弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人中野峯夫上告趣意第一点について。
 被告人の公判廷における自白は、憲法第三八条第三項にいわゆる「本人の自白」
には含まれないと解すべきことは、当裁判所判例(昭和二三年(れ)第一六八号同
年七月二九日大法廷事件)の示すとおりである。従つて、原判決が、被告人の原審
公判廷でした供述のみを証拠として、判示事実を認定し被告人を窃盗罪をもつて処
断したからといつて、憲法第三八条第三項に違反するものではない。論旨は理由が
ない。
 同第二点について。
 検事は原審公判廷で公訴事実として所論のごとく第一審判決事実摘示の通り「被
告人は昭和二二年一〇月二五日頃当時の勤先東京都中央区ab丁目c番地A倉庫で
連合国占領軍の財産であるパジヤマ上下婦人服上下各一着を窃取したものである」
と陳述したこと並びに原判決は所論のごとく右公訴事実中婦人服上衣一着を除きそ
の余の事実全部を認定判示したが該上衣一着については特にこれが判断を示さなか
つたことはいずれも所論のとおりである。しかし該上衣一着は本件窃盗罪の客体た
る衣類パジヤマ上下、婦人服上下合計四点中の一点であつて一個の犯罪の客体の一
部に過ぎないものであるから、かかる一部分につき特に判断を示さなかつたからと
言つて所論のように審判の請求を受けた事件につき判決をしなかつた違法ありとい
えない。論旨は理由がない。
 同第三点について。
 しかし原判決は判示事実を認めるのに被告人の当公廷における「その旨の供述」
によつてこれを認めると説明しているから原審は審理の結果心証を得た原審におけ
る被告人の供述中原判示と同趣旨の供述すなわち「パジヤマ上下及婦人服下衣各一
着を窃盗した」旨の供述部分を証拠として採用しその旨を説明したものであること、
明白である。それ故原判決には所論のような審理不尽理由不備の違法はない。論旨
は理由がない。
 同第四点について。
 刑の執行猶予を言渡すかどうかは、事実裁判所の自由裁量に属するから、これに
対する非難は一般的には上告適法の理由とならない。仮に本件において所論陳述の
ような事情があるとしても法の適用は現実の事態と法制定の趣旨に従つてなさるべ
ぎことは当然であるから被告人に対し刑の執行猶予の言渡をしなかつたからといつ
て原判決には所論のごとき違法はない。そして刑の量定に対する不服は刑訴応急措
置法第一三条第二項の規定によれば上告の理由と認められなくなつた。そして同条
項の規定は、基本的人権を侵害するものとして憲法に違反するというを得ないこと
は、当裁判所判例(昭和二二年(れ)第四三号同二三年三月一〇日大法廷判決)の
示すとおりである。されば所論の刑の執行猶予を言渡さないことに対する不服をも
つて上告の理由とすることができないからといつて直ちに同条項を憲法違反なりと
論ずることはできない。論旨は理由がない。
 上告趣意第一点について裁判官沢田竹治郎の少数意見は当裁判所昭和二三年(れ)
第一六八号同年七月二九日言渡の大法廷事件においての同裁判官の少数意見の通り
である。
 よつて刑訴第四四六条に則つて主文の通り判決する。
 この判決は裁判官沢田竹治郎の反対意見の部分を除いては裁判官全員の一致した
意見である。
 検察官 安平政吉関与
  昭和二三年一二月二日
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    沢   田   竹 治 郎
            裁判官    真   野       毅
            裁判官    齋   藤   悠   輔
            裁判官    岩   松   三   郎

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