弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件各上告を棄却する。
         理    由
 弁護人小沢茂同森長英三郎の各上告趣意は何れも末尾添附別紙記載の通りであり
これに対する当裁判所の判断は次の如くである。
 弁護人小沢茂の上告趣意第一点及同森長英三郎の上告趣意第四点に付て。
 昭和二〇年勅令第五四二号が旧憲法下においても新憲法下においでも有効である
ことは既に当裁判所大法廷の判例とする処である。(昭和二二年(れ)第二七九号
事件判決)論旨はいずれも右と反対の見解を主張するもので採用し難い(尚弁護人
森長英三郎の上告趣意第五点に対する説示参照)
 弁護人小沢茂の上告趣意第二点に付て。
 原判決挙示の証拠全部を通覧熟読すれば、その間おのずから、被告人Aも営利の
目的を有したことが認められるのであつて、原判決に所論の様な違法あるものとす
ることは出来ない。
 弁護人森長英三郎の上告趣意第一点及び第二点に付て。
 県が本件物件を一一〇円で売つたからといつて、これを以て直ちに該物件の適正
価格が一一〇円であるとすることは出来ない。原審の挙示した証拠を参酌して見る
と、原審はその適正価格を高くとも九一円三一銭の九割下と見たものと推測するこ
とが出来る。此品物を一六〇円で売つた被告人等の行為を、不当高価売却と為した
原審の判断は正当である。運賃その他の諸がかりを差引くと、一〇円ぐらいの儲け
に過ぎないということは被告人等がそう主張するだけで、原審の認めて居ない処で
ある。従つてこれを前提とする論旨は理由がない。原審の拳示した証拠の示す処で
は運賃は軽少である。原審の認めない事実や、原審の採用して居ない証拠を根拠と
して原判決を攻撃するのは上告適法の理由とならない。
 同第三点に付て。
 適正価格が何程であるかわからなければ、被告人の為した売却が不当価格のもの
なりや否やを判断することが出来ないのは勿論だから、裁判所は適正価格が何程な
りやの審査をしなければならないことはいう迄もない。しかし判文に被告人の犯罪
行為を判示するに当つては必ずしも適正価格が何程であつたかを明示する必要はな
い。被告人の売つた価格がいくらであつたか、及びその価格が不当であつた旨を判
示すればそれで足りる、そしてその売却価格が実際不当のものでなければならない
ことは勿論だが、本件の場合、被告人等の売却価格が不当高価のものであつた事実
が、原審挙示の証拠でわかること前説示の通りであるから、原審の措置に所論の様
な違法ありとすることは出来ない。
 同第五点に付て。
 論旨にも書いてある様に司令部の指令には「帝国政府は………確固たる統制を設
定し及び維持すべき責任を負う」とあるので従来ある統制は其儘これを維持しなけ
ればならないという様なことは少しも書かれて居ない。(右指令に「維持する」と
いうのは前文を受けて制定した統制を維持するという意味であつて、従来存する統
制を其儘維持するということではない)。右指令が出てから物価統制令が制定され
る迄所論の様な日時を経たことは事実である。本統制令の如き法規を制定するには
其為種々面倒な調査をしなければならないことは、想像に難くないのであるし、其
他色々準備行為を要するから、其間所論の様な日時を要したとしても己むを得なか
つたといえるであろう、其為め緊急を要しない事項であつたのだということは出来
ない。司令部の前記の様な指令が出た以上、政府としては直ちに其実行に着手しな
ければならないのは勿論で、議会の開会を待つことが出来なかつたため、一応緊急
勅令の方法により、後に議会の承認を得たのだから手続において何等欠くる処はな
い、故に該勅令の無効を主張する論旨には左袒出来ない。(弁護人小沢茂の上告趣
意第一点に付ての説示に掲記した当裁判所大法廷判決参照)
 尚物価統制令が適憲有効であることは既に当裁判所大法廷の判例とする処である
から当小法廷において審理判決をした。
 よつて最高裁判所裁判事務処理規則第九条四項刑事訴訟法第四四六条に従ひ主文
の通り判決する。
 以上は当小法廷裁判官全員一致の意見である。
 検察官 宮本増蔵関与
  昭和二三年一二月二四日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    長 谷 川   太 一 郎
            裁判官    井   上       登
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介

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