弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人中島達敬、同彦坂敏尚連名の上告趣意第一点は、原判決が憲法二八条の解
釈を誤つたものと主張するのであるが、原判決は本件につき所論のように公共企業
体等労働関係法(以下公労法と略称する。)一七条一項を適用しているものではな
く、むしろ本件の争議行為については、それが右公労法一七条一項の禁止規定に違
反するものであつても、労働組合法一条二項によつてその正当性の有無を判断すべ
きものとの前提をとつているものであることが明らかである(右の前提は相当であ
る。)から、論旨はその前提を欠き、適法な憲法違反の主張にあたらない。
 同上告趣意第二点ないし第四点は、いずれも事実誤認ないし単なる法令違反の主
張であつて、適法な上告理由にあたらない。
 弁護人伊達秋雄、同大野正男、同彦坂敏尚、同中島達敬連名の補充上告趣意は、
すべて事実誤認ないし単なる法令違反の主張であつて、適法な上告理由にあたらな
い。
 なお、原判決が被告人の本件各所為につきいずれも正当な争議行為であるとはい
えずその違法性を阻却すべき事由はないとしたのは相当であり、そのほか、記録を
検討しても、本件につき刑訴法四一一条を適用すべき事由は認められない。
 よつて、同法四一四条、三八六条一項三号により、主文のとおり決定する。
 この決定は、裁判官下村三郎、同松本正雄の意見があるほか、裁判官全員一致の
意見によるものである。
 裁判官下村三郎の意見は次のとおりである。
 弁護人中島達敬、同彦坂敏尚連名の上告趣意第一点ないし第三点ならびに弁護人
伊達秋雄ほか三名連名の補充上告趣意第二点について。
 公共企業体等労働関係法一七条一項は、争議行為を禁止しているのであるから、
これに違反してなされた争議行為は、すべて違法であつて、正当な争議行為という
ものはありえない。したがつて、このような争議行為には、労働組合法一条二項の
適用はないものと解すべきである。その理由の詳細は、昭和三九年(あ)第二九六
号昭和四一年一〇月二六日大法廷判決(刑集二〇巻八号九〇一頁)における裁判官
奥野健一、同草鹿浅之介、同石田和外三裁判官の反対意見と同趣旨であるから、こ
こにこれを引用する。
 そして、右見解によれば、原判決が、被告人の本件各所為について正当な争議行
為の範囲内にとどまるものかどうかの点を判断しているのは、法令の解釈を誤つた
ものであるといわなければならない。しかし、原判決は、結局において、被告人の
本件各所為がいずれも正当な争議行為にあたらないとして、公務執行妨害罪および
威力業務妨害罪の成立を認めているのであるから、右の誤りについて刑訴法四一一
条を適用すべきものとは認められない。
 裁判官松本正雄の意見は次のとおりである。
 原判決は、本件争議行為にも労働組合法一条二項の適用があることを前提として、
その正当性を判断しているものであり、多数意見は右の前提を是認するのである。
 しかし、わたくしは、本件争議行為は公共企業体等労働関係法一七条一項に違反
してなされた違法なものであるから、これについては労働組合法一条二項の適用は
なく、正当性の有無を論ずる余地はないと考える。この点に関しては、当第三小法
廷昭和四二年(あ)第一三七三号同四五年六月二三日決定(いわゆる札幌市電スト
事件)において、わたくしの反対意見として述べたところと同趣旨であるから、こ
こにこれを引用する(なお、右反対意見は、地方公営企業労働関係法一一条一項に
違反してなされた争議行為と労働組合法一条二項との関係について述べたものであ
るが、そこで論じたところは、公共企業体等労働関係法一七条一項に違反してなさ
れた争議行為と労働組合法一条二項との関係についてもほぼ同様に考える。)。
 わたくしの見解は右のとおりであるから、原判決は法令の解釈を誤つたものと思
料する。しかしながら、原判決は、その結論としては、本件各所為がいずれも争議
行為としての正当性を有しないものとして、公務執行妨害および威力業務妨害の各
罪の成立を認めているから、その誤りについては、刑訴法四一一条を適用すべきも
のとは認められない。
  昭和四五年七月二一日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    松   本   正   雄
            裁判官    田   中   二   郎
            裁判官    下   村   三   郎
            裁判官    飯   村   義   美
            裁判官    関   根   小   郷

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