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裁判例


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       主   文
1 原告らの請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用及び参加に要した費用は,いずれも被告ら及び参加人の負担とする。
       事実及び理由
第1 請求
1 被告A,同B,同C,同D及び同Eは,各自,名古屋市に対し,4566万円
及びこれに対する,被告Aについては平成14年6月16日から,被告B,同C,
同D及び同Eについては同月18日から,それぞれ支払済みまで年5分の割合によ
る金員を支払え。
2 被告Fは,名古屋市に対し,73万5000円及びこれに対する平成14年6
月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3 被告Gは,名古屋市に対し,81万円及びこれに対する平成14年6月16日
から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要
 本件は,名古屋市の住民である原告らが,名古屋市に代位して,「名古屋市議会
の議員の報酬及び費用弁償等に関する条例(平成14年名古屋市条例第46号及び
同59号による改正前の昭和31年条例第32号。以下「本件条例」という。丙
4,20の2)5条3項に基づき,市会議員に対してなした費用弁償の支給が違法
であるとして,支出負担行為及び支出命令をなし,若しくは,支出を防止する措置
を執らず,又はその支給を受けた被告らに対し,平成14年法律第4号による改正
前の地方自治法(以下「法」という。)242条の2第1項4号に基づき,損害賠
償若しくは不当利得返還を求めた住民訴訟である。
1 当事者間に争いのない事実等
(1) 当事者
ア 原告らは,名古屋市の住民である。
イ 被告ら7名は,平成13年6月から11月までの間,次のとおりの役職に就い
て,その職務を行っていた。
 被告A   名古屋市長
 被告B   名古屋市収入役
 被告C   市会事務局長
 被告D   市会事務局総務課長
 被告E   収入役室審査課長
 被告F   名古屋市会議長
 被告G   名古屋市会副議長
(2) 費用弁償の支給
 名古屋市は,本件条例5条3項に基づき,市会議員が本会議及び委員会に出席し
た場合,議会費から日額1万5000円の費用弁償を行ってきたところ,平成13
年6月から11月までの間,別紙費用弁償一覧表記載のとおり,78名の市会議員
に対し,総額4566万円を支給した(以下「本件費用弁償」という。)。
(3) 費用弁償支給の手続
 費用弁償支給の手続は,①支出決定を経た後,②収入役に対する支出命令を発令
し,③収入役がこの支出命令を審査の上適法と認めた場合に支出のための現金の出
納を行うものであるところ,名古屋市においては,これらの手続は,助役以下代決
規程(平成12年名古屋市達第40号。以下「代決規程」という。丙1),市会事
務局事務局長以下代決規程(平成12年名古屋市会達第3号。以下「市会代決規
程」という。丙2)及び収入役室副収入役以下代決規程(昭和41年収入役達第1
号。以下「収入役室代決規程」という。丙3)により,次のように所管の市会事務
局及び収入役室の職員が代決することとされている。
 議会費の支出決定  市会事務局長(市会代決規程3条2項,代決規程10条1
項,2項,代決規程別表第1(財務関係)局長の欄30号)
 議会費の支出命令  市会事務局総務課長(市会代決規程6条2項,代決規程1
0条2項,3項,代決規程別表第1(財務関係)課長の欄49号)
 支出命令の審査   収入役室審査課長(収入役室代決規程4条2号)
(4) 本件条例の抜粋
(報酬)
1条 市議会議員には,次の各号に掲げる区分により報酬を支給する。
(1) 議長     月額     125万円
(2) 副議長    月額     110万円
(3) 議員     月額     101万円
(費用弁償)
5条 議長,副議長及び議員が公務のため旅行したときは,その旅行について,費
用弁償として旅費を支給する。
 2 前項の旅費は,名古屋市旅費条例(昭和25年名古屋市条例第32号)中,
特別職員に支給する額により同条例を準用して支給する。
 3 前項に定めるものの外,議長,副議長及び議員が職務を行うについて費用を
必要とするときは,その費用を弁償するものとし,その額は,予算の範囲内で市長
