弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件控訴を棄却する。
     当審における訴訟費用は被告会社の負担とする。
         理    由
 本件控訴の趣意は、弁護人二宮喜治提出の控訴趣意書記載のとおりであるから、
ここにこれを引用する。
 右控訴趣意第一点(不法公訴受理または事実誤認)について
 しかし、原判示第四に照応する本件公訴事実第四と所論摘記の告発にかかる犯則
事実とを対照すると、前者は請負契約書の内容ならびに印紙税逋脱の態様につき後
者をより具体的かつ詳細に摘示しているにすぎないものであつて、両者の間に事実
の同一性を否定すべき理由はついにこれを見出し得ない。そして、原判決挙示の証
拠によれば、原判示第四の契約書は、同判示土木建築工事の下請する場合の労災保
険料の支払義務をも含めた請負に関しての諸条項を内容としており、被告会社は、
A株式会社との間で右契約書を共同作成しながらこれに法定の印紙を貼用しなかつ
たことすなわち原判示第四の事実を優に認めることができる。してみると、原判決
には所論のように告発のない公訴を受理した違法はなく、また請負に関する契約で
ないものを同契約書と誤認した違法も認められないので、論旨は理由がない。
 同第二点(法令の解釈適用の誤)について
 所論は、原判示第一および第二の各土地改良区はいわゆる公共団体であるから、
印紙税法第五条にいう公署に該当し、したがつて、被告会社と右各土地改良区との
間で共同して作成された原判示各請負に関する契約書のうち、各土地改良区の保存
すべき分についてはすでに被告会社において所定額の印紙を貼用している本件にあ
つては被告会社の保存すべき本件各契約書については印紙税法第五条の趣旨に則り
印紙税の納付を要しないものとすべきであるのにもかかわらず、原判決が被告会社
の保存する右契約書にまで原判示納税の義務を認めたのは、前記法条の解釈適用を
誤つた違法があるというのである。
 まず、職権で調査をするに、昭和三二年四月二〇日公布法律第六九号土地改良法
の一部を改正する法律附則8により印紙税法の一部が改正され、その第五条第五号
ノ七の次に第五号ノ七ノ二として「土地改良区ノ業務ニ関シテ発スル証書、帳簿」
の一号が加えられ、同法律は本件犯行後で且つ原判決宣告後である昭和三二年七月
一七日から施行(昭和三二年七月一七日政令第一九三号土地改良法の一部を改正す
る法律の施行期日を定める政令による)をみるに至つていることが明らかであり、
したがつて、現在では土地改良区はその業務に関して発する証書、帳簿については
印紙税を納めることを要しないこととなつたので、印紙税法第一一条との関係にお
いて、土地改良区がその業務に関してすでに発した証書を保存している者に対して
は犯罪後の法令により刑の廃止があつた場合にあたるものとして処理すべきではな
いかとの疑を挾む余地があるかの如く見えるが、しかし、印紙貼用(納税)義務者
が印紙を貼用すべき証書、帳簿に相当印紙を貼用しないときはこれを処罰する法規
範を定めた印紙税法第一一条の規定は、本件犯行時である昭和二九年四月二〇日お
よび同年一二月二五<要旨第一>日当時においては勿論、現在でもなお厳として存在
し、前記法律第六九号による印紙税法の一部改正は、ただ印紙税法第五
条の掲げる証書、帳簿のうちに土地改良区の業務に関して発するものを加え、した
がつて、土地改良区のかかる証書、帳簿については、昭和三二年七月一七日以後に
おいてはこれに印紙を貼用(納税)することを要しないことを明らかにしただけで
あつて、直接前記印紙税法第一一条を改廃するものでないことはもとよりこれによ
り同法条の規定する所為一般についての禁遏処罰の実質的理由と根拠とを失わせる
ものでもないから、右改正は、すでに成立した右法条違反の犯罪に対する刑の廃止
があつた場合にはあたらないと解するのを相当とする。
 そこで、進んで所論につき按ずるに、印紙税法第五条第一号にいう公署の意義範
囲については、同法上これを明らかにした規定がないので、税法の特質を念頭にお
きながら印紙税法の規定全体を検討し矛盾なく理解し得るよう且つ目的論的にこれ
を論結するほかはないのであるが、前段説示のとおり、同法第五条は、免税を受け
る者として第一号に公署を挙げたうえ、第五号ノ七ノ二として新たに土地改良区を
これに加え、また、その第六号ノ四および五においてそれぞれ日本国有鉄道、日本
専売公社を挙げておるのであつて、右土地改良区が所論の如く幾多の公権力を認め
られ国家的色彩を顕著に示すもので行政法上公共組合の範疇に属するものであり、
又日本国有鉄道、日本専売公社がひとしく営造物法人として公共団体に属するもの
であることも疑ないところであるのにもかかわらず、公署のほかにこれらをとくに
挙げている点その他印紙税法の規定全体の構成ならびに前示改正の経過につき考察
すると、公共団体のうち公共組合ならびに営造物法人は総じて地方公共団体と異な
りその目的や付与された公権力その他の公法的特色すなわち国家的色彩が多種多様
で、その中にはその公法上の性格につき疑を生じ異論を産む虞あるものもあり、こ
れらを包括した公共団体全部を「公署」中に包<要旨第二>含せしめることは明確を
尚ぶ税法の要請に適合しないところから、前記国家的色彩の極めて顕著でその公共
体性に異論を生ずる虞のない都道府県、市町村および特別市等地方自
治法第一条の二に記載された地方公共団体だけを印紙税法第五条にいう公署に包含
せしめ、公共団体中爾余の公共組合、営造物法人はこれを除外し、これらについて
は、同法条の第三号以下に別に列挙してこれを規定することとした立法の趣旨を窺
知するに十分であるから、土地改良区は、前記改正以後においては勿論その以前に
おいても右法条にいう公署にあたらないとする法意と論結せざるを得ない。され
ば、同法条の公署を広義に解して土地改良区もこれに包含されるとの見解に立つて
展開された所論は前提に誤があり、爾余の点につき判断をまつまでもなく採用に値
しない。原判決には所論のような法令の解釈適用の誤はなく論旨は理由がない。
 同第三点(量刑不当)について
 所論は、原判示第一および第二の被告会社の各所為につき、法定刑としての最高
の罰金額を料した原判決は、何等情状を酌まないものとして不当であるというので
あるが、しかし、印紙税法第一一条第二項に照すと、本件各所為は、情伏によつて
は、同条第一項所定の罰金額を超えた五〇、〇〇〇円の範囲内で処罰することもで
きるのであり、これに本件記録にあらわれた諸般の事情を総合すると、所論を考慮
に容れても、原判決の刑の量定は、所論のように、何等情状を酌まない不当に重い
ものとは認められないので、この点の論旨も理由がない。
 よつて、刑事訴訟法第三九六条により本件控訴を棄却すべきものとし、同法第一
八一条第一項本文に従い当審における訴訟費用は被告会社の負担とし、主文のとお
り判決する。
 (裁判長裁判官 豊川博雅 裁判官 羽生田利朝 裁判官 中村義正)

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