弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     本件を大阪高等裁判所に差し戻す。
         理    由
 上告代理人久保寺誠夫の上告理由第二点について。
 原審は「昭和一四年一月二〇日当時Dとしてその家の戸主であつたDが隠居し、
翌二一日右家の戸籍を去つて実子Eの籍に入つたことにより、Dと被控訴人(上告
人)A1の前記養親子関係は旧民法七三〇条二項に所謂養親の去家によつて消滅し
たことが明らかである」と判示し、本件土地の賃借権を前記上告人が相続によつて
承継したとする上告人らの主張を排斥している。しかしながら、民法七三〇条二項
(昭和二二年法律第二二二号による改正前のもの。以下旧民法という。)の「養親
カ義家ヲ去リタルトキ」とは、養親自身が婚姻または養子縁組によつてその家に入
つた者である場合に、その養親が養家を去つたときの意と解すべきであるから、原
審は、右のようにDと上告人A1との養親子関係が消滅したとするためには、D自
身が婚姻または養子縁組によつてその家に入つたものであることを確定すべきもの
であつたのである。しかるに、原審は、右事実を確定することなく、Dの去家の事
実から直ちにDと上告人A1との養親子関係が消滅したと判示しているのであつて、
原判決にはこの点において、右旧民法の規定の解釈適用を誤つた違法があるものと
いわなければならない。
 ところで、記録によれば、Dの除籍簿の抄本である乙第一号証には、Dが婚姻、
養子縁組をした旨の記載はなく、かえつて同女がその姉であり前戸主であつたFを
継いで戸主となつた旨の記載がみられるのであつて、この記載は、Dと上告人A1
の養親子関係が、Dの去家によつては未だ消滅していなかつた事実を窺知させる資
料ということができる。しかして、もし、Dと上告人A1の養親子関係が存続して
いたならば、上告人A1は、Dの死亡により、本件土地に対する同人の賃借権を相
続によつて取得する関係にあるのであり、また、原判示のように、Dから上告人A
1に対する本件土地の転貸または賃借権譲渡について、地主であるGの承認の事実
が認められないとしても、A1はDの右契約上の地位を相続することによつて、そ
の賃借権をGの承継人である被上告人に対抗しうる関係にあるものということがで
きる。
 つぎに、上告人A2についてみても、右のとおり上告人A1が被上告人に対して
本件土地の賃借権を対抗しうるとするならば、被上告人は上告人A2に対して同人
名義の建物の収去を求めうるとしても、結局その敷地の終局的明渡を求めえない関
係にあるのである。また、かりに、Dから上告人A2に対する賃借権の一部譲渡ま
たは転貸について被上告人の先代Gの承認がなかつたとしても、原審の確定すると
ころによれば、本件二棟の建物は棟続きで事実上一棟をなし、その敷地である本件
土地も一筆で特段の境、区画を有しないというのであり、さらに、また上告人A2
は同A1の夫であつて、同人らはDと昭和二〇年以来右両建物において同居してお
り、Dが生前右建物の各一棟を上告人らにそれぞれ贈与したのも、同人らに対する
財産分けのつもりでしたもので、その後も同人らの本件土地建物の使用状況には格
別の変動は認められなかつたというのであるから、これらの事情からすれば、Gと
しては、右賃借権の譲渡または転貸の事実のみをもつて、直ちに、民法六一二条に
より賃貸借契約を解除しえないものと解するのが相当である。そうであれば、被上
告人の上告人A2に対する本件建物の収去および土地の明渡の請求も権利の濫用に
あたるおそれなしとせず、同人の右請求は直ちにこれを認容しえないものといわな
ければならない。
 以上を要するに、原審は前記のとおり旧民法七三〇条二項の解釈を誤り、ひいて
被上告人の上告人らに対する本件建物の収去および土地の明渡請求権の存否に関す
る法令の解釈適用を誤つたものというべく、その誤りは原判決の結論に影響を及ぼ
すことが明らかであるから、論旨はこの点において理由があり、原判決は、その余
の上告理由について判断するまでもなく、破棄を免れない。そして、さらにこの点
について審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻すのが相当である。
 よつて、民訴法四〇七条一項に従い、裁判官全員一致で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    横   田   正   俊
            裁判官    田   中   二   郎
            裁判官    下   村   三   郎
            裁判官    松   本   正   雄
            裁判官    飯   村   義   美

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