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平成20年(行ウ)第13号行政代執行費用納付命令取消請求事件
判決
主文
1原告らの請求をいずれも棄却する。
2訴訟費用は原告らの負担とする。
事実及び理由
第1請求
豊田市長が原告らに対し平成19年4月12日付けでした行政代執行費用納付命
令(豊廃発第50号)を取り消す。
第2事案の概要
(注)以下に摘示する廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」又は「法」
という。)の各条項は,特に断りのない限り,それぞれ別表記載のものをいう。
本件は,株式会社Aの代表取締役であった原告らが,豊田市長(処分行政庁)か
ら,株式会社Aの設置に係る産業廃棄物処理施設において産業廃棄物の不適正処理
が行われているとして,法19条の5第1項に基づき生活環境保全上の支障が生ず
ることがないよう過剰埋立・保管の産業廃棄物を撤去し適正に処理することを命ず
る措置命令を受け,法19条の8第1項に基づく代執行を経た後,同条5項,行政
代執行法5条に基づいて,同代執行に要した費用8億4808万0705円の納付
を命ずる平成19年4月12日付け行政代執行費用納付命令(豊廃発第50号。以
下「本件費用納付命令」という。)を受けたのに対し,本件費用納付命令の取消し
を求める事案である。
1前提事実等(争いがないか,証拠上明らかである。)
(1)当事者
ア原告B(昭和▲年▲月▲日生。)は原告C(昭和▲年▲月▲日生。)の妻,
原告D(昭和▲年▲月▲日生。)は原告Cの妹Eの夫である。
株式会社Aは,昭和61年4月23日に原告Cによって有限会社Fとして設立さ
れ,平成8年8月18日に株式会社に組織変更された会社である(以下,組織変更
の前後を通じ「株式会社A」という。)。現在の株式会社Aの目的は,一般廃棄物
の処理業,産業廃棄物の収集,運搬及び処分業等であり,その資本金は,3000
万円である。その株主は,株式会社Aの平成11年7月1日∼平成12年6月30
日の事業年度の法人税に係る確定申告書(甲13)添付の「同族会社の判定に関す
る明細書」によれば,原告Cが発行済株式の3分の1を,原告Bが3分の2を保有
するとされ,また,株式会社Gの企業情報(乙23の1・2)によれば,平成15
∼16年当時において原告Cが発行済株式の90%を保有するとされている。
原告らは,いずれも株式会社Aの代表取締役に就任していた者であり,その就任
期間は,原告Bが平成8年8月18日から平成11年9月28日まで及び平成12
年11月10日から同月14日まで,原告Cが平成11年9月28日から平成12
年11月10日まで,原告Dが平成12年11月14日から平成14年1月24日
までである。
なお,原告らのほかに,H(昭和▲年▲月▲日生。)が平成14年1月24日か
ら平成15年10月7日まで,I(昭和▲年▲月▲日生。)が平成15年10月7
日以降,株式会社Aの代表取締役に就任していた。
イ豊田市長は,平成10年4月1日に中核市に指定され保健所を設置する市
となった豊田市の長であり,同日以前は愛知県知事が権限を有していた廃棄物処理
法上の措置命令,代執行,費用納付命令等につき,同日以降,その権限を有するも
のである(豊田市長の権限につき,平成18年4月1日以降については法施行令2
7条,平成18年3月31日以前については,平成17年法律第42号による改正
前の法8条1項参照)。
(2)株式会社Aが受けた産業廃棄物処理業等の許可
ア産業廃棄物処理業について
(ア)株式会社Aは,昭和62年2月27日,営業の種別を「収集,運搬(保管
を除く。)」,事業の範囲を「廃プラスチック類,金属くず,ガラスくず及び陶磁
器くず」とする産業廃棄物処理業の許可を受け,平成元年11月24日,上記の事
業の範囲に「ゴムくず,建築廃材」の2品目を追加する産業廃棄物処理業の変更許
可を受けた。
(イ)株式会社Aは,平成5年7月19日,産業廃棄物処理業の変更許可を受け,
事業の範囲等の内容は次のとおりとなった。
a事業の範囲
積替え保管を除く。
汚泥,紙くず,木くず,繊維くず,動植物性残さ
積替え保管を含む。
廃プラスチック類,ゴムくず,金属くず,ガラスくず及び陶磁器くず,
建設廃材
b積替え保管施設豊田市(a)町α番βほか
全体面積1021㎡
保管面積81㎡
保管容量208m
イ最終処分場について
(ア)株式会社Aは,豊田市(b)町(c)(以下,同所在地を単に「(c)」とい
う。)γ番σほか7筆の土地7836㎡に最終処分場を設置するため,平成2年3
月2日付けで,愛知県知事に対し,「産業廃棄物処理施設(最終処分場)設置届出
書」を提出した。同最終処分場は,産業廃棄物を地下に埋め立て処分する安定型最
終処分場で,埋立品目は,廃プラスチック類,ゴムくず,金属くず,ガラスくず及
び陶磁器くず,建設廃材で,埋立容量は4万5450mであった(以下,同最終3
処分場を「本件最終処分場」という。)。
(イ)株式会社Aは,平成2年11月22日,愛知県知事から産業廃棄物処分業
(埋立処分)の許可を受け,平成3年2月ころから産業廃棄物の埋立処分を開始し
た。
(ウ)株式会社Aは,本件最終処分場を大幅に拡張するために,Jから(c)ε∼
ζ番の土地を,Kから(c)η∼θ番,γ番ι及びκの土地を,それぞれ賃借した上,
平成5年5月31日,産業廃棄物処理施設の変更許可を申請し,同年6月22日,
愛知県知事から変更許可を受けた。この変更により,本件最終処分場の埋立容量は,
12万5098mとなった。その後,株式会社Aは,平成7年2月7日,愛知県3
知事から本件最終処分場の埋立容量を12万7923mとする変更許可を受けた。3
(エ)株式会社Aは,平成8年8月9日,産業廃棄物の中間処理施設を設置する
ため,最終処分場の面積と容量を縮小する届出を提出した。その結果,本件最終処
分場の埋立容量は12万5098mとなった。3
ウ中間処理施設について
株式会社Aは,平成5年7月19日,中間処分業(焼却)の許可を得て,豊田市
(a)町地内で産業廃棄物の焼却処分を行っていたが,平成10年1月27日,中間
処分業に選別を加える変更許可を受け,本件最終処分場の隣に選別機を設置して中
間処理施設を設け,中間処理(選別)を開始した(以下,同中間処理施設を「本件
中間処理施設」といい,本件最終処分場と合わせて「本件処分場」という。)。な
お,当該選別機(1日当たりの処理能力128m)による選別の中間処理施設に3
ついては,都道府県知事の許可は不要である。
本件中間処理施設で産業廃棄物を選別するために保管する産業廃棄物の数量は,
法施行令6条1項2号ロ(3)により,処理施設の処理能力の14日分を上限とする
旨定められており,これを本件中間処理施設に当てはめると,保管限度量は179
2m(128m/日×14日)となる。33
エ本件処分場の敷地の権利関係
本件処分場は,(c)ε∼λ番,γ番σ∼κ,豊田市(d)町(e)(以下,同所在地を
単に「(e)」という。)μ番νの合計14筆の土地上に設置されており,(c)ε∼ζ
番の土地はJからの賃借地,(c)η∼θ番,γ番のι及びκの土地はKからの賃借
地である。なお,(c)ξ番,λ番,γ番σの土地について,原告らは,株式会社A
の所有であると主張し,被告は,少なくとも本件措置命令の直前までは原告Cの所
有であったと主張している((e)μ番νの土地については,原告Cの所有であると
認められる。)。
(3)豊田市長による措置命令の発付及びその後の経緯
ア豊田市長は,平成15年12月18日付けで原告C及び原告Dに対し,平
成16年1月6日付けで原告Bに対し,法19条の5第1項に基づいて次の内容の
措置命令(原告Cに対するものは「豊廃発第222号」,原告Dに対するものは
「豊廃発第223号」,原告Bに対するものは「豊廃発第232号」。以下,これ
らを併せて「本件措置命令」という。)を発した(ただし,原告D及び原告Bに対
するものは,「1講ずべき支障の除去等の措置の内容」中,「及びその当時から
の土地所有者であったこと」の記載がない。)。
「1講ずべき支障の除去等の措置の内容
豊田市(b)町(c)ε番ほか13筆(略)に設置された株式会社Aに係る産業
廃棄物処理施設(最終処分場)及び産業廃棄物中間処理施設に野積み状態で
過剰に埋立・保管されている産業廃棄物について,不適正処理が行われた当
時の株式会社Aの代表取締役であったこと及びその当時からの土地所有者で
あったことの責任において,生活環境保全上の支障が生じることがないよう
これを撤去し,及び適正に処理すること。
2命令の履行期限
平成17年8月1日
3命令を行う理由
豊田市(b)町(c)ε番ほか13筆(略)に設置された株式会社Aに係る産業
廃棄物処理施設(最終処分場)及び産業廃棄物中間処理施設に埋立・保管さ
れている産業廃棄物が,埋立容量及び保管容量を超え,野積み状態で埋立・
保管されており,これらの産業廃棄物には飛散,崩落等を防止する措置が講
じられていない。その結果,現に産業廃棄物が風にあおられ他人の所有地に
飛散しており,かつ,崩落のおそれが大きい状況にある。加えて,これらの
産業廃棄物から過去頻繁に火災が発生しているなど,生活環境保全上の支障
が生じるおそれがあると認められるため。
4その他
(1)法第19条の8第1項第1号に該当すると認められるときは,同項の規
定により支障の除去等の措置の全部又は一部を豊田市長が自ら講じるとと
もに,同条第2項の規定により当該支障の除去等の措置に要した費用をあ
なたから徴収することがあります。
(2)この命令に違反した場合は,法第25条の規定により罰せられます。」
イ豊田市長は,平成15年12月18日付けで,I及びHに対して,原告D
及び原告Bに対するものと同様の措置命令を発した(ただし,Iに対するものは
「1講ずべき支障の除去等の措置の内容」のうち,「不適正処理が行われた当時
の株式会社Aの代表取締役であったことの責任において」との記載部分が「株式会
社Aの代表取締役であることの責任において」とされている。)。
ウ原告Dは,平成16年2月12日,愛知県知事に対し,本件措置命令(豊
廃発第223号)について審査請求をしたが,愛知県知事は平成17年3月30日,
同審査請求を棄却する旨の裁決をした。なお,原告C及び原告Bは,本件措置命令
について審査請求をしなかった。
エ原告Dは,平成17年6月29日,名古屋地方裁判所に対し本件措置命令
(豊廃発第223号)の取消しを求める訴え(平成17年(行ウ)第29号処分取消
請求事件)を提起し,原告らは,同年7月6日,同裁判所に対し本件措置命令の無
効確認を求める訴え(平成17年(行ウ)第30号処分無効確認請求事件)を提起し
た(以下,これらを「前件訴訟」という。)。
(4)本件代執行,本件費用納付命令及び本件訴え提起に至る経緯
ア豊田市長は,L株式会社に依頼して,本件処分場の過剰保管廃棄物が環境
に及ぼす影響を確認するための調査(以下「本件調査」という。)を行い,本件調
査の結果等を参考に豊田市過剰保管廃棄物適正処理技術検討委員会(会長MN大
学工学部都市環境学科教授)に対し,生活環境保全上の支障の現状分析,支障の有
無並びに支障がある場合の支障の除去範囲及び除去方法について諮問し,平成17
年8月17日,同委員会から答申を受けた。
本件調査によれば,平成17年6月27日に本件処分場で採取した廃棄物の組成
は,次のとおりであった。
平均重量比(%)
紙,繊維類2.1
プラスチック類20.8
木,竹類2.3
組汚泥(腐食しやすい有機物)0.0
成金属類6.6
ガラス類5.2
コンクリート,アスファルト類22.3
その他(土砂主体)40.7
成水分23.8
分灰分65.3
可燃分10.9
そして,本件調査において,廃棄物,地下水,廃棄物からの浸出水,下流排水路
