弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決中上告人敗訴部分を破棄する。
     前項の部分につき被上告人の控訴を棄却する。
     原審及び審における訴訟費用は被上告人の負担とする。
         理    由
 一 上告代理人宮内勉、同清水賀一の上告理由第一点について
 1 原審が確定したところによれば、(1) Dは、昭和二二年三月二五日上告人
から同人所有の本件従前地を賃借し、同地上に移築前の本件建物を建築した、(2)
 Eは、昭和二四年一月Dから本件建物のうちの第一審判決添付第三物件目録記載
(三)符号Gの部分(以下「G部分」という。)を貸借して酒場を経営し、昭和二九
年五月二〇日被上告人との間で被上告人の製品である清酒「F」を専属的に販売す
る契約を締結した、(3) 被上告人は、昭和三〇年ころ右契約に基づき、G部分の
屋上に「F」と表示されたネオン看板を取り付け、Eに対し、設置場所代、電気料
及び看板管理費用として年額三〇万円(昭和三八年六月一日以降は月額五万円に変
更され、更に、昭和五〇年一〇月ころ以降は月額七万円に増額された。)を支払つ
た、(4) 神戸市長は、昭和三八年九月三〇日神戸国際港都建設事業a地区復興土
地区画整理事業に基づく土地区画整理の施行に伴い、第一審判決添付第二物件目録
記載(二)の土地を本件従前地の仮換地とする仮換地指定を行なつた、(5) 被上告
人は、昭和四九年四月ころ第一審判決添付第一物件目録記載のネオン看板及び行灯
看板(以下「本件広告用工作物」という。)をG部分の北側の壁面にはめこみ式に
密着して取り付けたが、その取付方法は本件広告用工作物を建物本体の柱にボルト
等で接合したうえ接合部分を壁面の一部としてモルタル吹付を施したものであるた
め、壁面及び本件広告用工作物の一部を毀損しなければこれを分離することができ
ない、(6) 上告人は、Dの地代不払に基づく借地契約の解除を理由として、同人
に対して本件建物の収去及びその敷地の明渡を、また、Eに対してG部分の退去及
びその敷地の明渡を求める訴訟を提起し(神戸地方裁判所昭和四一年(ワ)第一一
六一号建物収去士地明渡請求事件。なお、Dは昭和四八年に死亡し、G、H、I及
びJが右訴訟を承継した。)、右事件につき、昭和五一年一二月一四日上告人の請
求を認容する判決が確定した、というのであり、右事実関係は原判決挙示の証拠関
係に照らしてこれを是認することができる。
 2 被上告人の本訴請求は、前記建物収去土地明渡請求事件の判決の執行力ある
正本に基づいてされたG部分の敷地の明渡の強制執行につき、被上告人が本件広告
用工作物を所有すること及び本件広告用工作物が民訴法(昭和五四年法律第四号に
よる改正前のもの、以下「旧民訴法」という。)七三一条三項所定の「強制執行ノ
目的物二非サル動産」にあたらないこと並びに被上告人がG部分を占有しているこ
とを理由として、本件広告用工作物及びG部分の強制執行の排除を求めるものであ
る。
 3 原審は、本件広告用工作物に関する右請求につき、本件広告用工作物は旧民
訴法七三一条三項所定の強制執行の目的物にあらざる動産にはあたらないからこれ
を取り除いて債務者等に引渡すべきものとはいえない、との理由によりこれを認容
すべきものとし、右請求を理由がないとして棄却した第一審判決を取り消したうえ、
右請求を認容している。
  しかしながら、旧民訴法七三一条三項は、不動産の引渡ないし明渡の強制執行
にあたつて、その目的不動産上に存する動産に対する執行の方法を定めたものにす
ぎないから、目的不動産上に存する動産について利害関係を有していても、強制執
行の目的物である不動産について所有権その他その譲渡若しくは引渡を妨げる権利
を主張することができない者は、当該不動産の引渡ないし明渡の強制執行に対して
第三者異議の訴えを提起してその執行を排除することはできないものというべきで
ある。したがつて、本件広告用工作物が右規定の「強制執行ノ目的物二非サル動産」
はあたらないとの理由により被上告人の本件広告用工作物に関する第三者異議の訴
えを認容した原判決は、旧民訴法五四九条一項の解釈適用を誤つたものといわなけ
ればならず、その違法は原判決の結論に影響を及ぼすことが明らかである。これと
同旨に帰する論旨は理由があり、原判決は破棄を免れない。そして、原審の確定し
た事実関係によれば、被上告人の本件広告用工作物に関する主張は理由がないから、
被上告人の本件広告用工作物に関する請求を棄却した第一審判決は正当であつて、
これに対する被上告人の控訴は理由がないものとして、これを棄却すべきである。
 二 職権をもつて調査するのに、原審は、前記事実関係のもとにおいて、被上告
人は自己の商品の広告をするため本件広告用工作物を所有することによつて社会通
念上G部分のうち本件広告用工作物が付着している建物部分(壁、支柱を含む。)
につき事実上の支配をしているとの理由により、G部分に関する本訴請求のうち、
右建物部分についてこれを認容すべきものとし、G部分に関する本訴請求を全部排
斥した第一審判決を一部取り消し、右建物部分についての請求を認容し、その余の
部分を棄却している。
  しかしながら、不動産の非独立的な構成部分について占有があるというために
は、その部分が特定しているだけでなく、その部分につき客観的外部的な事実支配
があることを要するものと解すべきところ、本件において原審が確定した前記事実
関係のもとにおいては、被上告人が本件広告用工作物を所有することによつてG部
分の当該壁面について客観的外部的な事実支配があるものとは認められないという
べきである。したがつて、被上告人は社会通念上G部分のうち本件広告用工作物が
付着する建物部分(壁、支柱を含む。)につき事実上の支配をしているとした原判
決には、民法一八〇条の解釈適用を誤つた違法があるといわなければならず、その
違法は原判決の結論に影響を及ぼすことが明らかであるから、原判決中G部分に関
する本訴請求のうち右建物部分に係る部分は破棄を免れない。そして、原審の確定
した前記事実関係によれば、被上告人が右建物部分について占有権を有しているも
のとは認められないから、被上告人の右建物部分に関する請求を棄却した第一審判
決は正当であつて、これに対する被上告人の控訴は理由がないものとして、これを
棄却すべきである。
 よつて、民訴法四〇八条、三九六条、三八四条、九六条、八九条に従い、裁判官
全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    牧       圭   次
            裁判官    木   下   忠   良
            裁判官    鹽   野   宜   慶
            裁判官    宮   崎   梧   一
            裁判官    大   橋       進

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