弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

主文
1原告の請求をいずれも棄却する。
2訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第1請求
1東京都杉並都税事務所長が原告に対して平成19年6月7日付けでした別紙
物件目録1記載の各不動産に係る不動産取得税賦課処分を取り消す。
2東京都立川都税事務所長が原告に対して平成19年6月7日付けでした別紙
物件目録2記載の各不動産に係る不動産取得税賦課処分を取り消す。
第2事案の概要
1本件は,別紙物件目録1記載の各不動産(以下「本件不動産(杉並分)」と
いう。)及び別紙物件目録2記載の各不動産(以下「本件不動産(立川分)」
といい,本件不動産(杉並分)と併せて「本件各不動産」という。)を宗教法
人であるA教団(以下「本件宗教法人」という。)から寄付を受けたとして,
東京都杉並都税事務所長から本件不動産(杉並分)に係る別紙処分目録1記載
の各不動産取得税賦課処分(以下「本件賦課処分(杉並分)」という。)を,
東京都立川都税事務所長から本件不動産(立川分)に係る別紙処分目録2記載
の各不動産取得税賦課処分(以下「本件賦課処分(立川分)」といい,本件賦
課処分(杉並分)と併せて「本件各賦課処分」という。)を受けた原告が,本
件各不動産の取得は地方税法73条の7第2号又は同条2号の2所定の非課税
事由に該当するので,本件各賦課処分は違法であるとして,被告に対し,本件
各賦課処分の取消しを求める事案である。
2関係法令等の定め
(1)地方税法施行令37条の14
法第73条の7第2号に規定する政令で定める分割は,次に掲げる要件に
該当する分割(分割型分割(法人税法第2条第12号の9に規定する分割型
分割をいう。以下この条において同じ。)にあつては分割法人(分割により
その有する資産及び負債の移転を行つた法人をいう。以下この条において同
じ。)の株主等(同法第2条第14号に規定する株主等をいう。以下この条
において同じ。)に分割承継法人(分割により分割法人から資産及び負債の
移転を受けた法人をいう。以下この条において同じ。)の株式(出資を含む。
以下この条において同じ。)以外の資産(当該株主等に対する剰余金の配当,
利益の配当又は剰余金の分配として交付される金銭その他の資産を除く。以
下この条において「分割交付金」という。)が交付されず,かつ,当該株式
が当該株主等の保有する分割法人の株式(当該分割承継法人が,当該分割型
分割の直前に保有していた当該分割法人の株式又は当該分割法人若しくは他
の分割法人から当該分割型分割により当該分割承継法人に移転する資産に含
まれていた当該分割法人の株式に対し当該分割承継法人の株式を交付しない
場合には,これらの分割法人の株式を除く。)の数の割合に応じて交付され
るものに,分社型分割(同法第2条第12号の10に規定する分社型分割を
いう。)にあつては分割法人に分割交付金が交付されないものに限る。)と
する。
1当該分割により分割事業(分割法人の分割前に営む事業のうち,当該分
割により分割承継法人において営まれることとなるものをいう。以下この
条において同じ。)に係る主要な資産及び負債が分割承継法人に移転して
いること。
2当該分割に係る分割事業が分割承継法人において当該分割後に引き続き
営まれることが見込まれていること。
3当該分割の直前の分割事業に係る従業者のうち,その総数のおおむね1
00分の80以上に相当する数の者が当該分割後に分割承継法人の業務に
従事することが見込まれていること。
(2)地方税法施行令37条の14の2
法第73条の7第2号の2に規定する政令で定める場合は,次に掲げる場
合とする。
1株式会社が新たに株式会社を設立するために現物出資(現金出資をする
場合における当該出資の額に相当する資産の譲渡を含む。以下この条にお
いて同じ。)を行う場合であつて,当該新たに設立される株式会社(以下
この号において「新設株式会社」という。)の設立時において,次に掲げ
る要件が充足されるとき。
イ現物出資を行う株式会社(以下この号において「出資株式会社」とい
う。)が,新設株式会社の発行済株式の総数の100分の90以上の数
を所有していること。
ロ新設株式会社が出資株式会社の事業の一部の譲渡を受け,当該譲渡に
係る事業を継続して行うことを目的としていること。
ハ新設株式会社の取締役の1人以上が出資株式会社の取締役又は監査役
であること。
2株式会社以外の法人が同種の法人を設立するために現物出資を行う場合