等の底質,河川水,悪臭・可燃ガス,廃棄物の内部温度を調査するため,ボーリン
グ調査等により各試料を採取し,その試験・分析が行われたが,その結果,本件処
分場の過剰保管廃棄物の影響として,①廃棄物自体から環境基準を超える鉛及びベ
ンゼンが検出され,②地下水から,電気伝導率と塩化物イオンが極めて高い上,環
境基準を超えるほう素が検出された地点があり,③廃棄物から発生する臭気につい
ては,硫化水素,酢酸エチル及びアンモニアが高濃度で検出され,④廃棄物内温度
が,最も高い地点で86℃,すべての調査地点で47℃を超えており,メタンガス
の濃度が最も高い地点で50%,すべての調査地点で40%(なお,メタンガスの
爆発限界は5∼15%)を超えており,自然発火,爆発による火災のおそれが認め
られ,⑤排水路の底質からは,環境基準を上回るダイオキシン類が検出された。
上記答申は,本件調査の結果に基づき,生活環境保全上の支障の除去が必要,あ
るいは,このまま放置することは生活環境保全上望ましくないとした上,支障の除
去の方法として,廃棄物中の鉛の飛散及び雨水による溶出を防ぐため,過剰保管廃
棄物全体に遮水シートをかけ覆土することなどにより遮水をすること,廃棄物に触
れた水の流出を防ぐために遮水対策を行うこと,悪臭及び火災防止の対策として,
ガス抜き管を設置して,内部に効率よく酸素を供給してメタン発酵及び嫌気性分解
を抑えるとともに,空気を送り込んだり過剰保管廃棄物を掘削するなどして温度を
下げること,過剰保管廃棄物の崩落を防ぐために整形作業を行うこと,環境基準を
超えるダイオキシン類が検出された下流排水路から堆積土砂を浚渫することなどを
提案するものであった。
イ豊田市長は,法19条の8第1項に基づき,平成19年3月30日までに,
原告らに代わって,本件処分場の過剰保管廃棄物による生活環境保全上の支障の除
去として,廃棄物を掘削し,それに覆土し,擁壁,排水路及びガス管を設けること
により,過剰保管廃棄物の崩落,飛散,過剰保管廃棄物による悪臭,火災発生等を
防止するための措置を講じ(以下,これを「本件代執行」という。),この措置に
合計8億4808万0705円を支出した。
ウ豊田市長は,平成19年4月12日,原告ら,I及びHに対し,法19条
の8第5項,行政代執行法5条に基づいて,本件代執行に要した費用8億4808
万0705円を平成19年4月27日までに納付するよう命ずる本件費用納付命令
を発した。
エ原告らは,平成19年6月11日,豊田市長に対し,本件費用納付命令に
対して異議申立てをしたが,豊田市長は,同年9月11日,同異議申立てを棄却す
る旨の決定をした。
オ名古屋地方裁判所は,平成19年8月30日,前件訴訟について,本件代
執行により本件措置命令は既にその目的を達しており,現在又は将来において,本
件処分場の産業廃棄物について,原告らが本件措置命令によって撤去又は適正に処
理すべき義務が生ずることはなくなったなどとして,訴えの利益を欠くことを理由
に訴えを却下する旨の判決を言い渡し,同判決は確定した。
カ原告らは,平成20年2月13日,本件訴えを提起した。
2関連法令等
別紙「関連法令等」記載のとおり
3争点
(1)本件費用納付命令の取消訴訟において,本件代執行,本件措置命令の違法性
を主張することができるか。
(2)本件代執行の適法性
(3)本件措置命令の違法性
第3争点に関する当事者の主張
1争点(1)について
(被告の主張)
(1)先行の行政行為と後行の行政行為とが連続した一連の手続を構成し,相結合
して一定の法律効果の実現を目指しているような場合については,例外として違法
性の承継が認められることがあり得るが,措置命令,代執行,費用納付命令は,相
互に関連するとはいえ,以下のとおり,それぞれ異なる法律効果の実現を目指した
別個の手続であり,違法性は承継されない。
ア措置命令は,法19条の5第1項に基づき,基準に適合しない産業廃棄物
の処分が行われた場合に,生活環境保全上の支障が生じ又は生じるおそれがあると
認められるときは,廃棄物処理法に違反した処分者及び処分者の違反行為に関与し
た者に対し,生活環境保全上の支障を除去する等の措置を命ずるものである。
したがって,措置命令は,被命令者に対し,措置義務を課するという法的効果を
有するものであり,被命令者が任意に措置を行えば,手続は終了するものである。
イ代執行は,法19条の8第1項に基づき,措置命令を発せられた者が措置
を講じなかった場合に,都道府県知事(中核市の長を含む。)が自ら生活環境保全
上の支障の除去等の措置の全部又は一部を講ずることができるものである。
代執行は,直接,生活環境保全上の支障を除去するために行われるものであるが,
措置命令と代執行とは一連の手続でもなく,措置命令が代執行の準備行為でもない。
ウ費用納付命令は,法19条の8第5項が準用する行政代執行法5条に基づ
き,代執行に要した費用を徴収するために発せられるものであり,法的効果は被命
令者に対し,費用納付義務を課することにある。
(2)このように,措置命令,代執行,費用納付命令は,それぞれ別個の手続で,
別個の法律効果を目的としたものであって,措置命令や代執行が,費用納付命令の
準備手続ではなく,費用納付命令のために措置命令が発せられたり,代執行が行わ
れるものではないから,措置命令,代執行,費用納付命令の間に違法性は承継され
ない。
(原告らの主張)
(1)形式的に見れば,措置命令,代執行,費用納付命令は,それぞれ別個独立の
手続である。
しかし,本件措置命令における「法第19条の8第1項第1号に該当すると認め
られるときは,同項の規定により支障の除去等の措置の全部又は一部を豊田市長が
自ら講じるとともに,同条第2項の規定により当該支障の除去等の措置に要した費
用をあなたから徴収することがあります。」との記載からも明らかなように,措置
命令,代執行,費用納付命令は,極めて密接に関連している。すなわち,代執行は,
措置命令を発せられた者が措置を講じなかった場合に,都道府県知事が自ら生活環
境保全上の支障の除去等の措置の全部又は一部を講ずるものであり,措置命令は代
執行の前提をなす。また,費用納付命令は,代執行に要した費用を徴収するために
発せられるものであり,代執行は費用納付命令の前提をなす。このように,措置命
令,代執行,費用納付命令は,極めて密接に関連していることから,先行する手続
の違法性は後続する手続に承継されるものと考えるべきである。被処分者の権利保
護の観点からも,違法性の承継を認めるのが相当である。
したがって,本件措置命令の違法性は,本件代執行ひいては本件費用納付命令の
違法性に,また,本件代執行の違法性は本件費用納付命令の違法性にそれぞれ直結
することになる。
(2)仮に,各手続が別個のものであることを重視して違法性の承継を原則的に否
定したとしても,被処分者の権利保護の観点からすれば,先行する手続に著しい違
法性が存在する場合には,後続する手続への違法性の承継を否定すべきではなく,
本件措置命令及び本件代執行には著しい違法性が存するから,本件費用納付命令そ
れ自体に違法性が存しなくても,本件費用納付命令は違法であると評価すべきであ
る。
2争点(2)について
(被告の主張)
(1)法19条の8第1項は,産業廃棄物処理基準に適合しない産業廃棄物の処分
が行われた場合,措置命令を受けた者が生活環境保全上の支障の除去等の措置を講
じないときは,都道府県知事(中核市の長を含む。)が,行政代執行法の手続によ
らず,簡易迅速な手続で自ら生活環境保全上の支障の除去等の措置の全部又は一部
を講ずることができる旨を規定しているところ,本件代執行は,同項の規定する手
続に従って行われたものであり,何ら違法性はない。
(2)原告らは,本件処分場の過剰保管廃棄物をすべて搬出する計画を立てており,
これによれば本件代執行より安価に抜本的な解決を図ることができたが,被告によ
って同計画の実現を阻止された上,本件代執行は本件処分場の敷地の一部を所有す
るKに対して十分に説明することなく実施され,これにより原告CがKに対して賃
借地を農業畑に復元して返還するという賃貸借契約上の義務を履行することができ
なくなったなどと主張する。
しかし,原告らは,これまで,本件最終処分場に過剰保管された産業廃棄物を搬
出したり,本件最終処分場の周囲の生活環境保全上の支障を発生させている原因を
除去したりするなどの措置を一切行っていない。原告らの主張は,極めて漠然とし
た抽象的な撤去の可能性をいうにとどまり,何ら具体性のないものである。
また,原告らの主張する株式会社AとKとの関係についても,豊田市長の行った
本件代執行の違法性を基礎付けるものではない。原告らの主張は,株式会社Aは産
業廃棄物処理基準に適合しない産業廃棄物の処分を行った張本人として,また,K
は土地所有者として,いずれも生活環境保全上の支障を除去する責任があることを
看過したものであり,失当である。
(原告らの主張)
(1)原告Cは,本件措置命令が発せられた後,本件処分場に過剰埋立て・保管さ
れている産業廃棄物を搬出するための努力を重ねていたが,次のとおり,被告の怠
慢又は不当な介入によりその実現を阻止されたものである。
ア原告Cは,平成16年10月ころから,豊田市(f)町に処分場を作ること
を計画していたが,同計画は,被告が地権者との意見調整・斡旋を怠ったため,一
方的に打ち切られた。
イ原告Cは,その後,岐阜県郡上市において最終処分場を見付け,自己所有
の不動産を担保にO公庫から融資を受けるつもりであったが,平成17年5月2日,
被告の申立てにより原告C所有の不動産が仮差押えされたため,同最終処分場の権
利取得を断念せざるを得なかった。
ウ原告Cは,平成17年9月に奈良県天理市I町に最終処分場を見付け,奈
良県知事からその設立の許可を受けていたPと産業廃棄物処理委託契約を締結する
などして同最終処分場への移設計画を立てていたが,被告が上記仮差押えの解除を
かたくなに拒否したことから,資金繰りに窮し,処分場の造成に着手できなかった。
(2)原告Cの上記計画が実現していれば,本件代執行に要した費用(8億480
8万0705円)よりも安価に産業廃棄物をすべて適切に撤去・処分することがで
き,問題の抜本的解決になったにもかかわらず,豊田市長は,8億4808万07
05円という莫大な費用をかけて,産業廃棄物の覆土,遮水シートによるキャッピ
ング,種子吹き付け等を行い,最終的には急傾斜部分と高さ約3mの土台部分をワ
イヤーで締め付けて固めるという本件代執行を行ったものである。しかも,本件代
執行は,産業廃棄物の撤去・処分を前提としない半永久的な措置であり問題の抜本
的な解決からはほど遠いものである上,被告は,原告Cの上記計画を認識していな
がらその実現を阻止したものであり,信義則違反の程度も著しいといわざるを得な
い。
(3)株式会社Aは,Kから(c)η∼θ番,γ番ι及びκの土地を賃借し,同賃貸
借契約において「覆土は,2.0mを残土及び山砂等にて整地し農業畑として復元
し返還する。」との合意がされていたところ,豊田市長は,Kに対し,十分な説明
をすることなく本件代執行を実施したため,株式会社Aが上記復元・返還義務を履
行することは不可能となった上,Kも上記土地の所有権を事実上奪われた状態とな
った。
(4)上記のとおり,本件代執行は,産業廃棄物の適切な撤去・処分という本来の
趣旨に反し,問題の抜本的解決を妨げるものであって,違法であることは明らかで
ある。
本件代執行は,結局不必要な措置であるといわざるを得ず,本件費用納付命令は
原告らに対し本来負担させるべきではない費用の納付を命ずるものであって,違法
である。
なお,仮に,本件代執行を行う必要性が認められるとしても,約8億5000万
円という莫大な費用をかけて問題の抜本的解決を遠ざけるような措置を講じた本件
