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平成14年(ネ)第4786号 意匠権侵害差止等請求控訴事件(原審・東京地方
裁判所平成13年(ワ)第26362号)
平成15年1月16日口頭弁論終結
判          決
控訴人               株式会社サーメル
訴訟代理人弁護士          脇 田 輝 次
補佐人弁理士            小 野 信 夫
被控訴人              株式会社萬丸
被控訴人              ナカバヤシ株式会社
被控訴人ら訴訟代理人弁護士     白波瀬 文 夫
補佐人弁理士           濱 田 俊 明
主          文
1 本件控訴をいずれも棄却する。
2 当審における訴訟費用は控訴人の負担とする。
事実及び理由
第1 当事者の求めた裁判
1 控訴人
(1) 原判決を取り消す。
(2) 被控訴人ナカバヤシ株式会社(以下「被控訴人ナカバヤシ」という。)
は,別紙物件目録記載の物件を輸入し,製造し,販売してはならない。
(3) 被控訴人ナカバヤシは,その占有する別紙物件目録記載の物件をその仕掛
品も含めて廃棄せよ。
(4) 被控訴人株式会社萬丸(以下「被控訴人萬丸」という。)は,別紙物件目
録記載の物件を販売し,リースし,展示してはならない。
(5) 被控訴人萬丸は,その占有する別紙物件目録記載の物件を廃棄せよ。
(6) 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人らの負担とする。
2 被控訴人ら
主文と同旨
第2 事案の概要
控訴人は,意匠に係る物品を座いすとし,登録意匠の範囲を別紙意匠公報記
載のとおりとする登録意匠番号1038537号の意匠権(以下「本件意匠権」と
いい,その意匠を「本件登録意匠」という。)の意匠権者である。控訴人は,被控
訴人ナカバヤシが輸入,製造,販売し(ただし,同被控訴人が製造をしているかど
うかについては争いがある。),被控訴人萬丸が販売する別紙物件目録記載の座い
す(以下「被控訴人製品」という。)の意匠(以下「被控訴人意匠」という。)
が,本件登録意匠に類似し,本件意匠権を侵害しているとして,被控訴人らに対
し,本件意匠権に基づき,被控訴人製品の輸入,製造,販売の中止等を求めた。原
判決は,控訴人の請求をいずれも棄却した。
第3事実
当事者間に争いのない事実等並びに争点及び当事者の主張は,次のとおり付加
するほか,原判決の事実及び理由「第2 事案の概要」記載のとおりであるから,
これを引用する(ただし,原判決7頁13行の「本件登録意匠の構成F」は,「本
件登録意匠の構成E」の誤記と認める。)。
1 当審における控訴人の主張の要点
(1) 意匠法26条は,登録意匠が他人の登録意匠等を利用するものである場合
に,業としてその登録意匠を実施することを禁止している。同条は,直接には登録
意匠について定めることしかしていない。しかし,当然に,非登録意匠が他人の登
録意匠を利用する場合にも,業としてその登録意匠を実施することも禁止している
と解すべきである。
形式上は,非類似とされる可能性のある意匠であっても,他人の登録意匠
を利用する意匠を何の権限もなく実施することは,その登録意匠の意匠権の侵害と
なる。
原判決は,被控訴人意匠は本件登録意匠を利用したものであるとの控訴人
の主張を無視して,両意匠の類否という別の問題について判断して,結論に至って
いる。全く不当である。
(2) 原判決が本件登録意匠と被控訴人意匠との相違点として挙げた点は,いず
れも微細なものにすぎず,問題にならない。
本件登録意匠の特徴的部分は,背もたれ部の「座部の側面の中程から立ち
上がり,途中でよりゆるやかな傾斜角となるよう形成された」点にある。
意匠間に利用関係があるかどうかの判断は,利用意匠と目される意匠中
に,登録意匠が本質的特徴を損なうことなく,それと認識できる状態で取り入れら
れているかどうかで判断すべきである。被控訴人意匠中に,本件登録意匠の上記特
徴的部分が,本質を損なうことなく,それと認識できる状態で存在することは,明
白である。
(3) 上に述べたところによれば,被控訴人意匠は,本件登録意匠を利用するも