が定める。
(委任規定)
7条 この条例に定めるものの外,この条例の施行について必要な事項は,市長が
定める。
(5) 名古屋市議会議員費用弁償支給規程(以下「本件支給規程」という。丙
5)
(趣旨)
1条 この規程は,名古屋市議会の議員の報酬及び費用弁償等に関する条例(略)
第5条第3項の規定に基づき,議長,副議長及び議員が職務を行なうについて費用
を必要とするときの費用弁償の額及び支給方法を定めるものとする。
(費用弁償の額)
2条 前条に規定する費用弁償の額は,日額15,000円とする。
(支給方法)
3条 費用弁償は,前月の16日からその月の15日までに支給事由が生じた分を
その月の28日(その月が12月である場合には,21日。以下「支給日」とい
う。)に支給する。ただし,支給日が土曜日,日曜日又は国民の祝日に関する法律
(昭和23年法律第178号)に規定する休日(以下「日曜日等」という。)であ
るときは,その日の直前の日曜日等でない日(12月21日が日曜日である場合に
は,12月22日)に支給する。
(その他)
4条 この規程に定めるもののほか必要な事項は,市長が定める。
(6) 名古屋市議会は,平成14年4月,本件条例の一部を改正した(以下,平
成14年条例第46号による改正後の「名古屋市議会の議員の報酬及び費用弁償等
に関する条例」を「4月改正後条例」という。)。改正後の5条3項は,次のとお
りである(丙13,14)。
 「前項に定めるものの外,議長,副議長及び議員が職務を行うについて費用を必
要とするときは,費用弁償として日額15,000円を支給する。」
(7) 住民監査請求
 原告らは,平成14年3月18日,本件費用弁償について,名古屋市監査委員に
対し必要な措置を講ずべきことを請求した。
 これに対して,名古屋市監査委員は,同年5月10日,本件費用弁償の支出は違
法・不当な公金の支出には当たらないと判断し,原告らに対し,その結果を書面に
より通知した。
(8) 本訴提起
 原告らは,平成14年6月7日,本件費用弁償に係る支出は違法であるとして,
被告らに対し,本訴を提起した。
(9) 10月改正後条例
 名古屋市長は,平成14年9月20日,「名古屋市議会の議員の報酬及び費用弁
償等に関する条例の一部を改正する条例」案を名古屋市議会に提出し,同市議会
は,同年10月9日,同条例案を議決した(平成14年名古屋市条例第59号。以
下これによる改正後の「名古屋市議会の議員の報酬及び費用弁償等に関する条例」
を「10月改正後条例」という。)。その内容は,次のとおりであり,同条例は同
年10月9日に公布され,かつ,即日施行された(丙25,31)。
「第5条第3項中「外」を「ほか」に,「職務を行うについて費用を必要とする」
を「招集に応じて議会の会議に出席したとき又は委員会等(名古屋市会委員会条例
(昭和24年名古屋市条例第5号)第4条から第7条まで及び第18条に規定する
ものに限る。)に出席した」に改める。附則(以下「本件附則」という。)
1 この条例は,公布の日から施行し,この条例による改正後の名古屋市議会の議
員の報酬及び費用弁償等に関する条例(以下「改正後条例」という。)第5条第3
項の規定は,平成13年4月1日から適用する。
2 この条例による改正前の名古屋市議会の議員の報酬及び費用弁償等に関する条
例第5条第3項の規定に基づいて平成13年4月1日からこの条例の施行の日の前
日までの間に支給した費用弁償は,改正後条例第5条第3項の規定により支給した
費用弁償とみなす。」
2 争点
(1) 本件費用弁償の違法性の有無
ア 本件条例5条3項は法203条5項に反する無効なものか。
イ 本件費用弁償の後の10月改正後条例によって違法性が治癒するか。
ウ 本件費用弁償は,議員報酬,政務調査費又は公用車支給との二重払に当たるな
ど,実質的に法203条3項の「職務を行うため要する費用」を超える違法なもの
か。
(2) 被告らの責任の有無
3 当事者の主張の要旨
(1) 本件費用弁償の違法性の有無
ア 本件条例5条3項は法203条5項に反する無効なものか。
(原告ら)
 法203条5項は,地方公共団体の議会の議員などについて,「報酬,費用弁償
及び期末手当の額並びにその支給方法は,条例でこれを定めなければならない。」
と規定している。この規定は,議員が職務を行うについて費用を必要とする時のそ
の額は,議会が自主的・自律的にこれを定め,執行部による介入を許さない趣旨で
あると解される。ところが,本件条例5条3項は,「前項に定めるものの外,議