代執行よりも,費用が少なく効果的な措置を講ずることができたものであるから,
少なくとも本件費用納付命令の一部は取り消されるべきである。
3争点(3)について
(被告の主張)
(1)本件措置命令は,原告らに対し,不適正処理を行った株式会社Aの代表取締
役であったことを理由に,株式会社Aと同様に法19条の5第1項1号の「当該処
分を行った者」に当たるとして,原告Cに対し,最終処分場の敷地の所有者として
株式会社Aに土地を賃貸し続けて株式会社Aが不適正処理をすることを可能ならし
めたことを理由に,同項4号の「当該処分等をすることを助けた者」にも当たると
して,近隣住民等の生活環境保全上の支障が生じないように,不適正処理された産
業廃棄物の撤去や適正処理を命ずるものである。
(2)原告Cの法19条の5第1項1号及び4号該当性について
ア法19条の5第1項1号該当性について
原告Cは,次の(ア)∼(オ)の事情からすれば,株式会社Aのオーナーで実質的支配
者であると認められる上,廃棄物処理法違反の刑事事件において,本件処分場に許
可量を超える大量の廃棄物を不法投棄した事実や,H及びIと共謀して不法投棄し
たことを認めているから,法19条の5第1項1号の「当該処分を行った者」に該
当する。
(ア)平成12年法律第105号による廃棄物処理法の改正(施行日は平成12
年10月1日)により,法人の役員が暴力団員による不当な行為の防止等に関する
法律2条6号に規定する暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しな
い者に該当する場合や,暴力団員等がその事業活動を支配する場合には,当該法人
は産業廃棄物処理業の許可を取り消されることになった(平成15年法律第93号
による改正前の法14条3項2号ロ,ニ,ホ,14条の3第3号。以下,これを
「暴力団排除条項」という。)。
原告Bや原告Dは,原告Cが暴力団排除条項に抵触するため,原告Cに代わって
株式会社Aの代表取締役に就任したものである上,原告Cは,暴力団排除条項の抵
触期間が経過すれば株式会社Aの代表取締役に復帰することを表明している。
(イ)原告Cは,株式会社Aが本件最終処分場で産業廃棄物処分業を営む上で必
要不可欠の資産である土地を所有し,株式会社Aに賃貸していた。
(ウ)被告が本件最終処分場について立入調査等を行い,株式会社Aに対し,過
剰保管状態についての指導や改善勧告をしたり行政処分を発した際,株式会社Aの
代表取締役ではなく,原告Cが不服や弁明を申し立てていた。
(エ)株式会社Aの歴代の代表取締役や従業員は,原告Cのことを「会長」と呼
んでいた。
(オ)株式会社Aは,原告Cの親族らが役員を務め,役員4名,従業員2名の典
型的な同族会社であり,原告Cは株式会社Aの株式の90%を保有している。
イ法19条の5第1項4号該当性について
産業廃棄物を許可された量を超えて過剰に保管するためには,過剰保管のための
保管場所がなければならない。原告Cは本件最終処分場の所有者として,株式会社
Aに土地を賃貸し続けて,株式会社Aが不適正処理をすることを可能ならしめたも
のであり,原告Cが最終処分場の土地を株式会社Aに賃貸し続けなければ,株式会
社Aがかくも膨大な産業廃棄物を違法に過剰保管することなどあり得なかったので
ある。
原告Cの土地の提供なくしては,本件の過剰保管状態は出現しなかったのであり,
原告Cは株式会社Aが不適正処理することを助けた者にほかならない(環境省の平
成13年通知及び平成17年通知も同旨である。)。
したがって,原告Cは,法19条の5第1項4号の「当該処分等をすることを助
けた者」に該当する。
(3)原告B及び原告Dの法19条の5第1項1号該当性について
原告B及び原告Dは,原告Cの親族であり,原告Cに代わって株式会社Aの代表
取締役に就任し,原告Cと一体となって,株式会社Aが産業廃棄物処理業を継続す
ることを可能ならしめた者である。すなわち,原告Cは,暴力団排除条項に抵触す
るや,自らは株式会社Aの代表取締役を辞任するとともに,妻である原告Bや義弟
である原告Dを次々と株式会社Aの代表取締役に就任させ,暴力団排除条項の適用
を回避し,株式会社Aが産業廃棄物処理業を継続することを企図したものである。
原告らが協力し,株式会社Aの代表取締役に次々と就任することによって,株式会
社Aが産業廃棄物処理業を継続させることを可能とし,許可された保管限度量を超
える25万m近い大量の産業廃棄物を本件最終処分場に運び入れ,12万mを超33
える産業廃棄物を違法に山積みすることを可能ならしめた。
したがって,原告B及び原告Dは,自らが代表を務める株式会社Aをして「不適
正処理」を行わせたことは明らかであり,株式会社A同様,「不適正処理」を行っ
た者として,生活環境保全上の支障を生じないように是正する責任があるというべ
きである(環境省の平成13年通知及び平成17年通知も同旨である。)。
なお,環境省の平成17年通知は,特定の役員に会社業務一切を任せきりにし,
その者による業務執行に何ら注意を払わず,その結果それらの者による不適正処分
を見過ごすに至った場合の代表取締役も「当該処分を行った者」として措置命令の
対象になり得ることを認めており,仮に原告B及び原告Dが名目上の代表取締役で
あったとしても,措置命令の対象になり得ることは明らかである。
(4)本件措置命令の明確性について
原告らは,本件措置命令が何らの行動指針も示さない極めて不明確なものである
上,原告らに対しその意味内容につき誤解を生じさせるものであるから,著しい違
法性が存すると主張する。
しかし,本件措置命令は,過剰保管廃棄物のすべてを撤去するよう命ずるもので
はなく,過剰保管廃棄物によって周辺住民の生活環境保全上の支障が現に生じてい
るがゆえに,生活環境保全上の支障が生じないような措置を求めるものである。
そして,本件処分場のどこに過剰保管された,どのような産業廃棄物を,どの程
度,どのようにして撤去すれば,悪臭・火災・飛散・崩落等の生活環境保全上の支
障を除去できるかについては,原告らが最も的確に判断することができるため,本
件措置命令においては,生活環境保全上の支障を生じさせないようにする手段や方
法を特定せずに,原告らが考える最も適切な方法で,最も合理的と考える費用を投
下して,最も適切と考えられる量を撤去することを命じたものである。法19条の
5第1項においても,生活環境保全上の支障を除去する措置を講ずべきことを命ず
ることができると規定するにとどまり,具体的な手段や方法を限定して措置命令を
発することまで規定していない。
したがって,本件措置命令が明確性を欠くとの原告らの主張は理由がない。
(5)本件措置命令の履行可能性について
原告らは,本件措置命令が不可能を命ずるものとして無効であると主張する。
しかし,原告らは,12万mを超える膨大な産業廃棄物を違法に過剰保管し,3
豊田市長の発した改善命令や措置命令を無視し続け,1度も過剰保管廃棄物を撤去
したことがないのであって,過剰保管廃棄物の量が多すぎるため本件措置命令を履
行することが不可能であるなどと主張すること自体,余りにも不誠実であるといわ
ざるを得ない。
なお,原告らは,本件措置命令に対し,命令の履行期限が短すぎるので延長して
ほしいなどと要請したことはない上,原告Cは,被告の職員に対し,「2年以内で
(過剰保管廃棄物を)処理する。」と申し出たり,「本件処分場の過剰保管廃棄物
の撤去に2年の猶予をもらって感謝している。約束は必ず守る。」と電話をかけて
いることからすれば,原告C自身も本件措置命令の1年8か月という履行期限が短
すぎるとは考えていなかったのである。
したがって,本件措置命令が不可能を命ずるものであるとの原告らの主張は理由
がない。
(6)本件措置命令の平等原則違反について
原告らは,H及びIが業者と結託して搬入・搬出について虚偽の報告をするなど
の不正行為を繰り返して本件処分場に廃棄物の搬入を続けたものであるから,Hや
Iの責任と原告らの責任を同列に論じるのは余りに不公平であって平等原則に反す
ると主張する。
しかし,仮に,株式会社Aが廃棄物処理法の定める手続を履行せず,マニフェス
ト等をずさんに管理し,廃棄物処理法に違反する処理をしていたとしても,原告ら
の責任を何ら軽減させるものではない。原告Cは,株式会社Aの実質的支配者とし
て,H及びIらを通して経営状況等を把握して事実上支配し,株式会社Aに許可量
を超えて大量の産業廃棄物を保管させたことは明らかである。そうであるからこそ,
原告Cは,廃棄物処理法違反の罪で刑事責任を追及され,その刑事公判廷において,
本件処分場の現場責任者らの行為を黙認し同人らと黙示に共謀した上本件処分場に
許可量を超える大量の産業廃棄物を廃棄したことを認めたのである。
原告らの主張は,原告Cが株式会社Aを実質的に支配し産業廃棄物の過剰保管を
行わせたにもかかわらず,H及びIらにその責任を転嫁しようとしているにすぎな
い。
したがって,本件措置命令が平等原則に反するとの原告らの主張は理由がない。
(原告らの主張)
(1)原告Cの法19条の5第1項1号及び4号該当性について
ア法19条の5第1項1号該当性について
被告は,原告Cが株式会社Aの実質的な支配者であるなどと主張する。
しかし,実質的な支配者という曖昧な概念をもって原告Cを「当該処分を行った
者」と位置付けるのは不当である。
しかも,株式会社Aは平成11年3月2日付けで豊田市長に対し株式会社Aの経
営及び事業に原告Cを一切関与させない旨の誓約書を提出し,原告Cは,それ以降
株式会社Aの経営に関与することができず,平成12年11月10日に株式会社A
の代表取締役を辞任してからは本件処分場に出入りすることも完全になくなった。
原告Cは,現場責任者であるH及びIから廃棄物の搬入・搬出に関する報告を受け
て現場の状況を把握していたにすぎず,業務全般を統括管理することは到底不可能
であった。現場を取り仕切っていたのはH及びIであって,原告Cが株式会社Aの
実質的な支配者であるという被告の主張は明らかに誤っている。
したがって,原告Cは,法19条の5第1項1号の「当該処分を行った者」に当
たらない。
イ法19条の5第1項4号該当性について
被告は,原告Cが自己所有の土地を株式会社Aに提供していることを根拠に「当
該処分等をすることを助けた者」(法19条の5第1項4号)に当たると主張する。
しかし,原告Cは,平成2年7月の段階で,株式会社Aに対し,(c)ξ番,λ番
及びγ番σの土地を約2000万円で売却しており,原告Cが自己所有の土地を株
式会社Aに提供していたという事実はないから,原告Cは,「当該処分等をするこ
とを助けた者」(法19条の5第1項4号)に当たらない。
(2)原告B及び原告Dの法19条の5第1項1号該当性について
被告は,原告B及び原告Dが株式会社Aの代表取締役であったことを理由に「当
該処分を行った者」に当たると主張する。
しかし,原告Dは原告Cの義弟,原告Bは原告Cの妻というにすぎず,両名とも
株式会社Aの実務には一切関与しておらず,代表取締役に就任していた時期がある
もののそれは単に名目的なものであって,株式会社Aによる不適正処分を容認して
いた事実はない。仮に代表取締役個人が不適正処分を行ったと評価される場合があ
るとしても,「自己責任の原則」からすれば,その責任は,就任期間中にされた不
適正処分のみに限定されるはずである。
したがって,原告B及び原告Dは法19条の5第1項1号の「当該処分を行った
者」に当たらない。
(3)本件措置命令の明確性について
本件措置命令は,「講ずべき支障の除去等の措置の内容」として,「……過剰に
埋立・保管されている産業廃棄物について,……生活環境保全上の支障が生じるこ
とがないようこれを撤去し,及び適正に処理すること」を命じている。この点,被