であつて,前号に掲げる場合に類するとき。
東京都都税条例(昭和25年東京都条例第56号)4条の3第1項(3)
知事は,徴収金の賦課徴収に関する事項及び都税に係る過料の徴収に関す
る事項を都税の納税地所管の都税事務所長又は支庁長(…(略)…)に委任す
る。(以下略)
()東京都都税条例41条4
不動産取得税は,不動産の取得に対し,不動産を取得した時における不動
産の価格(…(略)…)を課税標準として,当該不動産の取得者に課する。
3前提事実
本件の前提となる事実は,次のとおりである。証拠及び弁論の全趣旨により
容易に認めることができる事実等は,その旨付記した。その余の事実は,当事
者間に争いがない。
(1)原告は,病院及び診療所を経営し,科学的かつ適正な医療を普及させるこ
とを目的とする医療法人であり,東京都杉並区α×番3号において,医療法
人財団B病院,医療法人財団B病院附属C及び医療法人財団B病院附属Dを
開設している。(甲30)
(2)ア平成17年2月13日,原告の設立総会が開催され,同設立総会におい
て,本件宗教法人からの本件各不動産に係る寄付の申出を受けること等に
ついて承認され,Eが設立代表者に選任された。(乙5)
イ設立代表者であるEは,東京都知事に対し,平成17年3月10日,原
告に係る医療法人設立認可の申請をし,東京都知事は,同年8月12日,
これを認可した。(甲35,36,79)
本件宗教法人は,原告に対し,平成18年2月1日,本件各不動産を寄付(3)
し,同日,本件各不動産につき所有権移転登記を経由した。(甲37から4
3まで,45から52まで,54から65まで)
()ア東京都杉並都税事務所長は,原告に対し,平成19年6月7日,本件不4
動産(杉並分)に係る本件賦課処分(杉並分)をした。(甲1から22ま
で)
イ東京都立川都税事務所長は,原告に対し,平成19年6月7日,本件不
動産(立川分)に係る本件賦課処分(立川分)をした。(甲23から26
まで)
(5)ア原告は,東京都知事に対し,平成19年7月27日,本件各賦課処分を
不服として,本件各賦課処分の取消しを求める審査請求をした。(甲2
7)
イ東京都知事は,平成19年11月30日,前記アの審査請求を棄却する
旨の裁決をした。(甲28,29)
()原告は,平成20年1月10日,本件訴えを提起した。(当裁判所に顕著6
な事実)
4争点
原告の本件各不動産の取得は地方税法73条の7第2号又は同条2号の2所
定の非課税事由に該当するものか。
5当事者の主張の要旨
(原告の主張)
()地方税法73条の7第2号及び同法施行令37条の14は,「法人の政1ア
令で定める分割による不動産の取得」を非課税としているところ,その理
由は,経済的及び社会的観点からその分割の態様によっては,実質的に会
社の組織変更による資産の移転にすぎず,正に形式的な不動産所有権の移
転と考えられる場合があるから,法人の合併と実質的に同様な権利義務の
承継があったと認められる場合を課税しないこととしたものである。
そして,原告の本件各不動産の取得は,地方税法施行令37条の14の
分社型分割において分割法人に分割交付金が交付されない場合であり,同
条各号所定の要件も認められるから,非課税とされるべきである。
本件各不動産は,「寄付」名下に所有権が移転されたにすぎず,宗教法イ
人と医療法人との間に実質的同一性が確保されているのであるから,原告
の本件各不動産の取得は,形式的な所有権の移転に該当するというべきで
ある。
ウ宗教法人法には,規則の変更に関する手続が定められており,分割を可
能にする規定が存在している。
()地方税法73条の7第2号の2及び同法施行令37条の14の2は,2ア
「法人が新たに法人を設立するために現物出資を行う場合における不動産
の取得」を非課税としているところ,その理由は,法人が現物出資により
法人を設立する場合には,新たに設立された法人と現物出資等を行った法
人との間に牽連性及び一体性が認められているから,当該現物出資による
けん
不動産の取得については非課税とされたものである。
そして,本件のように,医療業務を行う宗教法人から医療法人に組織変
更が行われた場合には,地方税法73条の7第2号の2の「法人が新たに
法人を設立するために現物出資を行う場合における不動産の取得」に該当
し,また,同法施行令37条の14の2各号所定の要件も認められるから,
原告の本件各不動産の取得は,非課税とされるべきである。
イ地方税法施行令37条の14の2第2号は,「株式会社以外の法人が同
種の法人を設立する」場合を要件としているが,その「種類」は,法人の