のであるというべきである。被控訴人意匠の実施は,本件意匠権を侵害する。
2 当審における被控訴人の主張の骨子
(1) 本件において利用関係を問題とする余地はない。本件においてすべきは,
本件登録意匠と被控訴人意匠の類否の判断に尽きる。
原判決の類否判断に誤りはない。
控訴人は,本件登録意匠では,背もたれ部の「座部の側面の中程から立ち
上がり,途中でよりゆるやかな傾斜角となるよう形成された」点のみに意匠の要部
があり,この点において両意匠が共通するか否かのみが問題であって,その他の点
における相違はいずれも微細なものであって問題にならないと主張するが,誤りで
ある。
控訴人の上記主張は,本件登録意匠に係る特許庁における審査手続及び審
判手続において控訴人が行った主張(乙第3号証)と矛盾するものであり,包袋禁
反言の原則に反するものである。
(2) 被控訴人らは,被控訴人製品を今後輸入,販売する意思はない。この点か
らだけでも,控訴人の差止請求は理由がないことが明らかである。
第4 当裁判所の判断
当裁判所も,原判決と同じく,控訴人の請求は,いずれも理由がないと判断
する。その理由は,次のとおり付加するほか,原判決の事実及び理由「第3 当裁
判所の判断」記載のとおりであるから,これを引用する。
1 控訴人は,仮に被控訴人意匠と本件登録意匠とが全体としては類似しないと
しても,被控訴人意匠は本件登録意匠を利用するものであるから,被控訴人意匠を
実施することは,本件意匠権を侵害することになる(意匠法26条参照),と主張
する。そして,利用の有無について判断していないとして,原判決を非難する。
被控訴人意匠は本件登録意匠を利用したものである,とするためには,前者
が,後者に登録意匠としての資格を与えているその特徴的部分を具備していること
を要することは,いうまでもないところである。このように,登録意匠を登録意匠
たらしめているその特徴的部分において共通しているかどうかが問題となるという
点においては,類似しているか否かの判断と利用しているかの判断の間に相違はな
い。そして,上記特徴的部分において共通していると認められない限り,類似も利
用も認める余地はない。上記部分において共通していると認められて初めて,類似
しているか否か,類似してはいないけれども利用しているか,を論ずることができ
ることになるのである。原判決は,要するに,被控訴人意匠は本件登録意匠の特徴
的部分を具備していないとしているのであるから,これを,利用の有無について判
断していないとして非難することはできない,というべきである。
2 控訴人は,被控訴人意匠が本件登録意匠を利用するものであることの理由と
して,本件登録意匠の特徴的な部分は,背もたれ部の「座部の側面の中程から立ち
上がり,途中でよりゆるやかな傾斜角となるように形成された」点にあり,被控訴
人意匠中には,上記特徴的部分が本質を損なうことなく,それと認識できる状態で
存在する,と主張する。
しかしながら,原告が主張する側面視における背もたれ部の形状は,本件登
録意匠と本件公知意匠との共通の構成である,平面視を略T字状とした座部と,こ
の側面の中ほどから立ち上がるアーチ状に形成した背もたれ部からなるという構成
に比べると,微弱なものにすぎず,これのみをもって本件登録意匠の特徴的な部分
である,ということはできないというべきである。
本件登録意匠の特徴的な部分は,原告主張の背もたれ部の形状に限られるも
のではないから,背もたれ部の上記形状のみをとらえて,被控訴人意匠が本件登録
意匠の特徴的な部分を具備している,ということはできない。
控訴人の主張は採用することができない。
第5 結論
よって,控訴人の請求をいずれも棄却した原判決は正当であるから,本件控
訴をいずれも棄却することとし,当審における訴訟費用の負担につき民事訴訟法6
7条,61条を適用して,主文のとおり判決する。
東京高等裁判所第6民事部
裁判長裁判官     山   下   和   明
        裁判官     阿   部   正   幸
裁判官     高   瀬   順   久
(別紙)
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