告は,本件措置命令が原告らに命じているのは,過剰保管された産業廃棄物の全量
撤去ではなく,産業廃棄物の飛散,崩落,火災などによって近隣住民の生活環境保
全上の支障が生じないように,不適正処分された産業廃棄物の撤去や適正処理を実
施することであると主張する。
しかし,本件措置命令の文言は極めて不明確であって,原告らが何をすべきかそ
の具体的な行動指針を示しているとはいえない。しかも,豊田市長が株式会社Aに
対し平成12年3月21日付けでした措置命令は全量撤去を命ずるものであり,原
告らが被告の職員から本件措置命令が全量撤去を求めるものではないなどと説明を
受けたことはなかったから,原告らは,本件措置命令も株式会社Aに対するものと
同趣旨であると理解していた。
措置命令は,被処分者に対して一定の措置を講ずるよう命ずるものであるから,
その内容が明確でなければならないのは当然であるところ,本件措置命令は,何ら
の行動指針も示さない極めて不明確なものである上,原告らに対しその意味内容に
つき誤解を生じさせるものであるから,本件措置命令には著しい違法性が存すると
いわざるを得ない。
(4)本件措置命令の履行可能性について
本件措置命令はその履行期限が平成17年8月1日とされているところ,その発
令日は,原告C及び原告Dについては平成15年12月18日,原告Bについては
平成16年1月6日であるから,発令日から履行期限までの期間は1年7,8か月
足らずしかない。この期間は,一私人に対し,時間的にも経済的にも不可能を強い
るものであり,内容から見て違法である。
(5)本件措置命令の平等原則違反について
原告Cは,現場を取り仕切っていたH,Iらからの報告を基に,株式会社Aの責
任者会議において,廃棄物を搬出するように指導・助言しており,廃棄物の搬出に
向けて努力を重ねていた。一方,H及びIは,業者と結託し,搬入・搬出について
虚偽の報告をするなどの不正行為を繰り返し行ったものであり,原告Cの関知しな
いところで本件処分場に廃棄物の搬入を続けたものである。また,原告B及び原告
Dも,HやIのような不正を行ったことは1度もない。
したがって,HやIの責任と原告らの責任を同列に論じるのは余りに不公平であ
って,本件措置命令,本件代執行,本件費用納付命令という一連の処分は,平等原
則に反するものとして著しい違法性が存する。
(6)以上によれば,本件措置命令には著しい違法性が存するから,取消事由及び
無効事由があるというべきである。
第4当裁判所の判断
1争点(1)について
(1)法19条の5第1項に基づく措置命令は,産業廃棄物処理基準に適合しない
産業廃棄物の処分が行われた場合において,生活環境の保全上支障が生じ又は生ず
るおそれがあると認められるときに,当該処分を行った者やこれに関与した者らに
対し,期限を定めて,その支障の除去等の措置を講ずべきことを命ずるものであり,
被処分者が任意にその措置を講じてその支障の除去等を完了すればその手続は終了
するものである。
法19条の8第1項に基づく代執行は,措置命令を発せられた者が当該命令に係
る期限までにその命令に係る措置を講じない場合等に,都道府県知事(中核市の長
を含む。)が自ら上記支障の除去等の措置の全部又は一部を講ずるものである。
法19条の8第5項,行政代執行法5条に基づく費用納付命令は,代執行に要し
た費用を徴収するため,実際に要した費用の額及びその納期日を定めて,被処分者
に対しその費用の納付を命ずるものである。
以上のとおり,代執行は措置命令に後続し,費用納付命令は代執行に後続すると
いう関係にはあるが,これらは,それぞれ別個の手続で,別個の法律効果を目的と
するものであり,先行行為と後行行為とが同一の目的を達成する手段と結果の関係
を成しこれらが相結合して一つの効果を完成する一連の行為となっているものでは
ないから,費用納付命令は,代執行の違法性を承継するものと解することはできな
いし,代執行の前提となる措置命令の違法性を承継するものと解することもできな
い。
(2)代執行は,都道府県知事(中核市の長を含む。)が廃棄物処理法上の権限に
基づいて公権力作用として行う事実行為であって,行政事件訴訟法3条2項にいう
「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」に該当し,これについて取消訴
訟を提起することができるものと解すべきである(なお,このように解さなければ,
同法37条の4に基づいて代執行に係る差止めの訴えを提起することも許されない
こととなる。)。ところで,原告らは,本件代執行の取消しを請求しておらず,原
告らが本件代執行を知った日(遅くとも本件代執行が完了した平成19年3月30
日ころ)から既に同法14条1項所定の出訴期間(6か月)が経過した現時点では,
本件代執行の取消訴訟を提起することはできない(なお,原告らが本件訴えを提起
した平成20年2月13日においても,既に上記出訴期間は経過していた。)。そ
うすると,もはや本件代執行について,その公定力を排除することはできず,上記
(1)のとおり違法性の承継が認められない以上,本件において,本件代執行の取消
事由たる違法を主張することは許されないし,また,本件代執行の公定力が排除さ
れない以上,本件代執行に先立つ本件措置命令の取消事由たる違法を主張すること
も許されないというべきである。
(3)もっとも,本件において,本件代執行及び本件措置命令の無効事由を主張す
ることは何ら妨げられるものではないから,以下,争点(2),(3)に対する判断にお
いては,本件代執行及び本件措置命令が無効事由たる重大かつ明白な違法を有する
か否かについて検討することとする(原告らが「著しい違法性」と主張しているの
は,無効事由としての「重大かつ明白な違法」をいうものと解する。なお,原告ら
は本件費用納付命令自体の違法性は主張していない。)。
2争点(2)について
(1)前記前提事実のとおり,豊田市長は,原告C及び原告Dに対し平成15年1
2月18日付けで,原告Bに対し平成16年1月6日付けで,本件処分場の過剰保
管廃棄物について生活環境保全上の支障が生ずることがないようこれを撤去し及び
適正に処理することを求める本件措置命令を発したものの,原告らが本件措置命令
に従って撤去及び適正処理を行わなかったため,本件調査を実施し,学識経験者に
より構成される豊田市過剰保管廃棄物適正処理技術検討委員会に対し上記支障の現
状分析,除去方法等について諮問し,環境基準を上回る有害物質が過剰保管廃棄物
自体,地下水,臭気,排水路の底質から検出され,過剰保管廃棄物の内部温度やメ
タンガスの濃度は自然発火・爆発のおそれがある程度に達しており,生活環境保全
上の支障の除去等が必要であり,その支障を除去するために,遮水シートや覆土に
よる遮水措置,廃棄物に触れた水の遮水対策,ガス抜き管の設置・送風・掘削等の
悪臭及び火災防止対策,崩落を防ぐための整形作業,下流排水路からの堆積土砂の
浚渫等を行うことなどを提案する答申がされたことを踏まえ,法19条の8第1項
に基づいて本件代執行をしたものであり,本件代執行は,その手続,方法,内容等
において適法にされたものと認められる。
(2)原告らは,豊田市(f)町,岐阜県郡上市,奈良県天理市(g)町の処分場を確保
し本件処分場の過剰保管廃棄物をすべて搬出するよう計画を立てており,これによ
れば本件代執行より安価に抜本的な解決を図ることができたが,被告によって同計
画の実現を阻止されたと主張するので,以下検討する。
ア奈良県天理市(g)町の処分場の計画について,証拠(甲6∼8,14,1
6,乙20,30)によれば,次の事実が認められる。
(ア)株式会社Aは,平成17年9月27日,奈良県知事から天理市(g)町ο番
π外51筆に埋立最終処分場(安定型)を設置することの許可を受けていたPとの
間で,株式会社Aが産業廃棄物12万2921mの処分代金として,Pの施設工3
事費用2億3000万円をその指定する施工業者に支払うことを内容とする産業廃
棄物処理委託契約を締結した。株式会社A及び原告Cは,同月28日,被告に対し,
(g)町の最終処分場の使用許可が得られた後10か月以内に,本件処分場の過剰保
管廃棄物を(g)町の最終処分場に搬出して最終処分を完了させる旨の計画を示し,
本件処分場の過剰保管廃棄物を株式会社A及び原告Cの責任において全量自主撤去
し,完全復旧させ適正な状態に戻すことを誓約する旨の上申書を提出し,同年10
月4日には(g)町の最終処分場の建設に着手して同年11月31日までに完成させ,
平成18年1月末から搬入開始をする見込みである旨の資料も添付した。
(イ)株式会社A及び原告Cは,平成17年10月6日,被告に対し,上記上申
書と同趣旨の上申書を再度送付した。
(ウ)株式会社Aの代表取締役であるIと被告の環境部産業廃棄物対策課課長ら
職員は,平成17年10月11日,上記上申書の件について会談したが,その中で,
被告の職員がIに対し(g)町の最終処分場の工事が同月4日に着工されなかったこ
とについて質問したところ,Iは,その件は原告Cが個人的に動いていることだか
ら分からないと回答し,被告の職員が同処分場の施設設置工事は直ちに着工できる
状況にはないと思われる旨の見解を示したのに対し,Iは,「そうらしい。」と述
べた。
(エ)被告の職員は,平成18年2月15日,(g)町の最終処分場予定地の状況
を調査したところ,産業廃棄物処理施設は設置されておらず,株式会社Aが産業廃
棄物を(g)町の最終処分場に搬入するという計画は実現性がないとの調査結果を得
た。
なお,(g)町に建設予定の最終処分場予定地は,天理市の水源地の上流にあるこ
とから,奈良県知事が最終処分場の設置許可を与えたことに対し,同市が強く抗議
するなど,市を挙げて最終処分場の建設に反対している状況にあった。
(オ)Pが奈良県知事から得た産業廃棄物処理施設の設置許可は,施設の種類が
埋立最終処分場(安定型),処理する廃棄物の種類が廃プラスチック,ゴムくず,
金属くず,ガラスくず及び陶磁器くず,工作物の除去に伴って生じたコンクリート
の破片その他これに類する不要物の5種類の安定型産業廃棄物(法施行令6条1項
3号イ参照)とされていたから,本件処分場の過剰保管廃棄物に含まれる木くず,
紙くず,繊維くず等の管理型産業廃棄物(安定型産業廃棄物以外の産業廃棄物)を
そのまま搬入することはできず,強いて本件処分場の過剰保管廃棄物を(g)町の最
終処分場に搬入しようとすれば,莫大な費用をかけて廃棄物を選別する必要がある。
イ上記の認定事実によれば,本件処分場の過剰保管廃棄物を(g)町の最終処
分場に搬出するという原告ら主張の計画が具体的な実現可能性を有していたものと
は認められないし(同計画自体が本件代執行より安価に抜本的な解決を図ることが
できるものとも認められない。),原告らが主張する豊田市(f)町,岐阜県郡上市
の処分場についても,それが具体的な実現可能性を有していたことを認めるに足り
る証拠はない。
(3)原告らは,本件代執行は本件処分場の敷地の一部を所有するKに対して十分
に説明することなく実施され,これにより原告CがKに対して賃借地を農業畑に復
元して返還するという賃貸借契約上の義務を履行することができなくなったなどと
主張する。
しかし,原告らが主張するとおり,本件代執行により株式会社Aが賃借地を原状
に復元して返却するという賃貸借契約上の債務を履行することができなくなったと
しても,それは,株式会社Aが産業廃棄物を不適正処分したことに起因するのであ
って,本件代執行の違法性に直ちに結びつくものとは解されない。
しかも,Kにおいても,本件処分場の敷地所有者として,周辺住民に生活環境保
全上の支障を及ぼさないようにすべき義務を負っている上,豊田市長が,平成15
年9月16日,Kに対し,不適正処分を知りながら株式会社Aに土地を賃貸してい