長,副議長及び議員が職務を行うについて費用を必要とするときは,その費用を弁
償するものとし,その額は,予算の範囲内で市長が定める。」としているが,予算
の範囲内で定められるのは当然のことであって,このような限定は何ら意味を有し
ないから,本件条例は,費用弁償の額の決定を市長に白紙委任するものであって,
法203条5項に違反し,無効である。
 また,同条5項は,支給方法も条例で定めなければならないとしているが,本件
条例は,「議長,副議長及び議員が職務を行うについて費用を必要とするときは」
と定めているにすぎず,この表現は,同条3項の「第1項の者は,職務を行うため
要する費用の弁償を受けることができる。」と全く同じであり,支給方法を定めた
ものといえないから,この意味からも,本件条例は同条5項に違反し,無効であ
る。
(被告ら及び参加人)
(ア) 法203条5項の「条例」は,条例に限定する趣旨ではなく,条例とその
委任を受けた規程を含むと解すべきである。すなわち,議員の費用弁償について規
定する法203条5項が制定される以前の市制(明治21年4月制定)75条1
項,2項,その後,明治44年に改正された市制104条1項,3項,さらに,昭
和4年4月に改正された市制104条3項は,いずれも,議員の費用弁償額を市会
の議決ないしは条例で定める趣旨の規定を設けていたが,当時の内務省は,市制1
04条3項と同様の規定である町村制84条に関して,条例をもって規定する際,
法令上何らの制限もないものであって,固定的に規定しても概括的に規定してもよ
く,後者の場合には,予算の範囲内において町村長が適宜定めれば足りると回答し
ており(昭和4年9月内務省決定。以下「町村制84条についての内務省決定」と
いう。丙27),また,市町村事務必携に記載されている標準条例(以下「標準条
例」という。丙29)でも,具体的金額及びその支給方法を定める必要はないと解
されていた。そして,昭和22年制定当初の法203条3項(現5項)は,市制1
04条3項の規定が踏襲されたものであるが,同法案の審議において,政府委員
は,大体従来と同様である旨発言しており,昭和31年改正による現行法において
も,上記内務省決定が解説書に引用されており,現に当時の5大都市のいずれの条
例も支給金額を定めていなかったことなどからすると,現行の203条5項の解釈
としても,費用弁償の具体的な金額及び支給方法を,条例という法形式で規定する
ことまでは要求していないというべきである。
(イ) 仮に,法203条5項が議会の自律を尊重する趣旨であるとしても,本件
条例5条3項は,費用弁償の額は「予算の範囲内で市長が定める」と規定している
ところ,これは,市長に何らの限定もなく随時任意に支給する権限を与えたもので
はなく,毎年あらかじめ予算案として議会の議決を経ることを予定し,その予算の
範囲内という合理的なコントロールの下で,具体的な金額を規程で定めることを自
らの意思によって委任することとしたのである。したがって,本件条例は,議会の
自律やコントロールの趣旨に反しないから,違法とはいえない実際に,費用弁償に
ついては,額,支給期日等を明確に規定した本件支給規程があること,昭和39年
以来,本件支給規程を前提とした議会による合理的なコントロールの下,定額方式
で支給がなされてきていること,日額を増額する際にも,名古屋市長は,予算の増
額について議決を経たことを確認した後,支給規程を改正の上,増額した費用弁償
を支給していることからすれば,違法とはいえない。
イ 本件費用弁償の後の10月改正後条例によって違法性が治癒するか。
(被告ら及び参加人)
4月改正後条例は,費用弁償の額を日額1万5000円と明記していたところ,1
0月改正後条例は,費用弁償の額についてはこれを受け継ぐとともに,支給事由を
具体的に定めた(5条3項)上,これを平成13年4月1日に遡って適用し,同日
以降の本件条例により支給された費用弁償は,10月改正後条例5条3項の規定に
より支給した費用弁償とみなすことが定められた(本件附則1項,2項)。したが
って,仮に,本件条例が法203条5項に反する無効なものであったとしても,1
0月改正後条例の施行により,本件費用弁償はその支給の根拠が追完されることに
より,違法性が治癒された。
(原告ら)
 被告ら及び参加人の主張は争う。
 処分当時には瑕疵を有する行政行為が,その後の事情の変化により欠けていた適
法要件を具備するに至ったときとか,その瑕疵が軽微なものに変じたときに,当該
行政行為を適法有効なものとして扱うことが許容される場合があるが,それは法治
