弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件抗告を棄却する。
     抗告費用は抗告人の負担とする。
         事    実
 抗告人代表者は、原決定を取り消すとの裁判を求め、相手方代理人は、抗告棄却
の裁判を求めた。 一、 抗告人の抗告理由の要旨
 農地法第一三条によると、「対価の支払又は供託をしたときはその期日にその土
地の上にある先取特権、質権及び抵当権は消滅」するが、同法第一〇条第二項及び
省令規則第一二条によると、担保権者に対しては、「対価の供託の要否を申出るべ
き旨を通知しなければならない」ものである。ところが、a村農業委員会は、農地
法第一〇条第二項の通知をなさす、また、同法第一二条第二項によるその対価の供
託をしないでもよい旨の申出をなさないにもかかわらず、同法第一三条に反して、
抵当権が消滅したものとしてその抹消の登記をした。しかしながら、同法第一三条
は、明らかに抵当権者の権利を保全するため、買収対価についてはその権利の行使
をなし得る如くに規定したものであり、従つて、抵当権の消滅は抵当権者のために
対価を供託したことを前提とするもので、その対価の供託なくして、抵当権が消滅
するものではない。
 抗告人は原裁判所において、抵当権が消滅していない旨主張したが、原裁判所
は、抗告人が右事実を証明しなかつたので、不動産競売開始決定を取り消し、抗告
人の競売申立を却下する旨の決定をした。しかし、対価を供託して抵当権を消滅せ
しめた事実の証明は、むしろ農業委員会又は国においてなすべきで、その証明がな
いのに、抵当権の消滅があつたとして右決定をしたのは違法である。
 二、 相手方の答弁
 抗告理由中、a村農業委員会が抗告人に対し農地法第一〇条第二項による通知を
しなかつた事実は認めるが、同委員会が本件土地の買収を決議し、知事に進達した
のは、昭和三一年四月五日であつて、本件根抵当権設定登記がなされたのは昭和三
一年四月一〇日であるから、右進達当時、前記法条に基く通知をなすに由なく、ま
た、右進達後買収令書の交付までの間に、買収すべき土地について根抵当権設定登
記がなされても、その抵当権者に対しては前記法条に基く通知をする必要がないも
のである。
 三、 証拠関係
 相手方代理人は、乙第一号証、第二号証の一、第二号証の二の一、二、三、第二
号証の三乃至一二の各一、二、第三号証の一、二、三を提出した。
         理    由
 a村農業委員会が北海道知事に対して抗告人主張の買収書類を進達した際、抗告
人に対して、農地法第一<要旨第一>〇条第二項による通知をしなかつた事実は相手
方においてもこれを自認するところであるが、しかし、農業委員会が農
地法第一〇条第一項に定める買収書類の進達をした後、買収すべき土地につき抵当
権の設定登記がな<要旨第二>された場合には、その抵当権者に対して農地法第一〇
条第二項に定める通知をする必要はなく、また、その通知及び対価の供
託をしないでも、右抵当権は、国がその抵当権の目的物たる土地を買収したときに
消滅するものと解すべきである。ひるがえつて、本件記録をみるに、a村長業委員
会は、昭和三一年三月二九日、本件土地につき買収の進達を決議したうえ、同年四
月五日北海道知事に宛て、右買収に関する農地法第一〇条第一項に定める書類の進
達をしたものであつて、抗告人が本件土地につき根抵当権設定登記をしたのは右進
達後の昭和三一年四月一〇日であることが認められる。そうとすれば、a村農業委
員会が抗告人に対して農地法所定の通知及び対価の供託をしなかつたとしても、本
件根抵当権は、国がその目的物たる土地を買収したときに消滅したものであること
は前説示に照らして明かである。それゆえ、抗告人の主張はこれを採用することが
できない。
 よつて、民事訴訟法第四一四条、第三八四条、第九五条、第八九条を適用して主
文のとおり決定する。
 (裁判長裁判官 臼居直道 裁判官 安久津武人 裁判官 田中良二)

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