ることを理由として,産業廃棄物処理基準に適合しない状態で保管している産業廃
棄物を撤去し及び適正に処理するよう求める旨の改善勧告を行い,措置命令に先立
って弁明の機会を付与したところ,Kは,株式会社Aとの土地の賃貸借契約を解除
し,株式会社Aに対し過剰保管廃棄物の早急な撤去と農地の原状復旧を求めていく
旨の弁明書を提出しており(乙1),Kは本件処分場が代執行をすべき状況にある
ことを認識していたものと認められるから,本件代執行の手続がKとの関係で違法
にされたものということはできない。
(4)したがって,本件代執行が違法にされたという原告らの主張は理由がない。
3争点(3)について
(1)前記前提事実に証拠(甲10の1∼5,11,12,38,乙1,4,10,
11の1・2,12の1∼3,13∼21,24∼37)及び弁論の全趣旨を総合
すれば,次の事実が認められる。
ア平成8年8月18日(株式会社Aが株式会社に組織変更された時期)まで
の経緯
(ア)原告Cは,もと暴力団Q組系R会内S組組長であり,昭和61年ころから
平成元年初めころまで刑務所で服役し,出所後にS組を解散した。
(イ)原告Cは,平成1∼2年ころ,原告Cが所有する山林が外環状線の事業用
地として被告に買収され,平成2年6月27日,その代替地として(c)γ番σの土
地(地積3977㎡)の払い下げを受けた。また,原告Cは,平成2年5月ころか
ら7月ころにかけて,上記土地の周辺に位置する(c)ξ番,λ番の土地等を売買に
より取得した。
(ウ)原告Cは,上記(イ)で取得した土地に最終処分場を設置して埋立処分業を
行うことを計画し,株式会社Aに同土地を提供し,株式会社Aは,平成2年3月2
日付けで,愛知県知事に対し,産業廃棄物処理施設(最終処分場)設置届出書を提
出した(平成3年法律第95号による改正前の法15条1項参照)。その内容は,
敷地面積7836㎡,埋立面積6868㎡,埋立容量4万5450m,処分場の3
形態は安定型最終処分場とするものであった。株式会社Aは,平成3年2月ころか
ら埋立処分を開始し,その後,Jから(c)ε∼ζ番の土地を,Kから(c)η∼θ番,
γ番ι及びκの土地を賃借し,平成5年5月31日,産業廃棄物処理施設の変更許
可を申請し,同年6月22日,その許可を受けた。これにより本件最終処分場は,
敷地面積1万3546㎡,埋立面積1万0651㎡,埋立容量12万5098m
に拡張された。
(エ)その後,株式会社Aは,平成7年2月7日,愛知県知事から本件最終処分
場の埋立容量を12万7923mとする変更許可を受けたが,平成8年8月9日3
時点で,(c)γ番σの土地内に本件中間処理施設を併設したことから,本件最終処
分場の面積・容量は,敷地面積1万1895㎡,埋立面積1万0651㎡,埋立容
量12万5098mとなった。3
(オ)本件処分場においては,平成6年ころから廃棄物の過剰保管状態が発生し
ていたため,愛知県豊田保健所が同年11月から平成9年ころにかけて度々立入り
調査及び指導を行っていたが,再三の指導にもかかわらず,廃棄物の保管状態は改
善されなかった。
イ平成8年8月18日∼平成11年9月28日(原告Bが株式会社Aの代表
取締役を務めた期間)の経過
(ア)平成9年11月に,本件処分場の隣地住民から,ゴミが山積みになってお
り,風が吹くとゴミやほこりが飛んできて困るとの苦情が寄せられ,平成10年4
月1日時点では,本件処分場全体に高さ約2∼3mの廃棄物が過剰保管されている
状態であった。
(イ)Hは,本件処分場の長として,平成11年5月19日,豊田市長に対し,
本件処分場の1万7000mの過剰保管廃棄物を210日間で全量撤去する旨の3
減量計画書を提出した。
(ウ)平成11年5月31日,本件処分場の北側法面において,幅40m,長さ
15mにわたって火災が発生したことから,豊田市長は,同年6月2日付けで,株
式会社Aに対し火災の再発防止に係る改善勧告を発した。
原告Bは,株式会社Aの代表取締役として,平成11年6月9日,豊田市長に対
し,本件処分場に係る減量計画書を提出した。同計画書では,同月5日時点で過剰
保管廃棄物の残存量が1万3000mであるが,1日当たりの受入量を200m
に制限するとともに,1日当たり380mの選別を行って,1万3000mの廃33
棄物を70日で減量させるとされていた。
(エ)豊田市長は,平成11年7月6日,株式会社Aに対し,本件処分場におい
て,計画区域及び計画高さを超えて産業廃棄物を埋め立てた産業廃棄物の撤去及び
適正処分並びに中間処理場の保管施設以外の場所に保管している産業廃棄物の撤去
及び適正処分を,同年9月6日までに実施することを求める改善命令を発した。
株式会社Aは,同月21日,豊田市長に対し,2か月で5645mの廃棄物を3
搬出した旨の改善報告書を提出したが,被告の職員が同月30日に立入り調査した
ところ,廃棄物を本件処分場の西側に移動しただけで,新たに山積み状態が生じて
いる状態であることが確認された。
ウ平成11年9月28日∼平成12年11月10日(原告Cが株式会社Aの
代表取締役を務めた期間)の経過
(ア)原告Bは,株式会社Aの代表取締役を辞任した後であったが,同代表取締
役として,平成11年10月25日,上記イ(エ)の改善命令に対する弁明書を提出
した。同弁明書では,山積み状態が生じているのは,廃棄物の高いところと低いと
ころを均等にし,そこから除去された廃棄物を山積みにしてその総量を計測すると
いう方法を採ったためであり,山積みされた廃棄物の撤去を同年11月末日までに
完了させるとされていた。
(イ)原告Bは,株式会社Aの代表取締役として,平成11年11月5日,豊田
市長に対し,改善処理計画書を提出した。同計画書では,第1期処理として588
0mを同月31日までに,第2期処理として1万6000mを平成12年1月333
1日までに,その撤去を完了させる旨記載されていた。
ところが,被告の職員が同年2月29日に本件処分場を立入調査したところ,全
く改善されていなかったため,豊田市長は,株式会社Aに対し措置命令を発する方
針を固め,それに先立って,同年3月3日,株式会社Aに対し,弁明の機会を与え
る旨通知した。
原告Bは,株式会社Aの代表取締役として,同月15日,豊田市長に対し,本件
処分場は被告の調査結果に近い状況であることを認め,上記改善処理計画書に基づ
いて過剰保管廃棄物を減量,撤去することを約する旨の弁明書を提出した。
(ウ)豊田市長は,平成12年3月21日,株式会社Aに対し,平成12年法律
第105号による改正前の法19条の4第1項に基づいて,「必要な措置の内容」
を「埋立処分において計画区域及び計画高さを超えて埋立された産業廃棄物並びに
中間処理において保管施設以外の場所に保管されている全ての産業廃棄物を撤去し,
適正に処分すること。」とし,「履行期限」を「平成12年5月20日」とする措
置命令(豊廃発第112号)を発した。
豊田市長は,同年3月21日,株式会社Aに対し,産業廃棄物処分業の全部を同
月27日から同年4月25日までの30日間停止する停止命令を発した。
(エ)平成12年法律第105号による廃棄物処理法の改正(施行日は平成12
年10月1日)によって暴力団排除条項が設けられ,法人の役員が暴力団員による
不当な行為の防止等に関する法律2条6号に規定する暴力団員又は暴力団員でなく
なった日から5年を経過しない者に該当する場合や,暴力団員等がその事業活動を
支配する場合には,当該法人は産業廃棄物処理業の許可を取り消されることになり,
原告Cが株式会社Aの代表取締役に就任したままでは,株式会社Aの産業廃棄物処
理業の許可が取り消されるおそれが生じたため(平成15年法律第93号による改
正前の法14条3項2号ロ,ニ,ホ,14条の3第3号),原告Cは平成12年1
1月10日に株式会社Aの代表取締役を辞任した。
エ平成12年11月10日∼同月14日(原告Bが株式会社Aの代表取締役
を務めた期間)の経過
原告Bは,平成12年11月10日,株式会社Aの代表取締役に就任し,豊田市
長に対し,株式会社Aに係る産業廃棄物処分業の更新許可申請をしたが,暴力団の
親族が法人の役員を務める場合には,暴力団員がその法人の事業活動を支配するも
のに当たることになるとして更新許可を得ることができなかったため,同月14日,
代表取締役を辞任した。
オ平成12年11月14日∼平成14年1月24日(原告Dが株式会社Aの
代表取締役を務めた期間)の経過
(ア)豊田市長は,測量士に対して本件処分場の過剰保管廃棄物の測量を依頼し
たところ,平成12年11月21日時点で,過剰保管廃棄物の量は,本件最終処分
場分が5万6907m,本件中間処理施設分が1万4167m,合計7万10733
4mであることが判明した。3
(イ)原告Dは,平成12年11月15日,株式会社Aに係る産業廃棄物処分業
の更新許可申請をしたところ,豊田市長は,本件最終処分場においてその計画区域
及び計画高さを超えて産業廃棄物が埋め立てられており,残余容量が全くないこと
を理由に,平成13年1月19日,埋立処分について更新不許可とし,同月21日,
焼却・選別について更新許可をした。なお,豊田市長が焼却・選別について更新を
許可したのは,株式会社Aが倒産し,過剰保管廃棄物がそのまま残されることが懸
念されたため,焼却・選別を許可してその収入によって過剰保管廃棄物を撤去させ
ることを目的としたものであった。
カ平成14年1月24日∼平成15年10月7日(Hが株式会社Aの代表取
締役を務めた期間)の経過
(ア)平成14年3月12日時点で,本件処分場の過剰保管廃棄物の量は,本件
最終処分場分が7万9593m,本件中間処理施設分が6659m,合計8万633
252mに達していた。3
(イ)平成14年5月29日,本件処分場の選別施設周辺の廃プラスチックの山
から出火して大規模な火災が発生したため,豊田市長は,同年6月2日付けで,株
式会社Aに対し,火災防止の改善勧告を発した。
(ウ)平成14年8月15日,本件処分場のプレスした廃棄物のブロック約30
個が燃えるという火災が発生したため,豊田市長は,同月19日付けで,株式会社
Aに対し,火災防止の改善勧告を発した。
(エ)平成15年5月20日時点で,本件処分場の過剰保管廃棄物の量は,本件
最終処分場分が10万3168m,本件中間処理施設分が5344m,合計1033
万8512mに達していた。3
(オ)原告Cは,平成15年6月2日,被告の職員に対し,暴力団排除条項の抵
触期間が経過すれば株式会社Aの代表取締役に復帰したいので,同抵触期間がいつ
までかを尋ねたところ,同職員は,現時点では分からないし個人情報であるから教
えることはできないが,念のため愛知県警察本部に確認してみると回答した。
(カ)平成15年6月3日,最終処分場で面積2200㎡に及ぶ大規模な火災が
発生したため,豊田市長は,同日付けで,株式会社Aに対し,火災防止の改善勧告
を発した。
(キ)株式会社Aは,平成15年6月16日,豊田市長に対し,「中間処理施設
(選別)搬入搬出計画」及び「(c)処分場内の保管物の処理と搬出計画」と題する
書面を提出し,過剰保管廃棄物の山を8区域に分割して各区域ごとに搬出・処分す
ることとし,平成17年7月まで約2年間で搬出・処分を完了するという計画を示
したが,平成15年7月から9月にかけて約4000個のプレスした廃棄物のブロ
ックを搬出したものの,同年10月にHが代表取締役を退任したことに伴って搬出
作業が中断し,結局,同年5月から平成16年5月までの間に,過剰保管廃棄物の
量が約1万4400m増加した。3
(ク)平成15年6月20日,T小学校から,豊田市長に対し,本件処分場に山
積みされたゴミの山とそこで発生する度重なる火災に対し,撤去及び火災防止に開
する要望書が提出された。同小学校では,本件処分場で火災が発生した際,煙が入
