益上必要がある場合においては補1
助をすることができるところ(地方自治法232条の2,静岡県)
においては,補助金の予算執行の適正化を図ることを目的として交
付規則を定めており(乙3,これが補助金交付の手続一般を定め)
る規定となっているが,実施の細目は,交付規則に定めるもののほ
か知事が別に定めることとされている(交付規則22条。交付要)
綱は,交付規則を承けて,被控訴人元議員会に対する補助金交付の
実施細目を定めたものである。
そして,本件各補助金は,交付規則及び交付要綱に基づいて交付
されることとされ,一般予算に組み込まれ,議会の議決を経て,支
出されている(甲2。)
()ところで,控訴人らは,交付要綱は礼遇規程に,礼遇規程は功2
労者条例にそれぞれ準拠しているところ,功労者条例は平成9年3
月28日に廃止されているから,礼遇規程及び交付要綱はその時点
で失効しており,失効した交付要綱に基づいてされた本件各補助金
の支出は根拠を欠き,違法であると主張する。そして,功労者条例
が平成9年3月28日に廃止されたことは,前記前提事実のとおり
である。
しかしながら,交付要綱自体は,前述のとおり被控訴人元議員会
に対する補助金交付の実施細目を定めたものにすぎないのであるか
ら,被控訴人元議員会に対する補助金交付を正当化する根拠となる
ものではないと解されるが,その点はしばらく措くとしても,礼遇
規程が功労者条例に準拠し,それゆえその廃止により礼遇規定及び
交付要綱も失効したとの控訴人らの主張は,にわかに採用し難い。
なるほど,功労者条例も礼遇規程も共に元静岡県の公職にあり,県
政に功労のあった者に対するものとはいえるのであるが,その内容
を比較すれば,両者の間に大きな違いがあることは明らかである。
すなわち,功労者条例は,静岡県の公務員として静岡県政に功労の
あった者に対して知事が選考して県政功労者として指定し,指定さ
れた県政功労者に対しては一定の特典を与えるというものであるが,
他方,礼遇規程は,県知事と県議会議長の決裁によって定められた
ものであり(甲11,その内容も,静岡県議会議員として在職し)
たことがあり,引き続き県政に貢献している者(元議員)に対し,
知事及び議長が一定の礼遇をすることとしているのであって,功労
者条例のように知事による選考・指定は予定されていない。また,
礼遇規程には補助金の交付を予定した条項があるが(2条6号,)
功労者条例中には県政功労者に対しては予算の範囲内において慰労
),等の方途を講ずることができるとの条項はあるものの(3条2項
補助金の交付を予定した条項はないのである。このような両者の違
いや礼遇規程の中には礼遇規程が功労者条例に基づくものであるこ
とを示す文言がないことに照らすと,礼遇規程が功労者条例に準拠
し,功労者条例の廃止によって当然に礼遇規程及び交付要綱が失効
したとする控訴人らの主張は,採用し難いといわざるを得ないので
ある。
()したがって,交付要綱が礼遇規程を承けて定められ,本件各補3
助金がこの交付要綱に則って支出されたとしても,これをもって本
件各補助金の支出が違法であるとする控訴人らの主張は,採用する
ことができない」。
()原判決28頁13行目から同29頁6行目までを次のとおりに改め2
る。
「しかしながら,交付要綱は,礼遇規程と併せて読めば,被控訴人元
議員会の会員となるべき元議員が引き続き県政発展に寄与・貢献し,
そのような会員によって構成される被控訴人元議員会も県政の発展に
寄与し得るとの認識に立ち,被控訴人元議員会の運営事業に要する経
費を補助することによって,被控訴人元議員会とその構成員の更なる
県政発展への寄与・貢献を促し,もって現在及び将来の県政に役立た
せることを企図しているものと解することができるのであって,改正
前交付要綱に「県政貢献者の功労に報いるため」の文言があることを
もって,交付要綱が地方自治法232条の2の規定に違反するという
ことはできない」。
()原判決29頁8行目の「当該地方公共団体」を「当該普通地方公共3
団体」に,同9行目の「当該団体」を「補助を受ける団体」に,同10
行目の「その団体の」を「補助を受ける者の」にそれぞれ改める。
()原判決31頁17行目の「存在が寄与している」を「存在も寄与す4
るところがある」に改める。
()原判決32頁8行目の「第一義的に」から同9行目までを「第一次5
的には普通地方公共団体の長がその裁量によって判断すべきであるが,
その裁量も全くの自由ではなく,その判断に裁量権の濫用又は逸脱があ
るとされる場合には当該補助金の支出は違法となるものと解すべきであ
る。そして,一般に,客観的にみれば公益上の必要が認められないのに
公益上の必要があると判断することは違法であるといえるが,公益上の
必要が認められる場合であっても,その必要性の程度と支出する補助金
の額とが著しく均衡を欠くなどの事情があるときには裁量権の行使を誤
ったものとして違法になるというべきである」に改める。。
()原判決32頁15行目から同25行目までを次のとおりに改める。6
「()もっとも,甲第13号証,第51号証によれば,本件各補助金3
支出当時の静岡県の財政は,県税収入の伸び悩み,県債残高の増嵩,
基金残高の滅少など極めて厳しい状況にあったこと,他方,平成1
2年度において,都道府県議会の元議員で構成される団体に補助金
を支出している都道府県は,全国でも北海道,東京都,千葉県,群
馬県,愛知県,石川県,奈良県,和歌山県,大分県及び静岡県の1
0都道県しかなく,その中でも被控訴人元議員会に対する平成12
年度の補助金予算額405万円は,東京都の600万円,愛知県の
580万円に次ぐ高額なものであることが認められる。そして,被
控訴人元議員会の事業内容が公益性を有しているとはいえ,それが
個々の会員を直接の目的としており,間接的には県政の発展に寄与
し得るといっても,被控訴人元議員会の公益的活動として直接県民
の目に見えるものとはなっていないことにも照らすと,全国的にみ
ても高額な補助金を被控訴人元議員会に交付することには,上記の
ような厳しい財政状況にある県民の理解を得られにくい面があるこ
とは否定し難いといえよう。
しかしながら,他の都道府県における元議員で構成される団体の
活動内容,会員数,歴史的背景等は証拠上不明であるし,最終的に
支出された平成12年度の被控訴人元議員会に対する補助金額は2
41万1026円であったことに照らせば,公益上の必要性の程度
と支出する補助金の額とが著しく均衡を欠いているということもで
きないというべきである」。
()原判決33頁7行目の「著しい」を削る。7
()原判決34頁20行目末尾に「もっとも,前述のように,県は当時8
厳しい財政状況にあったのであるから,そのような中で参加者にも費用
の一部を負担させるとはいえ,多大の費用を使って県外視察,しかも主
に観光地へ視察に赴くことについては県民の理解を得られにくい面があ
ることに被控訴人元議員会及び県当局も十分意を用いる必要はあるもの
と思われる」を加える。。
2よって,当裁判所の上記判断と同旨の原判決は相当であり,本件控訴は
理由がないから,これを棄却することとして,主文のとおり判決する。
東京高等裁判所第20民事部
裁判長裁判官久保内卓亞
裁判官大橋弘
裁判官長谷川誠

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