主義の例外をなすから,無制限に許されるわけではなく,厳格な実質的利益衡量を
経た上で判断されるべきである。
 しかるところ,条例決定主義に反する給付が一般職員に対するものである場合
は,これとは別の独立した第三者機関である議会が条例を改正することによって,
お手盛りを防止することができ,納税者である住民の一般的利益を保障することに
なる。
 これに対し,本件は,違法な費用弁償を受けた議員で構成される議会自らが,過
去に遡及して適用される条例を制定し,これを適法化しようとしたものであるか
ら,瑕疵の治癒を認めれば,前記お手盛り防止の趣旨が実現されず,住民の利益は
完全に失われる結果となる。したがって,事後の条例制定によっては,瑕疵は治癒
されないと解すべきである。
ウ 本件費用弁償は,議員報酬,政務調査費又は公用車支給との二重払に当たるな
ど,実質的に法203条3項の「職務を行うため要する費用」を超える違法なもの
か。
(原告ら)
(ア) 名古屋市会議員は,議長が月額125万円,副議長が月額110万円,議
員が月額101万円の各報酬を支給されているところ,市会議員は非常勤であり,
議会の本会議や委員会は基本的に3か月に1会期の頻度でしか開かれない。議員
が,これら本会議や委員会に出席するのは議員の基本的な義務であって,本会議や
委員会の出席に要する費用を費用弁償として別途支給するのは不当である。高額な
報酬を支給される市会議員については,その議員報酬は,本会議や委員会への出席
に要する実費を含むと解するのが相当である。
(イ) 名古屋市会議員については,報酬とは別に政務調査費として月額55万円
が各議員の所属する会派に支払われる。政務調査費の支給対象は各会派ではある
が,その支給額の算定は1議員当たり月額55万円で計算される。1人会派を作っ
て届け出れば議員個人に月額55万円の政務調査費が支給されることからしても,
政務調査費は議員個人の議員活動に要する調査研究費の性格を有すると評価でき
る。
 名古屋市は,従前,日額1万5000円の算出根拠として,「1万5000円
が,議員の交通費,通信費,資料収集・作成費,調査費,文房具費などの試算に基
づく標準的な費用である。」旨説明してきたが,議員に政務調査費として月額55
万円が支給されている実態を踏まえるならば,議員に対し,さらに費用弁償という
名目で日額1万5000円も支給することは資料収集・作成費,調査費の二重取り
と見るのが相当である。
(ウ) 費用弁償の額が日額1万5000円となったのは平成3年以降であるが,
新聞報道によると,その算出根拠は,「片道10キロメートルのタクシー往復料金
を7000円から8000円とした上で,資料収集・作成費や通信費,筆記用具代
などを積算して決定」したとされている。これによると,日額1万5000円のう
ち約半額が交通費の費用弁償と観念されている。ところが,市会の正副議長には,
専用の公用車(センチュリー)があてがわれ,正副議長は,本会議や委員会にも送
り迎えしてもらう。したがって,少なくとも,正副議長に交通費を含んだ費用弁償
を支給するのは無用な二重払である。
(エ) 名古屋市は,個々の議員の実費を把握せず,標準的な額として日額1万5
000円を支払っている。しかし,たった78名の市会議員の職務に要した実費を
把握する程度のことは取り立てて煩雑なこととはいえない。名古屋市は何万人とい
う多数の一般職員については費用の実費精算をしている。さらに,市会議員の市役
所への登庁の実態は,マイカーによるものが約8割であり,名古屋市は78名の市
議のうち74名に駐車許可証を発行し,市議会の会期中は専用の臨時駐車場を市役
所庁舎内に設けて対応している。また,本件費用弁償の当時,78名中50名の市
会議員が,地下鉄市バスの無料の特別乗車券の交付を受けていたし,仮にタクシー
を利用したとしても,その片道料金の平均は2234円にすぎない。これらのこと
を考えるならば,市議の費用弁償の額として日額1万5000円と算出し,支出し
たことは,著しく実態に反し,事務処理に当たって最少の経費で最大の効果を上げ
るべきことを定めた地方自治法2条14項や,地方公共団体の経費はその目的を達
成するための必要かつ最少の限度を超えてこれを支出してはならない旨を定めた地
方財政法4条1項に違反した違法かつ無効なものである。
(被告ら及び参加人)
原告らの主張は争う。
(ア) 議員報酬が法203条1項に基づくものであるのに対し,費用弁償は法2
03条3項に基づくものであるところ,報酬は役務の対価であって,その性質上費
用を含まない。したがって,議員報酬に費用が含まれないことは明らかである。な
