弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

主文
被告人を懲役2年6月に処する。
未決勾留日数中90日をその刑に算入する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は,実子であるA(当時3か月)が泣き止まないことなどに立腹し,平成1
5年8月10日午後6時前ころ,大分県大分郡a町大字bc番地d所在の駐車場に
駐車中の普通乗用自動車内において,同女に対し,その左右側頭部を手拳で各1回
殴打するなどの暴行を加え,よって,同女に硬膜下出血及びくも膜下出血の傷害を
負わせ,同月11日午前6時ころから同日午前9時ころの間に,大分県別府市ef
丁目g番h号Bビルi号の被告人方において,同女をして上記傷害に基づく中枢神
経機能障害により死亡させたものである。
(法令の適用)
罰      条  刑法205条
未決勾留日数算入  刑法21条
(量刑の理由)
1 本件は,被告人が,駐車中の自動車内で生後3か月の長女が泣き止まなかった
ことなどに立腹し,その左右側頭部を手拳で各1回殴打するなどした結果,同女を
硬膜下出血及びくも膜下出血に基づく中枢神経機能障害により死亡させたという傷
害致死の事案である。
2 被告人は,働きに出ている妻に負い目を感じながら,同女に代わって専ら育児
を担当し,慣れないことに負担を感じていた中で,かねてから不仲であった妻と実
母の関係が本件の1週間前ころから更に悪化した上,本件当日,苦手に感じていた
妻の両親に付き合わされたことなどからうっぷんがたまっていたところ,泣き止ま
ない被害児に立腹して本件犯行に及んだというのであるが,生後3か月の乳児が泣
くことが落ち度といえないことはもとより,被害児が泣き止まなかったのは,犯行
直前に被告人の不手際で被害児の頭部を車内のコンソールボックスにぶつけたとの
事情もあるのであって,本件の動機は,被告人の身勝手かつ理不尽なものであっ
て,酌量の余地に乏しい。また被害児の身体には,本件犯行以外による損傷も認め
られるところ,被告人
は,かわいさの余り被害児にかみついたり,その額等を指ではじく行為をしたこと
などが原因であるなどと供述するけれども,被害児が思い通りにならないといらい
らして扱いが乱暴になることもあった旨自認しており,育児に関する知識が不十分
なこともあって,客観的に見ると被害児に対する不適切な対応を重ねていたと推察
され,そうした中で更に飛躍して本件犯行に至ったという側面も否定できない。
被告人は,被害児の体をハンドルに押し当て,両手拳で左右側頭部を各1回殴打し
ており,その強さは,頭蓋骨が骨折するほどのものであった上,これに先立ち被害
児の腹部にも両手拳で各1回殴打するなど,その犯行態様は相当に危険かつ悪質で
ある。
被害児は,平成15年4月に未熟児で誕生し,その後発育は順調であったところ,
同年7月に退院して被告人ら家族と共に生活を始めてわずか約1か月後に,本来な
ら慈しみ庇護する立場にある実の父親からいわれのない暴行を受け,生後わずか3
か月余りでその生涯を終えることを余儀なくされたもので,生じた結果は重大であ
る。
  以上によれば,被告人の刑事責任は重いといわざるを得ない。
3 そうすると,被告人は,本件当時19歳の少年であり,社会的経験に乏しい被
告人にとって,育児が負担になっていただけでなく,嫁姑間の不安定な関係の板挟
みという困難な問題に直面していた経緯もあること,被告人は,一貫して本件犯行
を認め,被害児の冥福を祈りたい旨述べて反省の態度を示していること,これまで
前科前歴がないこと,いまだ20歳と若年であること,妻と実母が情状証人として
出廷し,妻は被告人の帰りを待つ旨述べ,実母は被告人とその妻を見守っていく旨
述べていることなど,被告人のために酌むべき事情も認められるが,これらの事情
を最大限に考慮しても,被告人の刑事責任の重大性にかんがみれば,本件は刑の執
行を猶予すべき事案とは認められず,主文のとおり刑の量定をした。
(求刑 懲役4年)
平成16年1月22日
大分地方裁判所刑事部
        裁判長裁判官   鈴   木   浩   美
           裁判官   瀧   岡   俊   文
           裁判官   駒   田   秀   和

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