弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

判決 平成14年2月22日  神戸地方裁判所 平成13年(わ)第1080号公
衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(昭和38年7月5
日兵庫県条例第66号)違反,暴行被告事件
主       文
被告人を懲役1年4月及び罰金5万円に処する。
未決勾留日数中60日をその懲役刑に算入する。
その罰金を完納することができないときは,金5000円を1日に換算し
た期間被告人を労役場に留置する。
 理       由
(罪となるべき事実)
被告人は,
第1 平成13年10月1日午後4時10分ころ,神戸市a区b町c丁目d番e号
fビル地下1階所在の輸入雑貨販売店で多数の顧客の出入りする株式会社A神戸店
内において,同店に客として来ていたB(当時17歳)に対し,その臀部を着衣の
上から手で2回触り,もって,公共の場所において,婦女に対して,不安を覚えさ
せるようなひわいな言動をし,
第2 同日午後4時20分ころ,上記株式会社A神戸店内において,上記Bから判
示第1の事実について警察に訴える旨告げられるや,同女に対し,やにわに怒声を
発しながら同女の左乳房を着衣の上から鷲掴みにし,さらに,同店前通路におい
て,警察へ連れて行こうとする同女の左顔面を右手拳で1回殴打し,同女の左大腿
部を1回足蹴にする暴行を加え
たものである。
(証拠の標目)
(省略)
(補足説明)
 弁護人は,被告人が,被害者B(以下「被害者」という。)の臀部を2回触れた
ことは事実であるが,被告人にはひわいな言動をする故意がなく,また被告人が被
害者に暴行を加えた事実はない旨主張する。
 しかしながら,関係各証拠によれば,以下に述べるとおり,判示の各事実は優に
これを認めることができる。
 まず,判示第1の事実について述べるに,被告人は被害者の臀部に2回にわたり
触れたけれども,それは被害者の背後を通り抜けるのに狭かったからよけてもらお
うとして触れたものであって,痴漢をするつもりではなかった旨供述するが,警察
官作成の実況見分調書(甲10)(その添付の見取図第2号及び写真1ないし3
等)によると,被害者が臀部を触られた場所の同店内通路の幅は約90センチメー
トルあって,被害者の背後には小柄な被告人が通過するのに十分な間隔があったこ
とが認められる上,仮に被害者の背後が通過するのに少々狭かったとしても,被告
人が体を横にし,あるいは被害者に声をかけるなどすれば,被害者の体に触ること
なく容易にその背後を通過し得たと考えられるのであるから,被告人が被害者の臀
部をしかも2回にわたり触る必要のなかったことは明らかであって,被告人が,被
害者の臀部を触った際に,痴漢の意図はなかった旨いうところは信用できず,結
局,被告人は必要もないのにわざと被害者の臀部を2回にわたり触ったものとみざ
るを得ないから,それが痴漢の意図によることは明らかというべきである。
 次に,判示第2の事実について述べるに,証人Bの当公判廷における供述(以下
「B証言」という。)は,被告人から,左乳房を着衣の上から鷲掴みにされ,左顔
面を右手拳で1回殴打され,左大腿部を1回足蹴にされた旨供述し,また,証人C
の当公判廷における供述(以下「C証言」という。)は,被告人が右手拳で被害者
の左頬辺りを1回殴り,右足で被害者の左膝の上辺りを1回蹴るのを目撃した旨供
述するところ,B証言とC証言の内容は相互によく符合しているだけでなく,警察
官作成の写真撮影報告書(甲2)及び捜査復命書(甲3)によって認められる,被
害者の口内の炎症や左足太股内側付け根付近の痣の状況など,客観的な事実によっ
ても裏付けられているから,B証言及びC証言が,被告人が被害者に上記のような
暴行を加えた旨いうところは,十分信用に値すると認められる。
 これに対し,被告人は,被害者の左乳房を鷲掴みにしたり,被害者を殴ったり,