お,原告らは,議員報酬が高額であるとも主張するが,高額であるか否かというこ
とと,報酬の中に費用弁償を含むか否かということは全く無関係である上,日額1
万5000円は,制定当初の昭和39年当時の物価,旅費支給額,報酬額と比較し
て,あるいは同規模の政令指定都市における支給額と比較して,不相当に高額とは
いえない。
(イ) 政務調査費は,報酬及び費用弁償とは別の制度として,法100条12項
に規定されており,これらとは別に政務調査費を支給できることは明らかである。
また,政務調査費は,市政に関する調査研究に資するために必要な経費の一部とし
て,会派に対して交付されるものであり(名古屋市会政務調査費の交付に関する条
例1条),議員個人に対する費用弁償とは目的が異なる。
(ウ) 名古屋市では,実額方式を採る場合の手続の煩わしさ,経費の増大という
短所を考慮して,議員の登庁手段・方法にかかわらず,一律に1日当たり1万50
00円を支給する定額方式を採用しているから,どのような交通手段を取るかは議
員の判断に委ねられ,支給金額には影響を及ぼさない。例えば,定額方式において
は,何らかの事情で公用車を利用することなく,議会や委員会に出席し,かつ同日
中に公務のために何箇所も市内を旅行した日であっても,同額しか支給されず,他
方,徒歩で登庁できる議員に対しても同額が支給されるが,費用弁償を行う市にと
っても,支給に伴う事務手続が簡便になる分だけ経費を節減できることになるの
で,全体としてみれば,必ずしも費用弁償の建前を損なうとはいえない。さらに,
正副議長は,本会議及び委員会への出席のほかに,その職責を果たすために登庁し
たり,議会運営について打ち合わせるために登庁したり,議会を代表して市内の行
事や式典に出席することが頻繁にあるが,これらの出席や登庁に際しては,費用弁
償はなされていない。これらを考慮すれば,正副議長に対して,公用車を利用でき
るにもかかわらず,費用弁償を支給しても,違法とはいえない。
(エ) 仮に,市会議員のうちの何人かがマイカーで登庁することがあったとして
も,名古屋市においては,定額方式を採用しており,その趣旨からすれば,そのよ
うな個別事情を考慮しなくとも,合理性を欠くものではない。自家用車を利用した
場合には,相当の費用は必要であって,まさにこのような場合こそ,実費の算定が
困難である。また,地下鉄バス特別乗車券は,現在50人の議員に交付されている
が,本会議や委員会への出席の便に供するために発行されるものではなく,広く利
用者の意見を反映させるために,事業上必要であると認める者を対象として発行し
ているものであって,一部議員に対して,地下鉄市バスの特別乗車券が発行されて
いるからといって,費用弁償を支給することが違法であるとはいえない。
(2) 被告らの責任
(原告ら)
ア 被告Aについて
 被告Aは,本件費用弁償当時,名古屋市長在任2期目であり,市長就任後の平成
10年10月,市政調査会の審議員たる市会議員に対する日額1万5000円の費
用弁償の違法性が争われた訴訟において,名古屋地裁が,前市長Hらに対し賠償を
命ずる判決を言い渡したことを認識している。したがって,被告Aは,本会議や委
員会出席に伴う費用弁償の運用状況を知悉しており,費用弁償の額や支給方法が条
例に定められていないこと,政務調査費の支給,正副議長への公用車の支給,多数
の議員への地下鉄市バスの特別乗車券の配布等の事実も知悉していたはずである。
 ところが,本件費用弁償に関する支出負担行為及び支出命令の本来的権限者たる
被告Aは,指揮監督上の権限を行使し違法な費用弁償の支給を阻止することが可能
であったにもかかわらず,故意又は過失により,適切な指揮監督行為を怠り,支出
負担行為及び支出命令を防止する措置を取らなかった。
イ 被告Bについて
 被告Bは,収入役として,会計事務全般に及ぶ職務を担当し,支出負担行為に関
する確認や決算の調製を行う権限などを有する(法170条)。そして,収入役
は,支出命令を受けた場合においても,当該支出負担行為が法令又は予算に違反し
ていないこと及び当該支出負担行為に係る債務が確定していることを確認した上で
なければ,支出できないとされている(法232条の4第2項)。
 ところが,被告Bは,重過失により,適切な指揮監督行為を怠り,支出負担行為
及び支出命令を審査して違法な支出を防止する措置を取らなかった。
ウ 被告Cについて
 被告Cは,市会事務局長として,代決権限に基づき,本件費用弁償の支出負担行
為を行っていた。被告Cは,市会事務局のトップであり幹部職員として代決を任さ