らないように窓を閉め切り,外に出ることが禁止されてプール清掃が延期となるな
どしており,上記要望書には,本件処分場から火災の煙やダイオキシンが来ないよ
うにしてほしいなどと書かれた同小学校の生徒の作文4通が添付されていた。
(ケ)豊田市長は,平成15年9月16日,原告C,J,Kに対し,不適正処分
を知りながら株式会社Aに土地を賃貸していることを理由として,産業廃棄物処理
基準に適合しない状態で保管している産業廃棄物を撤去し及び適正に処理するよう
求める改善勧告を行った。
キ平成15年10月7日以降(Iが株式会社Aの代表取締役を務めた期間)
の経過
(ア)原告Cは,平成15年12月16日,株式会社Aとの賃貸借契約に係る
(c)ξ番,λ番及びγ番σの土地について,真正な登記名義の回復を原因として株
式会社Aに対する所有権移転登記を了した。
(イ)豊田市長は,平成15年12月18日付けで原告C及び原告Dに対し,平
成16年1月6日付けで原告Bに対し本件措置命令を発した。
(ウ)平成16年5月18日当時,本件処分場の過剰保管廃棄物の量は,本件最
終処分場分が11万3768m,本件中間処理施設分が9153m,合計12万33
2921mに達していた。3
(エ)豊田市長は,平成16年5月25日,株式会社Aに対し,中間処分業を同
年6月26日から同年8月24日までの60日間停止する旨の停止命令を発した。
株式会社Aは,これに対して愛知県知事に対し審査請求をしたが,同知事は,平成
17年3月10日,これを棄却した。
(オ)Iは,平成16年8月3日,無許可の業者に産業廃棄物を処理させた廃棄
物処理法違反の容疑で福岡県警察に逮捕され,同月24日,同容疑により株式会社
Aと共に福岡地方裁判所田川支部に起訴され,平成17年1月19日,懲役1年・
執行猶予4年の判決を受けた。
(カ)豊田市長は,平成16年8月25日,株式会社Aに対し,代表取締役であ
るIがその業務に関し不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる
相当な理由があるとして,法14条の3の2第1項1号,14条5項2号イ,ニ,
7条5項4号トに基づいて,産業廃棄物収集運搬業及び産業廃棄物処分業・中間処
理(選別,焼却)の許可を取り消した。
株式会社Aは,同年10月25日,これに対して愛知県知事に対し審査請求をし
たが,同知事は,平成17年3月28日,これを棄却した。
(2)上記認定事実を基に,以下,検討する。
ア原告Cの法19条の5第1項1号及び4号該当性について
(ア)法19条の5第1項1号は,産業廃棄物処理基準に適合しない産業廃棄物
の処分が行われた場合において,生活環境の保全上支障が生じ,又は生ずるおそれ
があると認められるときは,都道府県知事(中核市の長を含む。)は,必要な限度
において,「当該処分を行った者」に対し,期限を定めて,その支障の除去等の措
置を講ずべきことを命ずることができる旨規定している。ところで,「当該処分を
行った者」とは,産業廃棄物処理基準が適用される業者であるか否かを問わず,実
際に同基準に適合しない処分(不適正処分)を行った個人をいい,不適正処分が法
人の従業者等によりその業務として行われた場合にはその法人も「当該処分を行っ
た者」に当たるものと解される。また,自らが不適正処分を行っていない場合であ
っても,不適正処分を指示し,不適正処分が行われていることを知りながらそれを
阻止する措置を講じなかった株式会社の取締役・代表取締役や,特定の者に会社の
業務一切を任せきりにしその者による業務執行に何ら注意を払わずその結果それら
の者による不適正処分を見過ごすに至った場合の代表取締役等も,自ら不適正処分
を行った者と同視することができるから,「当該処分を行った者」に当たるものと
解するのが相当である。
法19条の5第1項4号は,「当該処分等をすることを要求し,依頼し,若しく
は唆し,又はこれらの者が当該処分等をすることを助けた者」についても措置命令
の対象となり得ることを規定する。これは,平成12年法律第105号による改正
により,違反行為を要求,教唆,幇助等した者を措置命令の対象者に加えたもので
あり,不法投棄などを斡旋又は仲介したブローカーやこれを知りつつ土地を提供す
るなどした土地所有者が広く措置命令の対象となるものと解される。
上記観点から,以下,原告Cの法19条の5第1項1号及び4号該当性について
検討する。
(イ)原告Cについては,次の事実が認められる。
a原告Cは,株式会社Aを設立し,平成11年9月28日から平成12年
11月10日まで代表取締役を務めていたものであるが,平成12年11月以降自
らが代表取締役に就任しなかったのは,廃棄物処理法の暴力団排除条項に抵触する
ためであり,その代わりに義弟である原告Dを株式会社Aの代表取締役に就任させ
たものである。そして,原告Cは,平成15年6月2日,被告の職員に対し,暴力
団排除条項の抵触期間が経過すれば株式会社Aの代表取締役に復帰したい旨を伝え
ている。
b前記(1)ア(イ),(ウ)のとおり,原告Cは,(c)ξ番,λ番及びγ番σの土
地を所有して,これを本件処分場の敷地として株式会社Aに提供していた。
なお,原告らは,原告Cが平成2年7月に株式会社Aに対し上記土地を2000
万円で売却しているから,それ以降は上記土地を所有していないと主張する。
しかし,①原告Cは,平成4年7月30日,上記土地の所有者が原告Cであるこ
とは相違ないとした上,株式会社Aが上記土地を処分場として使用することを承諾
する旨の承諾書を作成し,これを株式会社Aを通じて豊田市長に提出していること
(乙37),②原告Cは株式会社A(代表取締役原告B)との間で上記土地を平成
5年7月1日から平成16年6月30日まで1か月85万円の地代で賃貸する旨の
賃貸借契約書を取り交わしていること(乙11の1・2),③上記土地は,本件措
置命令が発せられる直前の平成15年12月16日まで,登記簿上の所有者が原告
Cとされており,同日,原告Cから株式会社Aに対し真正な登記名義の回復を原因
とする所有権移転登記が了されていること(乙12の1∼3)が認められ,これら
の事実からすれば,原告Cは少なくとも平成15年12月16日まで上記土地を所
有しこれを株式会社Aが本件処分場の敷地として利用するために提供していたもの
と認められる。
原告Cは,陳述書(甲11)及び前件訴訟における本人尋問(甲12)において,
平成2年7月までに上記土地を株式会社Aに売却したなどと供述するが,売買契約
の時期,金額等を具体的に述べるものではなく,売買契約が締結されたのであれば
当然作成されるはずの売買契約書や代金の支払に伴う領収書が作成された事実も認
められないし,同売買契約を原因とする所有権移転登記も了されていないから,上
記供述部分を直ちに採用することはできない。なお,株式会社Aの平成11年7月
1日∼平成12年6月30日の事業年度の法人税に係る確定申告書(甲13)添付
の「固定資産の内訳書」に,株式会社Aの固定資産として(c)λ番,γ番σの土地
が記載されているが,上記の事実関係に照らせば,上記記載のみから原告Cと株式
会社Aとの土地売買契約の存在を直ちに認めることはできない。
c被告の職員が,平成15年1月20日から本件措置命令を発するまで,
本件処分場について立入調査等を行い,株式会社Aに対し過剰保管状態についての
指導や改善勧告をした際,豊田市長に対し不服や弁明を申し立てたのは,株式会社
Aの代表取締役(H等)ではなく,原告Cであった(乙21)。
d株式会社Aでは,毎週1回程度,原告C及び各部署の責任者が出席する
責任者会議を開催していたが,責任者会議においては,原告Cが「会長」と呼ばれ,
各責任者が業務状況を報告して,原告Cがその報告を基に各責任者に指示を出して
おり,株式会社Aの代表取締役(H等)であっても原告Cから指示を受ける立場に
あった(甲12,34の1∼7)。
e株式会社Aは,原告C及び原告Bがその株式すべてを所有する会社であ
り,原告Cは,代表取締役に就任していない時期も株式会社Aの従業員として給与
を得ていた(甲12)。
(ウ)上記事実に照らせば,原告Cは,株式会社Aの実質的支配者であると認め
るのが相当であり,本件処分場における産業廃棄物の不適正処分をした者として法
19条の5第1項1号に該当するとともに,本件処分場の敷地を所有しこれを株式
会社Aに提供したことにより,不適正処分を幇助した者として同項4号に該当する
ものと認められる。
このことは,原告Cが,名古屋地方裁判所岡崎支部に廃棄物処理法違反の罪で起
訴され,その第1回公判期日(平成19年3月19日)において,「私は,廃棄物
を法律に従って適正に処理するのではなく,法律から逸脱しているという認識はあ
りました。捨てた廃棄物の数量に関しても法律の基準を超えているという認識はあ
りました。」,「私は,H及びIに対し,廃棄物を捨てるように指示したことは無
く,また,彼らに対して強制したことは一切ありません。ただし,彼らの行為を認
識し,黙認していたことは間違いないので,共犯者らと共謀したことは認めます。
私は刑事責任を認めます。」などと述べたこと(乙5の1・2)からも明らかであ
る。原告Cが上記(イ)dの責任者会議においてH,I等に対し廃棄物を搬出するよ
うに指示していた事実があったとしても,実際に過剰保管廃棄物が減少することは
なかったのであるから,株式会社Aの実質的支配者として上記の責任を免れること
はできない。
したがって,豊田市長は,法19条の5第1項1号,4号に基づいて,原告Cに
対し,本件措置命令当時の本件処分場に生じていた生活環境保全上の支障について,
廃棄物の撤去及び適正処理を命ずることができるものと認められる。
イ原告B及び原告Dの法19条の5第1項1号該当性について
上記ア(ア)の観点から,以下,原告B及び原告Dの法19条の5第1項1号該当
性について検討する。
(ア)原告Bは,原告Cの妻であり,平成8年8月18日から平成11年9月2
8日まで及び平成12年11月10日から同月14日まで,株式会社Aの代表取締
役を務めていたものである(原告Bの平成11,12年当時の取締役報酬は年間1
800万円であった。甲13)。
その間,前記(1)イ,ウのとおり,平成9年11月に隣地住民から本件処分場の
ゴミが飛散するとの苦情を受け,平成11年5月31日には本件処分場で火災が発
生し,株式会社Aは,被告の職員により頻繁に立入調査,立入指導,呼出指導を受
け(乙1),豊田市長から,同年7月6日,本件処分場の過剰保管廃棄物の撤去及
び適正処分を求める改善命令が発せられており,原告Bは,株式会社Aの代表取締
役として,豊田市長に対し,同年6月9日に過剰保管廃棄物の減量計画書を提出し,
代表取締役を辞任した後も株式会社Aの代表取締役として,同年10月25日,同
年11月5日及び平成12年3月15日に過剰保管廃棄物の改善計画書等を提出し
ている。
上記事実関係に照らせば,原告Bが株式会社Aの代表取締役に就任中,本件処分
場において廃棄物の過剰保管がされていたのみならず,廃棄物の飛散,火災の発生
等の生活環境保全上の支障を生じており,その時点で,生活環境保全上の支障の発
生原因となるような廃棄物の不適正処分がされていたものと認められ,当時の不適
正処分と本件措置命令時点において生じていた生活環境保全上の支障との間に因果
関係を認めることができる。
したがって,原告Bは,本件措置命令時における本件処分場の生活環境保全上の
支障の発生に関し「当該処分を行った者」に当たるものと認められ,豊田市長は,
法19条の5第1項1号に基づいて,原告Bに対し,本件措置命令当時の本件処分
場に生じていた生活環境保全上の支障について,廃棄物の撤去及び適正処理を命ず
ることができるものと認められる。そして,原告Bが,本件措置命令当時において