目的,組織,能力,業務,責任等のあらゆる面に関してその共通性が判断
されるべきである。
本件のように,医療業務を行う宗教法人と医療法人は,その目的,組織,
能力,業務,責任等のあらゆる面に関してその共通性が高いから,同種と
いうべきである。
ウ地方税法施行令37条の14の2の「現物出資」は,本件各不動産の
「寄付」と無償の移転行為としての法的性質が同一であり,また,「寄
付」の登記原因は,登記申請の際に被告の指示に従って申請したものであ
って,原告は「現物出資」として申請することも可能であったのであるか
ら,「現物出資」として申請せず「寄付」として申請したことをもって,
本件各不動産の取得を非課税としないことは違法である。
()本件各賦課処分は,地方税法73条の7第2号及び同条2号の2の解釈に3
関して,株式会社等一般法人と原告とを著しく差別するものであり,憲法1
4条,84条に違反するものである。
(被告の主張)
()寄付による不動産の取得は,地方税法73条の2第1項にいう「不動産の1
取得」に当たり,原告は同項の「不動産の取得者」に当たるから,本件各賦
課処分は適法である。
()ア本件は,新設された医療法人が宗教法人から寄付により不動産の所有権2
を取得した事例であり,法人の分割により所有権が移転したものではない。
イまた,法人の分割に関する非課税規定である地方税法施行令37条の1
4は,その改正の経緯からすれば,法律に分割についての具体的な手続規
定が設けられていないものについては適用されないと解すべきところ,宗
教法人法には分割について具体的な手続規定が設けられていないから,本
件には同条は適用されない。
ウ仮に,地方税法73条の7第2号が宗教法人の事実上の分割に適用され
ると解しても,原告の本件各不動産の取得は同号が定める非課税事由には
当たらない。
()ア地方税法施行令37条の14の2第2号は,株式会社以外の法人が同種3
の法人を設立するために現物出資を行う場合に限り非課税とする旨規定し
ているところ,成立の根拠規定を異にする法人は,法律上の権利主体とし
ては別種の法人というほかなく,同種の法人には該当しないと解される。
イ本件宗教法人が宗教法人法にその成立の根拠がある宗教法人であるのに
対し,原告は医療法にその成立の根拠がある医療法人財団である。そうす
ると,両法人は,その成立の根拠規定を異にするから,地方税法施行令3
7条の14の2第2号にいう同種の法人に当たらない。したがって,原告
の本件各不動産の取得は,同項が規定する非課税事由には当たらない。
第3当裁判所の判断
1地方税法73条の2第1項該当性
地方税法73条の2第1項の「不動産の取得」とは,他に特段の規定がな(1)
い以上,不動産所有権の取得を意味するものと解するのが相当であり,その
取得が認められる以上,取得原因のいかんを問わないものと解すべきである
(最高裁昭和40年(行ツ)第12号同45年10月23日第二小法廷判決
・集民101号163頁参照)。また,不動産取得税は,いわゆる流通税に
属し,不動産の移転の事実自体に着目して課せられるものであって,不動産
の取得者がその不動産を使用収益し,処分することにより得られるであろう
利益に着目して課せられるものではないことに照らすと,同項にいう「不動
産の取得」とは,不動産の取得者が実質的に完全な内容の所有権を取得する
か否かには関係なく,所有権移転の形式による不動産の取得のすべての場合
を含むものと解するのが相当である(最高裁昭和43年(行ツ)第90号同
48年11月16日第二小法廷判決・民集27巻10号1333頁参照)。
()これを本件についてみると,前記前提事実のとおり,原告は,平成18年2
2月1日,本件宗教法人から本件各不動産の寄付を受け,本件各不動産の所
有権を取得しているのであるから,原告の本件各不動産の取得は,地方税法
73条の2第1項の「不動産の取得」に該当するものというべきである。
2地方税法73条の7第2号該当性
ア地方税法73条の7第2号は,政令で定める分割による不動産の取得に(1)
対しては,不動産取得税を課することができない旨規定し,これを受けて,
同法施行令37条の14は,同法73条の7第2号所定の政令で定める分
割は,一定の要件を充たす法人税法2条12号の9所定の分割型分割及び
同条12号の10所定の分社型分割とする旨規定しているところ,原告は,
原告の本件各不動産の取得が,同法施行令37条の14所定の分社型分割
による不動産の取得である旨主張する。
イところで,従前,商法の中に企業分割についての規定は存在しなかっ(ア)
