弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人滝川三郎の上告理由第一点について。
 所論は、遅くも昭和二八年一一月二一日頃本件土地賃借権の譲渡につき賃貸人で
ある上告人の承諾の意思表示があつた旨竝にこれに関連する事実の原判決の認定を
非難して、その過程にいかにも所論違法があるかのように主張するけれども、実質
は原判決が挙示の証拠関係に照らして適法にした事実認定を攻撃するに帰し、原判
決には所論違法は認められないから、論旨は採用できない。
 同第二点について。
 所論は、民法六一二条の解釈の誤りをいう。しかし、原判示のような事情の下に
おいては、他に別段の事情の認められない限り、被上告人B1が本件土地賃貸人で
ある上告人の承諾を得ないで、その賃借権の一部持分をB1の親権に服する被上告
人B2同B3らに譲渡したとしても、これをもつて賃貸人に対する背信的行為があ
るものとし又は民法六一二条に反するものとはいえないと認めるのが相当であると
した原審の判断は、首肯できる。これと異なる所論は独自の見解であつて採るを得
ない。
 また、被上告人B1の同B2、同B3に対する親権終了後における事情の変化に
ついて原判決が一顧も与えなかつたことの違法をいう点は、原審において主張なく、
従つて判断を経ない事実を以つて原判決を非難するものであつて、適法な上告理由
に当らない。その余の主張は、ひつきよう原審の専権に属する証拠の取捨判断、事
実認定を非難するか又は原審の認定に副わない事実に基づいて原判決の違法をいう
ものであつて、論旨はいずれも採用できない。
 同第三点について。
 原判決が、所論診察室の建物は被上告人B1が訴外Dから買受けた建物の建増に
すぎず実質上これと一体をなすものであることが認められるとし、且つ右建物の敷
地である土地についてB1等が賃借権を有するものであることが認定できるから、
これらの事情からみると、右建物の診察室の部分が被上告人B4(B1の夫)の所
有名義となつており、右明において居住使用しているからといつて、それは土地賃
借権の譲渡又は転貸でないのはもちろん、これを賃借地の用法に反し又は賃貸人に
対する背信的行為に当るものとして土地賃貸借契約を解除する理由となるものとは
認められない旨認定判断した点は、是認できる。これに反する所論は独自の見解で
あつて、採用できない。
 また、甲二〇号証(別件答弁書)甲一二号証(別件判決正本)中に所論趣旨の主
張の記載されていることは所論のとおりであるけれども、原判決は、右診察室の部
分に関する事実認定は挙示の証拠の他にこれを左右するに足りる証拠のないことを
判示しており、右甲二〇号証、同一二号証を以つてしても右認定を動かし得ないこ
とを説示していると解せられ、その証拠取捨の判断は肯認するに足りるので、判断
遺脱又は実験則違反をいう所論は、採用できない。
 同第四点について、
 所論は、原判決の信義則無視の違法あるいは理由不備の違法をいうが、判示の如
き事情の下においては、他に別段の事情の認められない限り、被上告人B1が本件
土地賃貸人である上告人の承諾をえないで右建物敷地の借地権を訴外Eに譲渡する
契約をしたことがあつたとしても、これを以つて賃貸人に対する背信的行為がある
ものとし又は民法六一二条の法意に反するものとはいえないと認めるのが相当であ
り、従つて、これが本件土地賃貸借契約解除の理由となるものとは認められないと
した原審の判断は、首肯できるものであり、原判決に所論民法六一二条の法意誤解
はなく、所論は独自の見解であつて、採用できない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    長   部   謹   吾
            裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    下 飯 坂   潤   夫
            裁判官    斎   藤   朔   郎

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