生じていた生活環境保全上の支障との間に因果関係のある処分を行った者に当たる
以上,豊田市長は,その支障全体の除去を命ずることができるというべきである。
(イ)原告Dは,原告Cの妹の夫であり,平成12年11月14日から平成14
年1月24日まで,株式会社Aの代表取締役を務めていたものである。
原告Dは,前記(1)ウ,エのとおり,原告Cが暴力団排除条項に抵触するため株
式会社Aの代表取締役を辞任しなければならなくなった際,代表取締役に就任して
株式会社Aが産業廃棄物処理業を継続させることを可能としたものである。
また,前記(1)オ(ア),カ(ア)のとおり,本件処分場の過剰保管廃棄物は,原告D
が代表取締役に就任した直後の平成12年11月21日時点で総量7万1074
m(本件最終処分場分5万6907m,本件中間処理施設分1万4167m),333
原告Dが代表取締役を辞任した約1か月半後の平成14年3月12日時点で総量8
万6252m(本件最終処分場分7万9593m,本件中間処理施設分665933
m)であったから,原告Dが代表取締役に就任中,本件処分場において過剰保管3
廃棄物が更に増加したものと認められ,また,この期間中に本件処分場の周辺住民
に対する生活環境保全上の支障が軽減又は除去されたとも認められない。
したがって,原告Dは,本件措置命令時における本件処分場の生活環境保全上の
支障の発生に関し「当該処分を行った者」に当たるものと認められ,豊田市長は,
法19条の5第1項1号に基づいて,原告Dに対し,本件措置命令当時の本件処分
場に生じていた生活環境保全上の支障について,廃棄物の撤去及び適正処理を命ず
ることができるものと認められる。そして,原告Dが,本件措置命令当時において
生じていた生活環境保全上の支障との間に因果関係のある処分を行った者に当たる
以上,豊田市長は,その支障全体の除去を命ずることができるというべきである。
ウ本件措置命令の明確性について
原告らは,本件措置命令が何らの行動指針も示さない極めて不明確なものである
上,原告らに対しその意味内容につき誤解を生じさせるものであるから,著しい違
法性が存すると主張する。
本件措置命令は,その文言から明らかなように,本件処分場に野積み状態で過剰
に埋立・保管されている産業廃棄物について,生活環境保全上の支障が生じること
のないようこれを撤去し,及び適正に処理することを命ずるものである。
本件調査によれば,本件処分場では,環境基準を上回る有害物質が過剰保管廃棄
物自体,地下水,臭気,排水路の底質から検出され,過剰保管廃棄物の内部温度や
メタンガスの濃度は自然発火・爆発による火災のおそれがある程度に達していたと
ころ,これらの生活環境保全上の支障を除去する方法としては,豊田市長の行った
本件代執行が唯一の方法ではなく,そのほかに様々な措置が考えられる。しかしな
がら,原告らは,本件処分場における不適正処分に関わってきたものであるから,
悪臭・火災・飛散・崩落等の生活環境保全上の支障をどのようにして除去できるか
に係る基礎的事実関係,すなわち,本件処分場で不適正処分された廃棄物の種類,
量,処分場所等を最も良く知り得る立場にあると認められる。したがって,本件処
分場における過剰保管廃棄物の撤去,適正処理の方法は,原告らが最も的確に判断
することができるものと認められる。
そして,法19条の5第1項は,生活環境保全上の支障を除去する措置を講ずべ
きことを命ずることができると規定するにとどまり,具体的な手段や方法を限定し
て措置命令を発することまで規定していない上,本件措置命令において採るべき措
置の内容を具体的に特定することは,原告らが行う措置の選択肢を限定することに
なり,場合によっては,原告らが最も適切かつ合理的であると考える措置を採るこ
とができないこととなって原告らに不利益を与える結果にもなりかねない。
なお,原告らは,豊田市長が平成12年3月21日に株式会社Aに対して発した
措置命令が全量撤去を命ずるものであったから,本件措置命令もこれと同様に全量
撤去を命ずるものと理解していた旨主張するが,株式会社Aに対する措置命令は
「埋立処分において計画区域及び計画高さを超えて埋立された産業廃棄物並びに中
間処理において保管施設以外の場所に保管されている全ての産業廃棄物を撤去し,
適正に処分すること」と,過剰保管廃棄物についてその全量撤去を命ずるものであ
ることが明記されており,その文言上,命ずる措置の内容が本件措置命令と異なる
ことが明らかであるから,原告らの同主張は理由がない。
したがって,本件措置命令が明確性を欠くとの原告らの主張は理由がない。
エ本件措置命令の履行可能性について
原告らは,本件措置命令が不可能を命ずるものとして無効であると主張する。
しかし,前記(1)カ(キ)のとおり,株式会社Aは平成15年6月16日に豊田市長
に対し平成17年7月までの約2年間で過剰保管廃棄物の搬出・処分を完了すると
いう計画(当時の過剰保管廃棄物は少なくとも合計10万8512m)を示して3
いたし,原告Cは,被告の職員に対し,平成15年6月16日に過剰保管廃棄物を
「2年間内で処理する。」と述べ,同年7月23日に電話で「過剰保管廃棄物の撤
去に2年の猶予期間をもらって感謝している。約束は必ず守る。」と述べているか
ら(乙21),豊田市長が本件措置命令を発するに際し,その履行期限を約1年8
か月と定めたことが,原告らにとって不可能を命ずるもので無効であるということ
はできない。
したがって,本件措置命令が不可能を命ずるものであるとの原告らの主張は理由
がない。
オ本件措置命令の平等原則違反について
原告らは,H及びIが業者と結託して搬入・搬出について虚偽の報告をするなど
の不正行為を繰り返して本件処分場に廃棄物の搬入を続けたものであるから,Hや
Iの責任と原告らの責任を同列に論じるのは余りに不公平であって平等原則に反す
ると主張し,原告CがH及びIに対し廃棄物を搬出するように指示していたこと,
H及びIが不正行為をしていたこと,Hがフィリピンパブに頻繁に通って多額の金
員を費消していたことなどを示す証拠(甲19∼37)を提出する。
しかし,原告B及び原告Dに対する措置命令については,同原告らが株式会社A
の代表取締役を務めていた平成14年以前において行われた不適正処分によって,
廃棄物の過剰保管や生活環境保全上の支障が生じていたことを理由とするものであ
って,その当時の不適正処分と本件措置命令当時の生活環境保全上の支障との間に
因果関係が認められる以上,その後,H及びIが不正行為を行ったことで過剰保管
廃棄物が増加したとしても,原告B及び原告Dに対する措置命令が,平等原則違反
として違法となるものとはいえない。
また,原告Cに対する措置命令については,原告Cが株式会社Aの実質的支配者
として株式会社Aの不適正処分に関与していたと評価できることは前記アのとおり
であり,仮に,H及びIの行った不正行為について原告Cが把握できない部分があ
ったとしても,また,原告CがH及びIに対し廃棄物の搬出を指示していたとして
も,そのことから,株式会社Aの実質的支配者である原告Cに対する措置命令が,
平等原則違反として違法となるものとはいえない。
(3)したがって,本件措置命令の違法性をいう原告らの主張はいずれも理由がな
い。
4以上によれば,本件措置命令及び本件代執行はいずれも適法であり,したが
って,重大かつ明白な違法もないから,本件費用納付命令も適法である。
よって,原告らの請求は,いずれも理由がないからこれらを棄却することとして,
主文のとおり判決する。
名古屋地方裁判所民事第9部
松並重雄裁判長裁判官
前田郁勝裁判官
廣達人裁判官瀨
(別表)
法19条の8第1項,5項現行法
法7条5項,14条5項,14条の3平成17年法律第42号による改
の2第1項,19条の5第1項正前のもの
(別紙)関連法令等
1廃棄物の処理及び清掃に関する法律
産業廃棄物処分業の許可及び許可の取消し,暴力団排除条項等
平成15年法律第93号による改正前のもの平成17年法律第42号による改正前のもの
7条5項市町村長は,第1項の許可の申
請が次の各号に適合していると認めるときで
なければ,同項の許可をしてはならない。
4号申請者が次のいずれにも該当し
ないこと。
トその業務に関し不正又は不誠実
な行為をするおそれがあると認めるに足りる
相当の理由がある者
14条1項産業廃棄物(特別管理産業廃14条1項産業廃棄物(特別管理産業廃
棄物を除く。以下この条から第14条の3の棄物を除く。以下この条から第14条の3の
2まで及び第15条の4の2において同3まで,第15条の4の2及び第15条の4
じ。)の収集又は運搬を業として行おうとすの3第3項において同じ。)の収集又は運搬
る者は,当該業を行おうとする区域(運搬のを業として行おうとする者は,当該業を行お
みを業として行う場合にあつては,産業廃棄うとする区域(運搬のみを業として行う場合
物の積卸しを行う区域に限る。)を管轄するにあつては,産業廃棄物の積卸しを行う区域
都道府県知事の許可を受けなければならなに限る。)を管轄する都道府県知事の許可を
い。ただし,事業者(自らその産業廃棄物を受けなければならない。ただし,事業者(自
運搬する場合に限る。),専ら再生利用の目らその産業廃棄物を運搬する場合に限
的となる産業廃棄物のみの収集又は運搬を業る。),専ら再生利用の目的となる産業廃棄
として行う者その他環境省令で定める者につ物のみの収集又は運搬を業として行う者その
いては,この限りでない。他環境省令で定める者については,この限り
3項都道府県知事は,第1項の許可のでない。
申請が次の各号に適合していると認めるとき5項都道府県知事は,第1項の許可の
でなければ,同項の許可をしてはならない。申請が次の各号に適合していると認めるとき
2号申請者が次のいずれにも該当しでなければ,同項の許可をしてはならない。
ないこと。2号申請者が次のいずれにも該当し
ロ暴力団員による不当な行為の防ないこと。
止等に関する法律第2条第6号に規定する暴イ第7条第5項第4号イからトま
力団員(以下この号において「暴力団員」とでのいずれかに該当する者
いう。)又は暴力団員でなくなつた日から5ロ暴力団員による不当な行為の防
年を経過しない者(以下この号において「暴止等に関する法律第2条第6号に規定する暴
力団員等」という。)力団員(以下この号において「暴力団員」と
ニ法人でその役員又は政令で定めいう。)又は暴力団員でなくなつた日から5
る使用人のうちにイ又はロのいずれかに該当年を経過しない者(以下この号において「暴
する者のあるもの力団員等」という。)
ホ法人で暴力団員等がその事業活ニ法人でその役員又は政令で定め
動を支配するものる使用人のうちにイ又はロのいずれかに該当
4項産業廃棄物の処分を業として行おする者のあるもの
うとする者は,当該業を行おうとする区域をお6項産業廃棄物の処分を業として行
管轄する都道府県知事の許可を受けなければうとする者は,当該業を行おうとする区域を
ならない。ただし,事業者(自らその産業廃管轄する都道府県知事の許可を受けなければ
棄物を処分する場合に限る。),専ら再生利ならない。ただし,事業者(自らその産業廃
用の目的となる産業廃棄物のみの処分を業と棄物を処分する場合に限る。),専ら再生利
して行う者その他環境省令で定める者につい用の目的となる産業廃棄物のみの処分を業と
ては,この限りでない。して行う者その他環境省令で定める者につい
6項都道府県知事は,第4項の許可のては,この限りでない。
申請が次の各号に適合していると認めるとき10項都道府県知事は,第6項の許可
でなければ,同項の許可をしてはならない。の申請が次の各号に適合していると認めると
2号申請者が第3項第2号イからヘきでなければ,同項の許可をしてはならな
までのいずれにも該当しないこと。い。
2号申請者が第5項第2号イからヘ