たところ,平成12年法律第90号による商法及び有限会社法の改正に
より,企業分割法制が導入され,これに対応して,税制面においても,
我が国の経済社会の構造変化に対応した税制を創設すべく,平成13年
法律第6号による法人税法の改正により,企業分割税制が導入され,分
割型分割(同法2条12号の9)及び分社型分割(同条12号の10)
等の定義規定も整備された。
そして,その後,会社法の制定に伴い,平成18年法律第10号によ
る法人税法の改正により,分割の規定が更に整備され,分割型分割及び
分社型分割の定義についても改正がされた。
また,地方税法においても,企業分割法制を導入した平成12年の商(イ)
法及び有限会社法の改正に伴い,この分割による不動産の移転が,個別
の移転行為なしに当然に行われるなどという点において,形式的な所有
権の移転として非課税とされていた合併と類似する性格を有することか
ら,平成13年法律第8号による法人税法の改正及び平成13年政令第
143号による同法施行令の改正により,一定の要件を充たす法人税法
2条12号の9所定の分割型分割及び同条12号の10所定の分社型分
割による不動産の取得を非課税とする旨規定した(同法73条の7第2
号,同法施行令37条の14)。
以上のように,法人税法及び地方税法等における分割の規定が,商法(ウ)
及び有限会社法の改正による企業分割法制の導入あるいは会社法の制定
に伴い整備されてきたことからすると,法人税法及び地方税法等にいう
分割とは,会社法その他の法令において規定されている分割をいうもの
と解するのが相当である。
ウそうすると,宗教法人法には法人の分割についての規定がなく,原告は,
本件各不動産を本件宗教法人から寄付されたにすぎないから,原告の本件
各不動産の取得を,地方税法73条の7第2号及び同法施行令37条の1
4所定の分社型分割による不動産の取得であるということはできない。
エこれに対し,原告は,宗教法人法所定の規則の変更に関する規定が分(ア)
割の規定である旨主張する。
しかし,規則の変更に関する規定は,飽くまで当該宗教法人における(イ)
規則の変更について定めた規定であって,これを分割の規定であるとい
うことはできず,また,宗教法人法には,分割と同様法人の組織再編成
の方法である合併についての規定(同法32条以下)が整備されている
にもかかわらず,分割については何ら定められていないことからしても,
宗教法人法には分割についての規定はないというべきである。
ア原告は,本件において寄付と分割とは法的性質が同一であるから,寄付(2)
を分割と区別すべきではない旨主張しているものと解される。
イしかし,分割は,分割承継法人が分割法人の営業の全部又は一部の権利
義務を包括的に承継する組織法上の行為であるのに対し,寄付は,個別的
な権利移転行為であるから,寄付と分割の法的性質が同一であるというこ
とはできない。
ウまた,地方税法73条の7は,形式的な所有権の移転等に対する不動(ア)
産取得税の非課税について規定しているところ,これは,前示のとおり,
不動産取得税は,いわゆる流通税に属し,不動産の移転の事実自体に着
目して課せられるものであるが,不動産の所有権の移転があっても,当
該所有権の移転が形式的なものにすぎず,そこに担税力を見いだすこと
が必ずしも適当ではないと認められる不動産の取得について,例外的に
非課税とする旨規定したものと解するのが相当である。
そして,地方税法73条の7第2号は,政令で定める分割による不動
産の取得に対しては,不動産取得税を課することができない旨規定し,
これを受けて,同法施行令37条の14は,同法73条の7第2号所定
の分割を一定の要件を充たす法人税法2条12号の9所定の分割型分割
及び同条12号の10所定の分社型分割とする旨規定している。
以上のことからすると,地方税法73条の7第2号及び同法施行令3(イ)
7条の14は,上記規定が定める要件を充足する分割に限って,例外的
に不動産取得税を課すことができない旨規定したものというべきであり,
このような租税法の規定はみだりに拡張適用すべきものではないから
(前掲最高裁昭和48年11月16日第二小法廷判決参照),分割では
なく寄付により行われた本件各不動産の取得について,上記規定を適用
又は類推適用することは許されないものというべきである。
そして,上記判断は,本件宗教法人と原告とが実質的に同一である旨
の原告の主張を前提としたとしても,左右されるものではない。
()したがって,原告の本件各不動産の取得につき,地方税法73条の7第23