れていたのであるから,本件費用弁償の運用状況を知悉しており,費用弁償の額や
支給方法が条例に定められていないこと,政務調査費の支給,正副議長への公用車
支給,多数の議員への地下鉄市バスの特別乗車券の配布の事実なども知悉してい
た。
 したがって,被告Cは,本件費用弁償の問題点を把握し,違法な支出を行わない
よう留意すべき注意義務があったにもかからず,これを怠り,支出負担行為を行っ
たのであるから,重過失があるといわざるを得ない。
エ 被告Dについて
 被告Dは,市会事務局総務課長として,本件費用弁償の支出命令を担当してい
る。支出命令がなければ支出することができないのであるから,支出命令は支出負
担行為と同等以上に重要である。ところが,被告Dは,重過失により本件費用弁償
についての違法な支出命令を発した。
オ 被告Eについて
 被告Eは,収入役室審査課長として,定例的な費用弁償の支出命令に関する審査
を担当し,代決権限に基づいて,当該支出負担行為が法令又は予算に違反していな
いこと及び当該支出負担行為に係る債務が確定していることを確認する事務を担当
していた。
 ところが,被告Eは,重過失により,本件費用弁償についての支出負担行為及び
支出命令を審査して違法な支出を防止する措置を取らなかった。
カ 被告F,同Gについて
 被告F及び同Gは,長年,名古屋市議会議員であるとともに,本件費用弁償の支
給対象期間中は議長,副議長の地位にあった。被告両名は,本件費用弁償の運用状
況を知悉しており,費用弁償の額や支給方法が条例で定められていないこと,政務
調査費の支給,正副議長への公用車支給,多数の議員への地下鉄市バスの特別乗車
券の配布の事実なども知悉していたはずである。にもかかわらず,被告両名は,本
件費用弁償を受けたのであるから,不法行為による損害賠償義務又は不当利得返還
義務を負う。
(被告ら及び参加人)
 原告らの主張のうち,各被告らがその主張に係る地位にあり,その主張に係る職
務ないし権限を有していたこと,平成10年10月に,市政調査会の審議員たる市
会議員に対する費用弁償に関する訴訟の判決が言い渡されたこと,各市会議員の所
属する会派に政務調査費が交付されていること,正副議長には専用の公用車が当て
られていること,市会議員の中に地下鉄市バスの特別乗車券の交付を受けている者
がいること,以上の事実は認めるが,その余は不知ないし争う。
 普通地方公共団体の長と議会は,それぞれが固有の権限を有する独立した機関で
あるところ,条例制定権は議会が有するので,議会が費用弁償に関する条例を制定
した場合は,それが一義的明白に違法でない限り,執行機関は,条例に従って費用
弁償を支給すべき義務を負担し,自らの判断で支給しないことは許されないと解さ
れる。そして,本件費用弁償については,前記3(1)アないしウの被告ら及び参
加人の主張のとおり,本件条例及び本件支給規程は適法であり,長年にわたり定額
制で適切に運用され,その間誰からも違法であるとの指摘がなかったことなどか
ら,本件条例が一義的明白に違法であるとは解されない。したがって,本件費用弁
償について,被告らは責任を負わない。
 そして,被告Aは,名古屋市長として本来的な支給権限を有するが,支出決定及
び支出命令ともに,補助職員に代決させており,また,被告Bも,収入役として費
用弁償の支出命令を審査する本来的権限を有するが,これを補助職員に代決させて
おり,いずれも,監督義務違反が認められる場合に限り,その賠償責任を負うとこ
ろ,上記のとおり,違法であると解すべき特段の事情はなかったのであるから,責
任を負わない。被告C,同D,同Eらの責任が認められるためには,法令違反行為
が故意又は重過失によって行われたことを要するところ,同様に,支給につき何ら
の疑義も呈されていなかったのであるから,過失は認められない。被告F及び同G
は,名古屋市が適法であるとして長年継続して支給してきた費用弁償を受領したに
すぎないから,その受領行為は不法行為に当たらず,また,10月改正後条例によ
って適法となったのであるから,不当利得も成立しない。
第3 争点についての判断
1 争点(1)(本件費用弁償の違法性の有無)について
(1) (アについて)
 一般に,法律が,条例にその具体的内容を定めることを委任している場合には,
その性質は通常の委任立法と異ならないから,条例は法律が個別的,具体的に委任
した事項について定めを置くことができるにすぎず,条例の規定が法律による委任
の限界を超えたり,その趣旨に反する場合には,当該条例は授権した法律に反して