蹴ったりしたことはなく,被害者が掴みかかってきたのを振り払おうとした際に手
が当たったに過ぎない旨供述するのであるが,被告人が被害者を振り払おうとした
手が当たって,被害者の口内に炎症を起こしたり,左足大腿部に痣をつくったりす
るとは考え難い上,被告人の一連の供述内容には不自然・不合理な点が少なくな
く,その供述態度は真摯さに欠けるものであるから,被告人の前記のような供述は
到底信用できるものではないといわざるを得ない。
 被告人が,被害者に対し判示のような暴行を加えたことは,間違いがないと認め
られる。
(累犯前科)
被告人は,(1)平成8年8月26日神戸地方裁判所尼崎支部で窃盗罪により懲役1
0月に処せられ,平成9年4月25日その刑の執行を受け終わり,(2)その後犯した
窃盗罪により,平成9年8月20日神戸簡易裁判所で懲役10月に処せられ,平成
10年5月9日その刑の執行を受け終わり,(3)さらにその後犯した常習累犯窃盗罪
により,平成10年12月17日神戸地方裁判所で懲役1年6月に処せられ,平成
12年6月5日その刑の執行を受け終わったものであって,これらの事実は検察事
務官作成の前科調書(乙13)並びに上記裁判の各判決書謄本(乙18,22)及
び調書判決謄本(乙21)によって認める。
(法令の適用)
 被告人の判示第1の所為は公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に
関する条例(昭和38年7月5日兵庫県条例第66号)10条1項,3条2項に,
判示第2の所為は刑法208条にそれぞれ該当するところ,各所定刑中判示第1の
罪については罰金刑を,判示第2の罪については懲役刑をそれぞれ選択し,被告人
には前記の各前科があるので同法59条,56条1項,57条により判示第2の罪
の刑に4犯の加重をし,以上は同法45条前段の併合罪であるから,同法48条1
項により判示第1の罪の罰金と判示第2の罪の懲役とを併科し,その刑期及び所定
金額の範囲内で,被告人を懲役1年4月及び罰金5万円に処し,同法21条を適用
して未決勾留日数中60日をその懲役刑に算入し,その罰金を完納することができ
ないときは,同法18条により金5000円を1日に換算した期間被告人を労役場
に留置し,訴訟費用については刑事訴訟法181条1項ただし書を適用して被告人
に負担させないこととする。
(量刑の理由)
 本件は,被告人が,輸入雑貨販売内店で被害者に痴漢行為をした上,被害者に暴
行を加えたという事案であるが,被告人は,女性客がほとんどである同店内におい
て,被害者の背後を通行する際の偶然を装ってその臀部を2回にわたり触った上,
警察に連れて行こうとする被害者に殴る蹴るなどの暴行を加えたものであって,痴
漢の態様は計画的なものであり,暴行の動機に酌量の余地はなく,その態様も悪質
であるのに加え,被告人は,不自然・不合理な弁解に終始するばかりか,被害者ら
を侮辱するような態度を取るなど,反省の情は全く認められないし,被害者に対し
て謝罪などの措置を何ら取っておらず,もちろん被害者の処罰感情には厳しいもの
があるほか,本件痴漢行為は決して単発的・偶発的なものではなかったことが窺わ
れるのであるから,
犯情はよくなく,被告人の刑事責任は重いというべきである。
 また,被告人には,判示の累犯前科を含め多数の前科があって,反社会的な性格
傾向が認められることも,量刑上看過するわけにはいかない。
 してみると,本件痴漢行為の程度は比較的低いものであること,本件暴行の程度
も高いものとはいえないことなどの,被告人のために酌むべき事情を考慮しても,
主文の刑はやむを得ないところである。
(検察官の科刑意見 懲役1年6月及び罰金5万円)
 よって,主文のとおり判決する。
平成14年2月22日
神戸地方裁判所第12刑事係甲
裁判官   森岡安廣・

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