号及び同法施行令37条の14に該当することを理由に不動産取得税を課す
ることができないとする原告の主張を採用することはできない。
3地方税法73条の7第2号の2該当性
地方税法73条の7第2号の2は,法人が新たに法人を設立するために(1)ア
現物出資(現金出資をする場合における当該出資の額に相当する資産の譲
渡を含む。)を行う場合(政令で定める場合に限る。)における不動産の
取得に対しては,不動産取得税を課することができない旨規定し,これを
受けて,同法施行令37条の14の2第2号は,同法73条の7第2号の
2所定の現物出資として,株式会社以外の法人が同種の法人を設立するた
めに現物出資を行う場合であって,同条1号に掲げる場合に類する場合を
挙げているところ,原告は,原告の本件各不動産の取得が,同法施行令3
7条の14の2第2号所定の株式会社以外の法人が同種の法人を設立する
ために現物出資を行う場合における不動産の取得である旨主張する。
イところで,現物出資とは,金銭以外の財産をもってする出資であるとこ
ろ,前記前提事実のとおり,本件宗教法人は,原告に対し,本件各不動産
の寄付をしたのであって,本件各不動産を現物出資したのではないから,
現物出資をしたことを前提に地方税法73条の7第2号の2及び同法施行
令37条の14の2第2号該当性を主張する原告の主張は,その前提にお
いて失当といわざるを得ない。
ウまた,地方税法施行令37条の14の2第2号は,株式会社以外の法人
が同種の法人を設立するために現物出資を行う場合について規定している
ところ,2つの法人がそれぞれ成立の根拠規定を異にする場合には,その
目的,組織,能力等の面において互いに相違する点が存するものというべ
きであるから,それらの法人が同種の法人であるということはできないと
解するのが相当である。
これを本件についてみると,宗教法人法を成立の根拠とする本件宗教法
人と,医療法を成立の根拠とする原告とは,成立の根拠規定を異にするも
のであり,その目的,組織,能力等の面において互いに相違するものであ
るから,本件宗教法人と原告を同種の法人ということはできないものとい
うべきである。
したがって,この点においても,地方税法73条の7第2号の2及び同
法施行令37条の14の2第2号該当性に関する原告の主張を採用するこ
とはできない。
エそして,地方税法73条の7第2号の2及び同法施行令37条の14の
2は,分割の場合と同様,上記規定が定める要件を充足する現物出資に限
って,例外的に不動産取得税を課することができない旨規定したものとい
うべきであり,租税法の規定はみだりに拡張適用すべきものではないから,
現物出資ではなく寄付により行われた本件各不動産の取得について,上記
規定を適用又は類推適用することは許されないものというべきである。
オなお,原告は,寄付という登記原因は被告が指示したものである旨主張
するところ,証拠(甲34)及び弁論の全趣旨によれば,被告の職員が,
原告からの財産の移転方法に関する問い合わせに対し,通常寄付によるこ
とになる旨回答したことが認められるものの,被告が原告に対して登記原
因を指示したことを認めることはできないから,原告の主張は,その前提
となる事実を欠くものであって,にわかに採用することはできない。
()したがって,原告の本件各不動産の取得につき,地方税法73条の7第22
号の2及び同法施行令37条の14の2に該当することを理由に不動産取得
税を課すことができないとする原告の主張を採用することはできない。
4小括
以上のとおり,原告の本件各不動産の取得は,地方税法73条の2第1項の
「不動産の取得」に該当するものであり,非課税について規定した同法73
条の7第2号又は同条2号の2に該当するということはできず,また,前記
検討の結果によれば,同条2号及び同条2号の2の解釈において本件各賦課
処分が憲法14条及び84条に違反するものということはできないから,本
件各賦課処分は適法というべきである。
第4結論
よって,原告の請求はいずれも理由がないから,これらをいずれも棄却する
こととし,訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条,民訴法61条を適用し
て,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第38部
杉原則彦裁判長裁判官
松下貴彦裁判官
島田尚人裁判官

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