無効となると解される。その授権の範囲は,法律で明示されている場合はそれによ
り,明示されていない場合にはその法律の構造や趣旨・目的,他の法文との整合性
等を勘案して,解釈されることになる。
 ところで,法203条3項は,「第1項の者(普通地方公共団体の議会の議員等
の非常勤職員)は,職務を行うため要する費用の弁償を受けることができる。」と
規定するとともに,同条5項は,「報酬,費用弁償及び期末手当の額並びにその支
給方法は,条例でこれを定めなければならない。」と規定し,いわゆる各種給付の
条例決定主義を定めている。その主たる目的は,同様の規定である法204条3
項,204条の2とともに,住民の代表者である議員によって構成される議会が,
支給に関する条例を制定する過程で,その必要性,合理性を慎重に審議し,もって
普通地方公共団体の財政の健全化及び透明化に資することにあると解され,副次的
に,その支給基準が条例によって定まることにより,支給の対象となる職員の身分
が安定する効果ももたらされる。
 そして,「費用の額」を条例で定めなければならないと明定していることも考慮
すると,条例自体にその金額を明記するか,又はその具体的算出方法を定めるなど
して,少なくともこれによってその金額を確定し得るものであることを要すると解
するのが相当である(最高裁判所昭和50年10月2日第一小法廷判決・集民11
6号163頁参照)。
 この見地から検討すると,本件条例5条3項は,「前項に定めるものの外,議
長,副議長及び議員が職務を行うについて費用を必要とするときは,その費用を弁
償するものとし,その額は,予算の範囲内で市長が定める。」と規定し,費用弁償
の額の決定を市長に一任し,かつその支給方法について何ら触れるところがないか
ら,本件条例は,これによって支給金額等を確定し得るものとは到底いえず,明ら
かに,法203条5項の趣旨に反し,無効というほかない。したがって,本件条例
に基づく本件費用弁償の支出は,その時点においては法242条の定める「違法な
公金の支出」に当たるといわざるを得ない。
 この点について,被告ら及び参加人は,法203条5項が市制104条等の趣旨
を受け継いでいることなどを理由に,条例という法形式でその金額及び支給方法ま
で規定することを要求するものではない旨主張するが,明治憲法下における地方自
治制度は,時代によって若干の変遷が見られるものの,憲法上の根拠を有せず,基
本的には中央集権的官治行政を補完するものとして存在していたのに対し,現行憲
法は92条から95条までの規定を置くことにより,民主主義と地方分権の理念を
具現化した地方自治制度を憲法上の制度として保障している。そうだとすると,法
203条5項の解釈も,当時の町村制84条についての一行政機関たる内務省の見
解に基づいてなされるべきではなく,地方自治の本旨と整合するように行われる必
要があるところ,その趣旨,目的は前記のとおりと解されるので,上記主張は採用
できるものではない。
    また,被告ら及び参加人は,予算についての議決を通じて,議会のコント
ロールが機能し得るから,法203条5項の趣旨に反しないとも主張するが,前記
のとおり,同項は条例で定めることを明文で要求しており,予算についての議決で
代替できるとは到底解し得ない(最高裁判所昭和39年7月14日第三小法廷判
決・民集18巻6号1133頁参照)上,実質的にも,予算と条例とでは審議のあ
り方が異なること,また,予算による規制だけでは,事後的な補正予算(法218
条1項)による手当や予備費からの支出を考慮すると,前記の給付についての条例
決定主義の趣旨を十分に確保することが困難であると考えられるから,上記の主張
も採用できない。
(2)(イについて)
 もっとも,前記当事者間に争いのない事実等のとおり,4月改正後条例5条3項
は,「議長,副議長及び議員が職務を行うについて費用を必要とするときは,費用
弁償として日額15,000円を支給する。」と定め,さらに,10月改正後条例
が,5条3項について,「職務を行うについて費用を必要とする」を「招集に応じ
て議会の会議に出席したとき又は委員会等(略)に出席した」と明確化し,この規
定の適用を本件附則のとおり,平成13年4月1日から適用するとともに,この条
例による改正前の名古屋市議会の議員の報酬及び費用弁償等に関する条例第5条第
3項の規定に基づいて平成13年4月1日からこの条例の施行の日の前日までの間
に支給した費用弁償は,改正後条例第5条第3項の規定により支給した費用弁償と
みなす旨定めたことにより,同条例の施行に伴い,本件費用弁償は,条例上の根拠