までのいずれにも該当しないこと。
14条の3都道府県知事は,産業廃棄物14条の3の2第1項都道府県知事は,
収集運搬業者若しくは産業廃棄物処分業者が産業廃棄物収集運搬業者又は産業廃棄物処分
次の各号のいずれかに該当するときは,その業者が次の各号のいずれかに該当するとき
許可を取り消し,又は期間を定めてその事業は,その許可を取り消さなければならない。
の全部若しくは一部の停止を命ずることがで1号第14条第5項第2号イからヘ
きる。までのいずれかに該当するに至つたとき
3号第14条第3項第2号イからヘ
までのいずれかに該当するに至つたとき。
産業廃棄物処理施設の届出
平成3年法律第95号による改正前のもの
15条1項産業廃棄物処理施設を設置し,又はその構造若しくは規模の変更(厚生省令で
定める軽微な変更を除く。)をしようとする者は,厚生省令で定めるところにより,その旨を
都道府県知事に届け出なければならない。
産業廃棄物に係る措置命令
平成12年法律第105号による改正前のも平成17年法律第42号による改正前のもの

19条の4第1項次の各号に掲げる場合19条の5第1項産業廃棄物処理基準
において,生活環境の保全上支障が生じ,又(特別管理産業廃棄物にあつては,特別管理
は生ずるおそれがあると認められるときは,産業廃棄物処理基準)に適合しない産業廃棄
当該各号に定める者は,必要な限度におい物の処分が行われた場合において,生活環境
て,当該処分を行つた者(第6条の2第1項の保全上支障が生じ,又は生ずるおそれがあ
の規定により当該処分を行つた市町村及び第ると認められるときは,都道府県知事(当該
10条第2項又は第3項の規定によりその事処分を行つた者が当該産業廃棄物を輸入した
務として当該処分を行つた市町村又は都道府者である場合にあつては,環境大臣又は都道
県を除くものとし,第7条第10項,第12府県知事。次条及び第19条の8において同
条第3項,第12条の2第3項,第14条第じ。)は,必要な限度において,次に掲げる
10項又は第14条の4第10項の規定に違者(次条及び第19条の8において「処分者
反する委託により当該処分が行われたとき,等」という。)に対し,期限を定めて,その
及び当該処分を行つた者に産業廃棄物の運搬支障の除去等の措置を講ずべきことを命ずる
又は処分の委託をした者が第12条の3第1ことができる。
項の規定に違反して,管理票を交付せず,若1号当該処分を行つた者(第11条
しくは虚偽の管理票を交付し,又は第12条第2項又は第3項の規定によりその事務とし
の4第1項の規定による登録に関し虚偽の登て当該処分を行つた市町村又は都道府県を除
録をしたときは,これらの委託をした者を含く。)
む。次条において「処分者等」という。)に4号当該処分を行つた者若しくは前
対し,期限を定めて,その支障の除去又は発2号に掲げる者に対して当該処分若しくは前
生の防止のために必要な措置(以下「支障の2号に規定する規定に違反する行為(以下
除去等の措置」という。)を講ずべきことを「当該処分等」という。)をすることを要求
命ずることができる。し,依頼し,若しくは唆し,又はこれらの者
1号一般廃棄物処理基準(特別管理が当該処分等をすることを助けた者があると
一般廃棄物にあつては,特別管理一般廃棄物きは,その者
処理基準)に適合しない一般廃棄物の処分が
行われた場合市町村長
2号産業廃棄物処理基準(特別管理
産業廃棄物にあつては,特別管理産業廃棄物
処理基準)に適合しない産業廃棄物の処分が
行われた場合都道府県知事(当該処分を行
つた者が当該産業廃棄物を輸入した者である
場合にあつては,厚生大臣又は都道府県知
事)
2項前項の規定による命令をするとき
は,厚生省令で定める事項を記載した命令書
を交付しなければならない。
代執行,費用納付命令
現行法
19条の8第1項第19条の5第1項に規定する場合において,生活環境の保全上の支障
が生じ,又は生ずるおそれがあり,かつ,次の各号のいずれかに該当すると認められるとき
は,都道府県知事は,自らその支障の除去等の措置の全部又は一部を講ずることができる。こ
の場合において,第2号に該当すると認められるときは,相当の期限を定めて,当該支障の除
去等の措置を講ずべき旨及びその期限までに当該支障の除去等の措置を講じないときは,自ら
当該支障の除去等の措置を講じ,当該措置に要した費用を徴収する旨を,あらかじめ,公告し
なければならない。
1号第19条の5第1項の規定により支障の除去等の措置を講ずべきことを命ぜられ
た処分者等が,当該命令に係る期限までにその命令に係る措置を講じないとき,講じても十分
でないとき,又は講ずる見込みがないとき。
2項都道府県知事は,前項(第3号に係る部分を除く。)の規定により同項の支障の除
去等の措置の全部又は一部を講じたときは,当該支障の除去等の措置に要した費用について,
環境省令で定めるところにより,当該処分者等に負担させることができる。
5項前3項の規定により負担させる費用の徴収については,行政代執行法第5条及び第
6条の規定を準用する。
2行政代執行法
5条代執行に要した費用の徴収については,実際に要した費用の額及びその納期日を定
め,義務者に対し,文書をもつてその納付を命じなければならない。
6条1項代執行に要した費用は,国税滞納処分の例により,これを徴収することができ
る。
3行政処分の指針(環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課長
による通知《平成13年5月15日環廃産第260号》添付のもの。以下「平成1
3年通知」という。乙7)
第8措置命令(法第19条の5)
2要件
(1)処分者等
①命令の対象は,現に処理基準に適合しない廃棄物の処分を行った者(以下「処分
者」という。)であって,処理基準が適用される者であるか否かを問わないこと。
②同条第1項の「処分を行った者」とは,まず第一に実際に不適正処分を行った個人
をいい,不適正処分が法人の従業者等によりその業務として行われた場合には,法人にも不適
正処分という行為を観念し,その責任を負わせるものであること。したがって,不適正処分が
法人の業務として行われた場合には,法人とその機関たる個人の双方に命令が行い得ること。
なお,法人の業務として行われた場合とは,従業者の行為が事業主の本来の業務内容の一部を
なす場合のほか,その行為の経過,状況,その行為がもたらす効果,従業者の意思,地位など
の諸事情に照らし,その行為が事業主の業務活動の一環として行われたと判断される場合をい
うこと。
③同条第4項に該当する者には,不法投棄などを斡旋又は仲介したブローカーやこれ
を知りつつ土地を提供するなどした土地所有者(略)が広く含まれるものであること。なお,
本号にいう「当該処分等をする」とは,一定の作為が行われた時点のみと解するのではなく,
行為者の作為又は不作為により,処理基準に違反する状態が継続する場合を含む概念であるこ
とから,処分状況を知りつつ土地を購入し特段の理由なく違反状態を認容・放置した者など,
処理基準違反の状態を容易にし,又は継続した者も「当該処分等をした者又は当該処分等をす
ることを助けた者」に該当し得ること。
(2)生活環境の保全上支障が生じ,又は生ずるおそれがあると認められるとき
①「生活環境」とは,環境基本法(平成5年法律第91号)第2条第3項に規定する
「生活環境」と同義であり,社会通念に従って一般的に理解される生活環境に加え,人の生活
に密接な関係のある財産又は人の生活に密接な関係のある動植物若しくはその生育環境を含む
ものであること。また,「生活環境の保全」には当然に人の健康の保護も含まれること。
②「おそれ」とは「危険」と同意義で,実害としての支障の生ずる可能性ないし蓋然
性のある状態をいうこと。しかし,高度の蓋然性や切迫性までは要求されておらず,通常人を
して支障の生ずるおそれがあると思わせるに相当な状態をもって足りること。
③このように「生活環境の保全上支障が生じ,又は生ずるおそれがある」とは,人の
生活に密接な関係がある環境に何らかの支障が現実に生じ,又は通常人をしてそのおそれがあ
ると思わせるに相当な状態が生ずることをいい,例えば,安定型産業廃棄物が道路,鉄道など
公共用の区域や他人の所有地に飛散,流出するおそれがある場合,最終処分場以外の場所に埋
め立てられた場合なども当然に対象となること。
4行政処分の指針(環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課長
による通知《平成17年8月12日環廃産発第050812003号》添付のもの。
以下「平成17年通知」という。乙8)
第8措置命令(法第19条の5)
2要件
(1)処分者等
①平成13年通知の第8の2(1)①と同じ
②同条第1項第1号の「処分を行った者」とは,まず第一に実際に不適正処分を行っ
た個人をいい,不適正処分を直接行った従業者等は勿論,不適正処分を指示し,あるいはこれ
を黙認するなど帰責性の存する個人事業主等も当然含まれること。また,法人の場合は,不適
正処分を指示した役員,不適正処分が行われていることを知りながらそれを阻止する措置を講
じなかった役員,取締役会で不適正処分に係る決議に賛成又は異議をとどめない取締役等,不
適正処分への関与が認められる役員等がこれに該当すること。次に,例えば,特定の役員に会
社業務一切を任せきりにし,その者による業務執行になんら注意を払わず,その結果それらの
者による不適正処分を見過ごすに至った場合の代表取締役のように,その職務を行うにつき悪
意又は重過失があり,そのために不適正処分を招いたものと認められる取締役,監査役等の役
員も「処分を行った者」として命令の対象となり得ること。そして,不適正処分が法人又は個
人事業主の従業者等によりその業務として行われた場合には,法人又はその個人事業主にもそ
の責任を負わせるものであること。したがって,不適正処分が法人又は個人事業主の業務とし
て行われた場合には,不適正処分を行った個人(従業者のほか,上記のとおり責任が認められ
る法人の役員等も含む)と,法人又は個人事業主の双方に命令が行い得ること。なお,法人又
は個人事業主の業務として行われた場合とは,従業者の行為が事業主の本来の業務内容の一部
をなす場合のほか,その行為の経過,状況,その行為がもたらす効果,従業者の意思,地位な
どの諸事情に照らし,その行為が事業主の業務活動の一環として行われたと判断される場合を
いうこと。また,命令の時点では法人の役員を辞任していた者についても,不適正処分がなさ
れた当時に個人としてこれに関与していた場合は勿論,役員在任当時,職務を行うにつき悪意
又は重過失が認められ,そのために不適正処分を招いたものと認められるのであれば,命令の
対象者に該当し得ること。
③(略)
④同条第1項第4号に該当する者には,不法投棄などを斡旋又は仲介したブローカー
やこれを知りつつ土地を提供するなどした土地所有者(略),無許可業者の事業場まで廃棄物
を運搬した者,無許可業者に対して資金提供を行っていた者など,他人の不適正処分に関与し
た者が広く含まれるものであること。なお,本号にいう「当該処分等をする」とは,一定の作
為が行われた時点のみと解するのではなく,行為者の作為又は不作為により,処理基準に違反
する状態が継続している場合を含む概念であることから,処分状況を知りつつ土地を購入し特
段の理由なく違反状態を認容・放置した者など,処理基準違反の状態を容易にし,又は継続し
た者も「当該処分等をした者又は当該処分等をすることを助けた者」に該当し得ること。
⑤(略)
(2)生活環境の保全上支障が生じ,又は生ずるおそれがあると認められるとき
平成13年通知の第8の2(2)と同じ

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