弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件各上告を棄却する。
         理    由
 被告人両名の弁護人清源敏孝、同小林直人、同諫山博、同大家国夫の上告趣意第
一点について。
 所論は、採証法則違背、事実誤認の主張であつて、適法な上告理由に当らない。
 同第二点について。
 所論は、原判決は鉄道営業法四二条一項の解釈を誤り、ひいて憲法三一条に違反
するというにある。しかし、原判決の認定した罪となるべき事実は、要するに、判
示鉄道公安職員らが助勤車掌Aの門司車掌区への出務を援護するという職務の執行
中、判示の如く、被告人両名がピケツト隊員らと共謀の上、スクラムを組みその結
集した一致の力をもつて右鉄道公安職員らを押し返す等の暴行を加え、もつてその
職務の執行を妨害したものであるというのであつて、これに対し刑法九五条一項の
罪の成立を認めた原判決は正当であり、右は鉄道営業法四二条一項に関する原審の
解釈の当否にかかわりがないのであるから、所論違憲、違法の主張はすべてその前
提を欠き適法な上告理由に当らない。
 同第三点について。
 所論は、要するに被告人らの本件所為はB労働組合の合法的ピケツテイングであ
つて何等違法なものではない、仮りに本件ピケツテイングが原判決の説示する理由
から公共企業体等労働関係法一七条によつて禁止された違法な争議行為に当るとし
ても、それに対しては右違反行為をした職員は解雇されるという効果が発生するだ
けであつて刑事上の責任まで負うべきものではないのに、被告人らの本件所為に対
して刑事上の責任を認めた原判決は、憲法二八条、二一条及び公共企業体等労働関
係法一七条、一八条の解釈を誤つたものであるというにある。しかし、原判決は、
被告人らが公共企業体等労働関係法一七条(同条の憲法二八条に違反しないことに
つき昭和二六年(あ)第一六八八号、同三〇年六月二二日大法廷判決、集九巻八号
一一八九頁参照)に違反したこと自体ではなく、前記の如く鉄道公安職員らの職務
の執行中これに暴行を加えたことを有罪と認定し、刑法九五条一項を適用処断して
いるのであるから、所論は原判決の認定に副わない事実関係を前提とする違憲、違
法の主張であつて適法な上告理由に当らない。
 同第四点について。
 所論は、単なる法令違反の主張であつて、適法な上告理由に当らない。
 同第五点について。
 所論は、事実誤認乃至これを前提とする単なる法令違反の主張であつて、適法な
上告理由に当らない。
 また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。
 よつて同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとお
り決定する。
  昭和三七年九月五日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    池   田       克
            裁判官    河   村   大   助
            裁判官    奥   野   健   一
            裁判官    山   田   作 之 助

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