が与えられ,遡及的に適法な支給となったと解される。
 これに対して,原告らは,本件のように議員に対する費用弁償の支給の違法性が
問題とされている事案においては,是正された条例を遡及適用することによって瑕
疵が治癒されたと解すべきでない旨主張するが,本件費用弁償は,その支給根拠と
なった本件条例が,条例という法形式でその額等を定めるべきことを求めた法20
3条5項の要請を満たしていない点に違法事由が存したというべきであるから,改
めて支給金額等を明記した条例を制定し,遡及適用することによって上記要請は満
たされたと解さざるを得ない(本件費用弁償への遡及適用を規定した10月改正後
条例は,4月改正後条例の成立後約5か月後に改めて成立したものであり,やや異
例ともいうべき経緯を経ているとはいうものの,一般的に,行政法規の遡及適用に
ついては,それが国民に不利益ないし義務を課し,かつ公益性を欠くものでない限
り,許容されると解される。)から,原告らの上記主張は採用できない。
 (3)(ウについて)
 さらに,原告らは,10月改正後条例が,招集に応じて議会の会議に出席したと
き又は委員会等(略)に出席したときは,日額1万5000円を支給すると定めて
いることが,報酬,政務調査費,公用車等の支給と二重給付になっている上,実費
支給方式を採用していないことから,「費用弁償」に当たらず,法203条3項に
反するし,また,経費は必要かつ最少のものであるべきことを定めた法2条14
項,地方財政法4条1項にも違反する旨主張する。しかしながら,報酬,政務調査
費と費用弁償とは,その性格,目的が異なる上,法203条3項,5項は,条例に
よってその費用弁償額を確定し得ることを求めているのであって,あらかじめ費用
弁償の支給事由を定め,それに該当するときは,実際に費消した額の多寡にかかわ
らず,標準的な実費である一定の額を支給する方法を定めることも許されると解す
べきである。そして,その際,その支給額をいくらとするかについては,費用弁償
に関する条例を定める議会の裁量に委ねられていると解される(最高裁判所平成2
年12月21日第二小法廷判決・民集44巻9号1706頁参照)。
 しかして,10月改正後条例は,招集に応じて議会の会議に出席したとき又は委
員会等(略)に出席したときは,日額1万5000円を支給する旨定めているとこ
ろ,支給金額については,政令指定都市の中では最高金額であって,議会から自宅
までの距離にかかわらず一律支給である(丙15)など,改善の余地が認められな
いわけではないが,他方,次順位の大阪市の支給金額とは1000円の差異が存す
るにすぎないこと,費用弁償は昭和39年に日額3000円に定められているとこ
ろ(甲1),その後の物価上昇率は,平成11年までに4倍以上の数値となってい
ること(丙19)などに照らすと,不相当に高額とまではいえず,このことは,公
用車や地下鉄市バス特別乗車券の交付の事実によっても覆るものではないと考えら
れ,さらに支給事由についても,議員の法律上の職務の遂行に伴うものであること
が明確にされているから,この金額及び支給事由の定めが,法203条により名古
屋市議会に与えられた条例制定権の裁量の範囲を逸脱又は濫用したものであるとは
到底評価し得ない。したがって,10月改正後条例は,法2条14項,地方財政法
4条1項に違反するものでもないと解されるから,原告らの上記主張は採用できな
い。
(4) 以上のとおり,本件費用弁償は,その支給時においては条例の根拠を欠
き,一義的明確に違法であったというべきであるが,10月改正後条例によって,
遡及的に適法となったと解するのが相当である。
2 訴訟費用等の負担について
 前記のとおり,10月改正後条例は,原告らが本件監査請求手続を経て本訴を提
起し,第2回口頭弁論期日が経過した後に,名古屋市長が名古屋市議会に改正案を
提出し,可決成立したものであることなどの事情に照らすと,訴訟費用及び参加に
要した費用については,行訴法7条,民訴法62条,65条1項,66条を適用し
て,被告ら及び参加人の負担とするのが相当である。
3 結論
 以上の次第で,原告らの本訴請求は,その余について判断するまでもなく,いず
れも理由がないから棄却することとし,訴訟費用等の負担につき,前記のとおり命
ずることとして,主文のとおり判決する。
名古屋地方裁判所民事第9部
裁判長裁判官 加藤幸雄
裁判官 舟橋恭子
裁判官 富岡貴美
(別紙省略)

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